半島の緊張は正雲の練習台にしか過ぎない(韓国哨戒艦沈没事件の深層 後編)

 
仮に、魚雷攻撃が北朝鮮のものであったとして、では、なぜそんな危険な真似をしたのか。

画像


ただの憶測に過ぎないのだけれど、これには、金正日の後継者問題が絡んでいる、と見る。

金正日の後継者の候補には、長男・正男氏、次男・正哲氏、三男・正雲氏の3人があげられるのだけれど、今のところ、三男・正雲が後継者ではないか、と見られている。

昨年の6月に、韓国の親北朝鮮系雑誌「民族21」が金正日総書記の後継者は三男、正雲氏と断定しているし、「人民日報」系の中国紙「環球時報」でも、北朝鮮駐在のある国の大使が、後継者に三男の正雲氏が就くのは「確実な情報だ」と述べたと伝えている。

そして、現在は、正雲氏を後継とする体制づくりを急ピッチで進めていると言われている。

まぁ、もちろん、あの国のことだから、確かなことは分からない。

だけど、少なくとも、金正日の年齢を考えると後継者を選んでおかなければならない事は確か。

では、どうするのか。

画像


北朝鮮で総書記になるためには、がっちりを権力を握り、軍を掌握して、彼らに忠誠を誓わせなくちゃいけない。頼りない指導者では、クーデターに遭って暗殺される恐れがある。

今の金正日にしても、後継者となる迄には、金日成と金聖愛との間にできた金平一との間に激しい権力闘争があったと言われている。

だから、金正雲氏にしても、後継者として国内で認められるためには、金正日並みに瀬戸際外交に長け、アメリカ、韓国、日本を手玉にとれる力量があることを見せつけておく必要がある。

もしかしたら、例の魚雷攻撃も、そのためのいわば「実地訓練」として起こしたのではないか。

韓国の哨戒艦を攻撃・沈没させれば、当然、戦争再開の危機が高まる。

そんな状況で「金正雲氏」が自ら陣頭指揮を取って、韓国に工作して、中国と話を付け、瀬戸際外交を仕切ることで、成功をおさめたとしたら、周りも正当後継者として認めざるを得なくなる。

普通に考えると、その為に、戦争を起こしかねない魚雷攻撃という危険な賭けは、到底できない筈なのだけれど、おそらく、金正日は、オバマ大統領は、単独で北朝鮮を攻撃する気はないと見切っていたのだろうと思われる。

オバマ大統領は、在韓米軍への被害を覚悟してでも、北朝鮮を攻撃するなんて出来るはずがない。きっと国連安保理にかけて、ささやかな制裁をする程度が精一杯。それすら、中国に反対してもらえば採択することすらできまい。そんな舐めきった読みがあったのだろうと思う。

そして、現実はその通りになっている。

画像


もし、この推測が本当なのであれば、金正日は、韓国統一地方選での工作活動を含めた、瀬戸際外交のやり方一切を、帝王学として、正雲氏に教えたのではないかと思われる。

半島に緊張を作りだし、それを、正雲氏に指揮を取らせて、かつ北朝鮮に有利に事を運んでみせる。それを北朝鮮内の側近や軍部に見せつけることで、正雲氏を後継者として認めさせ、忠誠を誓わせた上で権力の移譲を図ったのではないか。

つまり、魚雷攻撃とその後の瀬戸際外交を含めた一連の緊張状態は、最初から予定されていたもので、この状況そのものが、正雲氏が後継者となるためのテストであると同時に、実地訓練にもなっていたということ。

北朝鮮から見れば、哨戒船沈没事件から、慌てふためいている韓国含めた周辺諸国は、正雲氏の後継者テストの練習台、刺身のツマだったのではないか。無論、日本もその中の駒の一つだったと思われる。

今日あたりになって、安保理の北朝鮮非難文書作成の交渉に中国が参加していることが報じられ、時を同じくして、北朝鮮の朝鮮労働党の機関紙に、後継移行を暗示するとされる「党中央」という表現が登場したという。

もしかしたら、既に正雲氏は、この一連のテストに合格して、北朝鮮内部で後継者認定されたかもしれない。

画像

画像 ←人気ブログランキングへ


画像後継者争い再び 三つどもえの争いに

金正日総書記の健康悪化説が浮上する中、“ポスト金正日”をめぐる動きが再び活発化していることが分かった。

金総書記には故・成恵琳夫人(2002年死亡)が母の長男・正男氏(36)、高英姫夫人(04年死亡)との間にもうけた二男・正哲氏(26)、三男・正雲氏(23)の3人の息子がいる。消息筋によると、このうち有力候補と目される正哲氏と正雲氏が最近、金総書記の軍部隊視察をはじめ公式行事に頻繁に姿を現している。2人は高英姫夫人の死後、公式行事から遠のいており、最近の動きは後継者と関連があるとして注目を集めている。正哲氏は01~06年4月、正雲氏は02~07年4月、軍の幹部養成機関である「金日成軍事総合大学特別班」で秘密裏に軍事について学び、英才教育を受けたと伝えられている。

一方、01年の日本への密入国騒動で後継者争いから脱落したかに思われた正男氏も、依然として候補とみられている。何よりも、封建的な儒教思想が強い北朝鮮で跡継ぎの第一条件である「長男」であることは大きい。中国との関係が良好なことも好材料の一つだ。金日成総合大学の教授だった対外経済政策研究院の趙ミョンチョル博士は「正哲氏、正雲氏が名実ともに後継者として指名されるには、正男氏を武力で制圧してからでないと不可能」と話す。

さらに、金総書記の元秘書で4人目の夫人となった金オク女史(42)が新勢力として浮上。金オク女史はファーストレディーとしての地位を守るため、後継者の指名を遅らせるよう金総書記に働きかけているほか、側近を要職に登用して勢力拡大を図っているという。

URL:http://nna.jp/free/mujin/focus/07/0530a.html



画像■[北朝鮮]金総書記の三男・正雲氏、国防委指導員に任命か

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090426-00000606-yom-int

 【ソウル=浅野好春】聯合ニュースは26日、北朝鮮消息筋の話として金正日(キムジョンイル)総書記(67)の三男、正雲(ジョンウン)氏(26)が国防委員会の末端職の指導員に任命されたと伝えた。

 担当業務は不明だが、金総書記の後継者としての「修業」を始めたとみられるという。

 聯合電によると、正雲氏は、9日に開かれた最高人民会議(国会)第12期第1回会議の「数日前」に指導員に任命された。国防委員会は憲法で「国家主権の最高軍事指導機関」と規定される。先の同会議でメンバーを増やして機能強化を図ったほか、金総書記の義弟の張成沢(チャンソンテク)氏が委員に就任したことから、後継者の「後見人」の役割を果たすことになるとの観測が出ていた。

 金総書記は父親の金日成(キムイルソン)主席から権力を世襲した際、労働党の指導員からスタートし、党幹部への道を歩んだ。金総書記は「先軍(軍事優先)政治」を掲げているため、正雲氏は今後、国防委の中で昇進していくと予想されるという。


■北朝鮮総書記の三男、国防委ポストに就任と 将来の指導者含みか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090426-00000017-cnn-int

ソウル(CNN) 韓国の聯合ニュースは26日、北朝鮮の金正日総書記が国家の最高権力機関ともされる国防委員会の低位のポストに三男の正雲氏(25)を就任させた、と報じた。北朝鮮情勢に詳しい消息筋の情報としている。

これによると、三男は4月9日に開かれた北朝鮮の国会にあたる第12期最高人民会議の数日前に国防委に配属された。肩書は「指導員」とされているが、担当の職務内容は不明。三男の人物像に関する情報は少ないが、スイスのインターナショナル・スクールに留学、語学に堪能ともされる。

金正日総書記は昨年夏以降、健康不安に襲われて、後継者選出が切迫した問題となっており、三男の国防委ポストの就任が正しければ、将来の指導者含みとも受け止められる。聯合ニュースは正雲氏は今後、同委の各種ポストを務め、指導者になる修業を重ねる可能性があるとも伝えた。

総書記には息子が3人おり、長男の金正男、正男氏の異母弟に当たる次男の正哲、正雲各氏となっている。

先の最高人民会議では、国防委員会の委員に総書記の義弟で、側近中の側近ともいわれる張成沢・朝鮮労働党行政部長が初めて選ばれ、委員数も倍増。国防委は、総書記後の北朝鮮の動向を決める上でこれまで以上に中心的な役割を果たすとみられていた。張氏は金総書記の実妹、金敬姫氏の夫

同会議では、1998年の憲法改正で国家最高のポストとされた国防委員長に総書記を3期連続で選んでいる。

【関連記事】

・北朝鮮に6者協議復活を促す 再処理作業再開などで米国務長官

・使用済み核燃料棒の再処理作業の開始を宣言、北朝鮮外務省

・北朝鮮企業3社の資産凍結を決定、ミサイル発射で国連制裁委

・訪朝のロシア外相が衛星打ち上げの権利支持と、北朝鮮メディア

・北朝鮮、拘束の米女性記者2人を起訴へ

張成沢は正男氏を推していると言うことだったのですが、

■北朝鮮国防委員の顔写真、異例の掲載…正男氏優位に?

http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090411/1239416297

変わってしまったんですかね。不安定化しなければ良いのですが。

URL:http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090427/1240775409



画像韓国艦沈没「非難」文書作成の交渉に中国が参加

 【ニューヨーク=吉形祐司】韓国海軍の哨戒艦沈没事件を巡る国連安全保障理事会の対応について、中国が「非難」の文言を盛り込んだ文書作成の方向で交渉に参加していることが1日、明らかになった。

 国連外交筋が明らかにした。ただ、日本や米国、韓国などとの意見の隔たりは大きい。

 交渉は、安保理常任理事国に日韓を加えた形式で進んでおり、韓国は北朝鮮への非難、北朝鮮の謝罪、事件の再発防止などを求めている。

 同筋によると、現時点での最大の対立点は、〈1〉韓国が安保理に提示した調査結果の評価〈2〉非難の対象――の2点。中国は、調査結果の「是認」に反対しており、非難の対象も北朝鮮ではなく、沈没事件そのものにするよう固執しているという。

 一方、交渉は、安保理の対応を「決議」とするか、政治的な重みでは決議に及ばない「議長声明」とするかの議論に至っていない。拒否権を持つ中国が決議を拒絶しており、強いメッセージを発する文書を出そうとすれば、議長声明の選択を迫られそうな状況だという。

(2010年7月2日13時33分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100702-OYT1T00663.htm



画像ジョンウン氏の後継暗示?「党中央」の呼称登場

 【ソウル=前田泰広】北朝鮮の朝鮮労働党が9月に代表者会を開催することに関連し、6月30日付の党機関紙・労働新聞社説に「党中央」という表現が登場した。

 韓国内では、金正日(キムジョンイル)総書記の三男、金ジョンウン氏への後継移行を暗示する表現だとする見方が出ている。

 朝鮮中央通信によると、労働新聞は社説で、「金総書記を首班とする党中央委員会を死守し、党中央の周囲に団結しなければならない」と呼びかけた。

 「党中央」の呼称は、過去には、金総書記が父の金日成(キムイルソン)主席の後継に内定した1974年以降、金総書記を指すコードネームとして使用されてきた。

 しかし、今回の労働新聞社説は、一つの文章中で、金総書記自身と並立する形で「党中央」の記載が登場しており、韓国の専門家が、ジョンウン氏を指すものだと見る根拠となっている。

(2010年7月2日18時23分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20100702-OYT1T01022.htm

この記事へのコメント

  • eva

    いつもとても興味深い記事の掲載をありがとうございます。
    韓国哨戒艦沈没事件については北朝の魚雷攻撃は米潜水艦に向けてのもので
    その爆発の衝撃で韓国哨戒艦が沈没したという話(宇田川敬介氏説)もあり
    ます。そうなるとその後の動きの状況(韓国政府、クリントン女史他)もまた
    ちょっと違った観点で見れるかと思いますのでお時間ある時にご確認ください。
    2015年08月10日 16:48

この記事へのトラックバック