幸福実現党の実力ついて検討する 後編

 
昨日のエントリーで、幸福実現党の党員数は、2万5千人から22万9千人程度であると推定したけれど、このうち、前回の衆院選で、どれだけ実際に選挙活動をしたのかはわからない。

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だけど、あれほどの選挙活動を展開したこと、全選挙区に候補者を擁立できた資金力を考えると、実際にそれなりの党員数はいるものと思われる。

これまで、幸福実現党と同じく、ほぼ全選挙区に候補者を擁立していた共産党は、選挙供託金の没収額に耐えきれず、とうとう前回の衆院選から、擁立候補者を150名程度に半減させている。

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党の総収入が250億に及ぶ共産党ですら、この有り様。如何に供託金没収が負担になっているかが良く分かる。

参考までに、共産党の2008年の政治資金収支報告書の概要を、同党のHPから参照すると以下のようになっている。

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これをみると、共産党の収入の殆どは機関紙・書籍等の売上で賄われ、支出における政治活動費は53億円に上っている。

幸福実現党の収支が共産党と同じ構造になっているとするならば、政治活動費も同程度のウン十億単位で掛かっているものと思われる。

仮に、幸福実現党の党員が10万人いたとしても、一人当たりの党費が5000円程度であれば、年間の党費収入は5億にしかならないから、これで党を長年支え続けるのは厳しい。

今回の参院選でも幸福実現党は各都道府県の選挙区全部に1名の候補者を擁立し、更に比例区でも擁立するとしているから、党員数は10万人以上はいると見た方がいいかもしれない。というのは、党員数も満足にいないのに、何度も多数の候補者を擁立することを、党員がいつまでも支持することは難しいだろうから。

そこで、幸福実現党の党員数を、もう少し多めに見て、15万人と仮定した場合、一昨日のエントリーで示した、党員一人あたり何票獲得できたかを示す指標であるA値、B値を再計算してみると、次のようになる。

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A値の10.17というのは、公明党や共産党のA値の約半分しかない。大政党の基準組織票としてのA値を20~40とみれば、如何にも小さい。党員数が10万人だったとしても、A値は15.26にしかならないから、これは、ある意味異常値に近いといっていいだろう。

だけど、実際の幸福実現党の選挙活動が、公明・共産以上のものであり、自民・民主とも遜色なかったことを考えると、幸福実現党の実力は、人と金こそ、大政党並みのものがあったけれど、票には全然結びついていなかったと言っていい。

日本においては、その是非は兎も角、宗教政党は流行らない。

それは事実としてあるだろうけれど、それでも、A値が公明党の半分しかない、というのは何か原因がある、と考えるべきなのだろうと思われる。

何某かの政党の主張が票に結び付かない理由を考えると、大きく以下の3つがあると思われる。
1.政党自身の声が小さく、政党そのもの、およびその主張が有権者に全然知られていない。
2.党員の大多数が選挙活動を行わず、票の掘り起こしが全く為されなかった。
3.政党の主張が有権者にとって、荒唐無稽か理解不能なものに思われて、支持が広がらなかった。

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先の衆院選における、幸福実現党の選挙活動を上記に当てはめて検証してみると、1については、大々的な街宣活動や、書籍の出版等、また選挙戦後半にはTVCMを打っていたことから見ても、ほぼ該当しない。

2についても、1と同じく各選挙区で行われた街宣活動からみて、半分以上は該当しないと思われる。

最後の3についてだけれど、理由があるとすれば、これが該当すると思われる。たとえば、国防を主張する一方、大規模な移民政策を打ち出したり、右なのか左なのかよくわからないというのは一つあったと思う。

以前「幸福を実現する3つの三分の計」のエントリーで示したように、自民・民主に対して政策3分の計を示したのは良いけれど、それがどう具体的に国民生活に反映するのかを説明しきれなかったというのもあったかもしれない。

尤も本を読めば分かったのかもしれないけれど、読まない人にとっては誰かが説明しなければならないし、少なくとも街宣活動では、充分に理解されなかったということだけは得票数が示してる。

総じてみると、幸福実現党については、資金力、動員力(あえて組織力とは言わない)においては、大政党並みのものがあるけれど、実際に票に結び付けるという意味においての「選挙力」では、大政党としての力はなく、自民・民主・公明・共産と比べて、1/2~1/4程度しかなかったと言えるだろう。

ただし、逆に言えば、自民や公明並みの組織力、選挙力を発揮することができれば、前回の2倍から4倍の得票を得る可能性があるとも言える。その時には、待望の議席獲得の目も出てくるだろう。

まぁ、こんなことを言うと、幸福実現党の方は気を悪くするかもしれないけれど、ありのままの痛みを受け入れるところから、全ては始まるもの。

今回の参院選も新党がどんどん設立されているけれど、それが泡沫で終わるのか、大政党になるのかは、党員の頑張りにかかっている。

この記事へのコメント

  • Dove

    党員(在家信者)です。日比野さんにおかれましては、いつも是是非非の立場からの中立的な記事をありがとうございます。

    さきの菊田さんのコメントはもとより、日比野さんの度重なる(ときには辛口の)応援メッセージなど、一般の方からの意見はとても貴重なものとして、有り難く、真摯に受け止めさせていただいております。これからもご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
    2015年08月10日 16:49
  • 菊田

    会社の同僚がここの信者です。政治のことは全然わからない人ですが取りあえず党員みたいです。
    党首がしょっちゅう変わりますが、(月曜日にもまたかわったそうです。)
    党員に理由も説明されないそうです。記者会見も行わない何か事情があるらしいと言ってましたが、あまり変に思ってないみたいでした。
    なんか創価学会みたいですよね、党首の選挙がないなんて変です。
    やっぱりこの政党が世間に受け入れられるのは相当難しいと思います。
    2015年08月10日 16:49

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