アメリカの新車燃費規制(アメリカの自動車戦略 前編)


 この(政策)は、ハイブリッドカーがより早く、願わくはあまり苦痛を伴わずに採用されることを意味するかもしれない。ほぼすべての車が簡易型ハイブリッドシステムを搭載し、より広く普及するだろう
ベンチャーキャピタリスト Zuberi氏

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3月31日、アメリカ米政府は新車の燃費規制を2012年型から段階的に引き上げ、16年型までにガソリン1ガロン当たり34.1マイル(1リッター当たり約14キロ)とする強化策を発表した。

この規制は、年平均で5%の改善を求め、最終的に平均燃費を現状より3~4割引き上げるもの。これを実現するための環境技術を巡って自動車メーカーの競争が活発になると見られている。

さぞかしアメリカの自動車会社も困るのかと思いきやそうでもないらしい。

冒頭のコメントを述べた、ベンチャーキャピタリストBilal Zuberi氏によれば、ほとんどの世界的な自動車メーカーは、もっと効率の良いモデルを欧州で既に販売しているため、新しい基準を満たすことは可能であるそうだ。

EUは、地球温暖化問題に対して、早い時期から高い関心を寄せていて、欧州自動車工業会(ACEA)がCo2自主規制を導入している。対象は、乗車定員9人以下の乗用車で、その目標値は2008年にガソリン車でリッター16.6Km、ディーゼル車ではリッター18.8kmとなっている。

なるほどこの自主規制をクリアできるのであれば、今回のアメリカの燃費規制なぞ、問題にならないだろう。

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だけど、中小型車ならいざ知らず、3L、5Lといった高排気量の車種となると、この基準を満たすのはガソリン車のままでは難しい。

たとえばレクサスの3.5LカーであるGS350の燃費はカタログスペックでは、9.6(km/L)。これが、ハイブリッドの450hとなると、同じ3.5Lでも14.2Lに跳ね上がる。日本車であっても、大排気量となるとガソリン車のままでは、この燃費規制をクリアすることは難しい。

従って、遅かれ早かれ、全てのガソリン車はハイブリッドに移行すると予想される。事実、中小型では、日本を始め、どこのメーカーでもハイブリッド車を開発し、販売してる。

今はまだ、日本のハイブリッド車が優勢だけれど、あと10年もすれば、皆ハイブリッドになって日本の優位性は無くなっているかもしれない。

自動車産業の復活に、アメリカが本気を出してきたとするならば、日本もうかうかしていられない。

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画像米自動車燃費の規制値 リッター14キロに大幅強化

ニューヨーク(CNNMoney) 米政府は31日、新車の燃費規制を2012年型から段階的に引き上げ、16年型までにガソリン1ガロン当たり34.1マイル(1リッター当たり約14キロ)とする新しい目標を発表した。

1ガロンあたり平均34.1マイルの燃費規制は米国内で販売する乗用車と小型トラックが対象となる。現在の新車の燃費規制(1ガロン当たり乗用車27.5マイル、トラック23.5マイル)に比べて大幅な強化となるが、当初の目標だった35.5マイルよりは緩和された。

燃費規制はオバマ政権が昨年5月に公表していたが、今回は米運輸省と環境保護局(EPA)が共同で正式発表した。米国内で一律の燃費規制が導入されるのは初めて。

二酸化炭素(CO2)排出量についてはEPAが新たな規制を導入、1マイルあたりのCO2排出量を平均250グラム以下に抑えることを義務付ける。エアコンの改善といった分野でもさらなる削減を見込む。

自動車メーカーが負担する1台当たりのコストは900ドル程度。EPAによれば、新規制の対象となる新車を買った人は保有期間を通じて約3000ドルのガソリン代を節約できる見通し。2016年までに節約できるガソリン消費量は、米国の86日分に相当する18億バレルと試算されている。

URL:http://www.cnn.co.jp/usa/AIC201004020014.html



画像米、自動車燃費新規制 12年型から段階適用 2010/4/2 11:25

 【ワシントン=大隅隆】米政府は1日、自動車の燃費規制の強化策を2012年型の新車から段階的に適用すると最終決定した。年平均で5%の改善を求め、最終的に平均燃費を現状より3~4割引き上げて温暖化ガスの排出抑制を進める。環境技術を巡り自動車メーカーの競争が活発になりそうだ。

 米運輸省と環境保護局(EPA)が共同で発表した。ジャクソンEPA長官はメディアなどとの電話会見で「電気自動車(など次世代自動車)への移行」につなげたいとする考えを示した。

 燃費改善が実現すれば、2030年時点の米国の自動車による二酸化炭素(CO2)排出量は、規制がない場合より2割程度減る見通し。ガソリン1ガロン(約3.79リットル)当たり35.5マイル(1リットル当たり約15キロメートル)に引き上げるように定められた16年型の新車を購入し、保有し続けた場合、約3000ドル(約27万9000円)の燃料代を削減できるという。

 ただ開発・生産コストは増加する。ラフード運輸長官は電話会見で「新規制による自動車業界の負担は約520億ドル」と語った。大半は自動車の販売価格に転嫁される公算が大きい。

 温暖化ガスの排出抑制策を巡り、オバマ政権は大規模工場などへの規制強化を11年以降に先送りすると決めたが、自動車の燃費規制はほぼ原案通りとなった。米系自動車メーカーが相次ぎ政府支援を受け、技術革新のスピードが速まっていることが背景にありそうだ。

URL:http://www.nikkei.com/news/headline/archive/article/g=96958A9C9381959FE2E0E2E3E38DE2E0E2E6E0E2E3E29C9CE2E2E2E2



画像オバマ米大統領が打ち出した自動車燃費基準--その影響と業界の反応 文:Martin LaMonica(CNET News)翻訳校正:川村インターナショナル 2009/05/22 07:30

 Obama米大統領は米国時間5月19日、米国内においてより厳しい自動車燃費基準を課す計画を発表した。これにより、ハイブリッドカーやディーゼルエンジンなどエネルギー効率に優れたテクノロジの登場が加速されることになる。

 この計画は、2012年から自動車メーカーの車種全体にわたって燃料効率を年間5%ずつ引き上げることを求めている。この基準は乗用車および軽量トラックに対するもので、以前の計画より4年前倒しとなる2016年に、1ガロン当たり35.5マイル(1リットル当たり約15.1km)となる(詳細はPDFファイルで見られる)。

 この規制強化はさらに、自動車購入の落ち込みにあえぐ業界において、自動車メーカーに燃料節約テクノロジの早急な採用を迫るものだ。しかし自動車メーカーは19日、この計画とスケジュールに対する支持を表明した。

 国際自動車工業会(AIAM)の最高経営責任者(CEO)Michael Stanton氏は次のように語る。「この新しい合意は、新車購入における消費者の選択の範囲を可能な限り最大に維持する上で、大いに役立つだろう。(また)メーカーが次世代テクノロジを発表する前に、徹底的に設計およびテストするのに十分なリードタイムも与えている。さらに、非常に大きな資本投資を必要とする新車開発においてコストを削減するために十分な柔軟性も提供される」

 Obama大統領は、閣僚メンバー、自動車メーカー10社の社長およびCEO、環境擁護者、全米自動車労働組合(UAW)の会長とともに、ホワイトハウスでこの合意を発表した。Obama大統領は、一連の「大規模な訴訟」は、この国内基準を支持して取り下げられるだろうと語った。

 この計画は、米国に単一の燃費基準を創設し、乗用車およびトラックの温室効果ガスの排出を規制する。かつて自動車メーカーは、企業平均燃費基準(Corporate Average Fuel Economy:CAFE)、カリフォルニア州が提案した規制、米環境保護庁(EPA)による排出規制案という3つの異なる規制に直面しているとして不満を持っていた。

複数のレポートによると、効率規制が前倒しされることで、現行法と比べて車両の製造価格が約600ドル高くなるという。しかし、Obama大統領は発表の中で、効率が良くなるということは、消費者が約3年でその費用を回収できることを意味すると述べている。

 「確かにこうした自動車の開発にはお金がかかるが、これらの乗用車とトラックの製造価格が上がるとしても、ドライバーはガソリンスタンドでお金を節約できるため、自動車の運転にかかるコストは下がる」(Obama大統領)

 米運輸省国家道路交通安全局、2953 Analytics、Automotive News(要登録)によると、低転がり抵抗タイヤなど比較的安価に車の燃料効率を上げる変更もあるが、ガソリン直噴エンジン(GDI)や、車が動いていないときにエンジンを切る「ストップスタート」のような、さらに高度なテクノロジはよりコストがかかるという。


▼適合できるのは誰か

 General Catalyst PartnersのベンチャーキャピタリストBilal Zuberi氏は、新しい基準を満たすことは可能であると述べており、その理由の1つは、ほとんどの世界的な自動車メーカーがもっと効率の良いモデルを欧州で既に販売しているためだとしている。

 例えば、Ford Motorは既に、エミッションコントロール装置を追加した高効率のディーゼルエンジン車を欧州で販売している。Fordの会長であるBill Ford氏は4月、同社がより小型で燃料効率の良い欧州のモデルを米国でも発売する予定だと語った。General Motors(GM)は、数種のハイブリッドカーを販売しており、「Chevrolet Volt」やほかの車種向けに航続距離延長型電動パワートレインを開発している。

 GMのCEOであるFritz Henderson氏は声明の中で次のように述べている。「GMはこの新しいアプローチに全力で取り組んでいる。GMと自動車業界は、製品計画を進める上で一貫性と確実性を高めることで利益を得る」

一方、財政的に苦しいChryslerが重視しているのはより大型の車とJeepプラットフォームであり、提案されているFiatとの提携によって燃料効率の良い小型の乗用車が車種に加わることになるが、大型車を前面に出すことで新基準を満たすのが難しくなるだろうとZuberi氏は言う。

 「この(政策)は、ハイブリッドカーがより早く、願わくはあまり苦痛を伴わずに採用されることを意味するかもしれない。ほぼすべての車が簡易型ハイブリッドシステムを搭載し、より広く普及するだろう」(Zuberi氏)

 さらに同氏は、燃料効率テクノロジに対する需要が、Fisker Automotive、Bright Automotive、Tesla Motorsのような新興企業や電気自動車部品のサプライヤーに対して提携の機会や買収の可能性をもたらすと付け加えた。Tesla Motorsは5月19日、Daimlerとの電動パワートレインのライセンス契約を発表している。

 電気自動車推進団体Plug In Americaの共同創設者Sherry Boschert氏は「このアクションと、Obama大統領の2015年までに100万台のプラグインハイブリッドカーを導入するという公約によって、われわれは好スタートを切った」と語る。

 ホワイトハウスによると、この政策により今後5年間で18億バレルの石油が節約できる見込みで、これは道路を走る車が年間5800万台減少するのに等しいという。

 憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists:UCS)のClean Vehicle Programでシニアエンジニアを務めるJim Kliesch氏は声明の中で次のように述べている。「この合意は、米国が二酸化炭素排出を削減し、消費者が不安定なガソリン価格に対処するのを助けるために必要なブレークスルーだ。自動車メーカーには、消費者に多額の節約効果をもたらしつつ、これらの基準を満たし、上回るために必要なテクノロジがある」

URL:http://japan.cnet.com/special/story/0,2000056049,20393438,00.htm



画像2009年11月30日(月) 米GM、低燃費モデル、クルーズを発表

 米ゼネラルモーターズは、12月2日より北米西海岸で開催されるロサンゼルス・モーターショーで、新世代コンパクトカー、“シボレー・クルーズ”を出展する。

 シボレー・クルーズは、燃費性能の向上を第一に考えつくられたコンパクトモデル。ボディサイズは全長4535mm×全幅1796mm×全高1480mmと、日本車の中型モデルに対抗するサイズで、トヨタ・カローラやホンダ・シビックよりも広い居住空間や荷室スペースがセールスポイントとして挙げられている。

 エンジンも1.4リッターターボ(138hp)または1.8リッター(136hp)とアメリカ車としては小さい排気量を採用したのが特徴。

 可変バルブタイミング機構を搭載した1.4リッター直列4気筒モデルは、クラストップを謳う40mpg(16.9km/L)の低燃費を実現。航続距離は800kmに達するという。トランスミッションは、6速MTと6速ATが設定される。

 装備面では、10エアバッグやESP(横滑り防止装置)、BluetoothやUSB接続端子を備えたナビゲーションシステムを標準またはオプションで設定するなど、安全・快適装備を中心に充実させた。

 新型クルーズは、北米では2010年第三四半期に販売が開始される。

URL:http://www.carview.co.jp/news/0/118895/



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米GMの新ハイブリッド車、燃費は「プリウス」の4倍 2009年08月12日 03:10更新

 米ゼネラル・モーターズ(GM)のヘンダーソン最高経営責任者(CEO)は11日、2010年に発売予定の家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車「シボレー・ボルト」の燃費が、ガソリン1ガロン当たり230マイル(1リットル当たり約98キロメートル)と発表した。米市場でも好評なトヨタのハイブリッド車「プリウス」(1ガロン当たり48マイル、1リットル当たり約20キロメートル)に比べ、約4倍を達成した。

 「ボルト」には1回の充電で平均40マイル(約65キロメートル)走行できる電気モーターを搭載。ガソリンエンジンとの併用で、平均300マイル(約480キロメートル)の走行が可能となるという。

 価格は4万ドル(約386万円)前後とされ、トヨタの「プリウス」の約2倍に相当。ヘンダーソンCEOは将来的には低価格化を図ると述べた。

 GMは2011年までに25モデルの新型車を市場に投入し、同年内の経営黒字化を目指す。

URL:http://jp.ibtimes.com/article/biznews/090812/39159.html

この記事へのコメント

  • mor*y*ma_*atu

    自動車の環境対策競争はまだ入り口にすぎず、これからが本当の技術の差を見せ付ける絶好のチャンスだと思います。例えば、究極の燃費対策は走行時の抵抗を下げる事で様々な技術を提案出来、車重を半分に出来れば燃費も半分に出来ますし、空気抵抗だって役に立つし、タイヤなんかはエコタイヤでなくても空気圧を高めて転がり抵抗を下げるだけで燃費は改善します。エンジン制御、エネルギー回生技術は目に見えて真似しやすいですが、既存技術の見直しの効果の方が真似しにくい日本品質を発揮しやすいと思います。そして気がついたら日本提供の部品、材料を使わないと競争に生き残れなくなくなるのはそう先の話ではないでしょう。
    2015年08月10日 16:49
  • 日比野

    mor*y*ma_*atu様、示唆に富んだコメントありがとうございます。
    確かにそうですね、その観点が抜けていました。
    その辺りを明後日あたり補追エントリーできれば、と思います。
    2015年08月10日 16:49

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