2010参院選について検討する その3
昨日のエントリーでは、資金力と動員力に注目したけれど、今度は、組織力に着目したい。
まず、2007年の参院選と2009年の衆院選の党員数と獲得票数をみると以下のとおり。
Aは獲得票数を党員数で割った数で、党員一人あたり何票獲得できたかを示す指標。
BはAを更に投票率で割った数で、Aが投票率が上がって総投票数の増加に伴って数字が高くなることをキャンセルする意味で出したもの。
各政党の組織力を見積もるための一助として、各党の党員の集票能力がどの程度あるかを見る指標として、これらA、Bの値を算出してみた。
尤も、党員といっても、籍を入れているだけで、選挙活動も何もしない党員も当然いるだろう。だけど、もし党員数ばかり多くて、実際の選挙活動を何もしない党員ばかりの政党のA値は小さなものとなるだろうし、反対であれば逆の結果になる。だから、これらA、Bの値でもある程度の組織力の強さは見えてくると思う。
ただし、政党が小さい場合は、党員数よりも各種支援団体の組織票の力が相対的に大きくなるだろうから、この指標は、党員数の多い大政党同士に限定して比較することにする。
昨日のエントリーで定義した、資金力・党員数からみた4強、即ち自民・民主・公明・共産の各党について、これらの指標を見ると非常に興味深い結果が見えてくる。
それは、07年の参院選、09年の衆院選で共に大勝した民主党を除いた3党のA、Bの値が非常に似ていること。07年の参院選で言えば、自民・公明・共産の3党のAの値は大体20~30、B値は40~54程度。これは党員一人あたり20~30票取ってきていることを意味する。
また、09年の衆院選でみても、自民・公明・共産の3党のA値は20~40、B値は30~60くらい。やはり党員一人あたり20~40票取っていることになる。
特に07年~09年にかけては、マスコミ各社の執拗な自民叩き、与党叩きが行われていたから、与党にとっては、所謂、選挙における”風”なるものの恩恵を全く受けることのなかった選挙、むしろ逆風の中で行われた選挙だった。
だから、このA値は逆風にも倒れなかった基礎票、岩盤の如き組織票だと見ていいと思う。
それが、自民、公明、共産の3党共、A値、B値が余り差がないという結果が出ている。これら3党の党員数が何れも30万人以上であることを考えると、このA値、つまり、党員一人あたり20~40票取る力があるという事は、党員数が数10万以上になる大政党であれば、それが普通と捉えるべき数値なのかもしれない。
そういう視点でみたとき、民主党のA値、B値の異常さが浮き彫りになる。07年の参院選、09年の衆院選における民主党のA値は175、235。B値は298、340。
自民、公明、共産の3党のA、B値が大政党の基準となる組織票を表すと仮定すれば、民主党のそれも同様にA値で20~40、B値で30~60だと推測できる。
とすれば、07年参院選、09年衆院選で民主党が獲得した170以上にもなるA、B値との差は、所謂選挙の風による上乗せ分だとみることもできる。
つまり、先の参院選、衆院選においては、民主党は基礎票の5倍の風を受けたからこそ、大勝できたのではないか。
もちろんこの風の主体は、無党派やおQ層であるだろうけれど、それらが実に一斉に民主党に流れたのが、先の選挙の姿だったと言えるのかもしれない。
←人気ブログランキングへ
この記事へのコメント