日本と第7艦隊(アメリカの世界戦略について その4)


日米関係がよければよいほど他国との関係もよくなる。日米安保の重要性は首脳間で一致している。
小泉純一郎 2001年6月30日 日米首脳会談

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日本とアメリカは太平洋を挟んで、丁度地球の反対側同士の位置関係にある。衰えたりとはいえ、アメリカは世界一の軍事大国であり経済大国。日本は世界二位の経済大国。そしてその二国は共に、自由主義圏に属し、更に同盟まで結んでいる。

同じ価値観を共有する日米が同盟を結んで、がっちりしているということは、地球の反対側同士に世界1,2位の軍事・経済大国が、世界の楔となって存在していることに他ならない。

これは、日米両国の軍事的、経済的影響力を考えれば、ほぼ世界全土を日米のハードパワーで抑えるのが可能だということを意味してる。特に軍事力で考えれば、日本には、第7艦隊を補給整備できる横須賀があり、紛争介入時に投入される海兵隊が沖縄に駐屯してる。

第七艦隊の担当海域は、東経160度線以西の西太平洋・中東地域を除くインド洋にまで及んでいて、アジアや中近東地域のあらゆる事態に即応戦力を投入する部隊として活動している。

だから、日米同盟の存在はそのままイコール、世界の安定に繋がっていることは間違いない。もちろん日米だけで世界を支えていたわけではなくて、ヨーロッパやサウジ、インド、インドネシア、オーストラリアといった各国と連携し、場合によっては、ハードパワーの拠点となる基地を提供してもらうことで、世界を警備していたことは事実だけれど、アメリカからみて、自国の大軍を地球の反対側に駐屯できている、という意味は決して軽いものじゃない。

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第7艦隊担当海域 「7F」で示される海域 (2009年現在)


日米同盟が長きに渡って続き、あまりにも当たり前になっていたものだから、殊更に意識はされないのだけれど、これまでアメリカにしても、中国になんだかんだとアプローチが掛けられるのも、日米同盟がしっかりしてるという大前提があってのこと。

第一次世界大戦後、 日本海軍を仮想敵にしていたアメリカ海軍にとって大きな問題だったのが、太平洋であり、いかに決戦が行われる戦場に、 修理を完了し充分に補給された部隊を適時に展開するかの補給問題だった。

いざというときに、相手に言うこと聞かせるパワーとしての軍事力が如何に強大であったとしても、必要な時に、必要な兵力を投入できなければ意味がないし、作戦を継続するための兵站が確保されていないと、あっと言う間に行き詰ってしまう。

だから、東アジア、東南アジアに対して、日米同盟が存在し、横須賀の第7艦隊や沖縄の駐留米軍がいることで、ようやく、何時でもハードパワーを行使できるんだぞ、という無言の圧力が可能になる。

今、日米関係が普天間基地問題で揺れているけれど、日米同盟の意味がこれから日本国民の間でも意識されるようになってくると思う。

今後、アメリカがモンローシフトしていって、自国に引きこもることになったとしても、復活させた国内産業製品を売らなくちゃいけないから、今貿易している相手の市場はそのまま残っていて欲しい。できればこれから有望な市場があれば、今から唾をつけておきたい。世界各国に駐留している軍隊が引いた途端に、全て手放すことになってしまったら元も子もない。そん非合理的選択はあり得ない。

だから、アメリカ側から見れば、たとえ、アメリカ駐留軍が引くことになったとしても、撤退した地域が、それなりに平和と安定が維持されるシステムがなんらかの形で構築されて、これからもどんどんアメリカ製品を買えるようになっていることを望む筈。

もしも、アメリカがモンローシフトに基づいて、東アジアから引くという結論を出したとしたときに、日本が自前で国を守る気がなかったとしたら、どうなるか。アジアのことはアジアで決めればいい。アメリカは関与しない、と決めたとしたら日本はどう動くべきなのか。








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画像第7艦隊 (アメリカ軍) 出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

第7艦隊(だいななかんたい U.S. Seventh Fleet)はアメリカ海軍の艦隊。ハワイのホノルルに司令部を置く太平洋艦隊の指揮下にあり、東経160度線以西の西太平洋・インド洋(中東地域を除く)を担当海域とする。旗艦/司令部は、揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」 (USS Blue Ridge, LCC-19)[1]。


概要 [編集]
東経160度線以東の東太平洋(第4艦隊担当の南米西岸海域を除く)を担当海域とする第3艦隊とともに、アメリカ太平洋艦隊を構成する。旗艦/司令部は日本・横須賀海軍施設を母港とするブルー・リッジ上にあり、海軍中将が座乗する。神奈川県の横須賀海軍施設の他、長崎県佐世保市、沖縄県、韓国の釜山、浦項、鎮海、シンガポールなどに基地を展開している。

航空母艦(原子力空母)「ジョージ・ワシントン」 (USS George Washington, CVN 73)を主力艦と擁し、50-60の艦船、350機の航空機を擁する。戦時には6万の水兵と海兵を動員する能力をもつ。平時の兵力は約2万。アメリカ本国の反対側に当たる地球の半分を活動範囲とし、アメリカ海軍の艦隊の中では、最大の規模と戦力を誇る。また日本の海上自衛隊と密接な関係を持っている。

司令官は、ジョン・ミラー・バード海軍中将 (Vice Admiral John Miller Bird)(第46代、2008年7月12日~)。

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC7%E8%89%A6%E9%9A%8A_(%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%BB%8D)



画像中国の軍拡に警鐘、「二正面作戦」見直し 米戦略指針 配信元:2010/02/02 12:23更新

 【ワシントン=佐々木類】米国防総省は1日、今後20年間の安全保障戦略の指針となる「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)を発表した。オバマ政権になって初めて。QDRは国防政策の重点を、大規模紛争に同時に対処する従来の多方面作戦から対テロや大量兵器拡散防止に移すとした。また、軍拡を続ける中国を念頭に、サイバー攻撃や宇宙空間における偵察衛星への脅威が増していることに懸念を示し、日本など同盟国との連携の重要性を強調した。

 QDRは、国防戦略、戦力構成などの中長期の方針を示す重要な国防文書。4年ごとに議会への提出が義務付けられている。国防戦略目標として(1)アフガニスタン、イラク戦争の勝利(2)紛争の予防と抑止(3)不測の事態への備え(4)兵力の維持と強化-を挙げた。

 日本については、引き続き地域の平和と安定のために同盟関係を維持するとともに、在日米軍の駐留を確実にするため、(沖縄県宜野湾市の普天間飛行場を名護市のキャンプ・シュワブ沖に移すとした)日米合意の履行に向けて協力すると明記した。

 中国については「アジア・太平洋地域だけでなく、地球規模で存在感を強めている。国際社会への積極的な関与を歓迎する」と言及する一方、「中距離弾道ミサイルや新型攻撃潜水艦、広域防空システムの開発、サイバー攻撃、空母建造を進めている。(中国軍の)情報が限られており、軍拡の長期的な意図に疑念が生じている」と指摘した。

 その上で、良好な米中関係を維持するため、「さまざまな対話のチャンネルを維持し、相互不信と誤解を取り除いていかねばならない」とした。

 また、潜在的な仮想敵国による米国への攻撃に対処するため、依然として抑止力の維持が重要と指摘。イランと北朝鮮について「1991年の湾岸戦争でイラクが使用したスカッドミサイルの精度を上回る弾道ミサイルを多数配備し、在外米軍基地が脅威にさらされている」と指摘した。

 対テロでは、アフガンを念頭に、脆弱(ぜいじやく)な国家がテロの温床とならないよう安定化支援の必要性を明記。輸送ヘリや無人偵察機の装備充実を訴えた。気候変動が軍事にもたらす影響にも初めて言及し、異常気象による食糧不足が地域の不安定化を加速させると指摘している。

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/america/352945/

この記事へのコメント

  • 日比野

    >開国させたアメリカが鎖国へ向かうとは、だれも思っていなかったでしょうね。

    歴史は繰り返す…ですかね。アメリカが世界中からモノを買ってくれていたおかげで世界が回っていた、という面はありましたから、世界にとっては痛手でしょうね。今はその代わりを中国に世界は期待していたのですが、まぁ、それは日本のようには協調しないわけで…
    2015年08月10日 16:49
  • mor*y*ma_*atu

    開国させたアメリカが鎖国へ向かうとは、だれも思っていなかったでしょうね。徳川幕府は国内統制強化の為に鎖国を始めたのでしょうから目的はほぼ同じと考えても良いのでしょう。しかし、アメリカが天の岩戸へ隠れてしまったら世界中の国々が様々な影響をうけて、多くの人々が岩戸から出てきて欲しいと思うことでしょう。その時は記紀にあるようにやるのが日本流ですね。力ずくでは無理でしょう。アメリカは頑固だけれど素直で単純な所があるので心を開けば岩戸から出てくると思います。
    2015年08月10日 16:49

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