昨日のつづきで、「メディアに関する全国世論調査」についての雑考を・・・
昨日のエントリーで、筆者が注目した項目は以下の4つ。
1.新聞を読む理由
2.メディアの信頼度
3.記事の満足度
4.信頼できる記事
そのうち残りの2~4について・・・
次に、2.の「メディアの信頼度」トップはNHKで73.5%、次が新聞で70.9%。インターネットは58.2%で5番目。とりわけ面白いと思うのは、各メディアの印象の項目。
NHKや新聞の印象では、「情報が信頼できる」が一位になっているのに対して、民放のそれは「情報が面白い・正しい」となっていて、「情報が信頼できる」はトップ5にも入っていない。同じテレビでも、ここまで差がついているのは特筆すべき。少なくともイメージの上では民放は報道機関扱いされていない。
だけど、その情報が信頼できるとされている、NHKや新聞でさえも、その情報が役に立つかどうかとなると、順位はがくんと落ちる。新聞の「情報が信頼できる」が62.1%に対して、新聞の「情報が役に立つ」は54.8%。NHKの「情報が信頼できる」は71.1%もあるのに対して、NHKの「情報が役に立つ」は44.3%にまで落ち込んでしまってる。
これは、情報そのものは確かだけれど、大して役には立っていない。言葉は悪いけれど、愚にもつかない情報を流しているということになる。
これが民放ともなると、「情報が役に立つ」の回答そのものがランク外だから、論外。
3.の「記事の満足度」トップはテレビ・ラジオ欄で、満足層は71.4%。次が社会に関する記事とスポーツに関する記事が共に57.8%で続いている。政治・経済はそれぞれ52.3%と49.0%で5位と6位。
一番生活に影響度の高い筈の政治・経済の記事の満足度が低く、テレビ欄やスポーツ欄の記事に満足している現実。これは、テレビやスポーツの話題の記事ばかり読まれていて、政治・経済の記事には興味がもたれていないことを意味してる。
日本も「パンとサーカス」ではないけれど、「テレビとスポーツ」に陥ってしまっている可能性がある。
それでも、「テレビとスポーツ」に陥っているといっても、そのテレビで報道番組がしっかり見られていればいいじゃないか、という意見も無論あるだろう。
そこで、実際のテレビ視聴率がどうなっているかを見てみる。
ビデオリサーチのサイトで、過去の視聴率データが開示されている
2009年 年間高世帯視聴率番組30(関東地区)
これをみると、視聴率TOP30の殆どがスポーツとバラエティ番組で占められている。報道番組などわずか。それも選挙速報ばかりで、まともなニュースは「情報7daysニュースキャスター」と「NHKニュース7」という状況。
まぁ、スポーツといっても、2009年はWBCがあって、それ関連の番組に集中した、ということもあるだろうけれど、スポーツイベントは何らかの形で毎年行なわれているから、そうそうこの傾向は変わらないと思われる。
実際、2008年は北京オリンピック関連が視聴率を稼いでいるし、2007年はフィギュアスケートとサッカーのアジアカップだった。今年はサッカーワールドカップが上位を占めるのだろう。
では、政治・経済といった情報はテレビではなくて、新聞の方が頼りになるのか、といえば、これまたそうとも限らない。
4.の「信頼できる記事」を見てみると、衝撃な結果が出ている。
信頼している新聞記事の調査では、なんと、トップが天気予報、安全性で、次が内閣支持率、政治、国際情勢。最下位が景気の予測となっている。
これは、もしかしたら、天気予報や、景気予測のように、その予報や予測が当たったかどうかが誰にでも分かるものに対しては、いい悪いの判断がつくけれど、内閣支持率とか、国際情勢とか、本当にそうなのかいちいち検証しないと分からないものに対しては、どっちつかずの結果となって出ているのであるまいか。
これは、2の結果ともリンクするのかもしれないけれど、テレビや新聞が確かな情報源として信頼されているのは、専ら、「天気予報」や「テレビ欄」であって、その他、特に景気予測に至っては天気予報以下の信頼しか勝ち得ていない、ということを意味してる。
当たらないものの代名詞であったはずの「天気予報」が一番信頼があって、最も確かさが求められる筈の景気予測が一番評価が低い。一体、何の冗談なのか。
誰がいったのか、定かではないけれど、「新聞で正しいのが日付と天気予報だけだ」なんて揶揄を耳にすることがあるけれど、実際のアンケートも同じ結果になった。
やはり、情報は受身ではなく、自分から取りに言って、自身でその中身を精査、判断すべきものだと改めて心したい。
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新聞記事満足度1位は「テレビ欄」という現実 チラシ&テレビ欄無料配達サービスが新聞の脅威に 千葉 優子 2010年07月28日 11:50
インターネットによる情報取得や活字離れなどの影響から、新聞業界は購読者の減少と広告費の縮小に悩まされている。財団法人新聞通信調査会が昨年実施した「メディアに関する全国世論調査」によると、新聞でもっとも満足度が高い記事は「テレビ・ラジオ欄」という回答が7割を超えた。テレビ・ラジオという他メディアへの窓口として利用される記事が満足度No.1というのは、新聞各社にはなんともやり切れない結果だろう。
そんな苦境に立たされる新聞業界を尻目に、新たなビジネスを仕掛けたのがリクルートの「タウンマーケット」だ。これは、地域のスーパーなどのチラシとテレビ情報紙を1週間分まとめて、会員の自宅まで無料で宅配するという画期的なサービス。2008年3月から東京都町田市・神奈川県相模原市でサービスを開始して以来、順調に会員数を増やし、現在は横浜市・川崎市・世田谷区・中野区・杉並区・目黒区・品川区・大田区へとエリアを拡大させている。
チラシに加えて配布されるテレビ情報誌には、1週間分のテレビ番組表をはじめ、タレントのインタビュー、テレビ視聴率やCDレンタルなどのエンタメランキングなど、記事の充実度はフリーペーパー「R25」を生んだリクルートならでは。これらがすべて無料で読めるというのだから、今後の展開次第では新聞業界にとって脅威ともなりかねない。
気になるビジネスモデルは、新聞の折り込みチラシと同様に、広告主からのチラシ配布料が主な収益であり、同社の「R25」「ホットペッパー」が広告掲載料によってまかなわれている点とは少々異なる。その他、地域のチラシを検索・閲覧できるサイト「タウンマーケット」への広告掲載料や、テレビ情報誌の表紙裏(表2)や裏表紙(表4)への広告掲載料も収益となるが、テレビ情報誌本体には今のところ広告は掲載されていない。
リクルートはあくまで「新聞を読まない人へのチラシの宅配サービス」と強調する。しかし、新聞購読者の中に「テレビ欄と折り込みチラシがあるから、かろうじて購読している」という若い世帯や主婦層が多く存在するとしたら、購読者が新聞から「タウンマーケット」に流れ込む可能性はある。また、知名度が向上し、メディアとしての信頼性が増せば、「新聞よりも会員制のタウンマーケットのほうがターゲットを特定しやすくて戦略も立てやすい。おまけに費用対効果も高い」と考える広告主が出てきてもおかしくないだろう。
リクルートは次の一手として、iPhoneアプリ「チラシ検索 by タウンマーケット」を5月から開始した。アプリを起動してエリアを選択すれば、その地域が対象のチラシが一覧で表示されるため、外出先でチラシをチェックしたい人や宅配エリア外に居住する人にとって活用度が高い。テレビ番組表やチラシだけを扱うこれらサービスの普及次第では今後の新聞業界に影響を与える可能性もある。
URL:http://moneyzine.jp/article/detail/186909
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