「これからもっと人の命を大事にする政治を進めないといけないが、残念なことに政権与党の仕事が必ずしも国民のみなさんの心に映っていない。国民のみなさんが除々に除々に聞く耳を持たなくなってしまった。」鳩山首相
政界の一寸先は闇とはよく言ったもの。昨日まであれほど、首相続投と言っていた、友愛殿が辞任するという。
そして、刺し違える形で剛腕殿も辞任することになった。
それしても、友愛殿は、よく自分から辞める気になったもの。これに限っては、1ミリグラムほど評価しておきたい。
どうやら、1日の三者会談で続投の意思を示した友愛殿に対して、剛腕殿率いる民主党執行部が2日に緊急両院議員総会を招集し、首相の進退について決を採る構えをとったのが辞任の決定打になったようだ。
※ 5/31の時点で友愛殿が辞意を伝えたとの報道もある。
ただ、友愛殿の辞任会見での「国民のみなさんが除々に除々に聞く耳を持たなくなってしまった」という発言はいただけない。
最期の最期まで、人の気持ちが分からない御仁だったのだな、と国民に思わせたことは間違いない。
そもそも、あんなに嘘ばかりついていれば、友愛殿の話など聞けをいう方が無理というもの。それを国民のせいにするなど、筋違いも甚だしい。
だけど、まぁ、次が誰になるかを考えなければ、友愛殿の辞任は、日本にとって経済的には良いことだと受け止められたようだ。なぜなら、友愛殿が辞意を表明した途端、日経平均がぐっと上がったから。
如何に友愛殿が財界から受け入れられていなかったを如実に示している。(ただし、終値は結局前日比-108.59円と、下げて引けている。)
だから、次の首相が決まったあと、株価がどう動くかを見れば、財界が民主党政権をどう思っているかがある程度わかるものと思われる。
それはさておき、次の焦点は、次期首相と参院選についてになるのだけれど、次の首相については、色々な憶測が取り沙汰されているので、ここでは触れず、後者の参院選への影響についてみてみたい。
今回の友愛、剛腕のダブル辞任については、それぞれ個別に「剛腕のダブルの奇策」と「鳩山首相のダブルの秘策」で検討していたのだけれど、今回のは、剛腕殿の奇策をベースに友愛殿の秘策を乗っけた形ではないかと見ている。
まずは、該当エントリーから抜粋・引用する。
・・・剛腕殿にはダブルの奇策がある。
それは何かというと「友愛殿を生贄にする」策と「衆参ダブル選挙」策。
「友愛殿を生け贄にする」策は文字通り、普天間の責任を友愛殿に押し付けて退陣させ、反小沢派でない代用を首相に立てる。自身は幹事長に留まって、内閣支持率の様子を見て、参院選に臨む。もし、友愛殿の首だけで支持率回復が思わしくなければ、幹事長に自分の息の掛かった人物を立て、自分は幹事長を辞して院政をひくという策。このあたりは「支持率回復の手立て」のエントリーで触れたとおり。
もうひとつの「衆参ダブル選挙」策は、その通り、この夏に衆参同時選挙をやるという策。ただ、現在の状況を見る限り、本当に衆参同時選挙に打って出る可能性が低い。なにせ、当の剛腕殿が「衆議院は常在戦場というけれど、参院選と同日選というのはあり得ない」とコメントしている。だけど、可能性としてはゼロじゃない。条件が整えばあり得ない話じゃない。
その条件とは、内閣支持率が10%台又はそれ以下に低迷し、友愛殿を生贄にして、剛腕自身が幹事長を辞めても回復の兆しが見えないことと、更に、野党自民党の候補者選出が整わず、衆参同時選挙を戦う力がないと見通しがついた時。・・・・
剛腕殿にダブルの秘策があるように、友愛殿にもダブルの秘策がある。
それは、「剛腕殿を更迭する」策と「前原大臣を幹事長に抜擢する」策の二つ。
ともすれば、友愛殿は何かにつけ、剛腕殿のあやつり人形だとして、ネット界隈では「代用」などと揶揄されてきたけれど、友愛殿は、今のところ曲がりなりにも、民主党の党代表で、日本の首相の立場にある。
多くの人は忘れているかも知れないけれど、友愛殿はただ一人、剛腕殿を更迭できる権限を持つという事実はおさえておく必要がある。
渡部恒三元衆院副議長は「小沢君に対して、右に行けとか左に行けとか言えるのは、鳩山君だ。たった一人だ。」と述べ、友愛殿に剛腕殿を更迭するよう促す発言をしている。
剛腕殿が「友愛殿を生贄にする」策を持っているように、友愛殿にしても「剛腕殿を更迭できる」策を持っている。厳密に権限という意味であれば、剛腕殿は友愛殿を辞めさせる権限は持っていないけれど、友愛殿はその権限を持っている。この差は土壇場になって効いてくる。
剛腕殿が友愛殿を辞めさせたくても、友愛殿がウンと言わない限り、辞めさせることが出来ない。外部から強制的に辞めさせるのであれば、内閣不信任案を提出、可決して、友愛殿を引きずりおろすしかない。
《中略》
もし友愛殿が、剛腕幹事長を更迭して、前原氏又は、前原氏に近い人物を幹事長に据えたとしたら、民主党から「小沢的なるもの」が排除されるのは間違いない。同時に、民主党にクリーンなイメージが出てくることになる。
※この辺りについては、3/10のエントリー「前原VS小沢 幹事長職をめぐる一騎打ち」を参照されたい。
まぁそれで、今の地に落ちた支持率が何処まで回復するかは分からないけれど、本当にそんなことができれば、あの鳩山首相が小沢を切った、幹事長を更迭したという事で、これ迄の友愛殿のイメージを大きく覆すリーダーシップを発揮することになる。
今までLoopyだと思っていたけれど、そうじゃなかった、決して決断できない人ではなかったのだ、と民主党内は元より、国民全体に大きくアピールすることになるから、やはり支持率は上向く事になるだろう。参院選での勝利の目も出てくるかもしれない。
今回の辞任劇は、剛腕殿の「友愛殿を生贄にする」策に、友愛殿の「剛腕殿を更迭する」策の2つの策を同時に使った形。
勿論、これだけでも支持率はある程度は回復するだろうけれど、これでも足りないとみれば、更に、残りの策である、剛腕殿の「衆参ダブル選挙」策と友愛殿の「前原大臣を幹事長に抜擢する」策を仕掛けてくると見る。
それぞれの効果については、件のエントリーで述べているから、詳細は触れないけれど、何れも、民主党の支持率を上げ、参院選への勝利の目をつくるための策であることは確か。
「衆参ダブル選挙」については、三橋貴明氏が自身のブログの6/2付けエントリーで次のように述べている。
・民主党はすでに参議院選挙の敗北を織り込み、その後の総選挙を想定し始めた。結果、民主党の選対本部が、二つに分かれた。(参院選用と総選挙用)
従って、衆参同日選挙とはならないにしても、それに近い形は起こりうる可能性が出てきたと見ていいだろう。
そして、「前原大臣を幹事長に抜擢する」策については、剛腕殿の党内影響力を大幅に削ぐことになるから、剛腕殿の意向によって左右されるものの最期の切り札的な策であるといえる。
尤も、前原氏が民主党代表選に出馬して、代表の座を射止めてしまえば、それでも「小沢的なるもの」を排除するだろうから、前原氏の処遇がどうなるかは注目すべきポイントになる、と見ている。
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東証、鳩山辞任で値上がり 午前終値9747円 2010年6月2日11時58分
2日の東京株式市場は鳩山首相の辞任表明などを受け、政治の不透明感の解消に向けて動き出したとして値上がりしている。日経平均株価の午前の終値は前日終値より、35円71銭(0.37%)高い9747円54銭、東京証券取引所第1部全体の値動きを示すTOPIX(東証株価指数)は同1.75ポイント(0.20%)高い881.79。出来高は10億2千万株だった。
前日の欧米市場が株安となったことから、東京市場も取引開始直後から値下がりして始まった。しかし、午前9時半すぎに鳩山首相辞意のニュースが流れると、直後に買いが入り、下げ幅は縮小した。その後、円高が和らいだこともあって日経平均は値上がりに転じた。
みずほ証券の土山直樹マーケットエコノミストは「為替の好転もあるが、今日の首相の辞任表明で、政治の不透明感の解消が半歩進んだと市場は見ているようだ」と話す。
URL:http://www.asahi.com/business/update/0602/TKY201006020231.html
【首相辞任】目に涙浮かべ「職を引かせていただく」 小沢幹事長も辞任 2010.6.2 10:17
民主党の両院議員総会で退陣を表明する鳩山首相=2日午前、国会 鳩山由紀夫首相は2日午前、国会内で開かれた民主党の緊急両院議員総会で、「私自身、この職を退かせていただく」と、退陣を表明した。また、鳩山首相は自身と同様に「政治とカネ」の問題を抱える小沢一郎幹事長に辞任を求め、了承されたことを明らかにした。昨年9月に内閣が発足してわずか8カ月半での退陣となる。
首相は辞任理由について、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題と「政治とカネ」の問題を挙げた。そのうえで「政権・与党のしっかりした仕事が国民の心に映っていない。国民が徐々に聞く耳を持たなくなった。私の不徳の致すところだ」と説明した。
また、首相は5月31日と1日の2回にわたって行われた小沢氏との会談について、「『政治とカネに決別する民主党を取り戻したい。私も退きます、幹事長も職を退いてもらいたい。そのことによって、より新しい、クリーンな民主党をつくりあげることができる』と申し上げた」と語った。首相によると、小沢氏は「わかった」と応じた。
首相は北海道教職員組合(北教組)幹部らの公選法違反事件を抱える小林千代美衆院議員に対しても議員辞任を求めた。
鳩山政権では5月末、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題の日米合意によって、社民党が連立政権を離脱。内閣支持率は続落し、2割台を切った。7月の参院選で苦戦が必至の情勢となったことを受け、参院民主党を中心に「鳩山降ろし」の動きが表面化した。
首相は31日と1日の両日、民主党の小沢一郎幹事長、輿石東参院議員会長と三者会談を行って、自身の進退について協議してきた。1日の会談では、輿石氏が参院民主党内の退陣論を伝えたが、首相は退陣を拒否。2日に3度目の三者会談で改めて協議することになっていた。
首相の強い続投の意向とは裏腹に、小沢氏ら民主党執行部は、首相が続投すれば参院選での惨敗は避けられないと判断し、2日に緊急両院議員総会を招集し、首相の進退について決を採る構えをとった。
このような情勢から、首相は続投は困難と判断した。2日朝、党幹部や渡部恒三元衆院副議長らに退陣を決断したことを伝えた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100602/plc1006021019010-n1.htm
この記事へのコメント
sdi
友愛殿の辞任は決定事項ですが、剛腕殿の辞任については私は今ひとつ素直に受け取れないのです。一年前の西松事件で剛腕殿が党首を辞任して、民主党代表代行(選挙担当)になって世論をかわしつつ民主党の実権は手放さなかったケースの再現を狙ってるのではないか?、という邪推(笑)です。
菅財務大臣に対して小沢チュルドレンの樽床氏の名前が上がってますが、剛腕殿にしてみれば次の総理は「100%自分の言うとおりに解散権を行使する(しない)」人が望ましい。次の内閣選挙管理内閣になる可能性を考慮すればそうなります。私は同日選は自民党側の選挙準備がもたつき、よっぽど総理挿げ替えの効果で世論の風向きが変わらない限りないと思います。ただ、参院選直後に解散を打つ近日選はありえるかもしれません。条件は民主党の参院単独過半数達成です。それ以外の場合「自民党が郵政選挙後、4年間総選挙しなかったのだから我々がそれと同じことをして何が悪い」と言いはって3年後の衆参同日選に勝負をかけるのでしはないでしょうか。