温室効果ガス25%削減と北極振動

 
「環境相としては(真水は)限りなく25%だ。ただ、政府全体でどうなるかはわからない。2050年までのシナリオの通過点としての20年という考え方が重要だ」
小沢鋭仁環境相 1/27 ロイターのインタビューにて


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2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する政府方針について、3月を目途に削減目標を提示するようだ。

一説には、一般家庭の負担は36万円とも76万円とも言われていて、産業界からの反発もある。決して気軽に負える負担じゃない。

昨年のCOP15で合意文書さえ採択できなかったのに、世界で先駆けて日本が取り組むなんて、聞こえはいいけれど、そこまでやって、温暖化に対して役に立たなかったなんてことになったら、良い面の皮。

今年はヨーロッパ各地が大寒波に見舞われているという。1月6日から7日には、この冬一番の冷え込みとなり、各地で氷点下20度を記録して、地中海に面したフランスはマルセイユでも降雪がみられたそうだ。

本当に地球は温暖化しているのか。

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今年は日本各地で大雪が観測されているけれど、これは、北極付近からの寒気が日本などに流れこみやすくなっている気圧配置が原因だと言われている。

北極付近の気圧が高く、日本を含む中緯度地域の気圧が低いと、北極の冷たい寒気が、気圧に押されて中緯度地域に流れこんでくる。逆に、北極付近の気圧が低く、中緯度地域の気圧が高いと、北極の寒気は極に押し込められた形となって、中緯度地域は暖冬になる。

北極付近の気圧は年々強弱を繰り返していて、これを「北極振動」という。

北極振動 (Arctic Oscillation: AO) とは、ワシントン大学の Wallace 教授らにより1998年に提唱された現象で、振動の状態は「北極振動指数 (AO Index: AOI)」と呼ばれる数値で表す。

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北極振動指数が正の時には、ヨーロッパでは偏西風の強化により温和で雨が多くなり、日本付近では温和な天候が続くし、逆に北極振動指数が負の時には、ヨーロッパでは晴天が続き、寒気の流入で寒冷化すると同時に日本付近も寒冷化するとされている。

過去20年間の北極振動指数の変化をみると1980年代はプラスだったものの、90年代から徐々にマイナス側に触れいっているという。勿論、マイナスに振れた1998, 2001, 2003, 2004, 2006年の冬は寒かった。

世界のCO2排出量はどんどん増えているのに、冬の寒さは必ずしも連動してない。

あまり慌てて、温暖化対策をやって家計に負担を強いて、経済を益々冷やして、その結果、馬鹿を見るようなことがないよう、政府には慎重に考えていただきたい。

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画像インタビュー:25%削減の「真水」部分は複数案提示の可能性=小沢環境相 2010年 01月 27日 23:43

[東京 27日 ロイター] 小沢鋭仁環境相は27日、ロイターのインタビューで、2020年までに温室効果ガスを1990年比で25%削減する政府の方針について、省エネルギー推進など国内で実現する「真水」の削減数値は複数の案を提示する可能性があると語った。

 「1本でいくのか、複数の選択肢を提示するのか、まだ決めていない」としたが、複数の案を出す可能性については「ある」と答えた。また、事業所などに排出上限を設定して、過不足分を企業間で取引する「キャップ・アンド・トレード」方式の排出量取引は2011年度か12年度の導入を想定し、その際、特定の業界には事業活動あたりの排出量を減らす原単位目標の採用を容認することもあり得るとの考えを示した。

 インタビューの主なやりとりは以下の通り。

 ――国内対策による「真水」の削減数値は3月上旬に公表するのか。

 「そうだ。(今国会に提出する)地球温暖化対策基本法(仮称)に関する議論と、ロードマップ(行程表)について検討チームで議論していくが、ロードマップの議論の中で真水のところの考えを出さないといけない。ただ、真水の数値は1本でいくのか、主流の数値といくつかの数値を示して選ぶのか、まだ決めていない。(複数の数値を出す可能性も)ある」

 ――国内対策で可能なのは15%程度という民間の試算もあるが、そのあたりが近いのか。

 「環境相としては(真水は)限りなく25%だ。ただ、政府全体でどうなるかはわからない。2050年までのシナリオの通過点としての20年という考え方が重要だ」

 ――政府は昨日、国連気候変動枠組み条約事務局に25%削減を提出した。この目標は動かさないのか。

「それは動かさない。ただ、国際公約としては『すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意』という前提条件付きだから、条件が満たされないと判断した時点で国際公約としては意味を失う」

 ――温暖化対策基本法案でキャップ・アンド・トレード方式による国内排出量取引を創設すると明記しているが、開始はいつになるのか。

 「基本法が施行されてから2年後の2012年度からか、地球温暖化対策税(環境税)が確定的な2011年度からという2つの考え方がある。環境相の立場では早いほうが望ましいが、産業界と調整しないといけないし、排出量取引は制度設計を示していない。税よりもこちらの問題のほうがやっかいだろう」

 ――キャップ・アンド・トレードを導入する場合、特定の業界に原単位方式を認めることは。

 「十分あり得ると思う。(導入済みの)EU(欧州連合)をみても、原則論と個別の対応はかなり違っている。いろいろな政策配慮はしていきたい」 

 ――排出量取引制度には産業界のアレルギーが根強いが、甘い内容にすると制度が骨抜きになる。どのような工夫が必要か。

 「そのさじ加減が一番難しい。信頼関係が必要だ。経済界と政府、経済産業省、環境省とのコミュニケーションはかなり取れてきていると思うが」

 ――東京都が、4月に大規模事業所を対象としたキャップ・アンド・トレードによる排出量取引制度を開始する。

 「(影響が)大きいと思う。東京都のほうも環境省に相談に来てくれて、協力関係でやっていけるのではないか。(実際に)始まると各企業、産業界は腹を括っていくようになるからだ」

 (インタビュアー:浜田健太郎、藤岡知紗)

URL:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13563820100127



画像社説:温暖化対策 25%削減の条件詰めよ

 温暖化対策をめぐる国際交渉に、徒労感を感じている人は多いだろう。昨年末の「気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)」は政治合意文書さえ採択できずに終わった。次のステップに向けた道筋もいまだにあいまいだ。

 しかし、ものは考えようかもしれない。肩すかしだった会議を、策を練り直す転機にもできるはずだ。

 COP15の結論は「コペンハーゲン協定に留意する」という弱い表現に落ち着いた。協定の下、今月末までに、先進国は2020年までの削減数値目標を条約事務局に登録する。途上国は削減活動を登録する。

 法的な拘束力がないとはいえ、米国や中国が同じ協定の下で削減努力を表明するなら、それなりの意味はある。2013年以降のポスト京都の枠組みには、2大排出国である米中の参加が欠かせないからだ。

 ただし、提案内容には期待できない。米国には議会の足かせがあり、中国は自国の経済発展を優先している。中国、インドなどは、協定が求める「削減行動の国際的な検証」にさえ否定的だ。提案される削減量を足し合わせても、協定に盛り込まれた「気温上昇の2度以内の抑制」を実現できないという問題もある。

 こうした状況の中で、日本はどうすべきか。

 政府は中期目標として、これまで通り、「主要国の参加による、公平かつ実効性のある枠組みと意欲的な目標」を条件に、「90年比25%削減」を堅持する見通しだ。

 国際的な情勢をみると、削減目標に条件を付けるのは当然だ。問題は、条件の具体的中身があいまいなことだ。高い数値目標で国際交渉をリードするというシンプルな戦略がなかなか機能しないこともわかった。

 日本は、どういう条件なら25%削減を約束するのかを詰める必要がある。同時に、目標達成のための行程表を早急に描かないと、数値だけでは国内を納得させられない。

 国際交渉では、「公平かつ実効性のある枠組み」のための仕組みを提案し、議論を先導することの重要性が増す。その際には、さまざまな公平性の指標を勘案し、「日本だけが損をする」という国内の懸念を払しょくする制度を編み出してほしい。

 新興国支援の事業が先進国の産業も活性化させるような仕組みも課題だ。そのために、産業界自らが仕組みを提案し、議論のたたき台とすることも一つの手だ。

 COP15では、全員一致による国連の合意プロセスにも疑問符が付いた。世界を先進国と途上国に二分すればよかった京都議定書の時と時代は変わった。より複雑な世界情勢に対応する知恵も求められている。

毎日新聞 2010年1月26日 2時40分

URL:http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100126k0000m070121000c.html



画像各地で氷点下20度を記録、8人が凍死 2009年01月08日 12:08 発信地:ワルシャワ/ポーランド

【1月8日 AFP】欧州各地では6-7日、気温が急激に下がって象当局者によるとこの冬一番の冷え込みとなり、氷点下25度を記録したポーランドで7人、同20度のベルギーで1人が死亡した。

 ポーランドでは、警察当局によると空き家で68歳の路上生活者が、また自宅前で51歳の独り暮らしの男性が、それぞれ凍死。同国内務省統計によると前年11月以来、凍死者は76人となった。

 ベルギーでは、10年ぶりの記録的な寒さの中、30代男性が公園で凍死しているのが見つかった。

 降雪のため、欧州全域で空の便に乱れが生じ、イタリアでは空港が一時閉鎖。フランスでは高速鉄道TGVの運行が乱れた。

 フランスではパリ(Paris)で1997年以来の寒さとなる氷点下9度、北部アルデンヌ(Ardennes)県では氷点下20度を記録、気象当局は「この冬一番の冷え込み」と述べた。地中海に面した南部マルセイユ(Marseille)でも異例の降雪があり、地元空港が閉鎖され、1万2000世帯が停電した。

 ドイツでも、東部ドレスデン(Dresden)近くのDippoldiswalde-Reinbergで夜間の気温が氷点下27.7度まで下がったのをはじめ、各地で記録的な寒さとなった。

 フランス気象当局によるとスカンジナビア半島とシベリア上空からまとまった寒気が流れ込み、寒さは今週いっぱい続く見込み。(c)AFP

URL:http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/disaster/2555596/3660782



画像大雪の原因は「北極振動」 寒気、流れ込みやすく 2010年1月14日2時2分

 この冬の大雪は、北極付近から寒気が日本などに流れこみやすくなる「北極振動」という現象が長引いているのが原因、と気象庁はみている。

 同庁によると、昨年12月半ばから断続的に日本付近に寒気が入り、13日現在で東北から中国地方にかけて山沿いを中心に平年を大幅に上回る積雪が観測されている。

 気象庁によると、今冬は北極付近の気圧が高く、日本を含む中緯度地域の気圧が低い状態で、北極付近から放出された寒気が中緯度地域に流れこみやすくなっている。この気圧配置は普通2週間程度で変わるが、今冬はこれまで約1カ月間にわたって続いているという。同様の現象は05~06年の冬にもみられ、日本海側の記録的な豪雪につながったという。

 欧州や米国、東アジアも今冬は30年に一度の記録的な寒さに見舞われており、ベルリンやワシントン、ソウルなどでは最低気温が平年を大幅に下回る日があった。

 同庁気候情報課によると、現在は北極付近の気圧が下がり始めており、今後は寒さが一段落するとしている。日本では19日ごろから各地で気温が平年を上回る日が続く見込みという。

URL:http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY201001130456.html



画像北極振動(AO)

■一言解説
北極振動(Arctic Oscillation:AO)とは、図1のような北極域と中緯度地域との間の気圧の振動を表す変動パターンである。北半球(南半球でも同様だが)の上空の気圧配置を見ると、低緯度側は気圧が高く、高緯度側は低くなっており、極を中心とした低気圧が解析される。この低気圧は年々強弱を繰り返しており、この変動が北極振動である。冬季に、この低気圧が強いとジェット気流の位置が高緯度側に移り強くなる。寒気が極周辺に集中的に蓄積され、低緯度側には南下しにくいため暖冬となる。逆に低気圧が弱いとジェット気流は南下、チベット高原、ロッキー山脈などの山岳によって南北に蛇行し、それによって寒気も低緯度に降りやすくなり寒くなる。

URL:http://kobam.hp.infoseek.co.jp/meteor/ao.html

この記事へのコメント

  • 方谷先生に学ぶ

    マスコミ情報に依存するのは、危ないですよ。私のところ(ニックネームで検索して下さい)に来ていただくとご理解いただけると思います。特に「温室効果ガス」の問題について。
    2015年08月10日 16:49
  • 美月

    お久しぶりです。某・国々の核実験の方が、はるかに温暖化に寄与している…と言うお話もありますね。原子力発電所が一基爆発するだけでも、二酸化炭素どころではない有意な影響が出るとか…国際情勢が絡むと、なかなかムツカシイですね。
    今起きているのは温暖化ではなく、気象の不安定化&激化なのだという話も聞きます。ある年はゲリラ豪雨で次の年は旱魃だったとか、そういうような激化タイプ。むしろ「温暖化対策」の名を利用して、実はインフラ防災とか災害対策のための税金なのかも??
    いずれにせよ、とても賢く、有効な予算配分が行なわれて欲しいですね^^;
    2015年08月10日 16:49

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