封じ込められた新首相

 
「参院選に勝利して政権を安定化することで、本当の意味の改革が実行できる。そのときに、まさに自分自身が先頭に立って頑張ってまいりたい」
小沢一郎 於:6/4 民主党岩手県連の集会に寄せたビデオレター

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大方の予想通り、菅新首相が誕生した。

民主党代表選が4日告示され、民主党所属衆参の国会議員423人(衆院307人、参院116人)による投票の結果、菅氏が291票を獲得し新代表に選出された。

対する樽床氏は129票だから、形の上では菅氏の大差での勝利に見えるけれど、あの短い代表選の間で、樽床氏が129票も集めたのは結構凄い。

今回の代表選では、「非小沢系の推す菅氏」対「小沢系の推す樽床氏」の構図が基本線だったのだけれど、小沢系「一新会」が自主投票を決定したにも関わらず、樽床氏は129票を集めてる。

これは、剛腕殿の党内影響力が依然あることを伺わせる結果と見る。

さて、新首相となった管氏の組閣と人事についてだけれど、代表選の前の3日午後の記者会見では、剛腕殿の傀儡はない、と言い切り、代表選出後には、官房長官に仙谷氏、幹事長に枝野氏の起用を内定していたにも関わらず、夜には突然白紙撤回となった。

一昨日のエントリーの「鳩山、小沢ダブル辞任」では、剛腕殿の「友愛殿を生贄にする」策に、友愛殿の「剛腕殿を更迭する」策の2つの策を同時に使って、これでも足りないとみれば、残りの策である、剛腕殿の「衆参ダブル選挙」策と友愛殿の「前原大臣を幹事長に抜擢する」策を仕掛けてくる、といったけれど、幹事長に反・小沢系の枝野氏を起用する、というのは、「前原大臣を幹事長に抜擢する」策に非常に近い。

その策を、早速仕掛けてきたのかと思いきや、それが白紙。



報道では、民主党内での「親小沢」、「反小沢」勢力の駆け引きだなんて言われているけれど、これは、当然、剛腕殿の圧力に屈した結果と見ていいだろう。

剛腕殿は、4日夜、党岩手県連の集会に寄せたビデオレターで、9月の党代表選に自ら立候補する可能性を示唆する発言をしている。

菅氏に対して、9月には首を取るぞ、と公言したも同然。剛腕殿は、代表選で樽床伸二衆院環境委員長が129票獲得したことについて、あと90で首相が取れた。90なんて難しい数字じゃない、と言っていたそうだから、それなりに見込みと自信があるのだろう。

これだけでも、菅氏への相当なプレッシャーになるし、菅氏はもうビビってる。

昨日のエントリーで、管氏にとってみれば、民主党のイメージを回復して、参院選に勝つためには「小沢的なるもの」を排除しなければならない反面、代表選に勝つためには、小沢グループを味方につけなければならないという、二律背反した立場にある、と指摘したけれど、どうやら、参院選や代表選のみならず、首相でいられるかどうかさえも、剛腕殿の掌の上に乗せられたようだ。

剛腕殿からの脅しが入った以上、菅首相で、仮に参院選に勝ったとしても、9月には剛腕殿に止めを刺されてしまう。かといって、剛腕殿に人事で大幅に譲歩してしまって、やっぱり傀儡か、と有権者に受け止められてしまうと、今度は参院選が苦しくなる。

それならば、と、連立を離脱した社民党に対して、普天間以外では協力しよう、などと、よりを戻そうとアプローチを掛けてみたのだけれど、辻本氏からは、歴史は戻らない、とあっさりフラれる始末。

新首相になったその日に「小沢的なるものを排除する」手段は殆ど無くなってしまった。

代表選までは、剛腕殿を外して封じ込めようなんて、意気込んでいたかもしれない新首相は、逆に、封じ込められてしまった。

封じ込められた新首相はどう動くのか。週明けにズレこむ組閣と党内人事に注目したい。

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画像民主代表選:傀儡「それはない」…菅氏、力強く

 菅直人副総理兼財務相は3日午後、力強く言い切った。民主党の玄葉光一郎衆院財務金融委員長が当選1回の衆院議員十数人を国会内に集めた席上、出席者から「小沢一郎前幹事長の傀儡(かいらい)にならないですよね」と問い詰められたときだった。会場からは一斉に拍手がわき起こった。菅氏はこの後、民主党代表選出馬の記者会見に臨んだ。

 民主党内で菅氏が置かれた立場は「小沢系」と「非小沢系」の中間。小沢氏の「院政」を警戒した枝野幸男行政刷新担当相ら非小沢系は菅氏が出馬の意向を表明した2日、「政治とカネ問題でしっかりとけじめをつけてほしい」と「小沢切り」を迫っていた。

 非小沢系の中には独自候補の擁立を模索する動きもあった。菅氏は3日、非小沢系の中堅議員と接触。自身が党代表だった03年に小沢氏率いる自由党と合併した経緯に触れ「民由合併の責任は自分にあるし、鳩山由紀夫首相があそこまで言ってくれたんだからしっかりやる」と伝えた。小沢氏との「道連れ辞任」に踏み切った鳩山首相が2日の辞任表明で「クリーンな民主党を取り戻したい」と訴えた流れに菅氏が乗った。非小沢系はそう受け止めた。

 2日は態度を明確にしなかった前原誠司国土交通相、岡田克也外相らも3日になって一斉に菅氏を支持。小沢氏と近い三井辨雄前国対委員長代理、松本剛明衆院議運委員長らの支援を受けて樽床伸二衆院環境委員長が3日、出馬の意向を表明。「非小沢系の推す菅氏」対「小沢系の推す樽床氏」の構図ができあがるかにみえた。

 しかし、小沢氏支持の若手衆院議員でつくる「一新会」は3日夜、自主投票を決定。小沢氏との関係が良好な旧社会党系や旧民社党系グループも雪崩を打って菅氏支持を確認した。樽床氏は全国的には無名の中堅議員。夏の参院選を戦う「看板」として幅広い支持を得るのは難しい、との見方が強い。それでも三井氏らが樽床氏擁立に動いたのは、小沢氏が無役になっても影響力を残せるよう「菅代表」選出後の政府・党人事をにらんだ駆け引きではないか、とみられている。

 非小沢系の野田佳彦副財務相は3日、「影響力のある人が見えないところで行使するのが一番よくない。(菅氏は)何が問題かよく理解している」と指摘し、院政を許さないようクギを刺した。【須藤孝】

URL:http://mainichi.jp/photo/archive/news/2010/06/04/20100604k0000m010137000c.html



画像民主党代表選:菅氏を選出、樽床氏に大差 午後、首相指名

 鳩山由紀夫首相の退陣に伴う民主党代表選が4日告示され、菅直人副総理兼財務相(63)と樽床伸二衆院環境委員長(50)の2人が立候補を届け出た。衆参の国会議員423人(衆院307人、参院116人)による投票(投票総数422人)の結果、菅氏が知名度の高さや参院選に向けた即戦力として幅広い支持を集め、291票を獲得し新代表に選出された。樽床氏は129票だった。午後には衆参両院で首相指名選挙が行われ、菅氏が第94代首相に指名される見通し。菅氏は、仙谷由人国家戦略担当相の官房長官への起用を検討、枝野幸男行政刷新担当相を幹事長で処遇する方針。

 新代表に選ばれた菅氏は「代表の役割は、首相としてこの国を立て直すと同時に、全員参加の党にしていくことだ。鳩山首相の思いを参院選勝利の中で実現できる本格政権を築きたい」と抱負を語った。

 菅氏は代表選出後、国会内の民主党代表室に仙谷、枝野両氏を呼び、政府・党人事や組閣の進め方を協議した。松野頼久、松井孝治両官房副長官、荒井聡首相補佐官、加藤公一副法相、寺田学、本多平直両衆院議員も同席した。

 両陣営は午前9時過ぎ、立候補受け付けを済ませた。代表選は午前11時に始まり、抽選により樽床氏、菅氏の順で政策を訴える演説を行った。樽床氏は「民主党は今危機の中にある。ピンチをチャンスに変える最大の手段が一つになることだ。バラバラでどうするのか。好きだ嫌いだはどうでもいい」と述べた。菅氏は「まずやるべきは国民の信頼を回復することだ。政治とカネの問題は全議員が襟を正さねばならない」と強調。「みんなが参加できる民主党にする。そのために政調を復活させたい」と語り、小沢一郎前幹事長が廃止した政策調査会を復活させることを表明、小沢氏主導の党運営からの脱却を鮮明にした。その後、投票権を持つ衆参国会議員の投票により、菅氏が新代表に選出された。任期は鳩山首相の残存期間の9月末まで。

 菅氏は、小沢氏に近いグループを除く党内各グループが支持を表明し、知名度の高さから参院にも支持を広げた。代表就任に当たって、鳩山首相と小沢氏による「小鳩体制」からの転換を印象付けるため、主要人事で「非小沢」系の議員を積極的に起用する方針だ。

 菅氏は午前9時から国会内で開かれた出陣式に出席。「参院選で『民主党に任せよう』という結果を実現するため、その先頭に立たせてもらいたい」と支持を訴えた。出陣式は、小沢氏と距離を置く前原誠司国土交通相や玄葉光一郎衆院財務金融委員長など中堅議員8人が呼びかけた。小沢氏の影響力が強いとされる当選1回の衆院議員約45人が参加し、支持の広がりを印象付けた。【竹島一登】

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 ◆民主党代表選の結果

菅直人  291

樽床伸二 129

 (投票総数422無効2)=敬称略

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 ◇菅直人氏
 東工大理学部卒業後、市民運動に参加し、参院選で故市川房枝氏の選対事務長を務めたことが、政界入りのきっかけに。80年に衆院初当選。社会民主連合(旧社会市民連合)を経て、新党さきがけに入党。自社さ政権の橋本内閣で厚相を務め、薬害エイズ問題追及で注目を集めた。96年に鳩山由紀夫首相とともに旧民主党を結成。98年の民主党発足で初代代表に就任。02年に2度目の代表に就き、03年に自由党党首だった小沢一郎前幹事長と民由合併にこぎつけた。衆院東京18区。当選10回。山口県宇部市出身。63歳。

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100604dde001010011000c.html



画像「菅新首相は小沢氏封じ込められるか」欧紙指摘

 【ロンドン=大内佐紀】日本の首相交代について、欧州諸国は、鳩山政権の主要政策は継続されるとみている。

 特に、欧州諸国が重視する地球温暖化対策について、菅新首相がいち早く温室効果ガス削減という方針の踏襲を表明したことを歓迎している。

 英メディアには、日本の政局の不安定さへの指摘が目立つ。ただ、菅氏個人については「強力な官僚組織に立ち向かう定評がある率直な政治家」(BBC放送)と肯定的な評価だ。タイムズ紙(電子版)は「菅氏の首相としての成功は、幹事長を辞任した陰の有力者、小沢一郎氏の影響をどこまで封じ込められるかによる」と指摘した。

(2010年6月4日23時23分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100604-OYT1T01009.htm



画像菅次期首相、8日に組閣の予定 官房長官に仙谷氏、幹事長に枝野氏の起用内定も突然白紙に 6月4日19時2分配信 フジテレビ

菅次期首相は、週明け7日に党執行部人事、8日には組閣人事を行う予定だが、新体制について、いったんは官房長官に仙谷由人氏、幹事長には枝野幸男氏の起用が内定していたが、これが突然白紙になった。
組閣をめぐる日程などが揺れ動いている背景には、民主党内での「親小沢」、「反小沢」勢力の駆け引きが透けて見えるもよう。
もともと、首相指名直後の4日中に組閣や親任式・認証式まですべて行うと最初に言っていたのは、小沢前幹事長の側近議員が中心だった。
しかし、代表選での菅氏の優勢が確実になるにつれ、菅氏の周辺からは「もともとは小沢氏が影響力を残すために立てた短期間での組閣というシナリオに乗る必要はない」との声が出始め、時間をかけた大胆な組閣を求める声が強まった。
また、小沢氏が「6月16日の会期は変えない」と言ったにもかかわらず、郵政見直し法案をなんとか成立させたい国民新党の亀井郵政担当相の意向も受ける形で、民主党幹部から「会期延長論」が公然と出始めた。
こうした会期の問題でも、小沢離れを印象づける動きが進みつつあると、見てとることができる。
最終更新:6月4日19時2分

URL:http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn/20100604/20100604-00000518-fnn-pol.html



画像「本番は9月だ」小沢氏が独自候補擁立に意欲

 民主党の小沢幹事長は4日夜、東京都内で開かれた小沢グループの会合で、菅新首相が選出された同日の代表選について「今回は自分が表に立てなくて申し訳なかった。しかし、本番は9月だ」と述べた。

 菅氏の任期(鳩山首相の党代表としての残任期間)満了に伴う9月の代表選で、独自候補擁立を目指す考えを示したものだ。

 同グループは今回、独自候補擁立を見送り、自主投票となった。出席者からは小沢氏の立候補を求める意見も出た。

(2010年6月5日00時09分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100605-OYT1T00015.htm



画像「選挙勝てば先頭に立つ」=9月の代表選に出馬?-小沢氏

 民主党の小沢一郎前幹事長は4日夜、党岩手県連の集会に寄せたビデオレターで、「参院選に勝利して政権を安定化することで、本当の意味の改革が実行できる。そのときに、まさに自分自身が先頭に立って頑張ってまいりたい」と述べた。9月の党代表選に自ら立候補する可能性を示唆したともとれる発言で波紋を広げそうだ。
 集会では、衆参両院の本会議で菅直人代表が新首相に指名された直後に、ビデオレターが収録されたと説明された。 
 また、小沢氏は同日夜、都内で開かれた自身を支持するグループの会合であいさつし、代表選で樽床伸二衆院環境委員長が129票獲得したことについて「私は立場上、動けなかったが、次につながる良い数字だ。あと90(票獲得)で首相が取れた。90なんて難しい数字じゃない」などと語った。(2010/06/04-23:45)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010060401055



画像社民党首、連立政権「加担できない」=菅氏は協力要請

 社民党の福島瑞穂党首は4日、菅直人新首相の誕生に関し、「(米軍普天間飛行場の移設先を沖縄県名護市)辺野古と決めた日米共同声明が見直されない限り、加担できない」と述べ、連立政権への復帰は辺野古移設撤回が条件との考えを改めて示した。国会内で記者団の質問に答えた。
 一方、菅新首相は同日、国会内の社民党控室を訪ね、「普天間のことはあったが、それ以外はできるだけ協力して(いこう)」と要請。同党の重野安正幹事長は「いろんな話をさせていただく」と応じ、辻元清美前国土交通副大臣は「社・菅(車間)距離が難しい」と述べた。
 また、同じ控室を訪れた鳩山由紀夫首相は社民党の連立離脱に触れて「もう一回歴史をそこまで(戻したい)」と漏らしたが、辻元氏は「歴史は戻らない」と突き放した。 (2010/06/04-18:18)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010060400773

この記事へのコメント

  • 小沢総書記

    世論調査の結果が出ると、菅政権の支持率は40%以下ではなかろうか。そして、いずれ30%以下に。
    左巻き菅は亀井との間で、郵政改悪を行うことを改めて署名確認した。
    参議院選挙で惨敗し、菅は責任を取って辞任する短命政権となる。
    2015年08月10日 16:48

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