
「みんなが参加する民主党をスタートさせたい」菅直人・新首相 於:6/7 両院議員総会
菅首相のコメントとは裏腹に、表向きは党内の亀裂が進行しているように見える民主党の新執行部。
7日午後、国会近くの憲政記念館での民主党の両院議員総会で、正式に民主党の新執行部体制が発足したのだけれど、予想どおりなのか、はたまた懸念が的中したのか、剛腕殿は両院議員総会を欠席した。
報道なんかだと「脱・小沢色鮮明に」なんて見出しが躍っているけれど、いろいろな意見を聞く限り、「今回の小沢切りは本物だ」という見方と、「いや、9月に剛腕殿が復活するための出来レースだ」という大きく2つの見方があるように思われる。
ネットやツイッターなどをみていると、中には、剛腕殿は党を割って出て行くべきだ、という意見もちらほら見受けられる。
また、「民主党代表選と少数による多数の支配 」のエントリーのコメント欄で、グー様より、剛腕が党を割って出る可能性もあるのでは、との意見も頂戴しているので、今回は、剛腕殿が党を割る可能性について考えてみたい。
実は、剛腕殿が党を割って出て行くことについては、既に2月の段階で検討して、エントリーしたことがある。
まず、該当エントリーから、いくつか引用する。
剛腕殿には、選択肢のひとつとして、参院選前に幹事長を辞任するシナリオがあると筆者は見ている。
ただ、そのシナリオが満足いくものになるかどうかは、その後釜に如何なる人物が座るかに掛かっている。
辞任したあとも自らの影響力を保持しようと思えば、自分の息のかかった人物を幹事長に据えたい。あわよくば、次の首相もそうしたい。
その為には、自分の息のかかった人物に多数派を率いてもらわないといけない。
民主党内では、旧自由党、一新会系、小沢一郎政経塾出身の議員達からなる、小沢グループと呼ばれる派閥が最大勢力を誇っているけれど、実際は、先の衆院選で始めて当選した新人議員、つまり小沢チルドレンが大半を占めていて、見た目ほど強固な派閥というわけでもないと言われている。
比較的、結束力があるとされているのは、旧自由党からの面々になるのだけれど、その人数は衆参合わせて17人にしかいない。
だから、剛腕殿は、実質、党を掌握しているとはいえ、一朝事あらば、どこまでも剛腕殿についていく議員達に囲まれているという訳では、必ずしもないのかもしれない。
であるからこそ、元旦に自宅で新年会なるものをやって、小沢グループの結束を図ったのではないかとさえ。
そんな状態で、自身の進退問題に触れる発言をする意図があるとすれば、それは、本当に自分についてくる議員が誰であるのかを、より分けようとしているのではないかと思う。
つまり、今のうちから多数派工作を「させて」、内部で競わせて、誰が敵・味方で、誰が勝ち残るのか、そういったことを、見極めようとしているのではないか。
今のままでも、一応形式的には、党内最大派閥を率いていることになっているのに、なぜ、そんな自分への忠誠心を試す様なことをやるのか。それともやらなければならないのか。
確かに、多数派工作によって、最後に勝ち残るグルーブが、親小沢派であれば、仮に幹事長を辞めることになっても、依然として党内に絶大な影響力を持つことは可能だろう。
だけど、反小沢派が多数派となってしまったら、幹事長を辞めてしまったが最後、陽の目を見ることは一気に難しくなる。
剛腕殿は、たとえ幹事長を辞めても、自分が党内で絶大な影響力を持てるのであれば、なにも無理して党を出ていく必要はない。だけど、それは、自分の息のかかった人物を党の中枢におけるかに掛かっている。
だけど、小沢グループに属する議員の大半は、新人議員や当選2~4回目の中堅議員達ばかり。彼らを党首脳に据えるわけにはいかない。精々、旧自由党議員の一部が党首脳に残れるかどうかといった程度。
だからこそ、自分の息のかかった人物が党の実権を握ることが出来るのか、即ち、多数派を率いることができるかを見ようとしているのではないか。
もしも、小沢派議員が党の実権を握れないとなったら、幹事長を辞めた剛腕は「細腕」になってしまう。そうなってしまったら、民主党に残っていてもメリットは少ない。
その時は、ひとつの可能性としてだけれど、剛腕殿がチルドレン達を引き連れて、党を割って出るという選択だって有り得ると思う。もちろんこれは、政治と金の問題で捕まることがないことが前提での話。
剛腕殿は、自分が民主党内の非主流派となって、ちぢこまっているよりは、党を割って出て、政界再編に打って出るほうがマシだ、と考えても別におかしくない。割って出る人数にも依るのだけれど、仮に自民党と連立でも組んだとしたら、また、自分のやりたいことを主張してやれる余地だってある。自身の影響力を政界に残しておける。
そんな思惑があるようにも思える。
以上のように、2月の時点で検討したことが、今の段階でも有効かどうかについて考えてみる。
まず、参院選と9月の代表選における、民主党と剛腕殿のそれぞれの勝ち負けをマトリックスにすると、以下の4つの組み合わせになる。
※参院選での「民主党の勝ち」の定義=民主党が単独過半数を取ること
ケース1は剛腕殿にとってのベストケース。次の国政選挙までの3年間で思う存分のことができる。
ケース2は剛腕殿にとってのワーストケース。剛腕を排除した新体制だからこそ支持を得たのだ、という大儀名分の下、剛腕派が更に干されてしまう危険がある。
ケース3は剛腕殿にとってのセカンド・ベスト。参院選で過半数を取れなかったのは、剛腕を蔑ろにしたからだ、という名目の元に、剛腕派の勢いが増し、剛腕殿の傀儡政権が樹立するだろうと思われる。
ケース4は剛腕殿にとってのセカンド・ワースト。参院選に勝てず、かといって剛腕派も代表戦に勝てないとなると、少なくとも剛腕殿の求心力は衰え、民主党内最大派閥である剛腕派は揺らぐことになる。必然的に民主党内派閥の再編が起こる、と見る。
こうしてみると、剛腕殿にとってのベストケースとワーストケースは、参院選の勝ち負けに関係なく、ただ9月の代表戦に勝つか負けるかで決まってしまうことになる。
ただし、ケース3とケース4は少し複雑で、参院選で民主党が何処まで負けるかによって大きく影響を受ける。連立与党で、僅かに参院過半数に届かない程度であれば、現執行部でも、新党改革あたりを抱きこんで、参院過半数に持ってゆくこともできるだろう。
だけど、うんと負けてしまって、社民とか公明とかを引き入れないといけなくなる場合は、やっぱり剛腕殿にお出まし願わないと、という声が党内で起こる可能性が高いと見る。必然的に9月の代表選で剛腕派が勝つ確率が高まることになる。
一方、参院選前後になると見られている、2回目の検察審査会の結果において、剛腕殿が「起訴相当」になって、強制起訴されてしまった場合には、参院選の結果に関わらず、剛腕殿の求心力が低下することは確実になる。
必然的に、後を継いで剛腕派を纏める後継者がいない限り、剛腕派の解体といった事態も起こりうる。そして、今のところそれだけの後継者は、剛腕派には見当たらないし、原口氏や細野氏や樽床氏にしても、自身の派閥を持った経験もないから、それだけの力があるかどうかは未知数。
これら4つのケースの中で、剛腕殿が党を割ることがありえるとすれば、ケース2と4、即ち、9月の代表戦で負けたとき。
ここで本当に剛腕殿が党を割れるかどうかは、剛腕派の結束如何による。なぜかといえば、剛腕殿が10人や20人程度を引き連れて党を割ったところで、大勢にはなんら影響がなく、政局にもならないから。割るなら100人程度は連れていかないと意味がない。
だから、これは、突き詰めてしまえば、剛腕殿に何処まで人望があるか、という問題に帰着する。
金の切れ目が縁の切れ目とはよく言うけれど、幹事長を退いて、党の資金を配分するという権力を失ってもなお、剛腕殿が求心力を維持しつづけられるのかどうかが問われることになる。
勿論、党の金がなくてもふんだんに資金を用意できて、金を配る力を残していていれば、まだまだ剛腕振りを発揮して、党を割ることなんて余裕で出来るかもしれない。だけど、それがなくなったとき、それでも尚、人がついてくるとすれば、それは人望の有る無しによる。
金は使えば使っただけ無くなるけれど、人望は使えば使うほど人も金も集まってくる。
剛腕殿にどこまで人望があるかは分からない。だけど、少なくとも大多数の国民からの人望はないことだけは確かだと言っていい。それが幹事長を辞めた途端に、急回復した民主党の支持率を見てもよくわかる。
因果応報とはよく言ったもの。
最期の最期で剛腕殿は、自分が一番、軽んじていた部分と対峙することになる。
今 私を切り裂いていく
痛みの中に潜む影
弱い自分を隠すため
愛する人を傷つけて
終わりのない痛み抱いて
進まない時を彷徨う
失うことを恐れる日々
叶うことない私の願いは
痛みの中に潜む影
弱い自分を隠すため
愛する人を傷つけて
終わりのない痛み抱いて
進まない時を彷徨う
失うことを恐れる日々
叶うことない私の願いは


民主党は7日午後、両院議員総会を国会近くの憲政記念館で開いた。幹事長に枝野幸男氏、政調会長に玄葉光一郎氏、国対委員長に樽床伸二氏を充てる人事を決定、菅直人代表(新首相)の下での執行部体制が発足した。小沢一郎前幹事長は両院議員総会を欠席した。
菅氏はあいさつで「みんなが参加する民主党をスタートさせたい」として党運営への協力を呼び掛けた。
一方、8日に発足する菅新内閣の閣僚人事をめぐっては、交代する赤松広隆農相の後任について調整が難航した。
党人事は、小沢前幹事長と距離がある議員を多く起用。小沢氏主導で廃止された政調会長ポストも復活させるなど、「脱小沢」の姿勢を明確にした。
菅氏は幹事長などのほか、選挙対策委員長に安住淳氏、参院選対策本部長代理に石井一氏、広報委員長に山岡賢次氏を充てる人事なども提案、了承された。財務委員長には小宮山洋子氏を登用した。
輿石東参院議員会長、高嶋良充参院幹事長ら参院執行部の留任も決まった。
[2010年06月07日 17:03]
URL:http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20100607052.html
この記事へのコメント
日比野
>剛腕殿に「腹心の部下」もしくは「盟友」という存在はいないのではにないかと思います。彼にとって他人は「手足」さもなくば「敵」なのではないかと。
鋭い指摘です。私もそう思います。使えるうちは、それなりに遇しますけど、使えなくなったら、簡単に切り捨てる、そんな感じがあります。曹操タイプ、ですかね。
almanos
あるいは管首相が支持率が高いうちに衆参同日選にふみきるか? 民主党は野党に落ちるかもしれませんが、うまく連立を組めば脱小沢政権を作れるチャンスがある。管氏らにしてみれば、小沢氏に自分らの党を乗っ取られて我が物顔で振る舞ってくれた挙句が鳩山政権の迷走です。民主党を取り戻すために一旦野党落ちも覚悟して小沢抜きの党に戻
sdi