5月21日午前6時58分22秒、H-IIA型ロケット17号機が種子島宇宙センターから打ち上げられた。
H-IIA型ロケット17号機には、金星探査機「あかつき」と宇宙ヨット実証機「イカロス」が搭載されているのだけれど、今月11日に、その「イカロス」の帆の展開に成功したことが確認された。
イカロスとは、ソーラーセイル(太陽帆)と呼ばれる、ポリイミド樹脂製の厚さ僅か7.5μm、大きさが約14メートル四方に渡る超薄膜の帆を広げて、太陽光圧を受けて進む宇宙船。
ソーラーセイルは、風の代わりに太陽の光を受けて進むから、エンジンも燃料も要らない夢の宇宙船と言われている。
イカロスのセイルの一部には、電力セイルと呼ばれる、薄い膜の太陽電池が貼り付けられていて、太陽の光を受けて発電することが出来るようになっている。
イカロスのセイルの片面には、アルミが薄く吹き付けられ、太陽光をよく反射するようになっていて、また、万が一、膜が破れても、その亀裂が途中で止まるような構造になっているという。
流石は、「はやぶさ」で数々のフェイルセーフ機能を搭載していたJAXAだけのことはある。イカロスにも「真田さんな技術」は継承されている。
イカロスの帆の展開作業は3日から開始されていて、円筒形の機体を回転(最速で毎分25回転)させ、側面に収納されていた樹脂膜を遠心力で伸展、約14メートル四方の帆が完全に広がったというから、まずは、第一ミッション成功。
イカロスには次の4つの実証確認というミッションが与えられている。
1.大型で薄いセイルを宇宙で展開
2.薄膜太陽電池による発電
3.ソーラーセイルによる加速の実証
4.ソーラーセイルによる航法技術の獲得
特に4についてだけれど、イカロスが目標となる軌道にそって進む為には、太陽光の反射方向を調節する必要がある。
したがって、イカロスには、セイルの方向を変えるガスジェットを搭載していて、更に、そのガスも使わずに、太陽光だけの力で方向を変えるシステムも搭載している。
太陽光だけで方向を変えるシステムというのは、太陽の光の反射率を任意に変えるシステムのことで、セイルの端に取り付けてある姿勢制御装置の部分を曇らせることによって、それを可能としているという。
イカロスは、「あかつき」と一緒に金星へ向かるけれど、セイルの展開と発電を確認した後、半年ほどかけてソーラーセイルによる加速と軌道制御の実証実験を行い、金星を通過して太陽のまわりを回り続ける予定になっている。
また、イカロスには、宇宙空間の塵の分布を調べるダストカウンタと、星の誕生が引き起こすと言われている爆発現象、ガンマ線バーストを観測する装置の2つが搭載され、観測を行うという。
イカロスの翼が技術の新しい扉を開くことを祈っている。
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宇宙ヨット「イカロス」 “帆”を展開 2010.6.11 11:23
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、世界初の宇宙ヨット実証機「イカロス」が、帆の展開に成功したと発表した。展開作業は3日に開始。円筒形の機体を回転(最速で毎分25回転)させ、側面に収納されていた樹脂膜を遠心力で伸展させて、約14メートル四方の帆が完全に広がったことを確認した。
イカロスは太陽光が持つ微弱な圧力を帆で受け止め、燃料を使わずに飛行する小型ソーラー電力セイル実証機。帆の展開で、イカロス計画は「最大のヤマ場」を越え、宇宙ヨットとして本格的な航行がはじまる。金星付近に到達するまでの半年間、帆にはり付けた太陽電池の発電能力やソーラーセイル(太陽帆)による加速、軌道制御技術などを検証する。
計画をまとめるJAXAの森治助教は「世界初の宇宙ヨットが誕生したので、今後の見本になるようなクルージングをしていきたい」と話した。
イカロスは5月21日、JAXA種子島宇宙センター(鹿児島県)から国産大型ロケット「H2A」17号機で日本初の金星探査機「あかつき」と同時に打ち上げられた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/science/science/100611/scn1006111124000-n1.htm
この記事へのコメント
mor*y*ma_*atu
いよいよ本格的に独自宇宙航法が開発されるですね。