米中のかけひき

 
先月の16日に米財務省は国際資本収支統計で、2009年12月末時点の日本の米国債保有残高が、08年8月以来1年4か月ぶりに中国を抜いて首位となったことが明らかになったとの発表があった。

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日本の保有残高は前月比115億ドル増の7688億ドル(約69兆円)と2か月連続で増加。中国の保有残高は7554億ドルと、前月比で342億ドル減らした。

一部には、中国の米国債売却はアメリカに対する報復措置ではないかという見方もあるのだけれど、そう単純なことではないようだ。

米投資紙・Investor's Business Dailyは、2月17日に、米国への報復措置として中国が米国債を売却すれば、米国以上に中国が傷つくことになると警告する記事を掲載した。その理由として、米中間の大規模な経済戦争に拡大したとしても、アメリカはメキシコやベトナム、タイ、マレーシア、フィリピンなど中国に変わる輸入相手国があるのに対して、中国は米国に替わる輸出相手国は見つからないからだという。

昨今のアメリカによる中国への圧力には抗議の意思を示したいものの、自分のほうの被害が大きければ藪蛇になる。できれば抗議の意思を示して圧力を緩和させると同時に大規模な米中経済戦争にはしたくないというジレンマを抱えている。

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そこで出した答えが、表向き売ったように見せて、抗議の意思を示し、裏ではやっぱり買い続けて様子を見るという作戦。

2月25日、アメリカ議会の討論会で、大量の米国債を保有する中国が第三国で米国債を購入している可能性が指摘された。主要な米国債保有国としての重要性を隠すことが狙いだと見られている。

討論会に参加した専門家らは、中国の米国債保有残高が公式統計より多いのはほぼ間違いないとして、ロンドン(London)、香港(Hong Kong)などで中国関連団体が米国債を購入している可能性を指摘している。

今なお、米中間で熾烈な駆け引きが行われている。

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画像日本、米国債保有で首位…中国が売却か

1年4か月ぶり

 【ニューヨーク=小谷野太郎】米財務省が16日発表した国際資本収支統計で、2009年12月末時点の日本の米国債保有残高が、08年8月以来1年4か月ぶりに中国を抜いて首位となった。

 日本の保有残高は前月比115億ドル増の7688億ドル(約69兆円)と2か月連続で増加した。一方、中国の保有残高は7554億ドルと、前月比で342億ドル減らした。

 中国は外貨準備の多様化を進めており、保有の減少が続けば、国債を大量発行する米政府に打撃となる可能性もある。

 米国債の国別の保有高は、以前は日本が最も多かったが、08年9月に中国に抜かれて2位に転落した。

(2010年2月17日 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20100217-OYT8T00427.htm



画像2010年2月18日 15時15分  米国債売却すれば経済戦争に=中国は甚大な被害受ける―米紙

2010年2月17日、米投資紙・Investor's Business Dailyは、米国への報復措置として中国が米国債を売却すれば、米国以上に中国が傷つくことになると警告する記事を掲載した。中国経済網が伝えた。

先日、雑誌・瞭望に米国への報復措置として、米国債を売却するべきだとの論文が掲載された。同論文はさらに軍事費の増強と台湾に対抗した軍配備の再編成をも提言している。米財務省が発表した昨年12月時点の統計によると、中国の米国債保有高は530億ドル(約4兆7800億円)と史上最大の減少幅を記録、一部では報復措置との見方も広がっている。

Investor's Business Dailyは米国債売却が米国に大きな打撃を与えると認めつつも、中国の受ける損失の方がはるかに大きいと指摘した。売却に踏み切れば、米中間の貿易摩擦はまたたくまに大規模な経済戦争へと拡大する。米国がメキシコやベトナム、タイ、マレーシア、フィリピンなど中国に変わる輸入相手国があるのに対し、中国は米国に替わる輸出相手国は見つからない。その意味で中国が受ける打撃のほうが大きいと分析した。(翻訳・編集/KT)

URL:http://www.excite.co.jp/News/china/20100218/Recordchina_20100218012.html



画像中国、第三国で米国債購入か 専門家 2010年02月26日 08:40 発信地:ワシントンD.C./米国

【2月26日 AFP】大量の米国債を保有する中国が第三国で米国債を購入している可能性が25日、米議会の討論会で指摘された。主要な米国債保有国としての重要性を隠すことが狙いだという。

 討論会に参加した専門家らは、中国の米国債保有残高が公式統計より多いのはほぼ間違いないとして、ロンドン(London)、香港(Hong Kong)などで中国関連団体が米国債を購入している可能性を指摘した。

 中国が大量の米国債を保有することは米国の安全保障に影響を与え、米政府が中国と対立した状態では政策を実行しづらくなるとの声も上がった。

 国際通貨基金(International Monetary Fund、IMF)のチーフ・エコノミストを務めた経歴を持つマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)のサイモン・ジョンソン(Simon Johnson)教授は、英国の米国債保有高が08年の1309億ドル(約11兆7000億円)から09年には3000億ドル(約26兆7000億円)に急増した背景には中国の存在があると指摘する。英国が09年に大幅な財政赤字にあることから、同教授はこの数値には当惑したとし、中国が英国以外のルートからも米国債を購入している可能性を指摘した。(c)AFP/P. Parameswaran

URL:http://www.afpbb.com/article/economy/2701950/5402313

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