
先日行われた、党首討論について。全2回でエントリーする。
2月17日、漸くにして、党首討論が行われた。テレビでは、自民党谷垣総裁と鳩山首相の党首討論の8割が政治と金の問題に費やされて、社会保障、財政について議論の対象にならなかったことに触れ、党首討論の意義を問われる、なんて言っている。
だけど、友愛首相殿や土地売買幹事長の説明に納得しない国民の声が大半である以上、触れない訳にもいくまい。
さて、党首討論の中から、最初の部分だけをかいつまんで整理すると次のようになると思われる。流れで記述してみる。
谷垣氏 「『納税がバカバカしい』、こういう批判に対して、どう答えるのか」
首相「誠に申し訳ない。私自身が知らなかったが、納税はした。国民のみなさん方も納税して欲しい」
谷垣氏「今国民、この国には法の支配があるかどうか疑念を持ってる。自浄作用または説明責任を果たすか、責任を取るか、答えて欲しい」。
首相「法律では、納税漏れしても遡って納税すればいいことになっている。特別扱いされるべきではない」
①谷垣氏「自浄作用をされるか、説明責任を果たされるか、それとも責任を取られるかを聞いている。かつて秘書の責任は議員の責任であると自分で言った筈。どうお考えか」
②首相「説明責任、私の知ってる限りのことを正直に申し上げている。かつての私の発言は撤回しないが、私腹を肥やしたり、不正な蓄財をした訳ではない。国民から、政権を託されたからには、その責めを果たすのが、その責任の取り方だ」
③谷垣氏「責任を果たすために、かつての言葉は自分には適用しないのだな。自分に適用しないなら、秘書が逮捕された小沢幹事長に責任を取れとは言わないのか」
④首相 「小沢幹事長本人が、責任を感じていると言っている。が、不起訴になった。起訴、不起訴の理由を国民に説明することが、小沢幹事長の責任を果たすことになる。だが、小沢幹事長にそう言うつもりはない。」
⑤谷垣氏「総理が、自浄作用を取る気があるかどうか聞いている。今の話だと、その気はないということだな。」
谷垣氏「1年間に1億8000万円。総理は、お母様とこの7年間の間、全然話さなかったのか」
首相「、母とは年に1度か2度、会っていたが、一切そのような話はない。私がお金の無心をした話は、全くの作り話」
谷垣氏「贈与だったかどうか全然知らないといった。そういう意思も認識もなかった。そうすると、やっぱり贈与か。贈与と認めて税を払った。贈与かどうかのカギを握っているのは、お母様だった。お母様のご意志はどうなのか。」
首相「本人同士が話をするよりも、最終的には、国税が判断する話だ。母からの資金提供を受けていた。私は全く知らなかった、国税の判断に基づいて申告をして、納税をした。」
谷垣氏「小沢幹事長の問題について、小沢幹事長が国会へ出て、しっかり説明する。こういうことを、総理がちゃんと指導するのか」
首相「それは小沢幹事長と、私が話しても結構だが、最終的に、国会で判断すべきことだ。が、必要であれば、私から進言することは、十分にある」
谷垣氏「国会で決めることだと。あるいはご本人が決めることだ、では、総理がこの問題にイニシアチブを発揮するのかはっきりしない。」
今回の党首討論で、谷垣総裁は、相手の言った結論とロジックをそのまま使って、次の質問を立てるというやり方を取っていた。
例えば、①で過去の友愛首相の発言であった、秘書の責任は政治家の責任を取り上げ、どう責任を取るのかを問い、政務を務めることが責任だ、と答えさせ、②では、それを受けて、責任を果たすために自分を特別扱いするんだな、と確認し、③において、では、そのロジックは自分以外の存在、小沢幹事長に適用するのか、と迫る。④の答弁で、小沢幹事長に「云うつもりはない」との答えを引き出して、⑤では、それならば、自浄作用を取る気はないんだね、と念を押す。
相手の答えを土台にして、次の質問を導きだしてる。①~⑤まで、綺麗に一本のロジックの道筋で繋がっている。
今回の党首討論だけなのか、それとも野党の立場だからなのかは分からないけれど、流石に弁護士だっただけのことはある。弁護士とはこういうものなのか、とさえ思わせる。


鳩山由紀夫首相(民主党代表)と、自民党の谷垣禎一総裁、公明党の山口那津男代表による鳩山政権初の党首討論が17日、行われた。討論の詳報は以下の通り。
谷垣氏「えー、総理がご就任になりましてから5カ月たちます。ようやくこの党首討論が実現しました。これから、積極的にこの総理と討論をしていきたいと思いますので、今後頻繁に行われますよう、総理の方からもまたご尽力をまずお願いしておきたいと思います。それで今は、国会では予算審議がたけなわでございます。昨日は税法の審議も入ったわけですね。今、こういう景気情勢ですからまず予算をしっかり議論するこということが大事だと私も思います。それで、今政府がお出しになった予算案には大きくいって五つほど問題があると私は思いますが、しかし、その前に、やはり景気対策にせよ、予算にせよ、税をいただいてやるというのが基本でございます」
「で、昨日いわゆる確定申告も始まりました。今日、昨日の新聞をみますと、確定申告スタートしていろんな方の反応がでております。今朝の産経新聞ですが『納税がバカバカしい』、こういうご反応もありました。『首相、小沢氏に怒り、ため息』。こういうことであります。それから昨日の読売の夕刊をみますと、これは葛飾税務署で、『知らなかったで許されるのはおかしい。開き直らないでと怒った』とか、『首相がこれまで払わなかったのだから自分たちもいいのでは』、こういう議論が出ております。こういう声に対してこれ徴税、政治の責任でありますから、1番の責任者は鳩山総理ご自身です。こういう批判に対して、総理はなんとお答えになりますか」
首相「まず、谷垣総裁とこのような形でクエスチョンタイム、党首討論ができることをたいへんうれしく思います。できるだけ頻繁にこれからも行いたい、私の方からもそのように申し上げておきます。それで今、徴税の話がございました。昨日から確定申告が始まりました。いろいろと、私の、いわゆる母からの資金提供のことで、納税に対してバカバカしいというお気持ちが国民のみなさん方の中に起きてしまっておること、誠に申し訳ない、その思いでございます」
「私が申し上げたいことは、これは何度も申し上げておりますが、天地神明に誓って、私自身が知らなかったことではございます。しかし、しかしながら、いくらなんでも、このような大きな額を、資金提供受けていたという事実が検察によって明らかになった以上、私としては大変遅れたということは事実でございますが、納税の義務というものは果たさなければならないという思いで申告をし、納税をしたところでございますし、これからもしっかりと納税をしなければならないこと、いうまでもないことでございまして、国民のみなさま方の税金のおかげで、予算というものを組ませていただくことができるわけでございます」
「今までの政権と、新しい政権との違いといえば、1円たりとも税金のムダ遣いを許さない、そのような思いで私たちはがんばってきたいと、そのように考えているところでございまして、税金のムダ遣いがないような、そういう仕組みをなんとしても、新政権においてつくりあげていきたいとも考えておりますので、ぜひ国民のみなさま方には私のこと関しては重々申し訳ない、不徳のいたすところだと申し上げておきますが、ぜひ国民のみなさん方には、新しい国づくりのために税金をお支払いをいただきますように重ねて申し上げておきたいと思います」
谷垣氏「総理、総理にはたいへん申し上げにくいですが、『平成の脱税王』という言い方もあるんです。そういう方が徴税をしてくれというのは、これは非喜劇だと思いますよ。それで、ダメなんですよ、そういう説明では。要するに今国民が思っていることは、バカバカしくって税が払えないという声、一方にありますよ。それで総理がお払いにならないんだったら、自分たちも分かったときにじゃあ払う、これでいいんじゃないかという声が、しかし庶民は本当はそんなこと考えてないんですよ。庶民が考えておりますことは、総理やなにかは、まぬがれるかもしれないが、自分たちだったら畳までひっくり返されて全部もっていくと思ってるんですよ。だから、単に徴税に対していやになっちゃうなというだけじゃないんです。今国民がうすうす感じていることは、この国には法の支配があるかどうかということを感じてるんですよ。で、私は総理に申し上げたい。これは総理がきちっと自浄責任、自浄作用を果たされるか、説明責任を果たされるか、責任を取られる、こういうことでないと、さっきのような答えではダメなんです。もう1回お答えください」。
首相「まあ、谷垣総裁のそのお気持ち、私もこのようなことが判明したときに、たいへん驚いたのは事実でございます。そして申し訳ないという思いがございました。知らなかったとはいえ、こんなことでよかったのかという思いは当然のことながらあります。この、もう谷垣総裁もおわかりの通り、過ちで納税というものが、たいへん納税に漏れているということが分かったときに、それは大変遅ればせであるけれども、さかのぼって納税をするということが許されるのも法律でございまして、それに私はのっとってわかった以上、当然のことながら納税というものはするべきだという思いの下で、私は平成14年にさかのぼって、そこからの納税というものを申告をしてお支払いをしたところでございまして、国民のみなさん方に、総理だから許されるなんて話は当然ある話ではありません。そんなことが許される世の中であってはならないということは肝に銘じて、私もそのように思っておりまして、特別扱いというようなものはなされるはずではないと、そのように思っておりますので、国民のみなさん方にもぜひ新しい政治を興すために、しっかりとがんばっていただいて、そして汗を流していただいて税金をお支払いをいただき、新しい国づくりにご協力を願いたい、重ねてそのことを申し上げたいと思っております」
谷垣氏「残念ながら、総理の新しい国づくりに協力をいただきたいという言葉がしらじらしくひびきます。で、さきほど私は申し上げました。自浄作用をされるか、説明責任を果たされるか、それとも責任を取られるかと。総理は以前、私どもの議員の秘書がやはり罪に問われましたときに、秘書の責任は総理の責任である、総理じゃない、議員の責任であるとおっしゃったはずであります。この点をどうお考えなのか、私お聞きするのは二度目ですが、お答えいただきたいと思います」
首相「お答えいたしますが、私はさきほど、谷垣総裁が3つの方法があるということをお話をされました。そのひとつであります説明責任、私の知ってる限りのことを正直に申し上げているところでございまして、国民のみなさん方にはなかなか納得いただけないということが、あるいはあるかもしれませんが、私はすべてを包み隠さず、事実を事実として申し上げていること。これは改めて谷垣総裁に申し上げておきたいと思います。それから今、お話がありました、かつての私の発言、かつて私が申し上げたことは当然、口から出た言葉でありますからそれを今、どうのこうの、撤回するというような話ではないと思っておりまして、その言葉の重さというものは認じているつもりでございます」
「ただいろいろと、かつても、例えば秘書の犯した事件、それぞれの違いというものがあることも谷垣総裁もお分かりだと思います。少なくとも私のこの問題に関しては、私自身の資金、そして母からの資金提供、これに依っていることも事実として明らかになっているところでございまして、私腹を肥やしたり、不正な蓄財をしているというところではないところもご理解いただきたい。そしてその中で今、それでも国民のみなさま方から、しっかりと政権を担い、政権交代の意味をしっかりと認じろという思いがございますので、身を粉にしてその責めを果たす、新しい政治をおこすために、全力を尽くすこともその責任のひとつの取り方だと、そのように考えておるところでございます」
谷垣禎一自民党総裁「責任を果たすために、かつての言葉は自分には適用しないと、今、おっしゃったわけですね。ご自分に適用されないなら、秘書が3人まで、現職の国会議員、元秘書も含めて3人逮捕された小沢幹事長について、責任を取れということはおっしゃらないんですか。おっしゃったらいかがでしょうか」
鳩山由紀夫首相(民主党代表)「当然、小沢幹事長は、幹事長として、自分の資金管理のことで、3人の方が起訴をされたということの責任を、痛切に感じていると。そのことは記者会見などでも、ハッキリと、ご本人から申しているところでございます」
「で、ご本人自身は、ご案内の通り、不起訴になったということも、当然のことながら、皆さん方にも、ご理解をいただきたいと思っておりまして、今大事なことは、そのようななかで、それぞれの政治家として、その、なぜ、このような起訴になったか。あるいは、不起訴になったか。その理由をしっかりと国民の皆さんに説明をする。その責めを果たしていくということではないかと思っておりまして、そのことを果たすことで、私は、小沢幹事長の責任というものを果たすことになると。そのように思っておりまして、私は今、小沢幹事長にそのようなことを申し上げるつもりもありません」
谷垣氏「私はね、総理が、自浄作用についてイニシアチブを発揮させるおつもりがあるかどうか。こういうことをうかがったわけであります。今のご答弁をうかがう限りでは、そういうお気持ちはさらさらないと。こういう風に私は承りました」
「それでは次にうかがいますが、説明責任をどうされるか。先ほど、一部ご答弁がございましたね。ただ、総理のご説明、自分の知りうる限りのことは、調べたという、こういうご答弁は、多くの人を納得させない。させてないのはハッキリしております」
「1年間に、これは1億8000万円ですか。1カ月にすると1500万。これは1日に換算すると50万円ですよ。それを7年間、さかのぼって、贈与税を払われたということは、私も報道で聞いております。しかし、私、総理のご説明に納得できませんのはね。要するに、これは贈与であるかどうか全く知らな…、そんなことがあるのは知らなかったと」
「多分、昨年のいつかの段階で弁護士に調べさせて、勝場さんの弁護士と、それから、総理の弁護士が話し合われて分かったと。多分、こういうことのように報道とうで聞いております。総理は、お母様とこの7年間の間、お目にかかったことってのは、それは何度もおありだと思うんです。そういうことは、全然、お話にならなかったんですか」
首相「ご案内の通り、母とは年に1度か2度、見舞いかたがた、うかがってはおりましたが、一切、そのような話はありませんでした。そのことに関して、むしろ、私は申し上げたいんですが、先般の予算委員会で、与謝野委員から、私が、さもですね、このお金の無心。子分を養わねばならんと。そのために、お金の無心をしょっちゅうしにきたなどというような発言がありましたが、それは全くの作り話でありまして、事実ではありません」
「そのことは、弟の邦夫議員も、与謝野委員に対して、必ずしも、どちらが事実か分からないような発言をしているところでございますが、少なくとも、私は、そのような発言は一切しておりません」
「したがいまして、年に1度2度、母には会っておりましたが、お金の無心のような話は一切しておらないことは、改めてこの場で申し上げておきたいと思いますし、ぜひ、自民党総裁として、与謝野さん、与謝野委員の発言と鳩山邦夫議員の発言の、どちらが正しいのかをお調べになっていただきたい。むしろ、そのことを強くお願い申し上げておきます(拍手)」。
谷垣氏「私は今日は与謝野議員、鳩山邦夫議員の発言に基づいて、こうやって発言しているのではありません。私はですね、今まで、まず、この贈与だったかどうか全然ご存じないとおっしゃいましたね。じゃぁ、その総理の言葉を信じれば、総理はそういう意思もなかった。認識もなかったということですよね。そうしますと、やっぱり贈与か。贈与か。贈与と認めて税はお払いになった。贈与であるかどうかのカギを握っているのは、お母様だったということだと、私は思いますね」
「お母様のご意志はどうだってんでしょうか。そのことを、それをお調べになりましたでしょうか。ぜひ、私は聞いていただいて、こうだったんだということをハッキリしていただきたいと思います」
首相「今、谷垣総裁から、そのようなお話がありました。私は母の、母にも弁護士がおります。そして、勝場にも弁護士がおります。私にも、弁護士おります。一番正確に、本人同士が話をすることよりも、弁護士同士の確認のなかで、何が事実であるかというものを、ある意味で、中立の立場で調べ上げていくのが正しいのだと思っておりまして、そのようななかで、検察がそれぞれのこの弁護士の話をすべて、集めていくなかで、事実というものを明らかにしてきた」 「そのように思っておりまして、私も最終的には、これは国税が判断をする話だ。そのように思っておりますが、しかし、現実問題として、母からの資金提供を受けていたということが明らかになった。そうであれば、そのことを私は全く知らなかったということでありますから、これは、贈与とみなすべきではないという判断がなされて、それに基づいて申告をして、納税をした。これが私のとった立場でございます」
谷垣氏「私は、総理にお母様にお聞きになって、報告していただきたいというのは、実はこれから先のことはあんまり言いたくなかったんです。要するに、贈与かあるいは贈与でないのか。政治資金を提供したのか。そういうところの違いは、やはり、まず、お母様の認識にかかわってくるわけですよ」
「で、この前、総理は与謝野さんの質問に答えられて、これは、ウッカリおっしゃったのかなと思いますが、『母に聞いてもらえば分かる』とおっしゃった。これは、やっぱり、お母様に聞くというようなことを、お年寄りですから、避けたいと思って、先ほど総理自ら、お聞きくださいということを申し上げたんです。私は助け舟を出したつもりで言ったんですよ」
「で、もし、総理がそういうことをなさらないということであれば、やはり、これは今までだってですよ、出張尋問とかそういうことだってあるわけですから。そういうことも、われわれは検討していただかなきゃいかんと思いますよ。いかがでしょう」
首相「先ほど、いずれにせよ、申し上げたわけですが、母が、母の弁護士に対して、当然申しております。そして、そのことの事実に基づいて、検察が判断をした。検察にそのすべての情報というものが集約されていくなかで、私どもとして、これは、私が全く知らない話であるならば、当然、貸与ということ、貸し借りであるはずがないということでありますだけに、贈与とみなすべきではないかという判断になったわけでございまして、そのように判断して申告、納税したということです。くどいようですが、それが、私は事実として正しい判断だと思っております」
谷垣氏「あんまり、この問題ばっかりやっては何ですがね、総理の全然知らなかったと。要するに、贈与か、それとも政治献金であるかというのは双方の意思にかかわるわけですね。ですから、私はお母様の意思ということを、何だったのかということを申し上げているわけであります」
「私はですね、その問題はこれからも継続してやらなきゃいけないと思いますが、もう一つうかがいたいことは、それなら、今、説明責任を、どう総理が果たされるかということを、私はお聞きしたわけです。で、今、自分たちの、やったというご答弁ですが、私は納得しておりません」
「それから、もう一つ、小沢幹事長の問題も申し上げたいと思います。先ほど、ご自分も責任を感じていると。小沢幹事長はおっしゃっていると。こういう風におっしゃいました。小沢幹事長が国会へ出てこられて、それでしっかり説明をされる。こういうようなことは、総理、ちゃんと指導なさいますか」
首相「それは小沢幹事長と私が話しても結構でございますすが、当然、そのことに関しては、国対のなかで、最終的に、国会で判断していただくべきことだと思っております。小沢幹事長も、ことあるごとに、度々記者会見などで、その思いというものを述べておるわけでございます。必要であればぜひ、国会のなかで判断をされるべきだ思っておりますが、私の方からそのことを進言することは、十分にあろうかと思っております」
谷垣氏「まあ、この、国会で決めることだと。あるいはご本人が決めることだというんでは、総理がどういう、この問題にイニシアチブを発揮されようとしているのかはっきりしません。しかし、自分がお話になる用意もあると、こういうようにおっしゃいましたんで、以後これをどう実行されるか、われわれはよく、拝見したいと思います。それで1つ、それでは次の問題に移ります。民主党のですね、小林千代美(衆院)議員の陣営の労働組合幹部が運動員買収の容疑で懲役2年の判決。懲役2年。そして執行猶予3年。こういう判決が出ました。また、報道によりますと、日教組(日本教職員組合)の下部組織である北海道の教職員組合から、小林陣営に1600万円もの裏の選挙資金が渡っていたという報道もございます。今までもですね、平成15年度に宮城県における選挙買収とか、それから輿石(東)先生、そこにおられますが、輿石民主党幹事長(職務)代行の支援組織である山梨県教組の政治資金規正法違反など、労働組合の違反行為が繰り返されてきたということはわれわれはっきり記憶しているところでございます。これ、まずですね、末端の組合員に犠牲者を出さないために、民主党としてきちっと労働組合に指示を徹底させるお気持ちはございますか」
首相「これは、今、この事件が起きて、捜査が進められているところでございますので、この捜査の進展を見守ってまいりたいと思っておりますが、私はやはり、こういう問題の根源はですね、こういった団体、あるいは企業からの献金、政党とか、あるいは本来ならば、個人には献金はすでにできない話になっております。それが、もし行われているとすれば大変大きな問題であることは間違いありません。したがいまして、民主党としては、やはりこの問題をこれから、未然にこのようなことが起きないようにしていくためには、企業団体献金を、政党も含めてすべて全面的に禁止をしなければならないと、そのように考えております。そのようなことをやはり、今こそ実現のときが、必要なときがきたのではないかと、むしろそのように思っておりまして、ぜひ、自民党の谷垣総裁にも企業団体献金の禁止に向けてご努力をお願い申しあげたい。そのことを申しあげておきます」
谷垣氏「やや問題をすり替えておられるように思いますね。あの、私ここでね、あのー、1つ、総理に、あのー、提案をしたいと思うんですよ。労組のカネはこれ、非課税とされているわけですね。で、その資金は国民に明らかにされずに、今度の事件でも使われていたということでございます。そうしますとね、労組の政治資金について、収支報告書の制度等を設けて、そこの政治資金の透明性を図るべきだと私は考えますが、その点についてはいかがお考えでしょうか」
首相「そういう議論は当然必要だと思いますので、大いに議論をして結論を生み出していくテーマではないかと、そのように思います」
谷垣氏「今、総理から議論を進めるべきだという話がありました。ぜひともそういう方向で御党においても議論を進めていただきたいと思います。それからもう1つ、原資となっている組合費が給与天引きになっている点についてもご検討をいただきたいと存じますがいかがでしょうか」
首相「そういうことは前から議論がある話だと思います。組合員の1人、1人が本来自分の意思で行うべき問題ではないかと、そのようには考えておりますが、それをどのようにしてまとめていくかと。全員の意思であるかどうかというものの確認というものが必要ではないかと、そのように考えております」
谷垣氏「まあ、こういう景気や何か議論しなきゃならないときにですね、政治とカネのこういう問題がたくさん。そこでですね、私は、この最後に今、この政治とカネをめぐる問題、きょうはここで締めくくりますが、最後に1つ申しあげたいことがあるんです。要するにですね、しっかりした説明責任を果たそうという気持ちが今までおありのようには思えなかった。自民党としてはですね、やはり予算審議をしなきゃいけませんが、その採決の前提として、総理の問題について総理の勝場(啓二・元)秘書、それから六幸紹介の小野寺(重穂)社長、それから鳩山会館の川手正一郎氏、こういった関係者の証人喚問を求めたいと思います。それから小沢(一郎・民主党)幹事長問題についてもご本人が早急に証人喚問に応じていただきたい。このように申しあげて、とりあえず、次の問題に移ります」
「それで予算審議でありますが、あの、予算でありますが、私はおおむね5つの問題点があると、このように思っております。まずですね、財政の中期展望、財政をどう維持していくかという責任を示していくのが見あたらないというのが1つです。それから2番目、恒久施策に対応する恒久財源が用意されてないではないかということが第2点であります。それから第3点は、デフレ宣言をされましたけど、それに対する具体策がない。こういうことであります。第4点は成長戦略ですね、これは予算編成後に作られた。予算にはこの成長戦略は反映されていない単なる作文である。こういうことであります。それから5番目。5番目は、これは暫定税率等を含めて、数々のマニフェスト(政権公約)違反がある。こういうことが問題だと思っております。これを順次議論してまいりたいと思いますが、まず第1にですね、総理にうかがいたいこと。この、きのうの税法の審議でも議論がありましたけども、総理は、まず徹底的に無駄を省くということを第1にすべきであって、そして消費税については4年間、これをやらない。こういうふうに今まで何度も言明をされておりました。今も基本的なお考えはそうであると。こういう理解でよろしいでしょうか」
首相「政治とカネの話で、先ほど企業団体献金の禁止に対して谷垣総裁のお気持ちを尋ねたところでありますが、ご返答がなかったのは残念でございますが、ぜひ、前向きにご検討をいただきたいと、重ねてそのことを申しあげておきます。さて、この民主党に対して、いろいろとこの財政の話を含めて疑問があるという話がございました。恒久財源という話の中で、消費税という議論であろうかと思います。私がなぜ、最初、消費税というものの、議論もまだ早すぎるということを申しあげたかといえば、やはり先ほど谷垣総裁からもお話がございましたように、今までの政権では、あまりにも無駄遣いが多すぎたと。ここを徹底的にやはり無駄遣いをなくす、スリムな日本の予算というものを作り上げていかなければならないという発想でございました。それが中途半端な中で、この、いわゆる恒久財源、消費税の議論に入りこみますと、それが途中で、まあ増税が、こう、できればいいじゃないかという話になると、スリムな筋肉質な体系になかなかならない予算にとどまってしまう可能性がある。そこで私は、やはり消費税の議論というものは早すぎる。したがって、私が政権を担うべき4年間の間は消費税の増税はしないということを申しあげてきたつもりでございますし、そこのところを変えるつもりは毛頭ありません」
谷垣氏「そうしますとね、あのー、なかなか大変な決意をおっしゃったと私は思いますよ。だけれども、そうしますとね、これ、4年間ですね。4年間、どういうふうに財政運営をされていくのか。これ、はっきりさせないと私はいけないと思います。あのー、海外の格付け会社が日本国債をどう見ているかというのも、これ、いろいろ議論がありますでしょう。その通りかどうかとか、甘いとかきついとかですね、だけれども、(米格付け会社)スタンダード&プアーズがこの前、日本国債のアウトルックをですね、ネガティブにしたということは、われわれは注意すべきサインだと受け止めなければいけないんじゃないでしょうか。そうしますと、やっぱりこの4年間、消費税、手を付けられないなら付けられないで、総理のご判断でいくんならばですよ、どういう形でこの4年間、財政運営をされ、財政運営の見通しを立てられようとしているのか。今そういうものを作ろうとしておられるように側聞をいたしますが、単なる定性的なものではマーケットは納得しないんじゃないかと思うんです。私はしっかりと数値目標を入れて、作っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか」
首相「これは谷垣総裁が一番ご案内のことだと思いますが、この、いわゆるリーマンショックというのがあり、これは自民党、公明党政権のもとではありましたけれども、大変な税収減というものがあったと。それはみなさま方にも予想外であったという話であろうかと思います。ただ、私は、私どもから言わせると、リーマンショックの前から緊急経済対策を打てと盛んに申しあげておったところ、旧政権が一切そこに耳を貸さなかったというのも今回の大変大きな税収減というものを作り出してしまった原因の1つだということは、あえて新政権としても申しあげていかなければなりません。だからといって、すべて、その責任を逃れるというつもりはありません。私どもはそのような中で、22年度の国債の発行額もギリギリのところ、44兆円というところで、ここならば財政というものを、ここまで、財政規律というものに対して世界の、ここならギリギリ認められるなというところで、落ち着かせてきたと、そのように考えてきたところでありまして、われわれとすれば、財政、中期財政のフレームというものを、この6月ごろに出すつもりでございますし、財政運営の戦略というものも、あわせてこの時期に出すつもりでありますが、当然のことながら、定性的な議論だけで済ませてお茶を濁すということであってはならないと思います。プライマリーバランス(基礎的財政収支)の議論というものもいろいろあるかもしれません。しかし、プライマリーバランスだけが本当に財政の健全化の道筋を示すものであるかどうかということも、あわせてわれわれとすれば検討しなきゃならんと思っておりますが、こういう中でしっかりとした財政の中期展望というものを作り上げてまいりたいと。そのことをお約束いたします」
谷垣氏「今、総理がですね、財政の中期展望、しっかり数値も入れて、しっかりしたものを作ると言っていただきましたので、それは私、大変、日本の経済財政にとっても結構なことだと思います。われわれもそれをしっかり、できましたら、検討させていただきたい。こういうふうに思います。それで次に移りますが、先ほどやはり、リーマンショック以降のなかなか情勢は厳しいということをおっしゃいました。私もそれは大変苦労されて今年の予算も組まれたと思います。ただ、相当根本的なところに難しさがあるんじゃないかと私は思います。つまり、マニフェストというものの基本構造は、まあ、これはおっしゃった時期によって若干違いますが、選挙の時にお使いになったものを見ますと、平成26年までに16.8兆でしたか。財源がいると。それを無駄を省くことによって見つける。こういうふうにおっしゃっていたと思います。初年度で7.1兆ですね。ところがこの7.1兆も全部財源を見つけることは難しかった。こういうことだと思います。ですから、暫定税率等はお約束の通りできなかったというわけでありますが、本当のところ、この無駄を省くことだけで、今の目標が達成することができるとお考えなのかどうか。もうすでに閣内でもいろんな意見が出ていますよね。子ども手当も満額は無理ではないかとか、総理も恒久財源なくしてやるのかというお問いかけに対して、若干答弁がぶれたように、私は感じました。それから消費税の議論も必要だという議論が閣内でもときどき聞こえてくる。ということは、このマニフェストの基本構造に対する疑念が相当政府の中でも出てきているのではないかと思いますが、どうでしょうか」
首相「時間が切れておりますので、簡潔に申しあげたいと思います。私は、マニフェストは、今までこういうことを選挙の前に掲げて、そして選挙の後、子ども手当、高校の無償化、あるいは高速道路の無料化、戸別所得補償制度。こういったものを訴えて、そして政権を取って、マニフェスト通りにやろうじゃないかと。そのようにやってきた政権がどこにあったか。そのように思っています。大変な努力をわれわれは申しあげてきた。ただし、政権をとった時期というものの関係で、必ずしも十分、3兆円というところで止まったものですから、十分であったとは必ずしも申しあげませんが、しかし、大事なことは国民のみなさんにマニフェストを訴えて、そして、基本的にマニフェストにしたがって、予算というものを作り上げていく努力をする。それを財源というものをできるだけ、しっかりと削減をさせていきながら、無駄を省いて、それで国民のみなさんに納得していただけるような世の中にする。コンクリートから人へという思いを極力大事にしていく政権であるということを、ぜひ国民のみなさんには理解をしていただきたい。その第一歩であって、これからも、それをさらなる歳出削減の努力のもとで、実現をしていく。その強い決意でございます」
谷垣氏「時間が来ましたので終わります」
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100217/plc1002171635017-n1.htm
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100217/plc1002171649018-n1.htm
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100217/plc1002171700019-n1.htm
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100217/plc1002171704021-n1.htm
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100217/plc1002171702020-n1.htm
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