「沖縄の基地負担を少しでも軽くしたい。全国の知事の皆さんに協力を求めたい」鳩山首相
普天間移設問題で、政府はとうとうというか、ようやくというか、5月中決着を断念した。
まぁ、これまでの経緯をみれば、地元との合意を得ての決着なんてハナから無理だったのは明らかだから、特にどうと言うこともないのだけれど、普天間問題は一からやり直しとなった感は拭えない。
12日にワシントンで行われた日米の外務・防衛当局による審議官級協議で、日本政府は「名護市辺野古周辺」とする政府原案を提案したそうなのだけれど、現行案の埋め立て方式から、くい打ち桟橋(QIP)方式への変更が盛り込まれていた。
アメリカ側は、環境面、安全面などで難色を示したものの、合意に向け協議を継続することで一致したという。
政府関係者によれば「米側がよく議論に付き合ってくれた」とのことだから、自分達でも無理難題を吹っかけていた自覚はあるようだ。まぁ、アメリカには相当貸しを作ったと見るべきだろう。
それは、さておき、決着先送りの代償とも言うべきだろうか、移設協議継続に伴い、友愛殿は、嘉手納の戦闘機部隊などの訓練を全国の自衛隊基地などに分散させる「負担軽減パッケージ」を打ち出した。
普天間の海兵隊については、平野博文官房長官が600人規模の訓練を、徳之島を含む九州の自衛隊基地にローテーション方式で分散移転したいとの考えを示している。
つまり、海兵隊訓練を九州展開して、嘉手納の訓練を全国展開する、ということだから、言葉は悪いけれど、これまで沖縄に押し付けていた、基地問題を日本全部で被ろうということ。
まぁ、日本国民が国防について考えるいい機会ではある。一体、友愛殿に何があったのかは分からないけれど、「オトナの階段」を一歩上ったことは確か。未だに信じられない。
友愛殿は、全国知事会の緊急開催を要請し、全国知事会もそれを受け、27日を軸に調整が進められている。
ただ、負担を分かち合う「覚悟」を求められた知事達は複雑で、今のところは『総論賛成、各論反対』が正直なところのようだ。
友愛殿が奇跡的に「オトナの階段」を上ったように、全国の知事達も、国防における「オトナの階段」を登らされることになる。
この「全国負担分散パッケージ」なるものは、保守が本当に保守なのかの踏み絵を迫るものにもなるから、地味に効く一手。それどころか、これまでなるべく触れずに選挙を戦っていた各党の喉元に刃を突きつけるものになる。それくらい大きな一撃。
というのは、今後の地方選や夏の参院選でも、国防とその負担を考えるという視点が明確に加わることになるから。
逆に、連立与党を組んでいる社民党とか、民主党左派が、我慢できるだろうか心配になるくらい、大きな方針転換になる、と見る。友愛殿がそれを自覚しているか分からないけれど。
しかし、それにしても、本当に友愛殿がこの案を出しているのか。何か悪いものでも食べたのか。いや、むしろ、空気も情も読めないから出来るのかもしれないけれど、国防意識という点に限ってみれば、瓢箪から駒になるかもしれない。


政府は10日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題について、鳩山由紀夫首相が表明した5月中の決着を事実上断念した。米側、移設先の自治体、連立与党の了解を月内に得るのは困難と判断した。首相は5月中に政府としての移設案を決定し、6月以降も米側や地元と協議を続けたい考えだが、首相の政治責任が厳しく問われそうだ。
首相は同日夕、首相官邸で記者団に「沖縄と移設先、米国、連立与党の皆さんが『この方向でいこうじゃないか』ということでまとまることを、私は合意と呼んだ」と表明。これまでは、米国や地元などの「合意」を得て5月中に決着させると繰り返してきたが、「方向性」で一致できれば、「5月決着」の約束には反しないとの立場を示したものだ。
首相は同日昼、岡田克也外相、北沢俊美防衛相、平野博文官房長官、前原誠司沖縄担当相と首相官邸で協議。沖縄県名護市の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部へのくい打ち桟橋方式による代替施設建設と、鹿児島県・徳之島への基地機能の一部移転を組み合わせた案で、米側や関係自治体と調整を進める方針を確認した。
さらに、嘉手納基地を含む沖縄県内での米軍訓練の全国の自衛隊基地への分散移転や、同県の鳥島、久米島の両射爆撃場の返還、沖縄本島東側の訓練区域の一部解除などの負担軽減策もパッケージで示し、地元の理解を求める方針だ。しかし、沖縄県や徳之島側、社民党はこうした方針に強く反発。12日のワシントンでの日米実務者協議でも提示する考えだが、同意を得られる見通しは立っていない。
URL:http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100510-00000111-jij-pol

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題を巡り、鳩山由紀夫首相は13日、「沖縄の負担を全国で分かち合う」との理想を47都道府県の知事に問いかける姿勢を打ち出した。自ら設定した5月末決着を断念し、「退陣論」も取りざたされる中、6月以降も関係自治体や米政府との交渉を継続する切り札として「負担分散」を訴え、全国民に責任の共有を求める戦術。全国規模で踏み絵を迫る意味を持ち、「続投」への理解を得られるか、大きな賭けに出たといえそうだ。【上野央絵】
「沖縄の基地負担を少しでも軽くしたい。全国の知事の皆さんに協力を求めたい」。13日昼過ぎ、首相官邸。鳩山首相は全国知事会長の麻生渡福岡県知事に知事会の緊急開催を要請した。知事会は27日に東京都内で開かれ、首相自らが出席する方向。13日配信の鳩山内閣メールマガジンでも「基地問題は国民全員で考えていかなければならない。すべての国民に理解いただき、負担を分かち合う気持ちを持っていただければ」と投げ掛けた。
政府はこれまで沖縄県内や鹿児島県・徳之島に絞って移設先を検討してきたが、地元は強く反発。5月末決着は不可能となり、首相は13日午前、記者団に「6月以降も詰める必要があるところがあれば努力する」と表明した。しかし、ただ先送りしただけでは「職を賭す」とまで言ってきた首相の責任論は免れない。交渉を継続する意義として、嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の戦闘機部隊などの訓練を全国の自衛隊基地などに分散させる「負担軽減パッケージ」を打ち出した。
普天間の海兵隊については、平野博文官房長官が12日夜、鹿児島市内で会った徳之島町議5人に「500人規模のヘリ部隊の訓練を受け入れていただきたい」と要請。後方支援部隊を含めて600人規模の訓練を、徳之島を含む九州の自衛隊基地にローテーション方式で分散移転したいとの考えを示した。
「同盟の危機」を避けたい米側も、交渉継続で収拾を図る首相の思惑に呼応する。米ワシントンで12日(日本時間13日)に行われた日米の外務・防衛当局による審議官級協議で、日本側は普天間移設先を「名護市辺野古周辺」とする政府原案を提案。米側はくい打ち桟橋(QIP)方式への変更に環境面、安全面などで難色を示したものの、合意に向け協議を継続することで一致した。くい打ち方式は地元合意の観点からも実現のめどは立たず、政府関係者は「米側がよく議論に付き合ってくれた」と語る。
負担を分かち合う「覚悟」を求められた知事側の反応は複雑だ。北海道の高橋はるみ知事は「実弾射撃訓練(の受け入れ)など沖縄の負担軽減に努力している」と強調。長崎県の中村法道知事も「米軍基地を抱え重要な機能の一部を担っている」。鹿児島県の伊藤祐一郎知事は「『総論賛成、各論反対』だ」と「反対」を明言した。
米軍岩国基地を抱える山口県の二井関成知事は「現時点で考えは申し上げられない」と文書でコメント。横田基地のある東京都の石原慎太郎知事は「地政学的な条件は当然ある」と否定的な見解を示した。
◇優先は関西空港…橋下知事が歓迎
こうした中、昨年11月に関西国際空港で受け入れる可能性に言及していた大阪府の橋下徹知事は13日夕、記者団に「やっと本気で国全体が動いてくる」と歓迎の意向を表明。米軍基地のない地域が負担を受け入れるべきだとして「優先順位が一番高いのは関西」と断言、「おねだり集団から分権時代の知事会になれるかの試金石。回答を出さないなら知事会は解散」と強調した。
URL:http://mainichi.jp/select/today/news/20100514k0000m010080000c.html

全国知事会の麻生渡会長(福岡県知事)は13日、鳩山首相から普天間飛行場移設問題への協力要請を受け、緊急の知事会開催を決めた。
27日を軸に調整している。
麻生会長によると、13日昼に首相官邸で首相と会談。沖縄に集中する米軍基地の負担軽減策について各知事に協力を求めるため、首相から知事会の開催を依頼された。首相自身が出席し、協力を要請するという。
麻生会長は同日夕、福岡市内で「訓練の分野で沖縄の負担を少しでも減らそうという点については、みんな理解すると思う」と述べた。ただ、「(新たに)どこで訓練をするかという具体的な話は、知事会として結論を出す性格のものではない」と話した。
(2010年5月13日22時11分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100513-OYT1T01009.htm
この記事へのコメント
日比野
お返事を書いていたのですけど、ものすごく長くなりそうなので、明日のエントリーにあげようかと思いますので、よろしくお願いします。m(__)m
rie
私は、鳩山が軍の論理に屈服し、在日米軍や在沖の海兵隊を抑止力だと表明することを、残念に思っています。私は、鳩山のこうした対軍認識を「現実論」だとは思いませんし、「理想論」の後退だとも思いません。日本の平和、アジアの平和を、軍の存在の有無のみでとらえようとするその考え方といいますか、思考の座標設定といいますか、が不思議でならないのです。政治家は、軍人ではないので、あくまで政治家として、平和と基地問題を考えて欲しいのです。