強いか弱いかは、戦ってみなくちゃ分からない

 
「デフレの問題を解決するには金の循環が必要だ。場合によっては増税しても景気は悪くなるのではなくて、逆に増税しても使い道を間違わなければ、景気はよくなるということを私の部下たちに検証させているところです。国民の多くが認識を共有してもらえれば、与野党超えて増税すれば選挙にまけるというトラウマから開放されると、こう思っている」
菅副総理(当時) 於:4/11 日本外国特派員協会

画像


菅@けものへん殿は、税の使い方を間違えなければ、経済発展できるなどと言っているけれど、これなんか、要は、「民間じゃなくて、国営にすれば儲かる」と言っているのと同じ。

国がやっても儲かって、更に成長が見込めるという、そんなおいしい市場があるのなら、利に敏い民間が見逃す訳がない。

そんな市場があれば、とっとと民間に開放してやればいいだけのこと。ちゃんとした経営者なら、役人達が、書類はこーだ、判子がどーだとか言っている間に、大儲けしてる。

民間に儲けさせることができれば、放っておいても税収は増える。こんな助かる話はない。

民間の良いところは、市場原理によって、ダメなものは直ぐに「倒産する」ことが出来るところ。市場は、合理的、自動的なリストラをいつも行っている。

自分が強いのか、強くないのかは、戦ってみなくちゃ分からない。

口でいくら、自分は強いんだと言ってみても、実戦で負けてしまえばそれまで。戦って勝つという実績を示さないと、誰も強いとは認めない。

「強い者が勝つのではなく、勝ったものが強いのだ。」とはよく言われることだけれど、この言葉は一面の真実を言い当てている。

だから、政府が本当に強い経済を作りたいのであれば、実戦をどんどん積んで、自らを鍛えていかなくちゃならない。

それは、どういうことかといえば、小さな政府を目指して、民間で出来そうなことはどんどん民間に下ろして、市場原理の中に身を置くということ。そうすれば、必要なものだけ勝ち残って、「強い経済」が出来上がる。

ただ、その競争の中で、いろいろと切り捨てられていくものが出てくるから、政府がそれに対して、手当てなり保障なり何らかの対策を施すこと自体は否定しない。だけどそれが中心になってしまっては、強さそのものを放棄してしまうことになる。

だから、一度切り捨てられたらそこで終わりじゃなくて、何度も何度も挑戦できる環境を作っていることが大事。そうしてこそ、強い経済は維持される。

その一方、そうすることで現出する「強い」経済は、「現在ただ今、強い」のであって、50年後や100年後も強いとは限らないという弱点を抱えている。

なぜなら、民間は毎年の決算があり、一年や長くても数年のうちに「利潤」を出さなければいけないから。だからどうしても、今、儲かるものを中心に営利活動に励んで、その中での強さを競うことになる。

企業にとって、将来への研究投資は、その利潤の一部を充てることしかできない。だから、利潤追求が行き過ぎると、民間企業は、毎年の決算を前に、目先の利益を追いかけて、長期戦略を睨んだ投資なり開発が蔑ろにされてゆく。

もしも、国が介在することに意味があるとすれば、この部分。

画像

国が投資を行なう利点があるとすれば、その内容にもよるのだけれど、投資資金が回収されるまで待つことができるということ。必ずしも目先だけを追わなくても良いという強みがある。

税金もしくは国債などを母体として資金を集め、今は利益を生まないけれど、将来、利益を生むだろうと思われる分野に集中投資して、産業なりなんなりを立ち上げることができる。こればかりは民間では太刀打ち出来ないところ。

明治維新後の富国強兵や第2次大戦後の復興と高度経済成長。国の介入はこうしたことに力を発揮してきた。

最近でいえば、先ごろ話題になったJAXAの「はやぶさ」なんかもそれに近い。

日本の宇宙開発関連予算は、平成21年度で、約3488億円、そのうちJAXAは平成20年度ではあるけれど、事業報告書によると2399億円程度の予算を付けて貰ってる。

「はやぶさ」は宇宙技術開発という意味で、物凄い貢献を行ったのだけれど、事業として考えた場合、あのプロジェクトを民間で全部請け負えるかというと、やっぱり難しい。

「はやぶさ」のサンプルリターン計画は元々4年の予定だった。それが数々のトラブルに見舞われて7年掛かってしまった。毎年黒字を求められる民間企業において、4年計画が7年に延びました、なんて言われても、株主は簡単に許してくれない。

だから、もし、国が介入するのであれば、50年後、100年後の確かな国家戦略をきちんと描いて、それに基づいた産業なりなんなりを興さなくちゃいけない。

そして、一度これと決めたら、民間に下げ渡しても儲けがでるようになるくらいまで、しつこく育てつづけなくちゃ意味がない。それだけ慎重な国家戦略の策定が求められるし、それだけの責任がある。

画像

画像 ←人気ブログランキングへ


画像菅副総理、増税でも使い道を間違わなければ「景気はよくなる」-日本外国特派員協会で講演

 菅直人副総理・財務相は日本外国特派員協会で講演し、消費税などを念頭に「増税しても使い道をまちがえなければ景気はよくなる」と述べ、増税が経済にプラスに働くと訴え、また日本経済の低迷やデフレ状況を克服するには、お金を循環させることが「重要なポイント」と述べた。

 菅副総理は「デフレの問題を解決するには金の循環が必要だ。場合によっては増税しても景気は悪くなるのではなくて、逆に増税しても使い道を間違わなければ、景気はよくなるということを私の部下たちに検証させているところです。国民の多くが認識を共有してもらえれば、与野党超えて増税すれば選挙にまけるというトラウマから開放されると、こう思っている」と述べ与野党が選挙だけ念頭に置かないで増税の必要性について議論する必要があると強調した。

 またデフレ克服に向けた政府の対応については「ある程度の財政出動が必要」と発言し、政府と日銀は「デフレを今のまま容認するつもりはない」と強調した。

 ただ日銀が金融緩和ではデフレ克服に限界があるとの認識を示し、外国為替市場で円安・ドル高が進行している状況については「マーケットが決めること」と発言した。日銀による国債買い入れオペの増額に対しては「今の日銀の対応に注文をつけることはない」と語った。

URL:http://www.zaikei.co.jp/article/biznews/100411/46335.html

この記事へのコメント

  • とおる

    > 菅@けものへん殿は、税の使い方を間違えなければ、経済発展できるなどと言っているけれど、これなんか、要は、「民間じゃなくて、国営にすれば儲かる」と言っているのと同じ。

    まったく、そうですよね。
    日本郵政も、民間から官(国営)へは同様です。(しかし、言葉では「官から民へ」と真逆なことを平然と言い切ります)
    社会主義経済に向かっていそうです。
    2015年08月10日 16:48

この記事へのトラックバック