「9月21日午前7時16分に高橋定という社員からショートメールで『助けてほしい』という趣旨のメールが入りました」9/24 フジタの会見にて
今月20日から次回の遺棄化学兵器処理事業の現地調査のため、河北省入りしていた「フジタ」社員4名と、中国人社員一名の計5名が、軍事管理区域に入って、違法に「軍事目標」をビデオ撮影していたとして身柄を拘束された。
当然、尖閣諸島沖の漁船衝突事件で中国人船長が日本側に逮捕されたことへの対抗措置という見方が強く、仙谷官房長官は否定したものの、素直にそう信じられる人はそう多くないと思う。
案の定、この拘束の報道が流れるや否や、那覇地検は、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検していた衝突漁船の船長を処分保留で釈放することを決めた。
尤も、釈放といっても、処分保留であり、後々の捜査で起訴まで持っていく可能性があるのだけれど、このタイミングでの釈放はいかにも、という印象が拭えない。
処分保留そのものは兎も角、拘留期限ぎりぎりまで引っ張って、期限切れで止むなく釈放するなら、まだ分かる。もし、拘留期限まで引っ張れないのであれば、せめてハイレベルでも何でも、中国と会談を大仰に行なって、その結果、政治判断で釈放するというのであれば、まだ救いはあった。
前者は、一応、法に基づいた対応になるし、後者は、交渉の結果のギリギリの政治判断だったと言い張れる余地があったから。
仙谷官房長官は、那覇地検独自の判断でそうした、と言っているから、表向きは司法は独立しているように見せかけたかったのかもしれないけれど、那覇地検は、釈放理由の中で、「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した。」という見解を示している。
地検が「日中関係を考慮する」などと、政治判断をしている。いつから司法が政治判断をできるようになったのか。これでは、政府から圧力がありました、と言わんばかり。まだ、黙っているほうが良かったように思える。
ただ、あえて理由を探してみるとするならば、後々、「決して無条件釈放ではないのだ」と主張するための、苦渋の決断であった可能性はある。
一旦、船長を釈放してしまえば、これ以上取り調べすることができないから、当然、証言を取ることもできなくなる。必然的にこれまで集めてきた証拠だけで起訴、不起訴の判断をしなくちゃいけなくなる。
それは、逆に言えば、現時点で、もう完全に起訴できるだけの証拠があるか、証拠不十分で起訴不可能なのか、地検としてはもう判断がついているということを意味してる。
その意味において、これ以上、「身柄の拘束を継続して捜査することは相当ではない」という建前のもと、「処分留保」ということでとりあえず釈放しました、というのは理解できなくもない。
だけど、現時点で釈放してしまうということは、中国からみたら、証拠がないから釈放したんだろう、と解釈されることはほぼ間違いない。中国は、政府レベルで不当に逮捕と言っているのだから、当然そう言い張る筈。
要するに、現在の状況で、純粋に「司法だけの判断」で地検が船長を釈放するということは、中国にとってみれば、これまでの捜査で集めた証拠は不十分なものである、と宣言した以外の何者にも映らない。
だから、日本が処分保留だからといって、後で起訴しようが何をしようが、そんなものは認めないと突っぱねるだけだと思われる。
その状態で、いくら日本側が例の衝突ビデオを公開しても、そんなの捏造だというに決まってる。
その時の反論として、「いや証拠は充分にある。これから起訴する可能性もある。今、釈放したのは、ひとえに『政治判断』であって、決して無条件釈放ではないのだ」という日本の立場を守りたかったからではないか。
ただ、仮に、そうであったとしても、このような政治判断は、政府が行うべきものであって、司法に言わせる時点で終わってる。
政治家が政治家の仕事をしていない。
今回、日本政府に圧力を掛ければ、検察が勝手に「政治判断」してくれる前例を作ってしまった意味は重い。
日本は、脅せば何でもいうことを聞くと世界中に示してしまった。
今後、日本は、このことで、大きなツケを払うことになる。

【北京・浦松丈二】中国国営・新華社通信は23日、河北省の軍事管理区域に入って、違法に「軍事目標」をビデオ撮影していた日本人4人を同省石家荘市当局が取り調べていると報じた。北京の日本大使館は「事実関係を確認中」としている。
尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近での衝突事故で日中関係が冷却化する中、日本政府は新たな懸案を抱えた形だ。中国では軍事情報の収集で有罪となれば、国外退去処分から死刑まで厳しい処分が予想される。
新華社は4人のうち1人の名前を「高橋定」と伝えている。4人を捜査しているのは海外のスパイなどを摘発する国家安全省の地方機関とみられ、容疑内容によっては日本大使館員と面会できない場合もある。
軍事管理区域とは、軍基地だけでなく軍人の宿舎や関連施設も含まれ、大都市の市街地にも数多くある。標識などで区域が明示されていない場合もあり、地元住民にも見分けられないことも多い。
共同通信が日中関係筋の話として伝えたところによると、4人は日本の建設会社の関係者で、遺棄化学兵器関連事業を受注する準備のために下見に来ていたとみられるという。
URL:http://mainichi.jp/select/today/news/20100924k0000m030110000c.html

フジタでは24日昼前から記者会見を行い、連絡が取れなくなっている高橋定さんら日本人社員4人と中国人社員1人について説明を行っています。
「9月21日午前7時16分に高橋定という社員からショートメールで『助けてほしい』という趣旨のメールが入りました」(フジタの会見)
日本人社員4人はフジタ社員で、遺棄化学兵器関連事業担当の高橋定さんら4人と中国人社員1人のあわせて5人です。一行は今月20日から次回の遺棄化学兵器処理事業の現地調査のため、2~3日の予定で河北省入りしていたということです。
現在もフジタの会見が続いていますが、会社では今後も情報収集を続けるとしています。(24日11:26)
URL:http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4534313.html

仙谷由人官房長官は24日午前の記者会見で、中国河北省内で日本人4人が地元の安全局から取り調べを受けていることについて、中国側から23日夜、4人が「中国の軍事施設保護法、刑事訴訟法に基づき居住監視を受けている」との通報があったことを明らかにし、事実上の拘束状態にあることの認識を示した。そのうえで4人は準大手ゼネコン「フジタ」(東京)の社員であることを認めた。
仙谷長官は「現時点で尖閣周辺の中国側から問題提起されている問題との関連はないと考えている」と述べ、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件に対する対抗措置との見方を否定した。
これに関連、蓮舫行政刷新担当相は24日午前の記者会見で、日本人4人の拘束について「どういう状況に4人があるかまったく分からないが、極めて時期的に遺憾なことだ」と述べた。
一方、仙谷長官は中国による日本向けレアアース(希土類)の輸出全面差し止めについて、中国側の発表を確認していないとし、「事実関係をできるだけ早く把握し、確認できたら適切に対応したい」と述べた。
また、日米外相会談で尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象であることが確認されたことに関しては「条約締結時点からの当然の前提だ」との認識を示した。
◇
【ニューヨーク=酒井充】菅直人首相は23日夜(日本時間24日午前)、ニューヨーク市内で同行記者団と懇談し、中国漁船衝突事件を受けた日中関係の悪化について「今はいろんな人がいろんな努力をしている。もう少し、それを見守る」と述べた。
日本人4人の取り調べについては「漁船の問題と関係しているかはっきりしていない」と述べるにとどまった。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100924/plc1009241124013-n1.htm

沖縄県・尖閣諸島周辺の日本の領海内で今月7日、海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した事件で、那覇地検は24日、公務執行妨害の疑いで逮捕、送検されていた漁船のセン其雄船長(41)を処分保留で釈放することを決めた。
那覇地検は「わが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮した」と説明。中国側が繰り返し抗議して釈放を要求する中、日本人4人が中国河北省内の軍事管理区域に侵入、撮影した疑いで中国当局に拘束されていることが発覚したばかりで、今回の対応には波紋が広がりそうだ。
那覇地検によると、船長は公務執行妨害の容疑を否認。地検は船長の行為について「とっさにとった行為で、計画性は認められない」とする一方で「故意に衝突させたことは明白」と述べた。近く釈放され、中国に送還される見通し。
船長は、7日午前10時55分ごろ、巡視船「みずき」が立ち入り検査のため停船を命じながら追跡した際、船のかじを左に大きく切ってみずきの右舷に衝突させるなどし、海上保安官の職務執行を妨害した疑いで逮捕されていた。
船長以外の乗組員14人は石垣港に停泊した中国船船内で同保安部から事情聴取を受け、13日に帰国した。
2010/09/24 15:44 【共同通信】
URL:http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010092401000480.html

中国人船長の釈放を24日決定した那覇地検の説明要旨は次の通り。
当庁は本日、公務執行妨害容疑で拘置していたセン其雄船長を、処分保留のまま釈放することを決定した。さらに確認すべき事項もあり、手続きにも時間を要するので釈放の具体的日時等は未定。
事件については、ほかの検察庁から応援をいただくなどして万全の捜査態勢を組み、本日まで石垣海上保安部とともに捜査を行った。これまで収集した証拠によっても、わが国の領海内で適正な職務に従事していた石垣海上保安部所属の巡視船「みずき」に乗船していた海上保安官らから停止を求められた際、セン船長が、操船していた漁船の左舷側約40メートルの海域を並走していた「みずき」に向けて左に急転舵して、故意に同漁船左舷船首部を「みずき」右舷船体中央部等に衝突させたことは明白だ。
また、セン船長の行為は「みずき」に航行障害を発生させる恐れや、「みずき」甲板上の乗組員らが海に投げ出される恐れがある危険な行為だった。
他方、「みずき」に現実に発生した損傷は、ただちに航行に支障が生じる程度のものではなく、また、幸い「みずき」乗組員が負傷するなどの被害の発生もなかった。
セン船長はトロール漁船の一船長で、本件は「みずき」の追跡を免れるためとっさに取った行為と認められ、計画性等は認められず、かつ、セン船長には、わが国における前科等もないなどの事情も認められる。
加えて、引き続きセン船長の身柄を拘置したまま捜査を継続した場合のわが国国民への影響や、今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した。セン船長の処分は今後の情勢を踏まえて判断する。
なお、この件については、本日、福岡高検及び最高検と協議の上で決したことである。
2010/09/24 17:54 【共同通信】
URL:http://www.47news.jp/CN/201009/CN2010092401000716.html
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
2006年8月に北方4島海域で日本漁民がロシア国境警備隊に
射殺された顛末も思い出すのですね. たしか, 船は
取り戻せなかったし, 船長の釈放のための罰金も
自費だったような記憶があります. 確かに, 今回は
民主党政権でしたが, 国の尊厳と言う点で最近の
日本が全体としておかしいと言う気がします.
団塊の世代の弱点だと思いますが, それだけで済まない
様な気もします. 弱小国家が強大な国家に気持ちで負けない
という明治の精神はどこに行ったのでしょうか.
日本全国, どこに行っても, この打算が目に付きます.
通りすがり
日本政府はこの要求にまた屈するのでしょうか…
クマのプータロー
こたつがめ
almanos
グー
よしぽん
と同時にこれで奮い立たなかったら日本人じゃないですよ。何がなんでも民主党を政権から引きずり降ろし、保守政権を作って憲法9条改正=軍備整備が必要です。
それから骨抜き教育を推進する日教組傘下の教員は皆、解雇あるのみです。
白なまず
同じような騒動ですね。しかし、今回は「桜田門外の変」なんかやらかしても何の解決にもなら無いのは明らかです。賽は投げられたのですから。これから愈々政界・財界の再編が起きる事を期待しましょう。今までは法の元の統治を担保に譲歩していた人々が、今回の事件で「そんな物日本にはのうなっとる」と目覚めるのですから、自らの主義主張を曲げないのが正義だと思い始めるのですから、あちらこちらで衝突です。でもこれらのそれぞれの正義の衝突がやがて一つに纏まる力の源になると信じています。