剛腕の思惑と「不起訴不当」

 
「代表経験者の鳩山(由紀夫前首相)さん、岡田(克也外相)さん、前原(誠司国土交通相)さんにはお会いをし、今、小沢さんにもお目にかかりたいということで、事務方に調整をしてもらっていると、そういう状況です・・・今までお会いした鳩山さんはじめ、代表経験者の皆さんにもまず、この選挙の結果について、私の消費税に関する発言などで大変、重い選挙になったということについて、おわびを含めた報告をし、そういった中でこれからもしっかりやってきたいということを申し上げ、それぞれの皆さんからいろんなご意見をいただきました。小沢さんにお会いできれば、他の代表経験者と同じような形で、選挙についての、報告というか、消費税については同じような形で申し上げたいと、こう思っています」
菅首相 於:14日夕、首相官邸

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空き菅@けものへん殿は、今になって剛腕殿に会いたいなどという。今更会って何をしようというのか。お詫びをして済む時期はとうに過ぎていると思うのだけれど、それでも、お詫びをするようだ。

だけど、その裏にはなんらかの取引があると見る。

それが何かを述べる前に、剛腕殿からみて、現状はどう映っているかについて、少し考えてみたい。

以前「菅執行部の小沢切りは本物か」のエントリーで、参院選と9月の代表選の勝ち負けの結果をマトリックスにして、それぞれのケースについての政局読みをしたけれど、参院選で負けてしまった以上、ケース3,4の剛腕殿にとってのセカンド・ベストかセカンド・ワーストのどちらかの選択しかなくなってしまった。

ただ、参院選での負け方が酷すぎるものだから、かえって、剛腕殿は代表選に向けて、色々と揺さぶりを掛けることが可能になった。考えられる剛腕殿の揺さぶりは次の3つ。
1.公明党と昔の一一ラインを介して水面下での連携ができるよう画策する
2.党を割って、自民との大連立に動く
3.9月の代表選に、剛腕派の人物を立てると同時に、代表選以降の政権運営のために、他党との連立交渉に動く

1.であれば、空き菅@けものへん政権は維持されるし、2であれば政界再編、3だと小沢院政になる。つまり、剛腕殿が、空き菅@けものへん政権の安定もしくは破壊の鍵を握ることで、自分の主張を通すことが出来るようになったということ。

選挙期間中に、剛腕殿が自民党の古賀誠元幹事長や、森喜朗元首相周辺とも接触したという噂が永田町を駆け巡ったというから、民主党の現執行部も気が気ではないだろう。勿論デマの可能性もあるのだけれど、そこはそれ、相手が剛腕殿。「噂」だけで民主党の執行部は浮き足立つ。

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空き菅@けものへん殿にとって、1と2および3とでは、自身の処遇は大きく変わる。「連立組替えとキャスティングボート」のエントリーで触れたように、公明党は現民主党政権に拒否反応が強いから、空き菅@けものへん殿を含めた現執行部の首を要求するものと思われる。当然、空き菅@けものへん殿も辞任を余儀なくされる。できれば1はやりたくない。

それに対して、2の自民との大連立はどうかというと、こちらの方がまだ脈がある。うまくすれば、自分が首相を辞めなくても良くなる可能性が残されている。

空き菅@けものへん殿が剛腕殿に会えたと仮定しての話になるのだけれど、空き菅@けものへん殿は、執行部を再び剛腕派で固める約束をして、代表選は無投票再選もしくはそれに近い形にして首相の座を守りつつ、剛腕殿経由で自民との大連立をお願いする可能性がある。または、自分が辞めなくてもよいという条件であれば、公明党との連立も可能だ、と依頼するのではないか。

空き菅@けものへん殿の「抱きつきお化け」は、自民党にだけではなかった。剛腕殿にも抱きついて急場を凌ぐ。これなら辞めなくてもいい。

だけど、この案のポイントは、剛腕殿がそんなことを受けるかどうかということ。溜池通信のかんべえ氏によると、2年前、剛腕殿が民主党代表だったときに、時の福田政権との大連立を潰したのは、空き菅@けものへん殿自身だったらしい(7/14記事)。それなのに、自分が苦しくなると、途端に、連立に力を貸してくれなんてのは、虫がいいにも程がある。

ということで、剛腕殿は、3のシナリオを念頭においているものと予想する。

だけど、そこで、空き菅@けものへん殿は、更なる取引材料を出してくると見る。



空き菅@けものへん殿が出してくる取引材料とは何か。ひとつ考えられるのは、検察審査会の2回目の議決を、9月の代表選以降に、圧力を掛けて伸ばすこと。

検察審査員の任期は6ヶ月で、3ヶ月ごとに半数が交替する。任期は以下のとおり
1群 任期  2月1日 ~  7月31日
2群 任期  5月1日 ~ 10月31日
3群 任期  8月1日 ~  1月31日
4群 任期 11月1日 ~  4月30日

前回の「強制起訴」は4月27日に出されているから、そのときの審査員の半分は5月に入れ替わっていて、残りの半分も8月に入れ替わる。

だから、2回目の審議を9月に伸ばすことができれば、検察審査員全員が新しい人で行われることになる。

すっかり入れ替わった審査員で審議すれば、もしかしたら、前回とは違って「起訴相当」にはならないかもしれない。それをチラつかせながら、協力を迫るのではないか。

というのも、剛腕殿の平成19年の政治資金規正法違反容疑を審査していた、東京第1検察審査会は、15日に「不起訴不当」と議決した。これは、平成16、17年分について最も重い「起訴相当」の議決を4月に出した東京第5検察審査会とは一段軽い議決で、強制起訴は行われない。

だけど、第1検審の議決書の要旨は第5検審の倍のA4版用紙6枚にわたり、剛腕殿にとってより厳しく踏み込んだ部分もあるのだけれど、第5検審より軽い判断となった。その理由は不明とされている。

議決書の内容がより厳しいにも関わらず、何故、一段軽い処分なのか。ここに何らかのメッセージがこめられていると見てもおかしくない。審査員が変わると議決も変わる可能性がある、というのは無視できない。

即ち、「自分に会わないのなら、どうなっても知らないよ」と。


明日が最終回です。



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画像首相、小沢氏と近く会談の意向 2010.7.13 19:35

 菅直人首相は13日夜、首相官邸で記者団に対し、民主党の小沢一郎前幹事長について、「お会いしたいということで、事務方を通して要請している」と述べ、近く会談する意向を示した。

 首相は13日、参院選の大敗を受けて、鳩山由紀夫前首相や前原誠司国土交通相ら歴代の党代表経験者と党本部で会談しているが、小沢氏とは会談していない。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100713/plc1007131935020-n1.htm



画像【菅ぶら下がり】消費税発言「小沢さんにもおわび」(14日) (2/3ページ) 2010.7.14 20:39

 【小沢前幹事長と挙党態勢】

 --昨日、小沢前幹事長との会談を調整していると言っていたが、日程は決まったのか。選挙前、小沢前幹事長に対して「しばらくは静かにしていただいた方が」と言っていた。その思いは変わらないまま、挙党一致態勢を築く必要がある現局面では協力を求めるつもりか

 「代表経験者の鳩山(由紀夫前首相)さん、岡田(克也外相)さん、前原(誠司国土交通相)さんにはお会いをし、今、小沢さんにもお目にかかりたいということで、事務方に調整をしてもらっていると、そういう状況です」


 --どういった話をする予定か。協力を求められる以前に「しばらくは静かにしていただいた方が」と言っていたのに、協力を求めるのか

 「今までお会いした鳩山さんはじめ、代表経験者の皆さんにもまず、この選挙の結果について、私の消費税に関する発言などで大変、重い選挙になったということについて、おわびを含めた報告をし、そういった中でこれからもしっかりやってきたいということを申し上げ、それぞれの皆さんからいろんなご意見をいただきました。小沢さんにお会いできれば、他の代表経験者と同じような形で、選挙についての、報告というか、消費税については同じような形で申し上げたいと、こう思っています」

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100714/plc1007142040010-n2.htm



画像選挙:参院選 民主大敗 首相、八方ふさがり 会えぬ小沢氏/県連も批判/議長交代 <追跡>

 続投に向けた環境を整えようと動く菅直人首相。14日に会ったのは、内閣特別顧問を兼務する稲盛和夫日航会長と連合の古賀伸明会長だった。いずれも民主党の小沢一郎前幹事長とパイプがある人物だ。

 「大変重い選挙を連合のみなさんにさせることになり、申し訳なかった」

 午後、連合本部に足を運んだ首相は、自らの消費税発言が混乱を招いたことを古賀氏に陳謝し、他党との連立について「そんなに簡単ではない」と弱気を見せた。

 これに先立ち、首相は「大至急会いたい」と稲盛氏を呼び出し、「小沢さんと会える日時が決まっていない」と漏らした。14日夕、首相は記者団に、小沢氏と会えたらおわびをしたい、との考えを示している。稲盛、古賀両氏との会談には、反執行部的な言動を隠さない小沢氏に、「反省」が伝わることを期待する意図もあったようだ。

 それでも、小沢氏への秋波は首相の片思いにとどまっている。民主党の松木謙公国対筆頭副委員長は14日のBS11の収録で、9月の党代表選について「(菅首相と)戦いたい。小沢氏に出てもらいたい」と語った。首相周辺はこの日夜、「小沢さんにひよったら支持率が下がる。ひよってはいけない」と述べ、小沢氏との関係修復を図ろうとする首相の姿勢を懸念した。

 そうした中、民主党執行部は14日、地方組織の「ガス抜き」を狙って党本部に各都道府県連代表を呼び、意見聴取を始めた。

 しかし、執行部批判は初日から噴出した。枝野幸男幹事長、安住淳選対委員長と向き合った、小沢氏に近い石川県連の一川保夫代表は「(首相が小沢氏に)静かにしとれと言い、同時に民主党に期待していた人も静かになってしまった」と党執行部の「脱小沢」方針を強烈に皮肉った。

 高知県連の武内則男代表からは「首相の消費税発言で非常に苦労した」と詰問され、安住氏が「統一的な事前の準備がないまま選挙戦に突入してしまった」と謝る場面もあった。会談後、武内氏は記者団に「(執行部は)自浄能力を含めてしっかりとけじめをつけていただきたい」と息巻いた。

 参院選では首相の消費税発言が「1人区」を直撃した。地方の不満は直接首相に向かう。14日の党政調役員会では、副会長の平野達男参院議員(岩手選挙区)が「マニフェストの修正が信任されたのか」と突き上げ、政調でも「参院選大敗」を総括することが決まった。

 政権の弱体ぶりは参院議長人事にも表れた。民主党は、江田五月参院議長を交代させる。6月の通常国会で菅首相の問責決議案などを処理せず閉会した江田氏に野党の不満が募っているためだ。が、あの手この手の野党への連携呼びかけはまだ功を奏していない。【野口武則、影山哲也】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100715ddm002010051000c.html



画像【小沢氏「不起訴不当」】「検察は追及不足」検察審査会、起訴促す 2010.7.15 22:07

民主党の小沢前幹事長を「不起訴不当」とする検察審査会の議決書を掲示する関係者=15日午後、東京・霞が関 民主党の小沢一郎前幹事長について、平成19年の政治資金規正法違反容疑で審査し「不起訴不当」と議決した東京第1検察審査会。16、17年分について最も重い「起訴相当」の議決を出した東京第5検察審査会よりも一段階軽い判断だったが、第5検審と同様に「公開の場で事実関係が論じられることが、同法を実効的に発展させていく」と言及し、検察側に再捜査で起訴することを促している。

 東京地検特捜部は2月、陸山会が16年10月に東京都世田谷区の土地を購入した際、土地代金の原資として小沢氏から借りた4億円を収入として政治資金収支報告書に記載せず、土地代金約3億4千万円の支出も記載しなかったなどとして、元私設秘書で衆院議員の石川知裕被告(37)らを起訴した。

 起訴状によると、元私設秘書の池田光智被告(32)は、17年1月に土地購入を装って同年の収支報告書に土地代金を支出として記載。19年に元公設第1秘書の大久保隆規被告(49)と共謀し、借入金の返済名目で小沢氏に支出した4億円を収支報告書に記載しなかったなどとされる。

 第1、第5両検審は小沢氏と元秘書3人が共謀したかを審査した。第1検審の議決書の要旨は第5検審の倍のA4版用紙6枚にわたり、小沢氏にとってより厳しく踏み込んだ部分もあったが、第5検審より軽い判断になった理由は不明だ。

 第5検審が「直接証拠」とした石川被告の供述について、第1検審は「不記載の理由、不記載について報告して了承を得た」と報告内容にまで言及し、「信用性は相当高い」とした。

 検察側はこの供述について「具体的でなく、小沢氏がどこまで石川被告の説明を理解していたのかも定かではない」と信用性に疑念を抱き、小沢氏不起訴の一つの論拠にした。しかし、第1検審は「上下関係を考えれば、小沢氏が理解していることを確かめながら報告して了承を求めるはず」と指摘した。

 石川被告が土地購入直後に別の4億円で定期預金を組み、これを担保に同額の融資を受けた点には「原資隠蔽(いんぺい)以外にあり得ない。小沢氏も同じ動機を共有したという根拠になりうる」とした。

 19年分の収支報告書不記載については、小沢氏自ら現金で4億円の返済を受けている点などを挙げ、「秘書に任せていた」という弁解は「不自然」と指摘。小沢氏への聴取が3回だったことについても「追及不足」と批判している。

URL:http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100715/crm1007152210037-n1.htm



画像検察審査会 [ 2006年10月17日 更新]

● 検察審査会とは?
選挙権を有する国民の中から「くじ」で選ばれた11人の検察審査員が、一般の国民を代表して、検察官が被疑者(犯罪の嫌疑を受けている者)を裁判にかけなかったこと(不起訴処分)のよしあしを審査するのを主な仕事とするところです。
これまでに検察審査員及び補充員(検察審査員に欠員ができたときなどに、これに代わって検察審査員の仕事をする人)として選ばれた人は約51万人にもなり、多くの人たちが国民の代表として活躍しています。


検察審査員は一般の人から選ばれています
検察審査員は選挙権を有する国民の中から「くじ」で選ばれます。
具体的には、市町村の選挙管理委員会が選挙人名簿の中から「くじ」で検察審査員候補予定者を選び、一定の職務に就いている人などを除いた後、更に「くじ」で検察審査員候補者を選びます。そして最後に、検察審査会事務局長が「くじ」で11人の検察審査員を選びます。


○検査審査員の任期は?

検察審査員・補充員の任期は6ヶ月で、3ヶ月ごとに半数交替となります。
1群 任期  2月1日 ~  7月31日
2群 任期  5月1日 ~ 10月31日
3群 任期  8月1日 ~  1月31日
4群 任期 11月1日 ~  4月30日

URL:http://www.city.matsumoto.nagano.jp/buka/senkyojimukyoku/kensatusinnsakai/index.html

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