告白と違憲と質問主意書(外国人地方参政権法案について 前編)

 
「外国人の選挙権論というのは、地域主権論においても、国家の解体に向かう、方向性を持っている。それから(アジア)共同体論との関係でも、国家の解体という非常に危険な状況持っているという感じがいたします。
 ですから、従来のプロセスから見ても、これは許容説の枠を超えた議論になりまして、違憲と言わざるをえない。
 これが本論ですが、許容説は正しかったのか。許容説は、二つの点から見て、もはや維持できないと思います。」

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週刊新潮 2010年7月29日号の櫻井よしこ氏のコラム「日本ルネッサンス」にて、民主党政権が永住外国人への参政権は認めないという立場を、6月4日の閣議決定していたと述べられている。

あそこまで、外国人参政権付与に熱心だった民主党に何があったのか。

元々、この議論は、1990年11月に、特別永住許可を持つ、在日韓国人が、自分たちを選挙人名簿に登録するよう大阪市の選挙管理委員会に申し立てた異議が却下されたことを受け、その取消を求めて、大阪地方裁判所に提訴したのが始まり。

その時、大阪地方裁判所は原告の請求を棄却したのだけれど、判決を不服とした原告は、最高裁判所に上告した。そして、1995年2月28日に最高裁判所第三小法廷は、上告を棄却して、大阪地方裁判所の判決が確定したのだけれど、問題のなったのが、判決文に含まれている次の文言。
「このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。
 しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。」

要は、「定住外国人に対して地方参政権を付与することは憲法上禁止されてはいない。だけど、するしないは政治家が決めることであって、別にしなかったからといって憲法違反ではない」という具合に、やってもやらなくても憲法には抵触しないけど、それは国会で決めてね、と政治に丸投げするような文言が入っていた。

この部分は所謂、地方参政権に対する「部分的許容説」と呼ばれていて、これを有効とするかしないかで、議論が行なわれていた。

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ただ、参政権の付与そのものについては、最高裁で棄却されているし、判決の主文でも、この「部分的許容説」を示したとされる文言の前段で「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である」と述べられている。

日本国民のみを対象とするとはっきり書かれている以上、日本国民以外の人に参政権を与える事については議論の余地はないものと思われる。

それなのに、部分的許容説を持ち出して、参政権を与える云々の話が出るのは、もう政治的配慮としか筆者には解釈できない。

今年の3月に、枝野幸男内閣府特命担当大臣(当時)が外国人参政権問題について、3月5日の参院予算委員会で「傍論といえども最高裁の見解なのは間違いない。行政府で(傍論と)異なる見解をとることは憲法に照らして許されない」と述べているのだけれど、この発言そのものが政治的配慮であることを示している。

なぜなら、この問題について法的拘束力のない「傍論」と自ら位置づけていることとと、その「傍論」と異なる見解を取ることは許されないと言っておきながら、この傍論の前段で述べられている、「憲法一五条一項の規定は、日本国民のみをその対象とする」の部分に言及していないから。

確かに「傍論といえども最高裁の見解なのは間違いない」のはそのとおりだけれど、それならば、その前で述べられている「憲法一五条一項の規定は、日本国民のみをその対象とする」というのも最高裁の見解。それに、こちらのほうは「傍論」以上に有効であるはずの主文。

主文を差し置いて、「傍論」を適用するのなら、これはもう政治判断としか言い様がない。



さて、その「傍論」であるのだけれど、当時の判決に加わった、園部逸夫元最高裁判事が、3月18日の産経新聞のインタビューに対して、当時の判決は、在日韓国・朝鮮人をなだめる意味があり、政治的配慮だった、と告白した。あの判決での対象者は、非常に限られた永住者に限定することを想定してたのだ、と。

そして、民主党が「一般永住者」にも、地方参政権与えようとしていることを「ありえない」と批判した。

この園部元判事の告白について問われた、枝野行政刷新相(当時)は、同じく3月5日の参院予算委員会の答弁で「政治的配慮に基づいて判決したのは最高裁判事としてあるまじき行為だ」と批判しているのだけれど、それならば、なおさら政治的配慮に基づいた判決部分は、行政府としては除外して考えるのが筋。つまり、外国人地方参政権付与は不可能ということになる。

そして更に、園部元判事の告白に遡ること、1月28日に、この外国人参政権に関する「部分的許容説」を日本で最初に紹介し、法案推進派の理論的支柱でもあった、長尾一紘中央大教授が、自説を撤回し、民主党が国会提出を検討していた、参政権付与法案を憲法違反だと断じている。

この長尾教授の「部分的許容説」は、例の平成7年の最高裁判決の「傍論」部分にも影響を与えたとされているのだけれど、その御大自ら、自説を否定したものだから、外国人地方参政権を付与する根拠は完全になくなったと見ていい。

それでも、枝野行政刷新相(当時)は「傍論といえども最高裁の見解」などど粘ってはいたのだけれど、流石に観念した閣僚もいた。

これまで外国人地方参政権付与法案に賛成していた、北沢防衛相は、2月12日の記者会見で「予断を与えることになってはいけない」とし、発言をトーンダウンさせた。

また、当時、友愛殿が、地方参政権付与について「憲法違反では必ずしもない」と答弁していたのだけれど、あの場で改めて主張しなければならなかったところを見ると、政府は、この時点で、外国人地方参政権付与を半ば諦めたのではないかと勘ぐってしまう。

そして最後のトドメは、5月27日に訪れた。

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山谷えり子参議院議員が、政府に、質問主意書を提出して、外国人に参政権を付与することは憲法違反ではないかと問いただしたのだけれど、それに対する政府見解が6月4日出され、先の平成7年の最高裁判決の「主文」である「日本国民のみを対象とする」部分を、そのまま引用して、判決文と同様に考えている、とした。

勝負あった。外国人地方参政権付与はもうない。

やはり、なんだかんだ言っても、法案の根拠となる判例や更にその元となる理論が崩れてしまえば、その法案を成立させるのは無理だということなのだろう。依って立つものが無くなったのだから、当たり前といえば当たり前。

だから、外国人地方参政権付与を潰したのは、園部元判事の告白と長尾教授の違憲判断、そして山谷えり子参議院議員の質問主意書だったと言える。

ただし、これで本当に100%安心なのか、と言えばまだ、気になることがある。それは、8月29日の韓国併合100周年に合わせて検討されているとされる、所謂「菅談話」。

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画像1995年(平成7年)2月28日・最高裁判所判決 全文

主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。

理由
上告代理人相馬達雄、同平木純二郎、同能瀬敏文の上告理由について

憲法第三章の諸規定による基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものである。

そこで、憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。

そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。

そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。

以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(最高裁昭和三五年(オ)第五七九号同年一二月一四日判決・民集一四巻一四号三〇三七頁、最高裁昭和五〇年(行ツ)第一二〇号同五三年一〇月四日判決・民集三二巻七号一二二三頁)の趣旨に徴して明らかである。

このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。

しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。


以上のように解すべきことは、当裁判所大法廷判決(前掲昭和三五年一二月一四日判決、最高裁昭和三七年(あ)第九〇〇号同三八年三月二七日判決・刑集一七巻二号一二一頁、最高裁昭和四九年(行ツ)第七五号同五一年四月一四日判決・民集三〇巻三号二二三頁、最高裁昭和五四年(行ツ)第六五号同五八年四月二七日判決・民集三七巻三号三四五頁)の趣旨に徴して明らかである。

以上検討したところによれば、地方公共団体の長及びその議会の議員の選挙の権利を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定が憲法一五条一項、九三条二項に違反するものということはできず、その他本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法の右各規定の解釈の誤りがあるということもできない。

所論は、地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項の各規定に憲法一四条違反があり、そうでないとしても本件各決定を維持すべきものとした原審の判断に憲法一四条及び右各法令の解釈の誤りがある旨の主張をもしているところ、右主張は、いずれも実質において憲法一五条一項、九三条二項の解釈の誤りをいうに帰するものであって、右主張に理由がないことは既に述べたとおりである。

以上によれば、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。[2]

URL:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%96%E5%9B%BD%E4%BA%BA%E5%9C%B0%E6%96%B9%E5%8F%82%E6%94%BF%E6%A8%A9%E8%A3%81%E5%88%A4



画像参議院議員 山谷えり子 国会での活動報告詳細 2010年6月16日

【質問主意書】一問一答形式(5月27日提出、政府答弁書6月4日)
・永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書
(内閣参質174第77号)
(平成22年5月27日提出、政府答弁書6月4日)

 民主党は党の「政策集インデックス二○○九」の中で「永住外国人の地方選挙権」について明記するとともに、同党の小沢幹事長が「これは政府としてきちっと対応すべき問題だ」と発言するなど、永住外国人に対して地方参政権を付与することに積極的である。
 永住外国人は本国への忠誠義務を負っており、いざその本国とわが国との間で紛争が起こると、彼らは本国への思いを優先するであろう。こうした日本の安全保障に責任を持たない人たちに地方参政権を与えることは最終的に国の根幹を揺るがすことにもなりかねないと危惧する。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 外国人に参政権を付与することは憲法違反であると考えるが、憲法第十五条第一項及び第九十三条第二項の規定の政府解釈を示されたい。

(政府答弁)
一について
憲法第十五条第一項及び第九十三条第二項の規定の趣旨については、最高裁判所平成七年二月二十八日判決において、「憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」と判示されており、政府も同様に考えているところである。


二 長崎県対馬市議会及び沖縄県与那国町議会が相次いで永住外国人に地方参政権を付与することに反対する意見書を採択した。いずれも国防の要となる島である。対馬については、韓国資本が自衛隊施設の隣接地や旧日本軍の軍港等を相次いで買収している。また、与那国島については、中国及び台湾との最前線という重要な位置を占め、その安全保障上の危機から島民が自衛隊誘致の声を上げるほどであり、昨年八月の町長選挙では誘致賛成派の現職町長が百三票差で辛勝した。
 いずれも、もし永住外国人が大挙して移住すれば、選挙によって島を実質的に支配する恐れもあり、わが国の安全保障を左右する危険がないとは言えない。
 先般、私が「防衛上の重要拠点における外国資本進出に関する質問主意書」(第一七三回国会質問第二二号)の中で「外国人土地法」の活用について質したのに対し、政府は同質問に対する答弁書(内閣参質一七三第二二号。平成二十一年十一月二十日閣議決定)の中で「外国人等による自衛隊施設の周辺の土地の買収が部隊等の適切な運営に支障を及ぼしているとは認識していない」と答弁した。しかし、今回の対馬市議会及び与那国町議会における永住外国人への地方参政権付与反対の意見書の採択は対馬及び与那国と政府の認識との間に大きな乖離があることを意味すると考えるが、これについて政府の見解を示されたい。

三 本年四月二十日現在、三十五都道府県議会が永住外国人への地方参政権付与に反対する決議を採択している。かつて賛成だった地方自治体も反対に回っている。政府はこうした地方自治体の動きをどう考えるか。

四 多くの地方自治体において反対の意見が高まっているにもかかわらず、政府与党が永住外国人への地方参政権付与を推進しようとする意図は何か明らかにされたい。

(政府答弁)
二から四までについて
永住外国人への地方参政権の付与の問題については、我が国の制度の根幹にかかわる重要な問題であることから、我が国の国境付近に位置している対馬市や与那国町においては地理的な環境から住民に不安を与えるとの認識があるなど、地方公共団体においても多くの意見があることは政府としても十分に理解しており、こうした関係各方面の意見も十分に踏まえつつ対応する必要がある。


《後略》

URL:http://www.yamatani-eriko.com/i-info/inf/inf.cgi?cm=2&mode=detail&year=2010&no=128



画像「政治的配慮あった」外国人参政権判決の園部元最高裁判事が衝撃告白 2010.2.19 00:18

 平成7年の最高裁判決が永住外国人への地方参政権(選挙権)付与に関し、判例拘束力のない「傍論」部分で「憲法上禁止されていない」との判断を示した問題で、判決に加わった園部逸夫元最高裁判事は18日までに産経新聞に対し、「(在日韓国・朝鮮人を)なだめる意味があった。政治的配慮があった」と明言した。さらに判決に際し、地方参政権付与の対象者について「(在日韓国・朝鮮人ら)非常に限られた永住者に限定する」ことを想定したとし、民主党などが「一般永住者」にも与えようと検討していることを「ありえない」と批判した。

 園部氏が判決の背景として、「政治的配慮」に言及したことは、最高裁判決の当事者としては極めて異例の発言といえる。

 判決は特別永住者に限らず、経済的基盤を日本に持ち10年以上在留など一定要件を満たせば得られる「一般永住者」についても、参政権を付与する案の根拠とされている。この点について園部氏は「(一般永住者に)選挙権を即、与えることは全然考えていなかった」と語った。同法案を政府提出とすることにも「賛成できない」と表明した。

 判決理由については、「憲法の地方自治の本旨に従って、特定地域と非常に密接な関係のある永住者に、非常に制限的に選挙権を与えることが望ましいと判断した」と証言。歴史的経緯があり、何世代にもわたり日本国内に在留する韓国人、朝鮮人、台湾人に限り、住み続けている地域に限定して地方参政権を付与することは、「全く憲法違反だとは言い切れないという判断だった」という。

 園部氏は当時の判決について「金科玉条で一切動かせないとは考えていない」と述べ、時代の変化に合わせ見直すことも可能だとした。

 ■外国人地方参政権に関する最高裁判決 永住外国人に地方参政権を認めない公選法などの規定は、住民自治を定めた憲法に違反すると、在日韓国人9人が起こした訴訟の上告審で最高裁第3小法廷は平成7年2月、「憲法上、わが国に在留する外国人に対し、選挙の権利を保障したものではない」とした一審判決を支持し、原告の請求を棄却した。ただ、判決理由の判例拘束力のない「傍論」部分で「永住外国人に対し、地方レベルの参政権を法律をもって認めることは憲法上禁止されていない」との判断も示し、地方参政権付与推進派を勢いづかせた。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100219/plc1002190020000-n1.htm



画像北沢防衛相が外国人参政権に慎重姿勢 「予断を与えてはいけない」と賛成表明から転換 2010.2.12 11:44

 北沢俊美防衛相は12日午前の記者会見で、永住外国人に対する地方参政権(選挙権)付与法案について「対立の中でことが決まるような性格ではない。やや議論が未成熟ではないかという気がする」と述べ、慎重な姿勢を示した。

 北沢氏は先の衆院予算委員会で、法案に賛成する考えを表明していただだけに軌道修正した格好。北沢氏は「心情的なことを予算委員会で申したが、これから議論を行っていく上で、防衛相として賛否など積極的にモノを言うことは控えていきたい。予断を与えることになってはいけない」とし、賛否を“封印”した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100212/plc1002121144008-n1.htm



画像外国人参政権 枝野行政刷新相「傍論でも最高裁の見解」配信元:2010/03/05 21:22更新

 法令解釈を担当する枝野幸男行政刷新担当相は5日の参院予算委員会で、永住外国人への地方参政権(選挙権)付与に関し、平成7年の最高裁判決が判例拘束力のない「傍論」部分で「憲法上禁止されていない」との判断を示したことについて、「傍論といえども最高裁の見解なのは間違いない。行政府で(傍論と)異なる見解をとることは憲法に照らして許されない」と述べた。

 ただ枝野氏は、この最高裁判決に加わった園部逸夫元最高裁判事が産経新聞の取材に「(同判決には在日韓国・朝鮮人を)なだめる意味があった。政治的配慮があった」ことを明らかにした点について「最高裁判事は法と事実と良心に基づいて判決をしているのであって、政治的配慮に基づいて判決したのは最高裁判事としてあるまじき行為だ」と批判した。

 問題の判決は本論で外国人参政権を否定しながら、主文と関係のない傍論部分で「国の立法政策に委ねられている」とした。永住外国人に地方参政権を与えようという動きは、これを機に強まった経緯がある。

 一方、鳩山由紀夫首相は参院予算委で、地方参政権付与について「憲法違反では必ずしもない」と改めて主張し、「世界の20カ国以上が認めている。そういった国が滅びる方向に向かっているのか検証する必要がある」と述べた。地方参政権付与に反対する国民新党代表の亀井静香郵政改革・金融相は「首相が積極的にやろうとしているわけではない」と、首相を牽制(けんせい)した。

URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/365418/



画像「法案は明らかに違憲」 外国人参政権の理論的支柱が自説を撤回 2010.1.28 21:47

 外国人に地方参政権を付与できるとする参政権の「部分的許容説」を日本で最初に紹介した長尾一紘(かずひろ)中央大教授(憲法学)は28日までに産経新聞の取材に応じ、政府が今国会提出を検討中の参政権(選挙権)付与法案について「明らかに違憲。鳩山由紀夫首相が提唱する東アジア共同体、地域主権とパックの国家解体に向かう危険な法案だ」と語った。長尾氏は法案推進派の理論的支柱であり、その研究は「参政権付与を講ずる措置は憲法上禁止されていない」とした平成7年の最高裁判決の「傍論」部分にも影響を与えた。だが、長尾氏は現在、反省しているという。

[長尾教授インタビュー詳報]「読みが浅かった」
 長尾氏はドイツにおける部分的許容説に影響を受け、昭和63年に論文「外国人の人権-選挙権を中心として」を発表。「地方議会選挙において、外国人に選挙権を認めることに、憲法上特段の障害は存在しない」と主張し、「部分的許容説は合憲」との立場をとった。ただ、当時から「政策論としての(参政権)導入には大反対だった」という。

 昨年9月に民主党政権が誕生し、外国人への地方選挙付与が現実味を帯びたことで、長尾氏は自説に疑義を抱き始めた。政治思想史の文献を読み直し、昨年12月の段階で、理論的にも状況の変化という理由からも、「部分的許容説は維持できない。違憲である」との結論に達した。

また、昨年2月、韓国での在外選挙権法成立で、在日韓国人が本国で国政参政権を行使できるようになり、状況は一変したと考えた。長尾氏は「現実の要素が法解釈に影響を与える『立法事実の原則』からも、部分的許容説はもはや誤りである」と語る。自身が学説を紹介したことで外国人参政権付与が勢いづいたことに関しては「私の読みが浅かった。慚愧(ざんき)に堪えない」と述べた。

 さらに、焦点は「在日韓国人問題から中国人問題に移る」との認識を表明。政府が法案提出を検討していることについては、「とんでもない。国家解体に向かう最大限に危険な法律を制定しようというのは、単なる憲法違反では済まない」と警鐘を鳴らした。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100128/plc1001282149019-n1.htm

この記事へのコメント

  • クマのプータロー

    判決文で司法取引をしているようなものですね。起訴便宜主義といい、件の判決文といい、解りづらい。
    2015年08月10日 16:48

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