代表選は、空き菅殿の圧勝に終わった。
両候補者が獲得したポイント数は以下のとおり。
民主党党首選
サポーター 菅249 小沢51
※投票総数:菅13万7998票 小沢9万194票
地方議員 菅60 小沢40
国会議員 菅412 小沢400
合計 菅721 小沢491
蓋を開けてみたら、意外と大差がついた結果となり、空き菅、剛腕両陣営とも驚きの表情を隠さなかったようだ。
ただ、巷で言われていたことと違う部分があるとすれば、当初剛腕殿の有利と見られていた国会議員票で、空き菅殿が僅かに上回り、地方議員票では、言われる程、剛腕殿が負けていなかったこと。
サポーター票では、空き菅殿が圧倒しているけれど、投票総数でみれば、13万7998対9万194で、割合的には菅6小沢4になるから、地方議員票のそれと同じ。
結果として、サポーター票が大差になって見えるのは、小選挙区と同じ総取り方式のため。
乱暴な言い方になるけれど、地方からドブ板選挙をやった剛腕殿が当初2:8とまで言われていた地方議員・サポーター票を4:6にまで挽回して、マスコミの剛腕叩きに便乗した空き菅殿が国会議員票をかき集めたという構図。
だから、互いに、相手の得意と思われる分野を切り崩していった代表戦だったとも言える。
さて、この結果をどうみるべきなのか。
国会議員票でも、地方議員票でも、サポーター票でも、全て上回った空き菅殿の勝利は、「菅首相の再選強まる」のエントリーで紹介した区分に当てはめるとシナリオⅠにあたる。
再びシナリオⅠを引用する。
●シナリオ(Ⅰ):小沢陣営が力を失う。若手議員たちは、「2年後の代表選で世代交代」を目指すので、68歳の小沢さんからは急速に離れていく。菅首相は自らのイニシアティブで内閣改造を行い、「小沢イジメ」をしながら政権浮揚を目指す。日比野庵本館 2010.9.12「菅首相の再選強まる」より
ここで指摘されているとおり、剛腕殿の神話は崩れ、求心力は急速に失われていくものと思われる。僅差とはいえ、国会議員票でも負けてしまったのでは、この先はないと断を下されたとみるべきだろう。
仮に剛腕殿が党を割ったとしても、新人議員や若手議員はついていけなくなる。それでもついて出て行く議員がいるとすれば、側近中の側近か、旧自由党の面々が中心になるだろう。
今、民主党所属議員で、旧自由党出身の議員は20人程度だから、剛腕殿が割っても20人かそこらくらいと思われる。これでは政界再編は起こりにくい。
剛腕殿が政界で力を持ちたければ、党内に残って、影響力を保持するしかないのだけれど、そこはそれ、空き菅殿のこと、陰湿な手を使って「小沢イジメ」をするかもしれない。
例えば、内閣の支持率が落ちたときに、また「政治と金」の問題を論っては、国民の不満を逸らしたりとか。要は「小沢イジメ」で支持を得ようという、代表選と同じやり口。
或いは、もっと調子に乗ってしまえば、剛腕殿に議員辞職勧告を出す可能性だってゼロじゃない。
ただし、この場合は、剛腕殿が20~30人程度引き連れて、いつ党を割っても平気なように、大連立などの安定政権ができる算段がついた時になるだろうから、今すぐどうこうというわけじゃない。
だけど、空き菅殿は代表選を通じて「クリーン、クリーン」と言って、勝ったのだから、仮に、検察審査会が10月に剛腕殿を「起訴相当」と議決するようなことがあれば、嬉々として、離党勧告なんかするかもしれない。
いずれにせよ、剛腕殿の政治生命が、大きく削がれたことは間違いない。
一方、空き菅殿とて、これで安泰というわけでもない。
特に、今後、剛腕殿、及びその一派を排除してゆくことがあるならば、その時こそ、自らの崩壊の序曲の始まりとなる。
なぜなら、これまで空き菅殿の支持率を支えてきたのは、ひとえに「脱・小沢」に他ならなかったから。
首相就任直後の高支持率も、代表選中の支持率回復も、いずれも、剛腕殿を叩いて敵にしたからこそ。別に空き菅殿の政治家の能力を評価されている訳じゃない。
叩く相手を失った空き菅殿は「孤独」になるしかない。自らを支えてくれたものが無くなるから。その時、空き菅殿は、無策の自分の人気を支えてくれていたのが、敵に見え、敵とした「剛腕殿のダークさ」そのものであったことに気づくだろう。
「菅首相の一字(後編)」で指摘したように、空き菅殿は、参院選では「狡」、代表選では「狙」、とその「けものへん」ぶりを遺憾なく発揮した。この次は「独」へと向かう筈。
その足元は「けものみち」。


民主党は14日午後、任期満了に伴う党代表選を東京都内のホテルで行い、党所属国会議員が投票した。11日までに郵送された党員・サポーター票、地方議員票とともに開票した結果、菅直人首相(63)が合計で721ポイントを獲得し、小沢一郎前幹事長(68)の491ポイントを上回って党代表に再選された。これによって菅首相の続投が固まり、首相は近く内閣改造・党役員人事を行う方針。小沢氏の処遇が焦点となる。
国会議員票(有権者411人、1人2ポイント)では、菅首相が206票(412ポイント)で、小沢氏の200票(400ポイント)を6票上回った。
党員・サポーター票は衆院の300の小選挙区ごとに集計され、得票の多かった方に1選挙区1ポイントを配分。菅首相が249選挙区(249ポイント)を制し、小沢氏は51選挙区(51ポイント)にとどまった。
地方議員票は100ポイントをドント方式で割り振り、菅首相が60ポイント、小沢氏が40ポイントを獲得した。菅首相が世論の支持を背景に党員・サポーター票と地方議員票で優位に立ち、国会議員票でも小沢氏を上回った。
菅氏は前原誠司国土交通相のグループ(約40人)、野田佳彦財務相のグループ(約30人)などの支持を受けた。しかし、党内を二分する激戦のしこりが残るのは必至で、小沢氏を支持するグループが「反菅」姿勢を強めて党分裂につながる事態を懸念する声も党内にくすぶる。菅首相は選挙戦中、「適材適所の全員参加」で挙党態勢の構築を図る考えを強調しており、小沢氏や、小沢氏を支持した議員を人事でどう処遇するかが注目される。
代表選後は、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」が菅首相を待ち受ける。菅首相は政策ごとに野党と協力する「部分連合」で政権運営を図っていく構えで、野党の要望を取り入れた10年度補正予算案を秋の臨時国会に提出することも視野に入れている。来年の通常国会で野党との連携に失敗すれば、11年度予算案の審議が行き詰まって衆院解散・総選挙に追い込まれかねず、難しい政権運営を強いられそうだ。
URL:http://mainichi.jp/select/today/news/20100914k0000e010082000c.html?inb=tw

民主党代表選の党員・サポーター票は、菅直人首相が小沢一郎前幹事長の5倍の249ポイントを獲得、大差の勝利につなげた。ただ、サポーター票集計は、衆院選挙区ごとに票数の多い候補が1ポイントを獲得する「総取り制」。投票総数でみると菅氏13万7998票に、小沢氏9万194票と「6対4」の差にとどまった。
県別では福島や滋賀、佐賀、四国4県など20府県で、首相が県内の全選挙区をおさえ、小沢氏は1ポイントも獲得できなかった。
逆に小沢氏は地元岩手や富山、石川に加え、米軍基地問題で揺れる沖縄の4県で県内全ポイントを得た。
小沢陣営の衆院議員では、側近の山岡賢次副代表(栃木4)や中塚一宏氏(神奈川12)、松木謙公氏(北海道12)、鈴木克昌氏(愛知14)が自身の選挙区で1ポイントを獲得。だが、小沢氏を支えた鳩山由紀夫前首相(北海道9)や樋高剛氏(神奈川18)はポイントを逃した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100914/stt1009142123036-n1.htm
この記事へのコメント
sdi
日本のリベラル政党の伝統的な政治手法ですね。ライバルに対する反感、反発を煽り求心力にして支持を集める。菅ー仙谷プロ市民政権として次に求心力とするための敵は何か。国内ではちと見当たらないのではないで、駄目元で予想してみました。
彼らが次に反感を煽るターゲットとしてアメリカを選ぶのではないかと思えてきました。普天間問題をちゃぶ台返しして収拾つかなくしてしまった責任を民主党からそらすことしもできますし、なによりの極東におけるアメリカのレスポンスを弱めて最終的に追い出すのは1960年以来のレフトリベラル勢力の念願でした。
成功するかしないかは関係なく、保身と求心力の確保のため外交面で大愚行をさらす可能性があります。それに今回の大勝利の結果、民主党内のレフトリベラルな方々が驕兵と化す危険性を持ちます。そのうち、こんな見出しが毎日、朝日あたりに載るなんて事態は御免ですが「そんなこと起きないよ」と言い切れなくなってきました。
「日米交渉の席から、我が外相堂々退場す」
ちび・むぎ・みみ・はな
文部科学省大臣官房政策課情報化推進室より上記のような
注意報が全国大学に出ているそうです.
NHKニュース
http://www.nhk.or.jp/news/html/20100914/t10013990421000.html
攻撃を呼び掛けるウェブサイト
http://www.cfdd.org.cn/bbs/thread-71680-1-1.html
almanos
空き管首相の勝利は相手が小沢氏だからとも言えるでしょう。他の候補が出ていたらどちらよりもマシと出た候補が総取りしていたかもしれない。だからこそ前原氏の「小沢と手打ちするなら俺が出る」という脅しは効いたのでしょうが。ただ、これで小沢いじめで政権浮揚はもうできない。すでに小沢氏との勝負はついたと見られるから。敗者を鞭打つのは日本人の感性からいって拒否反応しか引き出さない。アメリカに喧嘩を売って政権浮揚という意見もあるみたいですけど、管首相はおそらくやらない。やりたいかもしれないけど、それをやると党内左派はともかく他と手打ちが出来なくなる。主義主張より我が身を取るでしょう。おそらく、サヨク的主張全開にした仙石氏ら左派と、政治的嗅覚からそれは不味いと拒む空き管の対立も始まる。小沢氏が逆襲して状況を打開す