「現金、現物を問わず非常に難しい」長妻昭厚生労働相 於:6/8再任会見
散々すったもんだした挙句、なんとか半額支給で折り合いをつけた筈の子供手当は、どうやら来年度以降も満額支給できなくなりそうな情勢になっている。
長妻昭厚生労働相は8日夜の再任会見で、子供手当の事実上満額支給を断念する発言を行った。
また、玄葉公務員制度改革・少子化担当相は9日の閣議後会見で、子供手当の支給額を来年度以降も据え置く場合は、配偶者控除はそのまま残す考えを示している。
なんでも、財源の確保の目途が立たないのがその理由だそうだけれど、そんなことは先の衆院選前から分かっていたこと。
巧言令色で有権者を釣った結果がこれ。
参院選でのマニフェストでは「2万6000円」を明記しない方針だそうだけれど、それだけで済むのか。
民主党のマニフェストの目玉であった筈の子供手当でさえ、こういう結果になってしまった。民主党のマニフェストには他にも一杯美辞麗句が並んでいた筈。高速道路の無料化や天下り廃止など、蓋を開けてみれば、守れた公約なんて殆んどない。
主権が国民にあり、その代行者として国会議員があるのであれば、国会議員は国民に雇われた存在と言っていい。
プロ野球やJリーグなんかの契約更改だと、前年度の成績を元に、今年度の年俸が決められたりするのだけれど、国会議員を国民に雇われた存在だと定義すれば、議員は、自身のオーナーである国民に対して、選挙という契約更改を通じて、票という年俸を支払って貰ってることになる。
つまり、選挙では、すべからく、マニフェストという来季の目標成績を信任してもらうと同時に、前回のマニフェストの実現度合という成績査定をされるという側面を持っているということ。
そこで、前回の衆院選での民主党のマニフェストで謳った政策とその実施状況を、プロ野球風に例えると次のようになるのではないかと思う。
前年度成績は、18打数2安打。打率1割1分1厘。打点0、三振7、併殺4、四球1、退場1。
とまぁ、プロ野球風にいえば、こんな感じ。
この民主党という名の選手は、昨年、チームジャパンに移籍してきたのだけれど、前にいたチームでは、長い間、一軍での出場経験が全然なかった選手。
彼は、一度でいいから、一軍の打席に立たせて欲しいと訴えつづけ、自分を使えばチームは優勝するんだ、と吼えまくって、ようやく、こちらのチームに移籍してきたという経歴の持ち主。
チームジャパンのオーナーは、それだけ言うのであれば、と、破格の3億7百万という年俸で昨年契約を結んだ。
ところが今季の成績は、御覧のとおり。当初の期待を大きく下回っていることは誰の目にも明らか。
この選手は、もうすぐ、夏の参院選という契約更改に臨もうとしているのだけれど、何を思ったか、新しいグローブとバットを揃え「昨年は、バット(小沢)とグローブ(鳩山)がボロボロだからダメだったんです。今年はバット(枝野)もグローブ(菅)も新調したから大丈夫。きっと大活躍してみせます。」なんてマスコミ各社に言いふらしている様子。
チームジャパンのオーナーは、とても太っ腹な御仁で、バットとグローブを代えたのなら、来季はやってくれるだろうと、今年も年俸を3億出すという。
貴方が、このチームのオーナーだったとしたら、来季の年俸をいくらにしますか?


長妻昭厚生労働相は8日夜の再任会見で、11年度から中学生以下の子ども1人につき月額2万6000円を支給するとした衆院選マニフェスト(政権公約)の実現について「現金、現物を問わず非常に難しい」と述べ、事実上満額支給を断念する考えを示した。半額とした10年度の給付(月額1万3000円)を倍増するのに必要な3.1兆円の財源にめどが立たないためで、政府内には現金給付ほど財源のかからない保育サービスなどの「現物給付」を増やし、全体の所要額を抑える案が浮上している。
子ども手当に関しては、10年度の支給に要した2.3兆円の確保にさえ四苦八苦した経緯がある。このため菅直人首相は財務相だった1日、追加に必要な経費を現物給付にシフトする考えを示唆したほか、民主党の玄葉光一郎政調会長も7日の就任会見で、満額支給には慎重な姿勢を示していた。
同党は参院選マニフェストには、「2万6000円」を明記しない方向だ。
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100609k0000m010137000c.html

民主党政調会長の玄葉光一郎公務員制度改革・少子化担当相は9日の閣議後会見で、今年度は半額支給(月額1万3000円)としている子ども手当について、11年度以降も支給額を据え置く場合は「(所得税・住民税の)配偶者控除は(廃止せず)そのままにせざるを得ない」との考えを示した。
子ども手当を巡っては、長妻昭厚生労働相が8日、「財政上の制約もあり難しい」として11年度からの満額支給(2万6000円)を断念する方針を表明している。
政府や民主党はこれまで子ども手当の満額支給を前提に、財源として配偶者控除の廃止を検討してきた。玄葉氏は「支給額が1万3000円だと、(配偶者控除廃止で)マイナス(負担増)の家庭が多くなる」と指摘した。
11年度からの子ども手当の取り扱いでは、民主党内で支給額を2万円に圧縮して引き上げる案も出ている。玄葉氏は「2万円支給になれば、配偶者控除の廃止もあり得る」と、配偶者控除の廃止の是非は支給額とのバランスで決める考えも示した。
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100610k0000m010067000c.html

昨年の衆院選で掲げた公約通り、月2万6000円まで引き上げるのかどうか--。16日夜、民主党本部であったマニフェスト(政権公約)企画委員会は、1万3000円の子ども手当の満額へのアップを取りやめる流れを定めた。
「ギリシャみたいになっては困る」。財政破綻(はたん)を危惧(きぐ)する菅直人副総理兼財務相はそうまくし立て、仙谷由人国家戦略担当相らも赤字国債の増発を戒めた。マニフェスト見直しに慎重な小沢一郎幹事長の側近、高嶋良充筆頭副幹事長も強い異論は唱えず、関係閣僚で独り「満額」を主張してきた長妻昭厚生労働相は押し黙った。
終了後、長妻氏は「(保育サービスなど)現物に充てろという議論もあった。政務三役で議論したい」と語り、かたくなに修正を拒んできた姿勢を初めて転換させた。
4月22日、首相官邸。国と地方の協議の場で、全国市長会長の森民夫・新潟県長岡市長は、鳩山由紀夫首相を前に「福祉は子ども施策だけではない」と訴えた。「手当の満額支給には年間、個人市民税(125億円)に匹敵する112億円が必要」。森氏が示した市の試算に首相は目をむいて驚き、「他の福祉施策とのバランスは重要だ」と応じた。
減額の口火を切ったのは、3月末に上積み分を給食費に充てるようぶちあげた仙谷氏だ。原口一博総務相も減額の可能性に触れた。
主要閣僚が修正を口にするのは、満額に要する財源3兆円を見いだせないから。減額には党から異論も出て参院選マニフェストの議論は迷走したが、政府・民主党は「2万6000円」の表記は避けつつ、「上積みする」との一言を盛り込む玉虫色決着を描く。
長妻氏も簡単に折れたわけではない。周囲には「公約を変えるなら衆院選をもう1回やらないと」と漏らし、先日も厚労省の今別府敏雄会計課長に「難しいかもしれないが、財源は」と問うた。しかし答えは「子ども手当に所得制限を入れることで1000億円程度なら」。長妻氏は「うーん」とうなり、黙り込んだ。
「私は2万6000円の旗を降ろしたわけではない」。18日の政務三役会議で、長妻氏はなお強がった。だが、出席者の一人は「何が何でもというわけではなくなった」と受け止めている。
◇「理念は?」省内に不満
長妻氏が公約にこだわるのは、政治家としてのけじめばかりではない。企業・団体献金を一切受けないスタイルは、潔癖さの半面、国民の支持頼みというもろさも抱える。それだから世論を気にし過ぎ、何をしたいのか理念が見えない--。長妻氏を見つめてきた厚労官僚の多くはそうとらえている。
4月27日夜。内閣府で開かれた「子ども・子育て新システム検討会議」の初会合は、議論の大半が厚労省関係だった。なのに長妻氏は役所がおぜん立てしたメモすら読まず、沈黙を守った。福島瑞穂少子化担当相が発言を促したものの、発したのは一言、「ありません」。
「アドリブがきかないからな。他の閣僚と応酬になるのが嫌だったんだろ」。厚労省幹部はそう推し量る。
長妻氏は年金記録問題で名をはせた。ただ、厚労行政の手腕には当初から「未知数」の評がつきまとう。
「子どもの昼寝に敷布団が必要か? 床に直接寝かせればいい」。長妻氏は担当部局と保育所の設置基準面積の緩和を議論した際、そう言い切ったという。子どもを床に雑魚寝させれば1人当たりの基準面積を小さくでき、その分保育所を増やすことができるとの趣旨だった。出席した幹部はみな、あっけにとられた。
老人施設で食事介助を体験した時のこと。「おばあさんは、おかゆが好きなんですか」。そう問いかけた長妻氏に、女性は「歯がないからね。おかゆしか食べられないのよ」と諭すように答えた。
◇「素人」武器に改革
「就任直後は30分おきにびっくりした。私ら普通の感覚とは違う」
4月24日夜、地元の東京都渋谷区で開いた国政報告会で、長妻氏は約200人の聴衆に語りかけた。厚労省に省や局、課ごとの目標がないことを紹介し、「目標のない会社って聞いたことありますか」とあきれてみせた。
長妻氏を「素人同然」と嘆く「プロ」の官僚たちだが、感覚が世論とズレている面があるのも事実だ。それは旧社会保険庁の不祥事や、薬害肝炎を引き起こす一因となった。それも現場を知らないからと考える長妻氏は、職員に自治体などへ足を運ぶよう命じている。自らも介護や保育、労働の現場30カ所を訪ねた。ある幹部は「今は国家公務員倫理規程で民間の人と食事もできず、若い職員は情報量が少ない。良い機会だ」と評価する。
◇世論に過敏反応も
衆院当選4回の長妻氏も、05年は小選挙区(東京7区)で落ち、比例で復活した。「一匹オオカミ」と称され、党内では孤立気味。そうした政治基盤の弱さもあって、時に世論に過敏となる。
3月下旬、母国に子を残してきた外国人にも子ども手当を支給するとの厚労省方針に、インターネットには「不正を招く」との書き込みが殺到した。長妻氏は「国会答弁がもたない。法案修正だ」と職員にあたった。
75歳以上を切り離した後期高齢者医療制度の見直しを巡っては、心の揺れを見せた。
「うば捨て山」との批判を浴びた制度だけに、民主党は「年齢で差別する制度を廃止」と公約していた。長妻氏の意をくみ、厚労官僚は高齢者もみな現役と同じ市町村の国民健康保険(国保)に加入させる案を用意した。
しかし、この案も65歳以上は医療費が別枠だ。長妻氏の了承を得て3月8日に公表すると、16日の参院厚労委で共産党の小池晃政策委員長は「うば捨て山の入山年齢を下げただけだ」と批判した。
うろたえた長妻氏は外口崇保険局長を呼び、「年齢を書き込まない方法はないか」と再考を促した。それでも高齢者には税を集中投入する必要があり、別財源にせざるを得ない。吉岡てつを高齢者医療課長の説明に、長妻氏も「うん」と消え入るようにうなずいた。
結局、長妻氏は幹部と「高齢者も現役も、同じ国保の保険証」との理屈で押し通すと腹合わせし、5月18日の衆院決算行政監視委員会第3分科会に臨んだ。「年齢差別ではない」。突っぱねる長妻氏を、自民党の谷公一氏はこう皮肉った。
「大臣の思いは理解しました。基本的仕組みは(後期高齢者医療制度と)大きく変わるものではないですね」【鈴木直】
毎日新聞 2010年5月23日 0時50分
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100523k0000m010108000c.html
この記事へのコメント
gtea
>18打数2安打。打率1割1分1厘。打点0、三振7、併殺4、四球1、退場1。
いやぁ~お見事。大変解りやすい比喩ですので、弊ブログに引用させて頂きます。益々のご活躍を祈念致します。