民主党の参院選のマニフェストの内容が明らかになった。社民党が連立政権を離脱した影響があるのか、昨年の衆院選のものと比較すると、中身が結構変わっている。
読売新聞によれば、外交・安全保障分野で、日米同盟重視を前面に打ち出す「現実主義」に転換するのが大きな特徴だと報道しているし、また、財源の部分も大きく変わっている。
子供手当ては、半額プラス現物支給。増税しないと言っていたのが、消費税を含む税制抜本改革に関する協議を超党派で開始する、と消費税アップを匂わせている。更に、国債発行については、去年を上回らないよう努力するといっているから、国債発行をする気満々。
そして、「政治主導」の言葉は、今回のマニフェストから消えうせている。
明治学院大学の川上和久教授も、国民に責任ある軌道修正をしたということで評価できる、と菅@けものへん内閣が現実路線に転換したとコメントしている。
剛腕殿によるのではなく、菅@けものへん殿の手によって行われることなるという違いはあるけれど、筆者は、民主党政権発足間もない昨年9月の段階で、政府与党は参院選の前に現実路線に転換するだろう、と予測していたから、それに近い形になったとはいえる。
だけど、剛腕殿ではなく、菅@けものへん殿にそんなことが出来るのか。
というのも、菅@けものへん殿の一字、いや一偏である「けものへん」、即ち、自己防衛本能がそれを邪魔するのではないかと思うから。
菅@けものへん殿は、自分は他人を厳しく批難する割には、自分が批難されるのは嫌な御仁。それは、「「逃げ菅?」いいえ猫かぶってるだけです 」のエントリーでも指摘したとおり。
だから、世論がおおかた固まっていて、自分が批難されないであろうことは進んでやるけれど、自分が批難されるであろうことには、積極的に手をださないのではないか。
菅@けものへん殿を見ていて、気になることがあるとすれば、それは、自分の点数になりそうな事と、そうでない事との対応に温度差があるように見えること。
世論が大体固まっていて、それを政府に要望するような事例、即ち、要望を聞くことで国民が満足するであろうことには積極的にパフォーマンスするけれど、逆に政府に批難が集まるような事例や、世論が割れて、どっちがいいのか良くわからない事例については、逃げるきらいがあるように見えて仕方がない。
たとえば、赤松口蹄疫や、北朝鮮拉致なんかのように、政府がきちんと対応すべし、と世論が固まっている事例と、国民からの批難が集まっている、友愛殿や剛腕殿の「政治と金」の問題や、友愛殿が巻き起こして、世論が揺れに揺れ、未だ収まっていない、普天間問題について見てみると良く分かる。
これらに対して、菅@けものへん殿がどう対応したかというと次のとおり。
1.赤松口蹄疫:6月12日に宮崎入りして、知事、関係市長らと意見交換。地元の農場を訪れ、今は一刻も早く感染が広がらないよう、終息させることに全力を挙げたいと約束。
2.北朝鮮拉致:6月10日に、拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表ら5人と面会。強力な制裁を『やる』と発言。家族会に期待を持たせる。
3.政治と金 :辞任したことで決着はついた、と答弁文書を読み上げた。
4.普天間問題:6月15日に、仲井真知事と会談。県内移設の政府方針を伝え、議論は平行線。そして、23日に沖縄県を訪問し、沖縄全戦没者追悼式に出席すると伝えた。
1、2は世論が固まっているから、パフォーマンスなんて簡単。世論の声に従って、解決に全力を尽くすポーズをとればいいだけ。実際にそうしてる。
だけど、3、4となると、自分の言葉ですらなく、官僚の作文を読み、前政権で決まった政府方針を「伝えた」だけ。パフォーマンスなんて一切なし。
1、2に対しては政治家としての顔を前面に出しているけれど、3、4に関しては、政府(官僚)の窓口としての対応に留まっている。
仲井真知事との会談で、23日に沖縄県を訪問して、沖縄全戦没者追悼式に出席する、と言って「沖縄入り」の意思を示したこと自体は評価できるけれど、1のように知事や関係市長らと意見交換するわけでもなければ、地元民と会合を持つ訳でもない。
※勿論、その時になったら、会合などを持つ可能性はある。
自分の得点になりそうな、1、2に関しては国民にアピールするけれど、自分が批判されそうな3、4となると、途端に国民と向き合わない。そこに、得か損かで対応を変える「狡さ」みたいなものがあるように思う。
そして更に問題なのは、国民にアピールしている1、2に関しても、本心からそう思っているのかどうか怪しい部分があるということ。
1に関して言えば、昨日のエントリーで述べたように、口蹄疫対策本部に8分間だけ顔を出して、途中退席して、その後2時間以上、広報用の写真撮影に時間を使っている。また、2についても、拉致被害者家族と面会しているときには、胸にブルーリボンを付けていたのに、次の日の所信表明演説ではそれを外していたと青山繁春氏に指摘されている。
だから、如何にもやりそうに見えていても、本心では、全然その気がなくて、ただ批難を受けないためだけのパフォーマンスじゃないのか、と勘ぐってしまう。
そういう意味から言えば、今は、現実主義とも見える菅@けものへん内閣の方針も、前政権での友愛路線や小沢主義に批判が集まっているから、それを否定することで、批判をかわしているだけという見方も出来てしまう。
だから、菅@けものへん政権は、現実主義というよりは、事なかれ主義、または「批判される事はしない」主義と言った方がいいのかもしれない。
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民主党・参院選マニフェスト、「菅カラー」前面に-財政再建
6月17日(ブルームバーグ):民主党は、参院選(24日公示、7月11日投開票)で掲げる政権公約(マニフェスト)に財政再建を重視する「菅カラー」を全面的に打ち出した。消費税を含む税制抜本改革は「早期に結論を得ること」を目指し、「協議を超党派で開始」する方針と明記した。「子ども手当」など同党が圧勝した衆院選でのマニフェストの一部修正にも踏み込んだ。
民主党が17日夕に発表した参院選マニフェストによると、2015年度までに基礎的財政収支の赤字を10年度の2分の1以下に抑え、20年度までに黒字化達成を目指す。11年度の新規国債発行額については10年度の発行額を上回らないよう努力するとし、21年度以降は、長期債務残高の対国内総生産(GDP)比を安定的に低下させるという。
枝野幸男幹事長は発表会見で、国家財政はギリシャ問題などで急速に国際社会の問題として焦点化していると指摘した上で、「消費税から逃げることなく国民と議論したい」と語った。
明治学院大学の川上和久教授は、「国民に責任ある軌道修正をしたということで評価できる。増税は、国民は当然いやだが、それを言わなかったらもっと無責任だというほうが強い。ばらまきだけで国家がだめになるよりは、自分たちも負担しなくてはいけないという世論はできつつある」と評価した。
新規施策の財源については「既存の予算の削減または収入増によってねん出する」ことを原則として掲げた。昨年の衆院選マニフェストで11年度から月額2万6000円を支給する方針を打ち出していた「子ども手当」は現行の1万3000円から「上積みします」と述べるにとどめ、上積み分に関しては現金給付ではなく、保育所の定員増など現物給付に代えることも可能とした。
民主党の政調会長を兼務する玄葉光一郎公務員制度改革担当相は会見で、子供手当ての支給額を修正したことについて、「国民におわびしたい」と述べた。
日本銀行の金融政策に関連しては「政府と日銀が協力して集中的な取り組みを進め、早期にデフレを克服」と指摘するにとどめた。民主党の有志でつくる「デフレから脱却し景気回復を目指す議員連盟」(デフレ脱却議連)が求めている政府が物価等の適正水準について数値目標を設定するインフレターゲット政策の導入は盛り込まれなかった。
強い経済
経済の拡大、財政の再建、社会保障の充実で「元気な日本を復活させる」をキャッチフレーズに、2020年度までの平均で「名目成長率3%超、実質成長率2%超」の経済成長を目指す方針も示した。
経済を拡大するための成長戦略の具体策としては、地方税を合わせた実効税率で約40%強と国際的に高いとされる法人税率の引き下げを明記した。租税特別措置など法人税制の簡素化を前提として、「国際競争力の維持・強化、対日投資促進の観点から見直しを実施」する方針だ。
具体的な税率の引き下げ幅や実施時期について、今回のマニフェストでは言及しなかったが、菅直人首相は会見で、中期財政フレームや財政運営戦略は来週早々に発表する考えを示した。また、消費税については、「2010年度内にあるべき税率やあるいは逆進性対策を含む消費税改革案をまとめたい」と明言。あわせて、超党派の合意がなくても民主党中心に改革を進める意向であることを明らかにした。
首相や閣僚のトップセールスによる、高速鉄道、原子力発電所などのインフラ輸出推進や、エコカー、エコ家電などの普及を支援する「グリーン・イノベーション」なども成長戦略の柱として掲げた。
このほか、参院議員定数(現行242人)の40人程度の削減、衆院議員(現行480人、うち比例180人)の比例定数の80人削減、公共事業をはじめとする投資への補助金を2011年度から一括交付金化することも盛り込んだ。
URL:http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=a6rlotpuSVG0
民主党公約、外交・安保「現実主義」前面に
民主党は17日に「参院選マニフェスト」(公約)を発表する。
米軍普天間飛行場移設問題をめぐる迷走が鳩山前政権崩壊につながった外交・安全保障分野では、日米同盟重視を前面に打ち出す「現実主義」(党幹部)に転換するのが大きな特徴だ。国家の外交・安保政策は、政権交代があっても継続するという「鉄則」に民主党がようやく近づいてきたようだ。
菅首相は15日、参院本会議での代表質問で、「日米安保体制を堅持し、適切な防衛力の整備に努める」などと繰り返した。自民党政権かと見まがうような答弁だった。
民主党が今回まとめた参院選公約は「日米同盟の深化」を冒頭に打ち出した。前回衆院選の政権公約で柱だった「対等な日米関係」は、日米地位協定の改定を目指す項目でしか触れていない。
普天間問題では、「日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減に全力を尽くす」とし、5月28日の日米合意を履行する立場を明確にした。合意は、日米が2006年に合意した元々の計画と同じ沖縄県名護市辺野古に代替施設を建設する内容だ。これに伴い、衆院選公約で掲げた「米軍再編や在日米軍基地のあり方は見直しの方向で臨む」とした方針は消えた。
今回、外交・安保の公約をまとめたのは、安住淳・前衆院安保委員長や細野豪志幹事長代理ら、日米関係を重視する党内の中堅議員だった。
民主党は、衆院選公約では、米国軽視とも受け取られかねない主張を展開し、鳩山前政権もこれに縛られた。普天間問題では現実離れした「辺野古以外」の移設案を追求し、日米関係が極度に悪化、政権の命取りとなった。この教訓から、安住、細野両氏らが軌道修正を図った。
安保政策にことごとく反発してブレーキ役となった社民党が連立政権を離脱したことも、前向きな公約作りを後押しした。
対中外交でも、前回にない項目が入った。中国が詳細を公表せずに軍備拡張を進めていることについて、細野氏らの意向で、参院選公約に「中国の国防政策の透明性」を求めることが明記された。「中国にしっかりと言うべきことは言う姿勢を示す」(民主党幹部)狙いからだ。武器輸出3原則の見直しを念頭に置いた「防衛装備品の民間転用の推進」も、社民党が政権内にあれば、盛り込めなかった可能性が高い。
ただ、民主党はもともと社民党に近い考えの議員もいる「寄り合い所帯」だ。「安保や防衛のあり方の基本的問題で、いささか議論が貧弱だった」(北沢防衛相)との指摘も根強い。復活する党政策調査会で議論が活発になれば、混乱が再燃することも予想される。
(2010年6月16日06時19分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news1/20100616-OYT1T00068.htm
口蹄疫:菅首相が宮崎入り、農家視察 「国家的危機」
口蹄疫ワクチンを接種した農家を視察する菅直人首相=宮崎市佐土原町で2010年6月12日午前11時(代表撮影) 菅直人首相は12日、宮崎県で口蹄疫(こうていえき)の被害が拡大していることを受け、就任後初めて同県入りした。首相は県庁で東国原英夫知事や関係市長らと意見交換し、「口蹄疫はまさに国家的な危機と認識している。一日も早い終息を見た後には、再建のために必要なことはすべてやりたい」と語り、政府として対策に万全を期す考えを伝えた。
東国原知事は「万全の対策を講じていただきたい」として▽防疫対策、感染ルート解明などへの支援強化▽ワクチンを接種した畜産農家への補償を全額国費負担▽地域産業復興への支援--などを要請した。
これに先立ち、首相は約22万頭の子牛が生まれた種牛「安平」の育て親、永野正純・宮崎市郡和牛育種改良組合長の農場を視察した。安平は先月殺処分されており、首相は「今は一刻も早く感染が広がらないよう、終息させることに全力を挙げたい」と語った。
口蹄疫の感染は、終息したえびの市を除く4市5町に拡大しており、感染または疑いでワクチン接種を受けた家畜約27万頭が、殺処分の対象になっている。
宮崎市は市内の図書館、博物館、公民館など公共施設を12日から一斉に休館にするなど、感染の拡大は市民生活にも影響を及ぼし始めている。【石田宗久、青木純】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100612dde001040028000c.html
<拉致被害者家族会>菅首相に北制裁強化による早期解決要請
北朝鮮による拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表(72)ら会員5人は10日、首相官邸で菅直人首相に面会し、北朝鮮への制裁強化による拉致問題の早期解決を求めた。家族会などによると、要請文を受け取った菅首相は、韓国の哨戒艦沈没事件に言及し、「北朝鮮の仕業ということがはっきりした。改めて韓国と連携しながら、拉致問題を含めて解決をしていきたい」と答えた。
飯塚代表は面会後、「総理は強力な制裁を『やる』とはっきりと言ってくれた。拉致問題はほうっておけないとの気持ちを感じた」と期待感を示した。
この日は東京都内で、家族会や支援団体の救う会などが主催し、拉致被害者救出を求める全国集会とデモ行進が行われ、約800人(主催者発表)が「全面制裁を発動せよ」「被害者を返せ」などとシュプレヒコールを上げた。
URL:http://www.excite.co.jp/News/society_g/20100610/20100611M40.081.html
知事「実現厳しい」 菅首相と初の会談 2010年6月16日
【東京】仲井真弘多知事は15日午前、首相官邸で菅直人首相と会談した。首相は米軍普天間飛行場移設問題について、名護市辺野古への移設を明記した日米共同声明に基づき県内移設で対応する方針を知事に伝えた。これに対し知事は「共同声明は遺憾だ。実現は極めて厳しい」と県内移設は困難だとする考えを伝えた。
県内移設方針を貫く政府と県内移設は難しいとする県で、議論は平行線をたどったが、知事は今後も政府との話し合いには応じる姿勢を示した。
菅首相就任後、仲井真知事が首相と会談するのは初めて。
知事は、民主党が当初県外移設を掲げていたことに触れ「県民の期待が失望に変わってしまい、落差が非常に大きい」と県民世論を説明した。嘉手納飛行場の騒音問題や米軍絡みの事件・事故など、移設問題以外の基地負担の早急な軽減も求めた。協議会など具体的な議論の枠組みは示されなかった。
首相は負担軽減については「誠心誠意取り組みたい」と答えた。会談は、知事が別件で上京することを知った官邸側が県に打診して行われた。
知事は会談後、今後の協議について「政府がどういう筋道でまとめていこうとしているのか、よく分からない」と述べた一方、「政府と意見交換しながら(解決の)方向を見つけていくしかない。もちろん注文を付けるべきは付ける」と述べた。
菅首相は、会談後の閣僚懇談会で、仙谷由人官房長官を中心に内閣が一体となって普天間問題に取り組むよう指示。会談後の参院本会議では、知事との会談に触れ「これをある意味でスタートとし、沖縄の皆さんと話し合いを進めていきたい」と述べ、今回の会談の意義を強調した。
首相はまた、仲井真知事に対し、就任後初めて23日に沖縄県を訪問し、沖縄全戦没者追悼式に出席すると伝えた。
URL:http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-163620-storytopic-53.html
この記事へのコメント
クマのプータロー