エンドレス政権交代の無限ループ

  
「鳩山総理、あなたは、本当にこの国の為政者であり、最高意思決定権者なのでしょうか。」
谷垣禎一自民党総裁 2月1日衆議院代表質問にて


画像


国会では、野党自民党の追及が収まらない。、特に「政治とカネ」の問題は厳しい追及がなされているけれど、まぁそれはそうだろう。

毎日新聞が1月30~31日に行なった、全国世論調査では、元秘書の石川知裕衆院議員が起訴された場合、小沢氏は「辞任すべきだ」との回答が76%に上っている。とてもスルーできる状況じゃない。

2月1日の衆院本会議で、自民党の谷垣総裁は小沢民主党幹事長が強い影響力を持つ鳩山政権の在り方を「小沢独裁」として糾弾した。これまで、谷垣総裁の質問については、追及が甘いとか、手ぬるいとか言われていたけれど、質問内容をみてみると、昨日のエントリーで指摘した鳩山政権の3つのアキレス腱を全部しっかり捉えていることが分かる。

A.小沢独裁と鳩山首相のリーダーシップの欠如 ←1.小沢幹事長政治資金と鳩山首相脱税
B.小沢独裁予算及びマニフェスト違反の予算  ←3.22年度予算
C.普天間問題に見られる「政治空洞」     ←2.普天間移設問題
D.鳩山政権に正統性はない



谷垣総裁はちゃんと、鳩山政権の弱点にきっちりと狙いを定めているのだけれど、ただ、見た目の上品さで少し損をしていることはあるかもしれない。

だけど、谷垣総裁の質問は、実際に明らかになった事実や、鳩山政権が行なった政策や案に基づいて、その不備をひとつひとつ指摘しているものだから、なかなか反論しづらくできている。

そのロジックを一言でいえば、

「鳩山政権は、選挙前に約束したことと、実際にやっていることが違っている。にも関わらず国民が民主党を選んだ、と論理をすり替えている。故に、鳩山政権に正統性はない。」

というものになるだろう。

「言った事とやっている事が違う」というのは、攻めのロジックとしては実にベーシックなもので、その単純さ故に、覆すことは難しい。

しかも、代表質問の最後には、「総理には、その場しのぎの言葉がいかに多いか改めて思い知らされます。」と、トドメを刺すオマケ付き。逃げ道をしっかり塞いでいる。

画像


そうしたロジカルな質問に対する、鳩山首相の答えは次のとおり。

A.小沢独裁と鳩山首相のリーダーシップの欠如 ⇒ 小沢支配ではない。捜査を見守る。
B.小沢独裁予算及びマニフェスト違反の予算  ⇒ 独裁ではない。税収が落ち込んだだけ。
C.普天間問題に見られる「政治空洞」     ⇒ 普天間は5月に結論を出す。
D.鳩山政権に正統性はない          ⇒ 無回答

大雑把にいえば、こういう答えだったと思うのだけれど、もっと踏み込んでみると、鳩山首相が答えていたのは、「鳩山政権は、自民党政権とは違うことをやっているのだ」と言っているだけ。

だから、今回の谷垣総裁の代表質問とそれに対する鳩山首相の答弁を強引に一言で言い表すと、

 谷垣総裁「言った事とやっていることが違うじゃないか」
 鳩山首相「あなた達と違う事をやっているんだ」

というものであって、質問と回答が、全然噛み合っていない。

もちろん、言葉の上で謝罪はしているかもしれない。だけど、自らのその「自民党とは異なった政治」がもたらしている混乱と責任を本当に感じているのか甚だ疑わしい。

つまるところ、貴方がたとは違うんだ、と自民党政権を否定し続ける「エンドレス政権交代」を続けているだけにしか見えない。

今は「エンドレス政権交代」の何回目のループなのだろうか。何時になったら無限ループから抜けるのか。



画像

画像 ←人気ブログランキングへ



思うところがあって、人気ブログランキングのカテゴリーを「政治」に変えました。今は90位~100位前後をうろうろしておりますが、変わらずのご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

尚、これまで居た、「社会・経済」カテゴリーには、「日比野庵 離れ」を登録しました。こちらは、今までのシリーズエントリーを纏めたものを掲載していまして、100本くらい記事があります。こちらは毎日更新とはいかないと思いますが、(こちらも100位くらいからのスタートです。)どうぞ宜しくお願いします。





画像毎日新聞世論調査:小沢氏「辞任を」76%内閣支持50%

 毎日新聞は30、31日、全国世論調査を実施した。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体を巡る事件で元秘書の石川知裕衆院議員が起訴された場合の小沢氏の進退について「辞任すべきだ」との回答が76%に達し、「辞任する必要はない」の18%を大きく上回った。一方、鳩山内閣の支持率は50%で、前回調査(12月19、20日)から5ポイント減ったものの5割台を維持した。偽装献金事件で元秘書が起訴された鳩山由紀夫首相の辞任を求める回答は33%にとどまり、小沢氏の問題が支持率を押し下げたとみられる。

 小沢氏の進退については、民主党支持層でも64%が「辞任すべきだ」と回答。「支持政党なし」の無党派層では79%に達した。政治資金規正法違反容疑で逮捕された石川議員は2月4日に拘置期限を迎える予定で、起訴される事態になれば、小沢氏の進退を問う声が民主党内にも広がる可能性がある。

 この事件をめぐり、民主党内には東京地検の捜査を批判する動きもあるが、世論調査では捜査について「適切だ」との回答が71%に上った。鳩山首相が小沢氏に「どうぞ戦ってください」と伝えたり「(石川議員が)起訴されないことを望みたい」と発言したことに対しては「問題だ」が65%を占めた。

 また鳩山首相の資金管理団体の偽装献金事件に関連し、首相は母親からの12億円以上の資金提供について「元秘書がやったことで自分は知らなかった」と説明している。これについて調査では68%が「信じない」と回答。一方、首相が事件の責任を取って「辞任すべきだ」との回答は前回調査より7ポイント減り、鳩山内閣の退陣を求める声は強まっていない。

 政党支持率は民主党が前回調査から5ポイント減の30%、「支持政党なし」が6ポイント増の39%となり、政権発足後初めて逆転した。

 自民党は横ばいの16%で、民主党から離れた層の受け皿に自民党がなれず、無党派層が増えていることがうかがわれる。

 今夏には参院選が予定されているが、今、行われたと仮定し、比例代表でどの政党(候補者も含む)に投票するかも質問。民主党が35%で、自民党の20%を大きく引き離した。その他はみんなの党6%▽公明党5%▽共産党4%▽社民党2%--の順だった。【坂口裕彦】

 ◇普天間「平野官房長官の発言は問題」73%
 毎日新聞の全国世論調査では、24日の沖縄県名護市長選で米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に反対する候補が当選したことについても質問した。市長選後、平野博文官房長官が移設先決定に地元の合意は不要との考えを示したことについては「問題だ」との回答が73%を占めた。

 平野氏の発言に地元は強く反発しており、選挙で示された民意の尊重を求める意見が強いことが調査に表れた。

 また、選挙結果を受けた鳩山政権の対応については「沖縄県外か国外に移設すべきだ」が48%で、「沖縄県内で別の移設先を探すべきだ」の26%と「辺野古に移設すべきだ」の16%を上回った。【西田進一郎】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100201k0000m010076000c.html



画像2010年02月01日谷垣禎一総裁代表質問

 今日(2月1日)の衆議院本会議での谷垣禎一総裁代表質問全文を掲載します。


一、はじめに

 私は自由民主党・改革クラブを代表して、先の鳩山総理の施政方針演説について質問致します。
 演説において総理は、「いのちを守る」という美しい理念を掲げられ、さらには、マハトマ・ガンジーの「七つの社会的大罪」まで引用されました。しかしながら、国民が政治に求めていることに真正面から向き合っておられないのではないかとの危惧の念を強く抱きました。
 そして何より、私は、今、わが国の民主主義及び法治主義が深刻な危機に瀕していることを指摘しなければなりません。
 民主党小沢幹事長の公設秘書や元秘書が相次いで政治資金規正法違反容疑で逮捕されたにもかかわらず、小沢幹事長はいまだ不十分かつ不可解な説明を繰り返すばかりであります。追及さるべきは、単なる「政治とカネ」の問題ではありません。より憂慮しなければならないのは、このように政治と国民との信頼関係をつくることに消極的な方が、鳩山政権の実質的なリーダーであることです。
 小沢幹事長は、この4ヶ月余りの間、要所で鳩山政権の政策決定の鍵を握ってきました。わが国の内閣総理大臣であり、かつ、民主党の代表である鳩山総理の小沢幹事長に対するコメントが、「2度と出てこない政治家」という礼賛であったり、幾度にもわたる「信じております」という盲目的信頼の発言であったりしたことは、この国の実質的な支配者が誰かということを如実に示しています。
 鳩山総理が小沢幹事長に対してこのようにモノも言えない状況であるとすれば、施政方針演説への質問に当たり、私は、根源的な問いから投げ掛けなければならないのではないかと考えています。あえてお尋ねします。
 鳩山総理、あなたは、本当にこの国の為政者であり、最高意思決定権者なのでしょうか。名実共に民主党を代表されているのでしょうか。「小沢独裁」と言われる政権及び民主党の現状に対する見解を冒頭にお尋ねします。

 小沢幹事長の件については、司直の手が周辺に及んでいる者が、与党の幹事長に居座り、党大会という公の場で検察当局に対決を宣言したり、検察を含む行政の長である総理までが「どうぞ闘ってください」とそれを擁護したりすることは、極めて異様な事態であります。
 権力の座にある者が、その地位を利用して検察当局の捜査に有形無形の圧力を加えていく、そのようなことが許されてよい筈がありません。
 先日の民主党大会では、小沢幹事長の弁明に対し大きな異論も無いばかりか、その後も所属議員から検察批判が繰り広げられています。権力の座にある者には、ただでさえ、「李下に冠を正さず」という慎重さと謙虚さが求められるはずです。
 にもかかわらず、いまや政権の責任者である総理大臣、与党第一党の責任者である幹事長、そしてそこに所属する国会議員・党員までもが、そろいも揃って、検察との対決を公言し、喝采する、そんなことでは、わが国の法治国家としての実質を、政権の側から崩すことになってしまいます。
 私も身を置いてまいりました法曹界では、剣と天秤を持つ正義の女神の姿が、司法の公正さを表わす象徴として尊ばれてきました。天秤は「正義」を、剣は「力」を表し、剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力に過ぎないとして、法秩序がその適正な執行と車の両輪の関係にあるものとされてきました。
 更に重要なことは、この正義の女神は目隠しをしているということです。これは、法秩序がすべての人に等しく適用されるべきとの理念を体現するものとされています。
 このような司法の公正の精神からは、検察の捜査が、権力のあり処にとらわれず、公平・公正に行われ、ときにはそれが政権与党に及ぶことは、むしろ健全なことと受け止めるべきです。
 然るに、今般の鳩山総理や小沢幹事長、そして多くの民主党議員の対応には、残念ながら、権力を有するが故に求められる謙虚さが決定的に欠けており、自浄作用の断片すら存在しません。私は、厳しい自省を求めたいと思います。鳩山総理、いかがでしょう。反論はございますか。ご意見を求めます。

 今回の件で最も遺憾なことは、鳩山総理が、ご自身の献金問題も含めて、「既に総選挙前から出ていた話で、こういう問題があるにもかかわらず、民主党を選んでいただいた」と国民の理解が先般の総選挙で得られたかのような発言をされたことです。 しかし、今回の小沢幹事長に関わる政治資金規正法違反事件や、鳩山総理への御母堂からの12億6,000万円にも上る贈与の話は、総選挙前には明らかにされておりませんでした。
 国民は、先般の総選挙で、確かにマニフェストを信じ、鳩山政権への交代を選択したのだと思います。しかし、政府がまとめた平成22年度予算案は明白な「マニフェスト違反予算」であり、マニフェストはもはや過去の空証文となっています。
 更には、新たな内閣の実態は「小沢内閣」であり、その影の総理大臣に重大な「政治とカネ」の問題が発生し、その独善的な検察批判に対して、民主党議員が万雷の拍手か、重苦しい沈黙で応えるに及んで、このような党のために自らの票を投じたのではないという思いに駆り立てられている国民も少なくないのではないでしょうか。

 このような「小沢独裁」に堕した鳩山政権には、もはや民意に支持された政権としての正統性は喪われていると考えますが、総理は、なお、国民の信は鳩山政権にあるとお考えなのでしょうか、ご見解をお伺いします。

 わが自民党は、昨年夏の総選挙に敗北して以来、「日本らしい日本」を建設するという結党以来の党是に立ち返り、国民の皆様の信頼を再び獲得できるよう、努力を積み重ねてまいりました。保守主義とは、人間の良心、矜持に期待する行動規範であるとともに、一人の判断より多数の判断、一時期の熱情より時代を超えて積みあげられてきた良き伝統、規範、秩序を大切にする。
 時代に適さぬものは改め、秩序のなかに進歩を求めるということであります。
現在の民主党の姿はわれわれが目指すものとは対極にあるものと言わざるを得ません。すなわち、鳩山民主党政権から浮かび上がるのは、衆知を集めてより良きものをつくっていくこととは無縁な姿であります。その如実な表現が小沢幹事長ではないでしょうか。
 1人で密室ですべてを決め、小沢幹事長がいなければ司令塔も羅針盤もないというのが政権の実態です。政府への政策の一元化は掛け声に過ぎず、進んでいるのは小沢幹事長への権力の一元化であります。わが党は、このような鳩山政権の本質たる「小沢独裁」と徹底して対峙していく決意です。

 まずは、鳩山総理の偽装献金疑惑及び小沢幹事長の土地購入に係る政治資金疑惑の双方について、関係者を幅広く証人や参考人として国会に招致し、真相究明のために立法府としての役割を果たすことを求めます。
 その上で、予算及び予算関連法案の質疑・論戦を通じて、鳩山政権の闇を追及し、総辞職又は解散総選挙を迫ってまいります。

二、内政(経済・財政)
 
 他方で、われわれ自民党は、党利党略に基づいた不毛な政争をやるつもりはないと常々申し上げてきました。「政治とカネ」を巡る真相究明とあわせて、国民が求める政策論議をしっかりと行ってまいる所存です。

 わが党の考え方は、「自分だけよければよい」というものではありません。「今だけよければよい」というものでもありません。次の世代の負担に頼らない、自制心のある財政を目指さなければなりません。少子高齢化社会に向かって、社会保障の給付を十分に実現していくには、国民にきちんと負担をお願いする覚悟が必要です。給付は負担なくしてありえません。税制への長期展望のない政治は、未来の国民に無責任な政治です。

 これを前提としてまずは、平成22年度予算案に関わる質問に移らせていただきます。
 自民党は、対案を作成しています。財政規律を守るとともに、景気にも配慮し、公務員人件費の10%カットや理念なきバラマキを排することで財源を捻出することによって、真に必要な分野に資源を集中的に投ずることを可能としたものとなっております。

 一方、政府案は、明らかな「マニフェスト違反予算」です。民主党は、マニフェストで「国の総予算207兆円を全面組み替え」と明記し、無駄づかい、不要不急な事業を根絶することで9.1兆円の財源を生み出し、やがては16.8兆円の恒久財源を生み出す、としてきました。そして、207兆円の予算から1割程度を捻出することはたやすいことだと嘯いておられましたが、これを自らの手で215兆円にまで膨らませているではありませんか。207兆円は、一般会計と特別会計を合わせた純計ベースの計数ですが、一般会計が3.8兆円増加したばかりでなく、更に大きく膨張している訳です。

 そもそも207兆円の中には税金とは関係ない保険料などを原資とするものが含まれており、結局、いわゆる207兆円予算なるものは、いかにも財源の捻出が可能であるかのように見せかけるための目くらましの大風呂敷だったということではないのでしょうか。「207兆円予算の全面的組み替え」というのは一体何だったのでしょうか。
 また、後ほど述べますが、消費税の議論の必要性が閣内にあるようです。このことも、無駄排除による財源の捻出というマニフェストの基本構造が破綻を来したことから生じているのではないでしょうか。総理の見解を伺います。

 次に公債発行額ですが、鳩山総理は昨年の自公政権が提出した補正予算案に対する質問において、「ばらまきは行う」「借金は増やす」「めちゃくちゃ」と当時の補正予算案を批判されました。にもかかわらず、今般の政府予算案の公債発行額は、当初予算のみで、昨年の当初予算と一次補正予算を足したものと同額の44兆円に膨らみました。幾らなんでもこれは無節操なのではないでしょうか。

 公債発行額が膨らんだ要因が無茶なマニフェストにあったことは明らかです。今回の予算案は、子ども手当や高速道路無料化、農業の戸別所得補償など、理念なきバラマキの辻褄合わせに苦心惨憺した結果、マニフェストどおりのバラマキとマニフェスト違反が混在し、一貫性がなく政策体系の体をなしていない予算になってしまった感が否めません。
 
 代表例として、子ども手当についてお尋ねします。
 われわれ自民党は、あくまでもまず「自助」すなわち個人の自由と努力が基本として尊重されるべきであると考えています。それを「共助」という形で家族や地域社会など顔の見える間柄同士が共に支え合い、それだけでは立ち行かないところには、国民全体で相互に助け合う「公助」が必要と考えてきました。
 例えば、子どもを育てるに当たっては、一義的にはまず親、家庭が責任を持ち、足らざるところを社会が補うべきでありませんか。子ども手当は、このような根本的な議論が無いままに、子育て世帯にいきなり「公助」ありきで現金をばら撒くという施策に他なりません。家庭の所得や子どもの属性による区別もなく、子ども一人当たり一律月1万3千円を支給するという政策は、個々人の努力や創意工夫を大切にする姿勢とは縁遠いものであり、きめ細やかなニーズに応えるものでもありません。
 しかも、現行の児童手当の仕組みも残したまま導入されますが、衣替えで財政負担が増大する一方で、国民にとって何がよくなるのかさっぱり分かりません。子ども手当と児童手当とで制度設計がどのように異なり、それによっていかなる政策効果の差異が生じるのか、総理に改めてお伺いします。
 むしろ、子ども手当の導入による混乱すら考えられます。すなわち、導入に当たり、マニフェストにも載せておらず「やらない」と公言しておられた住民税の年少扶養控除の廃止を行った結果、負担の方が上回ってしまう世帯も相当数出てくることが想定されます。そういうご家庭にとっては、子ども手当のどこが子育てに優しい施策であり、何が「控除から手当へ」だったのか、ということになります。
 それとも、とりあえずは参院選前にはそうしたご家庭にも子ども手当の給付を行い、控除廃止による増税の影響は選挙後になるほうが望ましいとでもお考えなのでしょうか。鳩山総理は、このようなチグハグな顛末についてどのような認識をお持ちなのでしょうか、お教え下さい。

 予算を決定するプロセスにも問題が大きかったと思います。事業仕分けは鳴り物入りでスタートしたものの、期待された削減額も出せず、わが国の成長に不可欠な科学技術予算の削減を図る等、内容についても疑問符の付くものでした。行政刷新会議資料において概算要求からの削減額は約1兆円とされていますが、このうち、当初、事業仕分けの成果として説明されていたのは7,000億円程度だったはずです。
 最終段階で歳出削減額が積み上がったのは、小沢幹事長が民主党としての重点要望として申し入れた土地改良予算の半減などが影響しているとされていますが、これが事実であるとすれば、数千億円もの事業仕分けを一挙に成し遂げた最大の事業仕分け人は小沢幹事長であり、不透明な「密室」の中で事業仕分けが行われたということになります。
 税制においても同様です。鳩山総理は、政府税制調査会の開催により税制改正のプロセスが透明になったと胸を張っていますが、暫定税率を維持するとか、価格高騰時の暫定上乗せ分の停止措置を設けるといった措置や、自動車重量税の国分の暫定上乗せ分を半減する、タバコ税を1本3.5円引き上げるといった内容は、小沢幹事長が予算重点要望をまとめる前の政府税調の議論からは一切窺い知ることができません。
 鳩山総理はこの過程で、「暫定税率廃止は国民への誓い」などと抵抗を試みられたようですが、小沢幹事長の提案の前でははかないものでした。政府は「公平・透明・納得」の税制と喧伝していますが、その実態は、「不公平・不透明・不可解」な税制改正であったと言わざるを得ません。

 結局、鳩山内閣の予算・税制の意思決定は、どの団体にアメを与え、どの団体にムチを与えるかという、選挙至上主義に偏った小沢幹事長のさじ加減一つによって決められたことになります。鳩山総理は、このように「密室」で決断した「天の声」なり「鶴の一声」によって予算・税制が決定されているという現状をどのようにお受け止めなのでしょうか。見解を伺います。

「小沢独裁」の下での鳩山政権の経済財政運営における最大の欠陥は、選挙に向けた戦略や謀略はあっても、将来の財政の姿、健全化への道筋が何ら示されていないことです。本来、予算は将来の財政のあるべき姿を見据えながら編成されるべきものです。
 ところが鳩山政権においては、中期財政フレームの策定は本年前半に先送りされています。中期的な経済財政の運営方針を示さぬまま予算や税法の審議を国会に求めることは、政府・与党の怠慢に他ならないと考えます。
 すでにわれわれ自民党は、先の衆院選の際、①国・地方の債務残高対GDP比を2010年代半ばにかけて安定化させ、20年代初めには安定的に引き下げる、②このため、今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指す、③まずは景気を回復させ、5年を待たずに景気対策によるものを除く国・地方のプライマリー・バランス赤字の対GDP比の半減を目指すとの目標を掲げました。
 政府におかれても、平成22年度政府案の審議の前提として、中期の財政見通しと財政再建目標を早急に提示することを求めたいと考えます。鳩山総理の今後の対応をお聞かせください。

 国民のわが国の社会保障や財政の将来に対する不安は、今や覆い難いものです。政治的意図で「数字の真実」から逃げ続ける時間的余裕はありません。近年の国債発行の要因は、景気対策もさることながら、少子高齢化による社会保障費の増分にともなう赤字国債であります。
 平成10年には建設国債の発行額と赤字国債の発行額が17兆円で拮抗し、その後恒常的に赤字国債の発行額が上回っています。21年度当初予算において大まかに言うと、建設国債は8兆円、赤字国債が26兆円と約1:3の比率です。また、公共事業費は決算ベースで、ピーク時の10年度の約13兆円から20年度では7兆円弱とほぼ半減しております。
 さらには、わが国の社会保障費を除く一般政府総支出の対GDP比は、G7諸国の中で最も低いものであります。すなわち、歳出の構造が変わっており、いわゆる「コンクリートから人へ」の転換は、既にわれわれが政権を担っていた時代になされていたのです。そうであれば今の課題は、「コンクリートから人へ」を呼号することではなく、安定的な財源の裏打ちを得て社会保障の安心を強化し、財政を発散させないための具体的な歳出歳入一体改革のプログラムを早急に固めることにあります。

 最近になって仙谷大臣も消費税増税の検討を急ぐお考えを示され、菅副総理も次期総選挙が想定される平成25年秋までに方向性を示すお考えを示されていますが、3年間もの時間を空費している余裕はありません。ここは、与野党が胸襟を開いて持続的な社会保障制度の構築に取り組むべき時と考えます。
 われわれがかつて呼びかけても応じていただけませんでしたが、与野党の立場が逆転した今、自民党は、与党との協議に応じ、社会保障制度改革の具体的メニューと具体的な安定財源の確保策について合意する用意もあります。そのための超党派の「社会保障円卓会議」を設置し、与野党で検討を深めることを提案しますが、鳩山総理の前向きな答弁を求めます。

 三、政治主導のあり方及び外交
 
 次に、「政治主導」のあり方についてお伺いします。
 議会制民主主義の下、国民に選ばれた国会議員が中心となって政策の決定・実行を行うべきであるとの考え方にはもちろん賛成です。利害関係が錯綜する中で、自らの信念と主義・主張に沿って、必要な調整を行い、いずれの道を進むべきかの選択をするのが政治の役割と心得ます。
 しかしながら、鳩山政権の唱える「政治主導」には幾つかの点で違和感を拭えません。
 その原因の第一は、本当に求められている政治決断がなされていないことにあります。
 昨年11月13日の首脳会談でオバマ大統領が普天間基地問題の早期決断を促したのに対し、鳩山総理自ら「信じてほしい」と応えたにもかかわらず、鳩山政権は、12月15日には移転先の決定を先送りしました。総理の「信じてほしい」とか「信じる」という言葉がいかに中身に乏しいものであるかが、ここでも明らかにされた訳です。

 総理は、その後、何よりも沖縄県民の気持ちを大事にしながら5月までに結論を出す旨再三答弁されていますが、他方で平野官房長官は、「沖縄県名護市長選の結果を斟酌してやらなければいけないという理由はない」と発言され、移転先の合意がなくても移転先の決定を行うかのような発言を繰り返されています。

 平野官房長官の発言のとおりであるとしたら、鳩山政権は、時間を空費していたずらに沖縄県民の心情を弄んでいるだけです。結局は、国の責任で決めるというのなら、何のために決断に何ヶ月もの時間を費やしているのでしょうか。「政治主導」を叫ぶにふさわしい決断力や胆力を欠いているだけではないかという疑いを禁じえません。
 政治決断をここまでずるずると引き延ばしていることで、緊密であった日米同盟に深い亀裂が入り、国益の重大な損失を招いています。これらの責任を総理はどうお考えでしょうか、お尋ねします。また、5月に適切な移転先を決定できなければ、いかなる責任をお取りになるかについてもお伺いいたします。

 鳩山政権の「政治主導」への疑念はこの点にとどまりません。予算編成においては政務三役が電卓を叩いたり、官僚より夜遅くまで働いたことをもって「政治主導」を誇るがごとき場面すらありました。このように政治家が官僚化することが「政治主導」というのであれば、履き違えも甚だしいことと考えます。
 そもそも、黙っていても背中に人が付いてくるのがリーダーであり、「私が主導している」と一々言わなければならないとすれば、それこそリーダーシップが欠如していることの表れに他なりません。鳩山政権が「政治主導」を呼号すればするほど、「政治主導」の空回りを感じざるを得ません。内閣において「政治主導」が真に機能しているのであれば、最高意思決定権者である総理のおられる官邸こそが存在感を発揮するはずです。
 しかし、内閣の実態は、政治家が官僚化し、本来行われるべき政治決断が空洞化している「政治主導」ならぬ「政治空洞」なのではないでしょうか。自らの政治的指導力への評価とあわせて、鳩山総理のお考えを伺います。

 政府参考人制度の廃止や内閣法制局長官の答弁禁止にも問題があります。
 「政治主導」の実現に向けて、国会審議の場において政治家同士が十分に議論を尽くす前提として、国会議員が、その議論の基礎となる情報収集を自由に行うことができなければなりません。その際、専門的技術的知見を有する官僚に質問を行うことは不可欠ですし、「官僚隠し」によって国会の行政監視機能が弱体化することがあってもいけません。
 憲法解釈に関する答弁が多い内閣法制局長官についても同様であります。実際、先日の予算委員会において、私が天皇の憲法上の地位につき質問した際、内閣法制局長官に答弁いただければ、より審議がスムーズであったことは疑いようもありません。
 いずれにしても、「政治主導」の名の下に不都合な真実を覆い隠すことは、国民の手に政治を取り戻すどころか、国民の知るすべを奪い、政治を国民の手の届かないところに追いやってしまうことになりかねません。それは、「政治独裁」に他なりません。
 政府参考人制度の廃止や内閣法制局長官の答弁禁止について慎重な対応を求めますが、総理の見解をお伺いします。

四、おわりに

 私は、今回の質問を通して、内政・外交の全般にわたって民主的プロセスに鈍感な鳩山政権における「小沢支配」の一端について指摘させていただきました。
 これに対する鳩山総理の危機意識や存在感は驚くほど乏しいものです。今、インターネットの動画投稿サイトにおいては、鳩山総理が野党時代になされた発言と総理大臣になってからされた答弁をつなぎ合わせ、その矛盾をあからさまにした「鳩山由紀夫VS鳩山由紀夫」という動画が大きな反響を呼んでいると聞きます。総理には、その場しのぎの言葉がいかに多いか改めて思い知らされます。

 総理は、年頭所感で「ハネムーンの期間は過ぎました。」と述べられましたが、果たして国民にとってこの4ヶ月余りの新婚旅行は如何なものであったのでしょうか。仲人がいつの間にか影のように寄り添い、旅行計画は好き放題に変えられ、楽しみにしていた場所に行けず、約束されたお土産も買えませんでした。過去の疑惑が噴出しても「分かっていて結婚したはずだ」と開き直られる始末。新郎に将来設計がまったくなく、今後生活が成り立つ見通しもありません。「信じてくれ」と繰り返されても、空しく響くばかりです。

 いまや鳩山政権の政権たる正統性は、政策面でも政権担当者の資質の面でも崩壊しました。日米間の信頼に亀裂を入れ、経済財政のマクロの政策が不在のままミクロの政策に血道をあげて、テレビ映りの出来栄えに終始する。せめて、今国会を通じ、自ら及び小沢幹事長の疑惑の真相解明に全力を尽くすこと、予算案及び予算関連法案の論戦に当たっては、われわれ野党の主張に十分耳を傾け、改めるべき政府・与党の過ちは速やかに改めることを求めて、私の質問を終わります。(以上)

URL:http://tamtam.livedoor.biz/archives/51330344.html
URL:http://tamtam.livedoor.biz/archives/51330340.html
URL:http://tamtam.livedoor.biz/archives/51330338.html



画像衆院代表質問の詳報(3) 政府答弁


▽幹事長は支配しない
 鳩山由紀夫首相
 【政府と党の関係】民主党は自らの意思で集まり、全員が同志だ。選挙で代表を選出し代表が幹事長を選任する。幹事長は代表の信任と委託に基づく。党や政府を支配することは一切ない。(谷垣禎一氏への答弁)
 【小沢氏の政治資金問題】現職議員逮捕は遺憾だ。小沢一郎幹事長に関することは報道の域を出ていない。公正な捜査が行われると信じている。私が行政の長の立場にあることは自覚している。検察の捜査進展による事実解明を冷静に見守ることが大事だ。お騒がせし、心配をかけていることは国民に真摯におわびしたい。(石原伸晃氏らへの答弁)
 【首相の偽装献金問題】昨年6月に指摘されたにもかかわらず、国民は政権交代を選択した。責任を痛感している。選挙でみそぎが済んだと高慢なことを申し上げたつもりはない。(谷垣氏への答弁)
 【マニフェスト】実現のための財源は歳出削減や特別会計見直しなどで確保したが、税収落ち込みもあり一部実施を見送った。マニフェスト(政権公約)と3党合意を着実に実行したい。次の衆院選は実績に基づいて国民に信を問うべきだ。(谷垣氏への答弁)
 【2010年度予算編成】旧政権と比べ透明性が高まった。「密室」の指摘は旧政権に当てはまる。特定団体に対するアメやムチとは、よく分からない。そういう指摘は国民からいただいていない。(谷垣氏への答弁)
 【財政健全化】財政をここまで厳しくしたのは誰かとは申し上げない。今年前半に中期財政フレームを策定し、財政規律のあり方を含む財政運営戦略を策定、健全化への道筋を示す。(谷垣氏への答弁)
 【社会保障】必要なら円卓会議設置も将来的に考えたいが、まずは国会で真摯に議論をするところからスタートすべきだ。(谷垣氏らへの答弁)
 【普天間飛行場移設問題】県民の気持ちを大切にし、安全保障の観点も踏まえ検討することにした。無責任な先延ばしの発想はない。米国にも理解を求め、国が責任を持って5月末までに結論を出す。与党3党合意の下での(移設先)選定、地元の受け入れ同意、米側との合意の3点を念頭に置いて、5月までに結論を出す。(石原氏らへの答弁)
 【日米安保】在日米軍はアジア・太平洋地域の平和と安定に寄与する抑止力として機能しており、維持されなければならない。「常時駐留なき安保」は現在封印しており、首相として日米間で議論することはない。(石原氏への答弁)
 岡田克也外相
 【給油支援】自公政権でもアフガニスタンへの20億ドル支援を決めた。パキスタンに対する10億ドル支援は麻生政権での決定だ。(石原氏への答弁)
 鳩山首相
 【外国人地方参政権】私は積極的な思いを持っているが、国の制度の根幹にかかわる重要な問題であり、与野党にさまざまな意見がある。国民の意見を聴きながら法案提出に向け論点整理を行っている。採決方法は議会で決めることだ。(石原氏への答弁)
 【子ども手当】次世代を担う子どもを社会全体で支援する趣旨の制度で、「労働なき富」との批判は当たらない。少子化対策に極めて有効だ。子育て世帯の可処分所得を増やし、結果として景気向上に寄与する。(石原氏への答弁)
 【COP15】失敗との批判は当たらない。留意事項は付いたが、コペンハーゲン合意を取りまとめた。今後の交渉の重要な基礎になった。(石原氏への答弁)
 【日航経営破綻】日航の高コスト体質のみならず、政府の政策によって採算が取れない地方空港を建設するなど、航空行政にもかなり問題があった。(石原氏への答弁)
 前原誠司国土交通相
 国民目線に立った再生を実行する。本来なら清算する会社だが、再生の道筋を取ったことを、従業員には十二分に自覚してもらいたい。(石原氏への答弁)
 鳩山首相
 【官僚答弁禁止】政治家が質問、答弁に責任を持つことが大切だ。官僚に質問しなければ審議が成り立たないことはない。官僚隠しや国会の行政監視機能弱体化との批判は当たらない。(谷垣氏への答弁)

URL:http://www.topics.or.jp/worldNews/worldDetail/2010/02/2010020101000807.html

この記事へのコメント

  • 日比野

    こんばんは。mor*y*ma_*atu様。

    >普天間の問題は何故5月までには、、、と言うのでしょうか

    1/10のエントリー辺りで、ちらと触れていますが、私は、5月ともなれば、国会も終わっていて、参院選の準備が始まるだろうから、連立を維持して、法案を通す通さないの心配をしなくてよくなるからなのだろう、と見ています。

    勿論、参院で単独過半数が取れる見込みがある、という前提での話ですけれども。

    アメリカ民主党の世界戦略が、少し変更されているような感じを受けていますので、普天間もその流れで決着するような気がしています。

    アメリカの世界戦略については、2/5からのエントリーで少し考えてみたいと思います。
    2015年08月10日 16:49
  • mor*y*ma_*atu

    普天間の問題は何故5月までには、、、と言うのでしょうか、、、待てば何かうやむやに出来る事が起きる?例えば何処かで紛争が起きて米軍基地が無いと不安を感じる状況になるのか、その反対に米軍基地はもう要らないと言う雰囲気を作れるのか。民主党が米国と距離を置く方向に在るのであれば米国は経済制裁で日本バッシングを強めていく事になるんでしょうね。
    2015年08月10日 16:49

この記事へのトラックバック