ホームランキャッチと抑止力

 
「自分の守ってるところから、外野フェンスまで何歩あるか全部頭に入ってる。…フェンスが気になるといいプレーができないから、フェンスの位置を歩幅で覚えてる。」
山森雅文 元・阪急ブレーブス外野手

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8月4日の横浜-広島戦で、広島の赤松がホームラン性の打球をフェンスによじ登って背面捕球した。このプレーについて、アメリカのCBSが「驚くべきスパイダーマンキャッチ」として絶賛したそうだ。

だけど、これ以前に、同じようにフェンスによじ登って、ホームランをキャッチして、日本人第一号の米国野球殿堂入りを決めたのが、冒頭に紹介した、山森雅文選手。

双方のホームランキャッチの映像を見比べると、当時の西宮球場のレフトラッキーゾーンの金網最上段に足を掛けて、キャッチした山森選手のほうが更に難易度が高いようにも見えた。

だけど、このキャッチは偶然に出来たものではなくて、山森は試合前の練習中常にフェンスの高さ、フェンスまでの距離を確認し、金網の上を歩く練習までしていたと言われている。

そうした常日頃からの準備が、ここ一番の時にものを言ったというべきだろう。

メジャーでも、3月23日にイチローが、右翼フェンスに向かう打球を背走したまま追って、見事にキャッチして、絶賛を浴びたけれど、これも同じく、イチローが、普段からの守備練習の合間に背面、背走キャッチを行い、とっさの場合に備えているというのがあったからこそ。

尤も、イチローによれば、フライ捕球時には、突風、光、その他色々な状況からボールから目を切らしてしまう状況が必然的に生まれるから、その時のために目を切らしても捕球できる練習をしているのだそうで、万が一の為というよりは、合理的な理由によるものであるようだ。


赤松のホームランキャッチ



山森のホームランキャッチ



イチローのキャッチ



これはオマケ


さて、無理矢理なコジツケで本題に持っていくけれど、空き菅@けものへん殿は、8月6日、広島市内のホテルで、核抑止力はわが国にとって引き続き必要だとの見解を示した。

これも、万が一の場合に備えるという意味では同じ。この発言は、どこまで本気なのかは別として、発言は評価できる。

野球なら、ホームランを打たれても、失点がついて、場合によってはその試合を落とすことがあるかもしれないけれど、逆に言えばその程度で済む。別にホームラン一本打たれただけで、チームが身売りする訳じゃない。

だけど、国家間の戦争になると、それが起こり得る。たった一本のミサイルの着弾がそのまま、国の滅亡に繋がることだってある。

だから、たった一度の失敗も許されないのが戦争。平時には例え無駄だとしか思えなくても、やっぱり準備しておかなくちゃいけない。

広島の原水爆禁止県協議会と県原爆被害者団体協議会は空き菅@けものへん殿に「核抑止力は必要だ」発言に対する抗議文を送ったようだけれど、実際に守備をする側からいえば、背面キャッチだの、金網を歩く練習だの、そんなの有り得ないとしか思えない守備練習といえども、やっておかなくちゃならない。

試合の当事者は、たった一度のホームランも許されない。立場が違う。

ただ、戦争とスポーツで違うところがあるとすれば、選手の数や体格に制限がないというところだろう。サッカーや野球だったら、11人対11人、9人対9人で戦うというルールがあるけれど、戦争は、何人いようが、どんな巨人がピッチに立とうが制限はない。

だから、どんな選手が何人いるかの配置だけで、試合をする気をさせなくする、という面は無視していいものじゃない。

ゴールを絶対割られないという安心が欲しければ、それこそ、巨人をゴール前に寝転がせたり、キーパーを100人揃えて、全員ゴール前を守らせればいい。

戦争には、そうした、絶対的な戦力差によって戦争そのものを成立させなくする面があって、それが、核抑止力だったり、ハイテク兵器の配備だったりする。

もしも、そうした優位性が失われるのであれば、いや失われる見込みがなかったとしても、やはり、守るほうは、背面キャッチや金網を歩く練習はやっておくべきだと思う。





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画像米テレビ「スパイダーマンキャッチ!」 広島・赤松のプレーを絶賛 2010.8.7 00:03

 4日のプロ野球、横浜-広島戦で広島の赤松がホームラン性の打球をフェンスによじ登って背面捕球したプレーについて、米CBSは、「驚くべきスパイダーマンキャッチ」と伝えた。

 米スポーツメディアは、赤松のスーパープレーを映像とともに相次いで報道。ユーチューブでもアップされており、アクセス件数が増えている。

 米CBSは、1981年に阪急・山森が西宮球場で演じ、その後、米野球殿堂入りを果たした伝説の「本塁打キャッチ」を紹介しつつ、赤松のプレーを大絶賛。「日本の野球史上、もっとも衝撃的なキャッチだ」とも報じた。

URL:http://sankei.jp.msn.com/world/america/100807/amr1008070006000-n1.htm



画像【MLB】イチロー、「ザ・キャッチ」をほうふつさせる美技で魅せる 2010.3.24 11:26

 イチローが二回、右翼フェンスに向かう打球を後ろ向きに追う。ここしかない、というタイミングでジャンプすると、ボールは差し出されたグラブの先に収まった。

 名手ウィリー・メイズが1954年のワールドシリーズで見せた伝説的プレー、「ザ・キャッチ」をほうふつとさせる美技。客席全体が同時に息をのみ、歓声とともに大きく吐き出した。

 ライナー性の打球の滞空時間は短く、捕球体勢を整えることはできない。自分の真後ろに伸びた当たりで左右どちらかに振り向いて捕ることも不可能。それを捕れたのは、普段から守備練習の合間に背面、背走キャッチを行い、とっさの場合に備えているイチローだからこそだろう。

 「あんなプレー見たことないよ」と、ワカマツ監督は小さく首を振りながら感心した。イチローは「見ている人の気持ちが動いたり、ハッとすることが増えればいい」と今年の抱負を語っている。(共同)

URL:http://sankei.jp.msn.com/sports/mlb/100324/mlb1003241129010-n1.htm



画像菅首相が広島で会見「核抑止力は引き続き必要」

菅首相は6日午前、広島市内のホテルで記者会見し、同市の秋葉忠利市長が平和宣言で「核の傘」からの離脱を求めたことについて、「国際社会では核戦力を含む大規模な軍事力が存在し、大量破壊兵器の拡散という現実もある。不透明・不確実な要素が存在する中では、核抑止力はわが国にとって引き続き必要だ」と述べ、否定的な考えを示した。

 11月の来日が予定されるオバマ米大統領の広島、長崎両市への訪問については、「大統領自身が『訪問は非常に意義深い』と発言されている。私も実現すれば大変意義深いと思う」と訪問への期待を示した。仙谷官房長官は6日午前の記者会見で、「大統領が来られる時にどのくらいの日程を取ることができるのか。(訪問を求める)広島市の要望も含め、話し合いをしなければいけない」と語った。

 仙谷氏は秋葉市長が非核三原則の法制化を求めたことについては、「原則を堅持する方針に変わりはない。わが国の重要な政策として内外に十分周知徹底されており、改めて法制化する必要はない」と述べた。

(2010年8月6日11時49分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100806-OYT1T00489.htm



画像「核抑止力は必要」発言に矛盾?首相に抗議文

 広島の原水爆禁止県協議会(大森正信・筆頭代表理事)と県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)は7日、菅首相が6日の平和記念式典後の記者会見で、「核抑止力は必要」と述べたことに対する抗議文を、首相あてにファクスで送った。

 抗議文は、菅首相が式典のあいさつで、「唯一の被爆国として、『核兵器のない世界』実現に向けて先頭に立って行動する道義的責任を有している」と述べたのに対して、記者会見では核抑止力の必要性を主張したことを、「発言は全く矛盾する」などと批判。「一刻も早い核兵器廃絶と被爆者援護のため、全力をつくすべきだ」と求めている。

(2010年8月8日09時43分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100808-OYT1T00233.htm?from=nwla

この記事へのコメント

  • almanos

    原水禁の人達には耐え難いでしょうが現実に即した事を言っただけでしょうに。ま、言い方もありますけど。日本が自前で核を持つのは核実験というハードルがありますしね。世界有数の地震国であるこの日本で。国際条約で禁止されていない場所で、なおかつ地震を誘発するリスクが低いところで実際に爆発させないといけない。しかも核兵器は定期的に作り直さないといけないし、造り直した物がちゃんと爆発するものかも確かめないといけない。実運用する事態が起きてはいけないけど、使えることを証明し続けねばならない。えらい金食い虫ですからね。アメリカの核抑止力を当てにするのはそういったリスクの観点から見ても悪くはない。ま、それだけに頼らず「核攻撃を迎撃し、撃退する能力」と「攻撃を受けても速やかにリカバーする能力」という二つの核抑止力は自前で持たないといけませんが。この二つのほうが核兵器保持より金食わないでしょうし。
    2015年08月10日 16:48
  • mor*y*ma_*atu

    三井のCM笑いました。普段TV放送を見ないので、、、しかし、日本人が備えるべきできる限りの仕組、道具では不十分で心がけが一番大切だと思います。ちょっとした気づきが情報共有され全体の動きに連動する小魚の巨大な群れのような働きが必要ですね。それから、もしも日本がこのままどうしようもなく何の手立ても出来ずに、もう駄目と言う所まで行っても、弥勒にはまだ手は残っている様です。

    ひふみ神示 第08巻 磐戸の巻 第7帖
     人民のイクサや天災ばかりで、今度の岩戸ひらくと思ふてゐたら大きな間違ひざぞ、戦や天災でラチあく様なチョロコイことでないぞ、あいた口ふさがらんことになりて来るのざから、早うミタマ磨いてこわいもの無いやうになっておりてくれよ、肉体のこわさではないぞ、タマのこわさざぞ、タマの戦や禍は見当とれまいがな、真通理(まつり)第一と申すのざ、神のミコトにきけよ、それにはどうしてもミタマ磨いて神かかれる様にならねばならんのざ。
    2015年08月10日 16:48

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