正三角形の内股膏薬(アメリカの世界戦略について その8)


過日、訪日していたキャンベル米国務次官補が民主党の小沢一郎幹事長と今月2日に会談した際、4月下旬からの大型連休中を念頭に小沢氏と民主党議員団のワシントン訪問を要請していたとの報道があった。

これをどう見るべきか。

画像


報道では、アメリカには、最近10年ほど訪米していないとされる同氏の対米認識には強い不安があるから、などと言われている。もちろんそれもあるだろうけれど、更に踏み込んでいえば、アメリカは小沢幹事長に対し、日本をコントロールできる実力者なのかどうかを確かめるための、ひとつの宿題を課したように思える。

それは何かというと、やはり普天間問題。5月にきちんと、結論を出せるかどうかがその宿題。

普天間問題については、今の鳩山政権は、連立を組んでいる他党、特に社民党の、強い県内移設反対の姿勢に右往左往している。これまでの経緯を見る限り、友愛首相では結論を出せないだろうという見方が強い。

そんな不安定な連立政権の中にあって、見事に政府の意見を取り纏めて、普天間問題を解決せよ、という宿題を、アメリカは小沢幹事長に課したのではないか、と見る。

だから、4月下旬の大型連休中の訪米となった。訪米して、オバマ大統領に会えるかどうかは、おそらく、その宿題を解いてみせられるかどうかに掛かっている。

現時点での、アメリカにとって、日本に期待しているのは、米国債を引き受けるミッションの完遂。まずは、それが第一条件になるのだけれど、それ以降、中国封じ込め戦略やその他アメリカの世界戦略を遂行する上で、日本をパートナーとして、それらを遂行する実力者、カウンターパートナーが誰なのかを見極めんとしているように見える。

画像


そして、剛腕殿が普天間問題を解決に導くことができたら、アメリカは剛腕殿を日本のカウンターパートナーとして認めるように思う。だけど、話はそこで終わらない。

いくら、カウンターパートナーとして認めたからといって、その相手が反米であっては、それなりの対処をする必要がある。アメリカからしたら、剛腕殿が、反米なのか、親米に転ぶのかどうかよく分からない。それを訪米時に確認しておきたいという思惑も当然あるだろう。

剛腕殿は、それに対して、訪米団の人数で答えると思う。つまり、アメリカに自ら率いる人数が、先の訪中団の人数より多いか少ないか、はたまた同じかということで、どちら寄りなのかの回答をアメリカにすると思われる。

もし、訪米団の人数が、先の訪中団の143人と同数なら、日本はアメリカと中国と等距離の外交、即ち、正三角形の関係と考えている、というメッセージを送ることになる。もちろん、訪米団が多ければ、親米になるという意味だし、少ないなら中国寄りにする、というメッセージ。

剛腕殿を含め、山岡氏など、民主党の重鎮は、かねてから、「日米中正三角形論」を唱えているから、もし、本当に「正三角形論」を考えているのであれば、訪米団は中国のときと同じ143人にする筈。

内股膏薬は、どこにでもくっつく。

画像

画像 ←人気ブログランキングへ


画像キャンベル米国務次官補が小沢氏に訪米を要請 2010.2.5 17:47

 訪日していたキャンベル米国務次官補が民主党の小沢一郎幹事長と今月2日に会談した際、4月下旬からの大型連休中を念頭に小沢氏と民主党議員団のワシントン訪問を要請していたことが5日、明らかになった。米国に帰国したキャンベル氏がワシントン郊外の空港で記者団に語った。キャンベル氏は小沢氏の訪米について「彼の予定が許せば、われわれは敬意をもって迎える」との意向を示した。民主党関係者はキャンベル氏から小沢氏に対して訪米の打診があったことを認めたが、「まだ検討には入っていない」としている。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100205/stt1002051749007-n1.htm



画像小沢氏、訪米も大名行列?5月の大型連休中に

 民主党の小沢幹事長が5月の大型連休中に訪米を検討していることが5日、明らかになった。2日に国会内で小沢氏と会談したカート・キャンベル米国務次官補が要請した。

 キャンベル氏はワシントン郊外の空港で4日、記者団に「幅広いグループの民主党議員に来てもらいたい」と期待感を表明した。民主党幹部によると、小沢氏はキャンベル氏に訪米に前向きの考えを伝えたという。

 「親中派」とされる小沢氏は昨年12月、民主党国会議員約140人を率いて訪中した経緯がある。米軍普天間飛行場の移設問題などで日米関係がぎくしゃくする中、米側と小沢氏の対話の行方が注目される。

(2010年2月6日00時38分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100205-OYT1T01150.htm



画像民主内で強まる「日米中正三角形論」山岡氏、上海のシンポで展開 2009.12.14 19:13

 民主党の小沢一郎幹事長率いる同党訪中団の派遣を機に、民主党内で日本と米国、中国の関係は「正三角形」であるべきだとする意見が勢いを増している。同党の山岡賢次国対委員長は14日、中国・上海市内で開いたシンポジウムで、小沢氏と胡錦濤国家主席との会談でも正三角形論が確認されたと披露した。

 これまでも与野党には正三角形論は存在したが、主流にはならなかった。最近になって民主党の正三角形論が、日本外交の方向性として現実味を帯びてきている特徴は、米軍普天間飛行場(沖縄県名護市)の移設問題で日米同盟関係がぎくしゃくする中で、実力者があえて唱えている点だ。

 民主党訪中団(10日~13日)の団長も務めた山岡氏は14日、民主党と上海国際問題研究院の共同シンポジウムでスピーチした。同研究院は、楊ケツチ外相の実弟、楊潔勉氏が院長を務めシンクタンクだ。

 山岡氏は「日米関係が基地問題で若干ぎくしゃくしているのは事実だ。そのためにもまず、日中関係を強固にし、正三角形が築けるよう米国の問題を解決していくのが現実的プロセスだと思っている」と述べ、正三角形論を展開した。

 そのうえで「(10日の)小沢幹事長と胡主席との会談でも確認されたが、日中米は正三角形の関係であるべきだ。それがそれぞれの国と世界の安定につながる」と強調した。

日中間では経済関係は深まっているが、中国は共産党独裁政権の国で、日本向けの核搭載弾道ミサイルを保有している。このような事情から自民党政権時代は、日中、米中関係と、安全保障条約に基づき軍事同盟を結ぶ日米の関係が、等距離であるのを理想とする正三角形論は、政府・与党内で主流にはならなかった。

 山岡氏もスピーチで、小沢氏が11日の梁光烈国防相との会談で、中国の軍拡への懸念を表明したことは指摘した。日本にとって脅威となりかねない中国の軍拡は、一朝一夕で解決するものではない。それにもかかかわらず、正三角形論を強調するところが、民主党流の外交であるようだ。

 山岡氏に加え、訪中団の名誉副団長を務めた輿石東参院議員会長も、3日の記者会見で「日米中は等距離の三角形の関係にある」と述べている。

 小沢氏自身は民主党代表当時の平成18年7月、民放テレビで「米中は日本抜き(の関係)だ。(日米中は)正三角形になって、頂点、扇の要に日本がいる関係でないといけない」と正三角形論を唱えた。小沢氏の持論が鳩山政権になって公認されつつある。(榊原智、上海・原川貴郎)

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091214/stt0912141919007-n1.htm

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック