「…今、世界の大きな激動期ともいえる状況にあります。アジアの経済は大変な勢いで伸びている中で、この地域についての、より安定した形が日韓を軸に、更にはアメリカを加えて、日韓米の三ヶ国によって形成される、このことは極めて大きな意味があると思っております。そういったことも展望しながら、今回の談話を発表させていただいたわけであります。」菅首相 於:8/10記者会見
村山談話の焼き直しどころか、その補足程度にしかみえない菅談話なのだけれど、何故このタイミングで発表したのか、またする必要があったのか。
百歩譲って、この菅談話にポジティブな側面があるとすれば、日韓の連携を強化する意思があると「対外的」にアピールすることだと思われる。
これは、あくまでも日本と韓国の二国間のゴタゴタとは関係なく、日韓以外の国からみた話。
現時点で、日韓の連携が強化されるということの意味はなにか。その第一は、おそらく、対北朝鮮及び対中国に向けての外交的メッセージの意味合い。
「米中対立と碁の地政学」のエントリーで指摘したけれど、今や、米中対立が表面化して、アメリカは中国封じ込め戦略を取っていると思われる。
それは、地政学を考慮すれば、もちろんアメリカだけで行えるものではなくて、中国周辺国の協力が欠かせない。
南は、ASEAN諸国、東は日本および韓国、北はロシア、モンゴル等々の国々との連携が必要になる。
現に、ベトナム戦争を戦ったアメリカはそのベトナムにイージス艦を派遣して、軍事交流を進めようとしている。
そんな時、日本、韓国、アメリカの関係が互いにギクシャクしているように、「外から」見えるのであれば、それは、中国包囲網に穴が空いていると知らせることに他ならない。
日米韓の三ヶ国の関係を考えた場合、韓国は、李大統領が就任してから、アメリカとの関係改善に取り組んでいて、アメリカとは良好な関係にあるから、どちらかといえば、普天間問題でミソを付けた日本が、中国包囲網形成の足を引っ張っている形と見ていいだろう。
この穴を埋める為には、どうすればいいか。
そのためには、日韓、日米の関係改善の為の外交的アピールをすればいい。
その視点からみれば、先の、広島原爆記念式典にアメリカのルース駐日大使が公式訪問した事が、別の意味を持ってくる。
8月6日の広島原爆記念式典にアメリカのルース駐日大使が公式訪問して、10日に菅談話。筆者には、日米韓の三ヶ国が連携するぞ、という外交的メッセージに聞こえてならない。
本当は普天間問題を解決させたほうがずっと外交的メッセージとしては強いものがあるのだけれど、今の民主党政権では、それは難しいから、アメリカも、広島公式訪問は謝罪ではないのか、という国内からの批判を受けるリスクを負っても、このタイミングでの公式訪問を決断したのかもしれない。
空き菅@けものへん殿も、核抑止力はまだまだ必要だ、とわざわざ広島で発言している。
そして、更に、菅談話後の記者会見では、菅談話に何か戦略的な狙いがあるのか、という問いに対して、空き菅@けものへん殿は、冒頭に示したコメントを述べた。即ち、東アジアのより安定した形が日韓米の三ヶ国によって形成されるのだ、と。
「より安定した形」なんて濁した言い方をしていたけれど、要は、日米韓の連携強化を戦略的に行うということ。だから、日本もアメリカが進めている中国包囲網に参加する、という意思表示だと見る。
記者会見で、菅談話に何か戦略的な狙いがあるのか、という質問をした日経新聞にはナイス、と言っておきたい。
こうした見方は何も筆者だけではなくて、サーチナで紹介されている、中国人ブログの中もで同様の指摘がある。以下に一部引用する。
一方、ハンドルネーム索健さんは、日本の首相談話の裏側には、米国の影があると推測し、「北朝鮮と中国に対応するため、米国は同盟国同士が緊密に結びついている必要があった」と推測。続けて、「政治的目的のある菅直人首相の謝罪を軽べつする」と述べている。
一般の中国人でも、日本の首相談話の裏側には、米国の影があるなんて思っているのだから、当然中国首脳部も、同様な見方も、当然計算に入っていると考えたほうがいい。
だから、世界戦略レベルでみたら、この菅談話でさえも、その戦略に組みこまれているかもしれないという視点はあってもいいのではないかと思う。
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【中国ブログ】首相談話による韓国への謝罪、中国人の見方 2010/08/10(火) 21:00
日韓併合100年を迎えるにあたり、日本政府は10日、「痛切な反省と心からのおわび」を表明する首相談話を閣議決定した。談話では、「未来志向の日韓関係を構築していきます」とし、「植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛に対し、ここに改めて痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明いたします」と明記した。
中国でも首相談話は大きな注目を集め、メディアが取り上げる一方で、ブロガーたちも自らのブログで持論を展開している。
ブロガーの趙白云飛(ハンドルネーム)さんは、これまで何があっても謝罪しようとしなかった日本人が首相の名義で謝罪したことに驚いたと語る一方、「国内の圧力のもと、菅直人首相が韓国に謝罪したのは殊勝なことである」と評価した。続けて、日本が首相談話を発表した理由について、ブロガーは、韓国国内の反日感情に考慮し、東アジア共同体のために韓国と良好な関係を築きたかったためと推測した。
また、ハンドルネーム雷鳴さんは、「日本人が韓国に謝罪し、文化財を返還するというが、それではいつになったら日本人は中国に謝罪するのか?」と疑問を綴る。ブロガーは、現在の日中関係におけるさまざまな問題を列挙したうえで、「いつになったら日本人は問題を解決し、中国に文化財を返還するのか?」と主張し、日本は中国にも謝罪し、文化財を返還せよと述べた。
一方、ハンドルネーム索健さんは、日本の首相談話の裏側には、米国の影があると推測し、「北朝鮮と中国に対応するため、米国は同盟国同士が緊密に結びついている必要があった」と推測。続けて、「政治的目的のある菅直人首相の謝罪を軽べつする」と述べている。(編集担当:畠山栄)
URL:http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0810&f=national_0810_205.shtml
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