海賊版とグーグル(アメリカの世界戦略について その3)

 
次に2の知的財産に対しての阻害要因が何かといえば、海賊版、パクリ商品の拡散による特許侵害や、研究データなどのハッキングによる情報漏洩なんかがそう。

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これを防止しようとしたら、コピー商品対策とか、研究データ漏洩の防止とかになるのだけれど、最初の段階では、各国へ、海賊版製品の取締まり強化や知的財産権尊守及びハッキング防止徹底を依頼したり、EPAなどの協定を結んだりして知的財産の保護を図るのが順序。

それでも効果が無い場合は、報復関税や経済制裁、場合によっては武力行使にまで及ぶことさえある。

この知的財産に関する阻害要因の元凶となる、コピー大国、海賊版大国は、今の世界には、思いっきり存在してる。どこの国かなんて言うまでもない

かの国にはコピー商品なんて当たり前のように氾濫してる。SONYの真似のSQNYとか、HONDAの海賊版HONGDAとか。どなりのトトロ(Ⓒスタズオズブリ)に至っては漫画並みのネーミング。

それでも真面目に真似して、オリジナルから多少劣化しているくらいならまだしも、表向きの外装だけ真似して、中身はスカスカなんてものが堂々と売られているから始末に終えない。今やパクリ製品は東南アジアにも出回っているようだ。

かの国で売られている、任天堂のWiiのニセモノ製品である「Vii」なるものは、外観サイズこそWiiと殆ど同じだけれど、”信じられないほど”軽く、重さはWiiの4分の1強しかない。分解してみると、中身は基板一枚だけのスッカスカ。因みにViiはインターネットに接続もできなければ、二人以上のゲームはできない。どうやら一人専用が「仕様です」らしい。劣化にもほどがある。Viiを作ったオッサンドナイシテマンネン。

それでも外観をオリジナルに似せることにかけては、かの国の右に出るものはない。iphoneのニセモノの「ciphone」なんて、ちょっと見では全く見分けがつかない。

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「こちら葛飾区亀有公園前派出所 32巻「コピー社会の巻」より引用」


また、ハッキングに関して言えば、先頃、話題になったグーグルの撤退問題がある。グーグルは昨年12月中旬に、高レベルのサイバー攻撃を受け、知的所有権の一部に損害を受け、中国におけるビジネスを見直す必要があることと、グーグル中国の検索結果に対する検閲の継続を望まないことを決定したと発表している。

現時点では、グーグルが中国から撤退するか否かについて結論は出ていないのだけれど、それに連動するかのように、アメリカの「The Daily Beast」というウェブマガジンが、「中国の秘密サイバーテロ」と題した、「FBI秘密報告書」のリーク記事を掲載したそうだ。

JBpressは、1月12日のグーグルの発表とその翌日の「FBI秘密報告書」内容のリークは、一連の中国サイバー攻撃に対する周到に準備された米側の対抗措置の一環と考えるべきなのかもしれない、という見解を示しているけれど、これも、知的所有権の囲い込みに対する阻害要因の除去のひとつだと考えると納得できるものがある。

中国はいつものように、これらに対抗して報復関税なりなんなりしてくるかもしれない。だけど、アメリカが知的所有権の囲い込み戦略を既に発動しているとしたならば、アメリカにとって、中国のそんな手は先刻承知のことで、やりたきゃやれよ、とばかりに、更なる反撃の手を用意している筈。

つまり、アメリカは、一時的であるにせよ、中国市場からの撤退をも辞さないと腹を括った上での戦略を立てているのではないかと思えてならない。アメリカがモンローシフトを行い、自国に引きこもる選択をしたのであれば、中国に資本投下するのなんか止めて、自国産業を育てるのに、刷ったドルを使ったほうが全然マシだから。



だから、トヨタリコール問題も、グーグル中国撤退問題も、大きくみれば連動していて、アメリカは、自国を侵食する外国企業を叩き出して、他国に進出している自国企業を本国に呼び戻しているようにさえ見える。

そして、やがて、自国産業が競争力をつけた暁には、今度は自国製品を他国にどんどん買って貰うために、今から序々に、ドル安に振ってくることも十分考えられる。もちろん、固定相場でぬくぬくとしていた中国元はただではすまない。強力な元切り上げ圧力をかけてくるだろう。

だから、今回の一般教書演説で、国内向けの話ばかりだったから、保護貿易をするかもしれない云々とか言う以前に、アメリカは、おそらくもう既に保護貿易以上のモンローシフトに入っていると考えたほうがいいように思う。

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画像一字違い「HONGDA」オートバイ ホンダが提訴

本田技研が重慶力帆実業集団公司と北京市のあるオートバイ販売店を商標権侵害で訴えた訴訟の審理が10日、北京市第二中級人民法院(地裁に当たる)で開かれた。審理では、次の点が争点となった。

(1)「HONDA」と「HONGDA」は類似商標に当たるか?

(2)中国語の発音が一致する商標を同じ種類の製品で使用するのは侵害に当たるか?

(3)「HONDA」の商標は中国国内でも有名ブランドの商標とすることができるか?

中国政法律大学の劉丹助教授が、こうした争点について、次のような見解を示している。

(1)の「HONDA」と「HONGDA」が類似商標にあたるか、誤解を生じる恐れがあるかについては、この件で被告は「HONGDA」の文字をオートバイのデザインとして使用しているのであり、商標として使用しているのではない。つまり、「HONDA」と「HONGDA」が類似商標であるかという問題は存在しない。事実、被告は「HONGDA」を商標として登録しておらず、文字商標として登録しているのは中国語の「轟達」だ。「HONGDA」は「轟達」の中国語のローマ字表記だが、登録していない以上は登録商標ではない。

(2)について、被告の行為が商標権の侵害にあたるかどうかを判断するカギは、当事者の行為が消費者に「誤解を与えうる」か、他者の登録商標の専用権に損害を与えたかどうかにある。被告は原告の登録商標「HONDA」に類似した文字を商品のデザインに使用しているが、被告と原告の生産したオートバイのブランド、特徴、性能、市場での位置付け、価格などの要素を総合的に考えると、消費者に誤解を与えうるとは言えず、権利の侵害にはあたらない。

(3)について、原告は法院に登録商標「HONDA」を有名ブランドの商標と認定するよう求めているが、「HONDA」を有名ブランドの商標と認めるかどうかは被告の権利侵害行為を判定する上での必要条件ではないため、法院が有名ブランドの商標かどうかの判断を下す必要はない。(編集YH)

「人民網日本語版」2004年6月14日

URL:http://j.peopledaily.com.cn/2004/06/14/jp20040614_40325.html



画像山谷剛史の ニーハオ!中国デジモノ “Wiiもどき”の全貌公開!中国「威力棒 Vii」を分解した 2007年12月13日

 本家をまねた“ニセもの(?)”が多数リリースされる中国で、任天堂「Wii」のそっくりさんとして、Wiiのふるさとである日本でもいろんな意味で注目を浴びた「威力棒 Vii」。前々回の購入レポート、前回のソフトウエアレビューに続き、今回はハードウエアレビューをお届けする。

 まずWiiとViiを写真で比較してみよう。Wiiのほうが奥行きはあるが、高さでいえばViiのほうが高い。厚さに関しては、あって数ミリ程度の違いしかない。従って容積ではそれほど差がないはずなのだが、Viiは持ってみると“信じられないほど”軽く、実際計量してみると、Viiの重さはなんとWiiの4分の1強しかない。ほかには、Wiiの本体はツヤがあるが、Viiの本体はツヤがないため安っぽい。

《中略》

◆「コントローラー」をチェック!

 Viiのリモコンは、説明書を読むと「Viiリモコン」ではなく、「コントローラー」(中国語で「手柄」)と呼んでいる。呼び方まではWiiをまねしていないようだ。いや、実はそこまで気にしていなかっただけなのかも……。そのViiのコントローラーだが、外見上はWiiよりViiのほうが若干短く、そして若干軽い。ヌンチャク用コネクターはViiにはない点も、Wiiとの違いだ(これがあればボクシングをタイトルに入れてきただろうなあ……)。

 細かいところだが1ボタンと2ボタンの名称が逆である。各ボタンの押し心地は、システム関連の小さなボタンは普通だが、ほかのボタンが問題だ。例えるなら十字ボタンが四角ボタン時代のファミコンのようで、Bボタンは壁にある照明のスイッチのように硬いので、押せば押すほど、どうにかならないのか、と不満を覚える。

 Viiのコントローラーの左上には電源ボタンがWiiと同様に配置されている。しかし、Wiiリモコンの電源ボタンは、Wii本体の電源のボタンであるのに対し、Viiのそれはコントローラーの電源のボタンだった。また、Viiの背面の電池ケースは、なにか先がとがったものを使わないと開かないほど開けにくい。

Viiコントローラーの利用についてだが、状況に応じて振動し、コントローラ自体から音が出るのはWiiと同じだ。センサーバーがないので、リモコンをテレビに向けてプレイする必要はない(その意味がない)。その辺は、前回のゲームをプレーしている動画を見ていただければ納得してもらえると思う。


◆さすがにインターネット接続は無理か……

 無線部については説明書きによると、「2.4Gを利用して本体と無線でやりとり」と書いてある。2.4GといえばWi-Fi規格のなかでも802.11b/gがこれを利用しているので、ひょっとしてWi-Fiかも! と思い、チェックしてみたが、Wi-FiファインダーからはViiの無線をとらえることはできなかった。本体のメニューにはインターネットに接続するサービスはなかったが、ハードウエア的にも接続できないようだ。

 また前回のゲームレビューやViiの動画広告でうすうす気づいている読者はいるかもしれないが、これは1人プレイ専用ゲームであり、Viiのコントローラーを追加で購入することはできないし、また2つ無理やり導入したところで2つを認識することはできない。


◆さぁ、お待ちかね。Vii本体をバラすぞ!!

 最後にViiを分解しよう。

 本体裏に4つのネジが見え、これらは簡単に外すことができる。それを開けた結果が以下の写真だ。見ての通りViiの中身はスッカスカで、裏面に至っては何もチップがないどころか、回路すらなかった。驚くほど軽く、また携帯型ゲーム機のACアダプターまでも利用できるViiの秘密、ここにあり(?)なのだ。

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 3回にわたりViiを紹介した間に、当連載のほか他メディアでも紹介されたこともあり、随分日本でもViiは有名になった。しかし、本国での消費者の反応は、Vii紹介記事の感想欄のBBSを見る限り、とても買いたいという人はいないようだ。ひょっとしたらViiの最大の顧客は、おもしろいネタを求めて奔走している、海外のメディア関係者ではないか、と思ってならない。


著者 山谷剛史(やまや たけし)

 海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国専門ITライターに。連載に「山谷剛史のアジアン・アイティー」、「山谷剛史のチャイナネット事件簿」、「華流ITマーケットウォッチ」など。著書に「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)。

URL:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/column/20071212/1005282/



画像[CG]ここまでやるか、iPhoneのニセモノ  by John Biggs on 2008年7月5日

MacRumorsフォーラムのメンバーが助けを求めている。新品のiPhoneがアクティベートできないというのだ。この可哀想なヤツが買ったのは非常によく出来た中国製のニセモノだった。実際にiPhoneを見たことがなければ引っかかってしまうほどよく出来ている。ユーザーインターフェイスもほとんど同じだ。違うところといえば、中国のゲームのアイコンとアップル固有のポートがUSBになっていることぐらい。

前にもいったことがあるがもう一度いいたい。中国メーカーが知的財産をコピーすることでなく自らの製品を作ることに精力を注いだら、きっとその力量が認められるだろうに。それにしてもここまで彼らをコピーに駆り立てるものは一体何だろうか。

URL:
http://jp.techcrunch.com/archives/20080703forum-user-tries-to-activate-fake-iphone/



画像米中サイバー戦争、ついに開戦グーグルは氷山の一角~「中国株式会社」の研究~その42

《前略》



中国の対米サイバー攻撃 


 グーグルに対する攻撃は巨大な氷山の一角に過ぎない。2007年に4万4000件ほどだった中国の米国防総省に対するサイバー攻撃回数は、2008年に5万5000件、2009年には9万件に達したと言われる。

 もちろん、米国だって同様のことを人民解放軍に対し仕掛けているはずだが・・・。

 グーグルが中国政府のサイバー攻撃の事実を公表した翌日、米国の The Daily Beast なるウェブマガジンが「中国の秘密サイバーテロ」と題する記事を掲載している。

 しかも、驚くことに、わざわざ「FBI秘密報告書」の内容だと断ったうえで、中国サイバー軍の具体的能力に関するFBIの見方をかなり詳しく報じているのだ。

 The Daily Beast の信用度はそれほど高くないのだが、どうやら今回の記事内容はかなり信憑性が高いようである。まずは、その興味深い報道の主要部分をご紹介しよう。

(1) 中国は2003年以来、秘密裏に、軍人3万人、民間専門家15万人からなる総勢18万人のサイバースパイを擁する巨大なサイバー軍を実戦運用している。

(2) 中国はサイバー攻撃を最も有効な「対米非対称戦」と位置づけており、同国のサイバー軍は米国に対する唯一最大のサイバーテロ脅威である。

(3) 同軍は米国内の不可欠なインフラ、銀行、商業だけでなく、機敏な軍事データベースに対し「大量破壊兵器並み」の損害を与える能力を持つ。

(4) 同軍のサイバー戦場での攻撃能力と技術水準は世界一であり、中国は2020年までに世界一の「情報化軍隊」を作り上げることを目標としている・・・。

といった具合だ。

攻撃対象は全世界

 The Daily Beast の記者は匿名のFBI関係者から得た情報としてこの記事を書いている。もちろん、内容的に見て、これが単なる断片的な推測記事でないことは明らかだろう。FBIが組織的、意図的にリークでもしない限り、これだけの記事はなかなか書けるものではないからだ。

 こう考えてくると、1月12日のグーグルの発表とその翌日の「FBI秘密報告書」内容のリークは、一連の中国サイバー攻撃に対する周到に準備された米側の対抗措置の一環と考えるべきなのかもしれない。

 今後、米国政府はグーグル事件に乗じて中国側と虚々実々の話し合いを持とうとするだろう。中国側もそこは承知のうえで、断固として米側の要求を突っぱねるに違いない。これも広い意味での「米中サイバー戦争」の一局面なのである。

 そうであれば、グーグルの説明ぶりが煮え切らないのも無理はない。グーグルの中国における活動の将来も、こうした政府間交渉の結果に大いに左右される可能性が高いからである。


URL:http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2617?page=2

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