「鳩山総理が名護市民の負担軽減を約束する中で、にわかに信じがたい話だ。過去の経緯から見ても『陸上案』はとっくになくなった話だ」稲嶺進名護市長
今月19日になって、普天間飛行場の移設先として、辺野古のキャンプ・シュワブ陸上部とする案が出され、非公式にアメリカに打診していることが分かったとの報道があった。
これは、辺野古陸上部に300~500メートルのヘリパッドを造る一方、訓練先は徳之島や馬毛島などの県外に移すという案。
筆者はこれまで、普天間問題は辺野古沖現行案か普天間固定の2択。大穴で嘉手納統合、と言い続けてきたけれど、ここへきて、大体、方向性が見えてきたきたように思われる。
というのも、報道されている内容からだけみても、辺野古陸上案の中身がやけに具体的だから。
ただ、辺野古陸上案というのは、かつて自民党政権時に検討されたことがある案であり、滑走路が長く取れないなどのデメリットもあって、廃案となった経緯がある。
※詳しくは「週刊オブイェクト」殿で解説されているので参照されたい。
事実、アメリカは、新型の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを配備するために、長い滑走路を必要としており、最低1600メートル滑走路を要求しているようだ。
それを受けて、シュワブ内陸部に1500メートル級滑走路を新たにつくる案も浮上しているという。これが難しいとなると、普天間は、オスプレイのために使用される可能性が高い。いずれにしても、飛行場に限っては、県外という選択は無くなっているとみていいだろう。
2/5~2/15にかけてのシリーズエントリー「アメリカの世界戦略について 全11回」で指摘したように、アメリカの世界戦略の変更および修正がなされていると見れば、沖縄に米軍兵力が配置されていることは、決定的に重要。だから、アメリカとしても、海兵隊の機能維持さえ確保できるのであれば、陸上案でもある程度の妥協の余地はあるように思われる。
当然、この陸上案に対しては、名護市長や社民党は猛反対している。
冒頭の名護市長の発言のように、普天間県外移設を訴えて、当選した市長としては、当然だろう。社民党はかねてから、普天間県内移設には反対の立場だったから、連立離脱をもちらつかせながら、反対の姿勢をみせている。
とはいえ、政府内では、陸なのか海なのかは兎も角、ほぼ辺野古移設で固まっているように思われる。
というのも、20日に沖縄入りした平野官房長官は、仲井沖縄知事と会談して、普天間移設先に関して、ベストを求めていくが、ベターになるかもしれない、と県内移設を匂わせているから。
さらに、それに先だって、18日に、名護市の稲嶺進市長が鳩山首相と会談したのだけれど、辺野古移設に反対の立場を伝えた稲嶺市長に対して、友愛殿は「民意として重く受け止めている。沖縄県民の負担軽減に努力したい」とした答えなかった。あれほど、相手の御機嫌を取って、その場その場を取り繕う発言ばかりの友愛殿が、「辺野古には移設させません」というリップサービスすらしなかった。
だから、もう辺野古移転で、ほぼ本決まりになっているのではないかと思う。
名護市長を始め、普天間県外移設を支持していた沖縄の人々は、辺野古移転に決定したら、きっと、騙されたと思うだろうけれど、それは、友愛殿が重く受け止めているという「民意の重量」が、きっと鼻紙より軽かったのだろう。持って瞑すべし。
次の機会に民意を示されたい。


新政権の米軍普天間飛行場をめぐる迷走ぶりにはうんざりしてきた。
政府が普天間の移設問題で、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ陸上部にヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)を造る代替案を検討していることが明らかになった。
しかもすでに米側へ打診しており、それが名護市長選で基地反対の新市長が誕生した直後の2月上旬だったというから絶句する。民主党は米海兵隊飛行場のために民主主義を投げ出すつもりなのか。
世界中でこれほど米軍基地が集中する「島」はほかにない。日米安保が重要と言い、海兵隊の継続駐留を見直さないのなら、当然の論理として沖縄以外で基地移転先を探すべきだ。ところが政府と本土の他地域はその議論から目を背けている。
民主党は野党時代に普天間の「県外・国外」移転を主張していた。政権の座に就き、現実と理想とのはざまに苦悩するにしても、選挙中に「最低でも県外」と鳩山由紀夫首相が公言した事実すら顧みないのであっては、政権交代の意義さえ疑いたくなる。
基地反対派の市長誕生について、平野博文官房長官が「選挙結果を斟酌(しんしゃく)しなければならないという理由はない」と放言。同じころ、岡田克也外相は移設先が見つからない場合は、普天間が固定化するとの懸念を口にしていた。
こうした発言の裏に陸上案の検討があったとしたら、選挙で示された民意をどう受け止めていたのか問いたくなる。政府は安保の負担論議から逃げるべきではない。
シュワブ陸上案は、辺野古陸上部に300~500メートルのヘリパッドを造る一方、鹿児島県の徳之島や馬毛島などを訓練先とする内容だ。
ただ米側は新型の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを配備するために最低でも1600メートル滑走路を求めている。陸上案が実現したにしても、普天間飛行場がそのままオスプレイ駐機のために使用されることが予想されるという。
さらに米軍再編に伴う日米交渉で検討されたシュワブ内陸部に1500メートル滑走路を造る案も、米側にあらためて実現可能性を打診する方向だ。
住宅地にある普天間の危険性を除去しよう、というのがすべてのスタートだった。なぜ継続使用という発想が生まれるのだろうか。
ましてや移設問題と決別して、新たな街づくりを始めようとしている地域に、形を変えて基地負担を上乗せしようとする考えも理解に苦しむ。
陸上案は国民新党が検討している。与党各党は独自案をまとめている段階だが、民主党が陸上案に乗ったのであれば、与党協議は国外を主張する社民党に抵抗の場を与えるだけの出来レースなのか。
小沢一郎民主党幹事長は「自分はかかわらない」と避けているかのようだ。政調機能の弱体化が内外から指摘される民主党の「政治主導」は看板倒れになる。
名護市が拒否する案にこだわり、迷走を続けるよりも、安保負担の公平化をめぐる地についた議論をしてほしい。
URL:http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-02-20_3730

◇北沢防衛相が意欲、前原・福島氏「反対」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡って19日、鳩山内閣の閣僚発言がまたも割れた。
国民新党が主張するキャンプ・シュワブ陸上案(同県名護市)について、北沢俊美防衛相は記者会見で「(政府・与党の沖縄基地問題検討委員会で)まとまったら真剣に検討する」と意欲を示した。防衛省は05年の在日米軍再編協議でキャンプ・シュワブ内の演習場地区に移設する案を検討したが、米側や地元の反発で頓挫し、シュワブ沿岸部(名護市辺野古)に移設する現行案に落ち着いた経緯がある。今回、再び陸上案を模索する動きが同省内にあり、北沢氏も理解を示した形だ。
しかし、地元・名護市では1月の市長選で移設反対派の稲嶺進氏が当選したばかり。稲嶺市長は「海にも陸にも造らせない」と明言しているが、北沢氏は会見で「基地の中へ移転するんだから」と指摘。米軍楚辺通信所(同県読谷村)をキャンプ・ハンセン(同県金武町など)へ移設した例を挙げ「大きな反対運動は起こらなかった。そういう歴史的なものに学ぶべきところはある」と強調した。
だが、過去の経緯をよく知る前原誠司沖縄・北方担当相は「かなり前に調査されて消えた案だ。民家の上空を飛ぶなどの問題をどうクリアするのか」と疑念を呈した。社民党は福島瑞穂党首(消費者・少子化担当相)が反対を明言し、照屋寛徳国対委員長も「既存の基地内であろうが県民の負担増になることは間違いない。基本的に反対だ」と述べた。
国民新党の亀井静香代表(金融・郵政担当相)は「各党が良いと思う案をそれぞれ検討して実現可能性を探る段階だ」と反発。亀井氏は14日に東京・羽田空港で民主党の小沢一郎幹事長と会った際、シュワブ陸上案への理解を求めたが、小沢氏は「おれは政策のことは分からない」と述べるにとどめている。連立与党間、閣僚間の調整が全く進んでいない状況が露呈した。
そうした中、平野博文官房長官が19日夕、自衛隊機で沖縄入りし、20日には沖縄県の仲井真弘多(なかいまひろかず)知事と会談する。
17日の検討委で具体案の提示が見送られたのは、国民新党の陸上案提示を受けて平野氏が沖縄への打診に動くのを社民党が警戒したからだ。仲井真知事は19日、県庁で記者団に「過去の案を詳しく知らないので聞かないことにはよく分からない」と述べ、平野氏に説明を求める考えを示した。
鳩山由紀夫首相は19日、首相官邸で記者団に「どの選択肢に対してもコメントはしない。最終的に連立政権を維持する形の結論を出す」と社民党への配慮をみせた。【仙石恭、横田愛、三森輝久】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100220ddm001010082000c.html

鳩山由紀夫首相は18日午前、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題をめぐり、同県名護市の稲嶺進市長と首相官邸で会談した。首相は、1月の市長選で稲嶺氏が米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)への移設反対を訴えて当選したことについて「民意として重く受け止めている。沖縄県民の負担軽減に努力したい」と述べた。具体的な移設先は示さなかった。
稲嶺氏は「辺野古の海も陸上も含め、新たな基地は作らせませんと市民に約束した」と強調。首相が選択肢の1つとしているシュワブ陸上部への移設も反対する考えを示し、県外・国外移設を求めた。また、県北部の振興策に関しても「特段の配慮」を要請した。
稲嶺氏は平野博文官房長官とも会談。平野氏は自身が市長選結果を「斟酌(しんしゃく)する理由はない」と発言したことについて「その部分だけが報道された。そういうことはないので、理解いただきたい」と釈明した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100218/plc1002181140008-n1.htm

政府・与党の沖縄基地問題検討委員長を務める平野博文官房長官は20日午前、沖縄県の仲井真弘多(ひろかず)知事と県庁で会談し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先に関し「ベストを求めていくが、ベターになるかもしれない」と述べ、県内移設に含みを残した。ただ、政府内で浮上したキャンプ・シュワブ陸上案(同県名護市)について、米側への打診は否定した。
URL:http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/216640.html
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