平然たる鳩(辞めないシナリオを検証する 後編)


昨日に続いて、剛腕殿が幹事長を辞めない理由について考えてみる。

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まずは、昨日のエントリーから、産経新聞政治部高橋昌之記者の記事の、幹事長を辞めない理由部分を引用する。

1.幹事長を辞めると「やましいところがあるからだ」と見られる。
2.逆風は参院選までに収まる
3.2の理由により辞めなくても参院選は勝てる
4.自分が辞めると鳩山首相にも辞めろの声が集まる
5.参院選に勝って始めてやりたい政策ができる

2については、これは、なんとも判断が付きかねる。長崎知事選。町田市長選。そして石垣市長選と縦続けに、民主推薦候補が敗れている。民主党への逆風は強い。

今のままの小鳩体制のままで、逆風が止むとは俄かに考えにくいのだけれど、日本人の忘れやすさ、飽きっぽさを考えるとあながち無視しきれないのが、いやになる。

というのも、今の友愛首相が、あまりにも平常運転状態でブレているものだから、国民もだんだん飽きてきて、友愛殿の発言をマトモに受け止めていないような気がしている。

友愛殿が何を言っても、それがたとえ失言であったとしても、誰も相手にしない。どうせ明日になったら謝るか、そういう意味でいったのではない、とかなんとか言って否定するに決まってる。そう思ってる。

だから、厭気だけが募り、民主党への反対票を投ずるよりも、諦めが先に立って、投票を棄権する人が多発するのではないかと密かに恐れている。

そうなったら、今度は組織票がモノを言いだす。剛腕殿が自民党の支持母体を民主党に転ばせているのが重要な意味をもつことになる。

まぁ、これが、友愛首相殿の駄目っぷりを計算に入れた、計略であったなら、恐るべきことなのだけれど、おそらくは、偶然の悲劇なのだと思う。



3については2次第なので、コメントは控えておく。4については、確かにそのとおり。友愛殿に対して辞めろの圧力は高まるだろう。だけど、ここに僅かな誤算があるかもしれない。

それは、剛腕殿が辞めて、友愛殿に辞めろの大合唱が上がったとしても、友愛殿は平然と首相を続けるかもしれない、ということ。根拠はないのだけれど、これまでの言動を見ていると、ちょっとやそっと批難を受けたくらいで堪えるタマではないように思えてならない。善い意味でも悪い意味でも鈍感。それも超ド級の。

もしかしたら、剛腕殿が辞めたとしても、厄介者が居なくなったくらいに考えて、「残念ですね」とのたまい、自分は自らの職責を果たしていきたい、などと平然としているような気さえしている。

5については、参院選で勝ってからの話だけれど、それと辞める辞めないは直接関係はない。幹事長でいた方がやりたい政策がしやすいと思えば、幹事長でいるだろうし、辞めてもやりたいことができると思えば、辞めるという選択肢もでてくる。

というより、もう今の時点で、民主党の闇将軍と呼ばれ、実質上民主党や内閣を動かしていると皆から思われている。昨年12月の世論調査でも、鳩山内閣を実質的に動かしている人として、剛腕殿を上げた人が71.1%にも上っていた。

その権力が単に幹事長だからという職によってのみ保たれていると考えるのは、少し正直に過ぎる。その名のとおり、闇将軍となって、裏から幹事長でも首相でも操りさえできれば同じこと。そしてその可能性は十分にある。今年の正月に剛腕殿の新年会に御機嫌伺いにいった議員達の数をみれば、容易に想像がつく。

まぁ、こうして見ると、剛腕殿の主観では辞める理由はないのかもしれない。

だけど、昨日までのシリーズエントリーで述べたように、外部環境の変化によって、身を守る必要があれば、いつ身を引いてもよいように準備はしていると思われるから、やっぱり内股膏薬振りは健在なのだろう。

検証には必ずしもなっていないかもしれないけれど、少なくともこのシナリオは参院選で民主党が単独過半数を確保することが前提だから、そうならないときは、また、別の選択もあるかとは思う。

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画像【高橋昌之のとっておき】小沢氏の進退(下) 幹事長を辞めない理由 2010.2.27 18:00

 ひとつは納税者番号制度の導入による所得、格差の是正。さらに医療、年金制度を確立したうえで、消費税を廃止し、社会福祉目的を創設して、将来不安をなくすとともに公平な税制を確立することです。これらは直接税中心という国際的にはいびつな日本の税制を見直すことになり、将来的には日本経済の安定、回復、財政再建につながるものです。

 小沢氏は平成6年の細川護煕政権時に、「国民福祉税」導入を目指しましたが、連立を組んでいた社会党などの反発にあい、挫折しました。今もこの社会福祉目的税導入による社会福祉制度の確立は、何としても成し遂げたいと考えていると思います。

 2つ目は外交・安全保障政策の確立で、小沢氏の持論は「自立した外交」、「世界平和に貢献する安全保障」です。「日米中は正三角形であるべきだ」というのは一種の比喩(ひゆ)で、米国とも中国とも日本が「自立した国」として付き合うべきだということで、何も中国重視、米国軽視というわけではなく、そうならないと米中間さらには世界の中で日本の外交的価値がなくなってしまうと考えているのだと思います。

 安全保障については、凝縮すると現在の憲法9条の解釈を見直して、自衛隊を海外に派遣するための一般法を制定することです。自衛隊の海外派遣は国連平和維持活動(PKO)以外は、インド洋、イラク派遣がそうだったように、時限立法の特別措置法で行われてきました。これらは現在の憲法解釈を見直さないという範囲内でやむをえず行われてきたものですが、小沢氏は「場当たり的だ」と批判してきました。

 小沢氏は、国際的な平和活動、いわゆる集団安全保障については憲法9条は否定していないとして、新たな解釈を行い、自衛隊を海外に派遣するための原理原則、たとえば国連決議があることや、国会での議決などの手続きなどを一般法として定め、積極的に国際貢献をしていく態勢を作りたいと考ええているようです。


 3つ目は官僚政治を打破して真の政治主導を確立すること、そしてさらに政権交代可能な政治システムを構築することです。鳩山政権発足以降、事業仕分けなど政治主導の試みが始まっていますが、まだ形式的で内容を伴っているとは言い難い面があり、これを本格的なものにしたいと考えていると思います。

 また、政権交代可能なシステムというのは、仮に民主党政権が本格政権になったら、自らの政権党という立場を失いやすくするものですが、小沢氏が掲げてきた「政権交代可能な政治」とは、政治には常に国民が求めれば政権交代が起きるという緊張感が必要だという主張に基づくものです。

 政権が長期化すれば腐敗しやすいものです。私も自民党政権がそうだったように、民主党政権が半永久的政権になってしまう政治システムのままだと、やはり腐敗、堕落する可能性があると思います。政権交代可能な政治にするためには、衆院は選挙区中心として比例代表を廃止または縮小する、参院は「良識の府」として都道府県代表と有識者、専門家で構成されるように衆参両院の選挙制度を改めることなどが考えられます。

 この3つ以外にも、小沢氏がやりたいと考えている政策には、長期的には憲法改正、道州制導入といった抜本的な地方分権などもあるでしょう。これらについても道筋をつけたいというのが、小沢氏の「政治目標」で、夏の参院選はそのための「政治決戦」と位置づけていると思います。

 こうしたことを考えてくると、私の結論は「小沢氏が幹事長を辞めることはない」となります。最初に書いたように前半の「幹事長を辞めない理由」は、私の「願望」ではなく、「取材に基づいた分析」です。ただ、後半の「参院選で本格政権になったら、小沢氏は何をやろうとしているのか」という部分は、小沢氏に批判的な方々からすると、「小沢氏を持ちあげすぎではないか」と思われるかもしれません。

 確かに後半部分は「民主党政権が本格政権になったら、小沢氏にやってほしいこと」という私の「願望」が入ってしまいました。ご了承ください。ただ、小沢氏が何としても参院選で勝って本格政権を作り、自らが信じる政策を断行したいと考えていることは、間違いありません。

 小沢氏はマスコミでも「鳩山政権の最高実力者」と書かれるように、民主党の中心的存在であることは否定しがたい事実です。私は昨年の衆院選前のコラムで「衆院選は小沢氏に政権を任せるかどうかの選挙」と書きましたが、その意味で夏の参院選は「本格的に小沢氏に政権、つまり国民生活を任せるかどうかの選挙」になります。それだけにムードに流されることなく、小沢氏の理念、政策をよく見極めて判断してほしいと思います。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100227/stt1002271801003-n1.htm



画像「小沢支配」と7割認識=過半数が「政治主導」否定-時事世論調査

 時事通信社の12月の世論調査(11~14日に実施)によると、「鳩山内閣を実質的に動かしている人」として、民主党の小沢一郎幹事長を挙げた人が71.1%に上った。2位の鳩山由紀夫首相は10.6%にとどまり、国民の多数が3党連立の鳩山内閣を、事実上の「小沢政権」と見ている実態が浮き彫りになった。
 首相に続くのは、国民新党代表の亀井静香金融・郵政改革担当相で2.4%。緊急経済対策の規模をめぐり、亀井氏と対立した菅直人副総理兼国家戦略担当相は2.0%だった。
 また、「脱官僚」「政治主導」の政策決定が実践できているかどうかを聞いたところ、50.6%が「そう思わない」と回答し、「そう思う」は26.3%。前回11月の調査より「そう思わない」が3.7ポイント増えた。既存の事業を十分に削減できず、主要政策の財源確保に手間取っていることなどが影響したとみられる。 
 一方、来年夏の参院選比例代表の投票先では、民主党が前回調査より3.2ポイント減の30.4%、自民党が4.4ポイント増の20.0%で、両党の差が縮まった。

◇鳩山内閣を実質的に動かしている人

小沢一郎民主党幹事長      71.1%
鳩山由紀夫首相         10.6%
亀井静香金融・郵政改革担当相   2.4%
菅直人副総理兼国家戦略担当相   2.0%
財務省(の官僚)         0.6%
前原誠司国土交通相        0.5%
岡田克也外相           0.4%
仙谷由人行政刷新担当相      0.4%
その他              0.6%
わからない           11.5%

(2009/12/18-16:53)

URL:http://www.jiji.com/jc/zc?k=200912/2009121800631

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