子供達を責めないで
子供手当がぐだぐだになっている。
7月31日に、政府は、平成23年度予算編成で「子ども手当」の支給額について、現在の月額1万3千円からの上乗せを断念する検討に入ったようだ。
しかもその理由が、今年度2兆2554億円だった支給総額が、来年度には約2・7兆円に膨らむことも背景にあるのだという。
何故、来年度の子供手当支給総額が増えるかというと、子供の数が増えるため。
だけど、元々子供手当の主旨は、子どもの健やかな育ちを社会全体で応援するというものだった筈。それが子供が増えたという理由で、支給額が当初の半額のまま据え置きになる、ということは、子供が増えることは是とされていない、ということを意味する。ロジック的にはそうなる。
子供を大切にするための制度の筈なのに、子供の増加が足枷とされてしまう。これは、矛盾していないか。
尤も、国民の側も、子供手当そのもののの満額支給を求めているというよりは、子供を育てられる環境そのものを希望している。
勝間和代さんらが共同代表を務める「にっぽん子育て応援団」が5月に纏めたアンケートによると、2011年度以降の子ども手当について満額支給(月額2万6千円)に賛成する人は25%しかなくて、残りの75%は、待機児童を解消するための保育所増設などサービスの充実を求めている。現金支給はばらまきで安直というのが、その理由のようだ。
確かに、金だけばらまいておけばいいだろう、なんて考えは安直に過ぎる。保育所や待機児童の数だって、都市部と地方とでは、まるで違う。
この間の参院選での民主党のマニフェストでは、子ども手当については「地域の実情に応じて、現物サービスにも代えられる」として待機児童の解消などに活用するようなことが書いてあったようだけれど、これなんかも後手を踏んでいる。
本当に子育てを支援したいのであれば、まず現状の子育てがどうなっているかの調査があってしかるべきであって、待機児童の解消の問題なんかは、とうの昔に調べがついて、対策が決まっていなくちゃいけないこと。
それを今頃になって、慌てて言い出すようでは、どこまで本気で考えていたのか怪しいもの。
内閣府が4月29日に発表した調査結果によると、子ども手当の使い道は、「貯蓄」が48・2%。次いで、「日常の生活費に補てん」が11・4%。そして「保育費」10・8%、「習い事などの費用」9・8%と続いている。
やっとのことで今年から支給を始めた子供手当の半分は貯金に回って、その次の使い道が「日常の生活費に補填」。まぁ、貯金の中身は、子どもの将来のためが殆どとはいうものの、貯金と生活費の補填で、子供手当の使い道の6割近くを占める現状を見る限り、子供手当が、本来の趣旨の為に使われているとは言い難い。
これではもう、主旨と制度との間に、齟齬があるというべきであって、根本から考え直すべきだと思われる。
子育てを社会全体で応援するという割に、その子供手当の使い道は親に全て任せている。この時点で、社会全体で応援という主旨から、矛盾しているのではないかと思う。
社会全体で応援するのなら、それこそ、保育所又は、民間の保育施設などを大幅に拡充して、待機児童を減らすほうがよっぽど納得できる。
まぁ、子供は幼稚で、礼儀知らずで、気分屋で、甘やかすとつけあがり、放ったらかすと悪のりすることがあるけれど、この世の中から子供がひとりもいなくなって、大人だけの世の中になってしまったら、やがてその社会は滅亡してしまう。
今の子供手当の制度のまま突っ走っても、国と地方の財政が逼迫していくばかりで、やがて立ちいかなくなることは目に見えている。抜本的な見直しを求む。
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子ども手当「上乗せ断念」 来年も1万3千円、追加財源確保は困難 2010.8.1 01:30
政府は31日、平成23年度予算編成の焦点である「子ども手当」の支給額について、現在の月額1万3千円からの上乗せを断念する方向で検討に入った。「今年度限りの暫定措置」と説明していた地方自治体や企業による財源負担も継続する。国の財政が厳しく、追加財源確保が困難と判断した。「23年度以降は月額2万6千円」としていた昨年夏の政権公約(マニフェスト)の度重なる方針転換には批判が必至で、今後の調整は難航が予想される。
政府が支給額を月1万3千円にとどめる検討に入ったのは、今年度2兆2554億円もかかった支給総額が、一時的な子供の数の増加で、来年度は約2・7兆円に膨らむこともある。
子ども手当を上積みするには、月額1千円アップするごとに約2千億円の財源が必要。厚生労働省の予算全体が大幅増の見込みの中、子ども手当の予算をさらに獲得することは極めて難しいと判断している。
民主党の参院選マニフェストでは、子ども手当について「地域の実情に応じて、現物サービスにも代えられる」として待機児童の解消などに活用する考えを打ち出した。政府としてはこうした保育サービスを拡充させることで、国民の理解を求めたい考えだ。
一方、「全額国庫負担」との従来方針を翻し、財源の地方負担と企業負担を残すのも、国の予算確保にめどが立たないため。
来年度予算の概算要求基準では、子ども手当を含む社会保障費の自然増約1・3兆円分を全額認めるが、これには地方と企業による負担分は含まれていない。全額国庫負担となれば、今年度の地方分6138億円、企業分1436億円の計約7600億円の財源を新たにひねり出さなければならない。
成長戦略に充てる「元気な日本復活特別枠」は1兆円を相当程度超える額が盛り込まれる。だが、特別枠からの拠出は各府省に割り当てられた一律1割の歳出削減を超えた額の3倍までしか認められない。厚労省内では「自然増を含む年金・医療など以外から削減しなければならず、子ども手当の地方・企業負担分を確保するほどの予算削減は不可能」(同省幹部)との見方が大勢だ。
ただ、支給額の上乗せを断念した場合、所得控除の廃止分との兼ね合いで子育て世帯で負担が増えるケースが出るため、民主党内には異論もある。地方や企業の負担分も、原口一博総務相が「22年度の暫定的措置」と明言した経緯もあり、地方などとの交渉は難航が予想される。
URL:http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100801/mca1008010130001-n1.htm
「子ども手当は貯蓄」48% 教育格差助長も、内閣府調査
内閣府は29日、子ども手当支給対象の子を持つ親に使い道を聞いたところ「貯蓄」とする回答が48・2%に上ったとの調査結果を発表した。内訳は「子どもの将来のため貯蓄」43・4%、「子どものためとは限定しない貯蓄」4・8%だった。
3月成立の子ども手当法の国会審議で野党から出ていた「大半が貯蓄に回る」との指摘が裏付けられた格好。低収入世帯が生活費に回し、高収入世帯は学習塾などに当てるという“教育格差”助長の可能性も示された。
「インターネットによる子育て費用に関する調査」として昨年11月に実施された。4月下旬になるまで公表されなかったことについては「法案審議への影響を避けた」との見方も出そうだ。
貯蓄に次いで多かったのが「日常の生活費に補てん」11・4%。続いて「保育費」10・8%、「習い事などの費用」9・8%、「学校教育費」8・7%、「学校外教育費」8・6%の順だった。「家族の遊興費」1・8%と、手当の本来の趣旨に沿わない使い道を挙げる回答もあった。
2010/04/29 18:31 【共同通信】
URL:http://www.47news.jp/CN/201004/CN2010042901000607.html
子ども手当「貯蓄」が大半 習い事、塾…勝間さんは苦言 2010.6.1 11:59
1日から一部の自治体で支給が始まった子ども手当。子育て支援の一環として、歓迎する声がある一方で「本当に子供のために使われるのか」などの指摘も出ている。近畿各地で子供を持つ親25人に手当を何に使うのか聞いた。子供の教育費などに充てる計画にしていても「まずは貯蓄」との声が大半を占めた。
1歳の娘を持つ京都市中京区の団体職員の男性(29)は「銀行に専用の口座を作り、子供の将来のために貯金する。進学や結婚などで必要になったときに渡したい」という。
また、貯蓄に回すという滋賀県守山市のパート従業員の女性(48)は大学生と高校生、中学生の子供3人がいる。「手当をもらえるのは中学生の末っ子だけで、来年には卒業する。上の2人はこれから一番お金が必要。せめて高校までもらえれば」と話す。7歳の子供を持つ神戸市中央区の主婦(38)も貯蓄に。「夫のボーナスの減収が激しく、貯金がまったくできない。子供の教育に役立つものであっても使う気になれない」と悲痛な訴え。
和歌山県新宮市の公務員の男性(39)も「とりあえず貯金」だが、「来年以降も果たして継続できるのだろうか」と不安を抱く。
子供の塾費用にするという大阪府岸和田市の男性会社員(42)は「周りの子供たちは塾でも勉強するのが普通になっている」と話した。3人の子供がいる奈良県橿原市の公務員の男性(45)も「3人とも塾に通ったり、ピアノやスイミングを習ったりしているので、役立てたい」という。
大阪府吹田市の主婦(41)は「旅行などに連れて行きたい気持ちもあるが、とりあえずは生活費に消える。もちろん、子供に『子ども手当』の事は話しません」。
すでに手当を見込んで買い物をした人も。奈良市の牧師の男性(29)は「次男用のベビーカーを新調した」という。
また、2人の娘の将来のため貯金に回す予定の京都市上京区の大学職員の男性(38)は「集めた税金をただ返しているようだ。もっと効率的な税金の使い方も考えてほしい」と政府に注文をつけた。
一方、具体的な使い道を決めていないという声もある。京都市西京区のNPO代表の女性(40)は「子供としっかり相談したいのでまだ決めていない。女性が子育てをしながらでも働きやすい環境を整備していくことに税金を使うのが先ではないか」と話していた。
内閣府が4月に公表したインターネット調査や民間企業の調査でも使い道のトップは「貯蓄」。
経済評論家の勝間和代さん(41)は「子育てのためには、教育費があまりかからず、安心して働ける環境が必要」と指摘。「親の働き口と子供の預け先が確保できるよう、非正規労働者への就職支援や長時間労働の抑制、保育所整備などに財源を充てるべきだ」としている。
URL:http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/100601/wlf1006011203000-n1.htm
「満額支給に賛成」25% 勝間氏ら、子ども手当調査 2010.5.29 17:49
経済評論家の勝間和代さんらが共同代表を務める「にっぽん子育て応援団」が29日、政府の子育て施策に関するアンケート結果をまとめたところ、2011年度以降の子ども手当について満額支給(月額2万6千円)に賛成する人は25%にとどまることが分かった。
逆に、待機児童を解消するための保育所増設などサービスの充実を求める声が75%を占めた。「現金支給はばらまきで安直」などが理由。
一方、満額支給に賛成した人でも「サービスが充実する保障がないから」とする意見が多く、現行の施策に大半の人が不満を抱いている実態が浮き彫りになった。
アンケートは28日までの17日間にインターネット上で実施。主に30~40代の549人が回答した。回答者の86%が女性、88%は子どもがいる既婚者だった。
URL:http://sankei.jp.msn.com/life/education/100529/edc1005291750001-n1.htm
この記事へのコメント
あんさん
日比野
それにしても増税して子供手当て。使い道は親任せ。やはり選挙対策でしょうねぇ。
774
しかも10日ほど前に。
http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/news/20100807-OYO1T00230.htm
財源の件で絶賛グダグダ中だが、結局選挙対策のために増額するんでしょうねえ。
http://www.nhk.or.jp/news/html/20100809/t10013242691000.html