尖閣諸島衝突事件が尾を引いている。
中国の戴秉国国務委員は、12日未明に丹羽駐中国大使を外務省に緊急に呼び出して、乗組員と漁船の即時送還を求めた。
先の抗議と合わせて、中国が丹羽大使を呼びだすのは4回目。しかも今回は、休日の未明と異例づくめ。
恐らく中国にとって、船長の逮捕は、相当面子を潰されたと感じているものと思われる。
中国の戴国務委員が「賢明な政治判断をして、直ちに中国人の漁民と漁船を送還してほしい」と述べたのに対して、丹羽大使は、「厳正に国内法に基づき、粛々と対応するとの立場は変わらない」と返答して物別れに終わっている。
法に基づき粛々と対応する、とは民主党の割に、マトモに対応している。戴国務委員の方も「賢明な政治判断をして」などと発言する辺り、自分達が法を犯していることの自覚はあるようだ。
或いは、面子を潰された手前、相手の法を捻じ曲げさせて、乗組員と漁船を送還させることで、なんとか面子を取り戻そうとしているのかもしれない。
「威力偵察と実行支配と一国平和主義」のエントリーでは、中国は、日本側が船長の逮捕に踏み切るとまでは思ってなかったかもしれない、と述べたけれど、結構当たっているのかもしれない。
今現在、拿捕した漁船は石垣港に係留され、船長以外の船員14人は、漁船で待機の上、参考人聴取を受けている。
また、船長に関しては、那覇地裁石垣支部が10日、那覇地検石垣支部が請求した10日間の拘置を認めたそうだから、正に粛々と法に基づいた処置をしている。
だから、拘置満期である19日まで、漁民と漁船を中国に送還しなければ、日本の勝ち。それ以前に政治判断とかなんとか云って、返還したら、中国の勝ち。
細かいことではあるけれど、中国の面子を考えると、この勝負は意外と大きな意味を持っていると思う。
こういうときこそ、百戦錬磨の駐中国大使がいるべきなのだけれど、丹羽大使は民間かれの起用であり、そうじゃない。果たして、どこまで粘れるのか。
逆に言えば、19日まで、頑として譲らずに、返還せずに頑張り切れたとしたら、民間出身の大使ですら、あそこまでタフな交渉をするのだ、と一定の警戒をする可能性があるし、丹羽大使自身も中国に対して、民間と政府の違いを感じることがあるかもしれない。
中国は潰された面子を取り戻すために、いろいろと揺さぶりを掛けてきている。
中国系香港紙・文匯報は、11日に、「福建省に配備したミサイルは日本海軍に対処できる」と論評している。
また、香港特別行政区の全国政治協商会議委員で、中国民間保釣連合会副主席の劉夢熊氏が「これは日本による中国の民族の尊厳に対する挑戦で、中国は弱腰になってはならない」とし、「日本政府の気迫あふれる侵略に対し、中国政府は強く抗議し漁船と人員の解放を要求するほか、毛沢東氏の「人われを犯さずば、われ人を犯さず もし人われを犯せば、われ必ず人を犯す」という方針に基づき日本に報復すべきだ」と述べている。
それに連動して、「保釣行動委員会」の陳妙徳主席は13日に、台湾の団体と共に漁船で尖閣諸島に向けて出航する考えを明らかにしている。
そして、中国外務省は、11日に、東シナ海ガス田開発に関する日中条約締結交渉の延期を一方的に発表。
更には、中国国家海洋局の調査船「海監51」は、11日の朝に、沖縄本島沖の、日中中間線から日本寄りの海域で測量をしていた、海上保安庁の測量船「昭洋」と「拓洋」に対して、調査の中止を要求してきた。
これに対して、「昭洋」と「拓洋」は「日本のEEZで正当な調査活動を実施している」と調査を続けたというから、ここでも、中国の要求を突っぱねたことになる。
民主党政権にしては、まともな対応で気味が悪いのだけれど、もしかしたら、代表選に手一杯で、国事に関われないが故に、返って、官僚主導型のマトモな対応が出来ているのでは、と勘繰りたくなる。
ともあれ、19日までは、次から次へと揺さぶりを掛けてくるものと思われる。今後の動きを注視したい。


岡田克也外相は10日午後の記者会見で、沖縄県・尖閣諸島周辺で海上保安庁の巡視船と中国漁船が接触した事件について「中国国内では巡視船が漁船に(わざと)衝突させたとの報道があるが、事実に反する。このような報道は極めて遺憾だ」と強い不快感を示した。
同時に「事態がこれ以上エスカレートすることは望んでいない。中国が冷静かつ慎重に対応するよう求めたい」とも強調した。
楊潔※外相が丹羽宇一郎駐中国大使に逮捕した中国漁船船長の釈放を求めたことに関しては「法に基づいて粛々と対応している」と述べた。
※は、竹かんむりに褫のつくり
URL:http://mainichi.jp/select/world/news/20100911k0000m010037000c.html

沖縄県・尖閣諸島北西の日本領海内で、海上保安庁の巡視船に漁船を衝突させたとして公務執行妨害容疑で逮捕された中国人船長、〓其雄容疑者(41)について、那覇地裁石垣支部は10日、那覇地検石垣支部が請求した10日間の拘置を認めた。満期は19日。
他の中国人船員14人は石垣港に係留中の漁船に待機しており、石垣海上保安部が外国人漁業規制法違反などの容疑で参考人聴取している。
URL:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100911ddm041040175000c.html

海上保安庁の巡視船と中国漁船が尖閣諸島付近で衝突した事件で、中国の戴秉国国務委員が、12日未明に丹羽 宇一郎駐中国大使を外務省に緊急に呼び出し、乗組員と漁船の即時送還を求めた。
中国外務省によると、この席で戴国務委員は、「賢明な政治判断をして、直ちに中国人の漁民と漁船を送還してほしい」と要求した。
北京の日本大使館によると、中国側に丹羽大使は、「厳正に国内法に基づき、粛々と対応するとの立場は変わらない」として、中国側に冷静な対応を呼びかけた。
この事件で、丹羽大使が中国側に呼び出されたのはこれで4回目だが、副首相級の国務委員が、休日の未明に外国の大使を呼び出すのは、極めて異例のこととなる。
(09/12 18:39)
URL:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00184306.html

【北京・浦松丈二】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突し船長が逮捕・拘置された事件に絡み、中国が東シナ海ガス田開発に関する日中両政府の条約締結交渉を延期したが、これは単に船長逮捕への対抗措置ではなく、中国側に有利な条約を締結するための交渉戦術と考えられる。
「日本側が暴挙を続ければ、自ら報いを受けることになる」。中国外務省の姜瑜副報道局長は11日未明の談話で日本政府をけん制した。しかし、10日に中国人船長の拘置が決定され、司法手続きが後戻りできなくなった直後に中国は一連の措置を打ち出した。
さらに、中国国家海洋局の調査船「海監51」が11日朝、日本側が排他的経済水域(EEZ)の境界線として主張する中間線を越えた係争海域で5月に続き、海上保安庁の測量船に海洋調査の中止を要求した。
日本政府関係者は中国側のこうした動きについて、「中国は偶発的な事件を利用して首脳合意に基づく協議を延期し、日本の主張する中間線を東に移動して、(尖閣諸島よりも東にある)中国主張の境界線に合わせようとしている」と分析する。中国外務省によるガス田条約交渉の延期発表と中国調査船による中止要求は歩調を合わせた行動とみられる。
東シナ海ガス田開発は、中国側が単独で実施してきたが、日本側から交渉を重ねて08年6月に共同開発で原則合意した。しかし、中国側の反応は遅く、事務レベルの条約締結協議にこぎつけるまで2年以上かかっている。
中国国内の反日世論は、04年に尖閣諸島に上陸した中国人活動家が逮捕された時ほど強くない。今回の中国側の強硬対応は、国内向けの世論対策というよりも東シナ海の海洋権益を巡る日本との交渉に主眼があるとみるのが妥当だろう。
また、党代表選で揺れる民主党政権の反応を試す狙いもありそうだ。
中国外務省は丹羽宇一郎駐中国大使を3度、同省に呼び、抗議した。丹羽大使は民主党が外務官僚の抵抗を押し切って任命した民間大使であり、厳しい外交交渉の経験がないことから、民主党政権への抗議ルートにしている模様だ。
URL:http://mainichi.jp/select/world/news/20100912ddm002040077000c.html

11日午前7時42分ごろ、沖縄本島の西北西約280キロの日本の排他的経済水域(EEZ)で、海底の測量調査をしていた海上保安庁の測量船「昭洋」(3000トン)と「拓洋」(2400トン)に対し、中国国家海洋局の海洋調査船「海監51」(1937トン)が接近し、調査中止を要求した。昭洋は「日本のEEZ内の正当な調査」と応答し調査を継続した。
日本のEEZに中国公船が入り調査中止を要求したのは5月に続き2度目。外務省は外交ルートを通じて中国政府に抗議した。
海保によると、海監51は11日午前7時35分ごろ、約550メートルまで接近し無線で「何をしているのか。船の種類は何か」と呼びかけた。昭洋が「日本国海上保安庁所属測量船昭洋である」「測量実施中」と回答すると、海監は「中国の管轄水域に入っているので、直ちに調査を中止しなさい」と要求。昭洋は「日本のEEZで正当な調査活動を実施している」と調査を続けた。
東シナ海は日中のEEZが重なり境界が未画定で、今回の測量場所は両国の領土から同じ距離にある「日中中間線」より日本に近い海域。日本は中間線を境界とする立場だが、中国は認めていない。【石原聖】
URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100912ddm001010048000c.html

【香港時事】尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、中国系香港紙・文匯報は11日、「日本の釣魚島侵略」を非難する論評を掲げ、「福建省に配備したミサイルは日本海軍(海上自衛隊)に対処できる」と警告した。中国当局の意向を反映する中国系香港メディアが外国に対する武力行使を示唆するのは異例。
非中国系の東方日報は11日の論評で中国政府の姿勢を「軟弱」と批判。「中国は釣魚島海域に軍艦を派遣すべきだ」と主張した。(2010/09/11-18:18)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2010091100254

尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張する香港の団体「保釣行動委員会」の陳妙徳主席は12日、滞在先の台湾北部台北県から13日正午(日本時間同日午後1時)、台湾の団体と共に漁船で同諸島に向けて出航する考えを明らかにした。
尖閣諸島周辺で日本の海上保安庁の巡視船と中国漁船が接触した問題に抗議するのが狙いだが、出航に必要な台湾政府の許可は得ていないという。陳氏は共同通信の電話取材に「台湾政府に止められる可能性はないとは言えない」と話した。
陳氏らは11日に台北県で開かれた「保釣フォーラム」に出席するため台湾を訪れていた。漁船を2隻借り、台湾の団体と2~3人ずつで分乗する計画だという。(共同)
URL:http://sankei.jp.msn.com/world/china/100912/chn1009122104003-n1.htm
この記事へのコメント
itukyuu
mayo5
中国領海に近づいた船が、あらぬ報復を受けないことを祈ります。
ちび・むぎ・みみ・はな
日本の弱腰に呆れましたね.
一般船員は返しても, 漁船は海上保安庁の
船の修理代金と引換が普通でしょう.
理代金は請求しないのでしょうか.
もっとも, 民主党政権と言う前に, 外務省が
既にビビっているのだろうから, 自民党政権
でも同じだったかも知れない.
クマのプータロー
almanos
タカダ
通行人
民主党はきっと、中国が余計なことをしてくれたと思ってますよ。いきなり中国が領土問題を持ち出したから、国内の世論が右傾化する。民主党としてはやりにくくて仕方がない。
民主党の本心は、党の公式文書で公表している通り、1国2制度の導入で沖縄を日本本体から切り離し、通貨も別通貨にして日本円を排除し、最近の沖縄県知事の提案では、沖縄については中国人ビザなし渡航にする。
中国が事を荒立てなくても、民主党は3年以内に沖縄県全体を中国に割譲するつもりだったのですから。
商社マンは政治の知識は持っていますが、自分で問題に対処した経験がないので、丹羽さんは中国のベテラン外交官集団の前で、無様な姿をさらしていると思います。弱いと見られたから、4回も呼び出されるんですよ。外交で日本がうまく交渉できなくさせる。これも、民主党の作戦のうちでしょう。
日比野
>民間出身だからこそ粛々と進めているのでは?
それは、少し考えました。とはいえ、大使なので、政府から圧力をかけようと思えばそうできるのではと思うのですが・・・
そうでもないのですかね。
774
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100913/plc1009131201002-n1.htm
はい、民主党はさっさと中国様のご意向どおりに動きましたとさ。
この分だと船長もじき釈放でしょうな。