トゥーリトル・トゥーレイト(民主党が割れる可能性について 前編)
仁義なき戦いの様相を見せる民主党代表選。
空き菅殿は、9月1日の夜、自身を支持する野田グループへの挨拶で「明治維新に西郷隆盛の力は必要だったが、西南戦争があって本格的な明治政府ができた」と、剛腕殿の役目は終わったかのように発言した。
それに対して、剛腕殿は「これは維新だ。明治維新から140年。もうそろそろ、ここいらで平成の維新だ」と反論した。
革命は終わったとする空き菅殿と、革命はこれからだとする剛腕殿の一騎打ち。
どちらが勝っても、唯では済まなさそうなのだけれど、その方がよいという見方がある。それは、民主党が割れて、政界再編が行われるのではないかという観測があるから。
特に、民主党政権の終焉を望む人にとっては、剛腕殿には、政策云々よりも、党を割ってくれることを望んでいるものと思われるし、その可能性は決して低くはない。
だけど、政界再編が成るかどうかは、剛腕殿が民主党を割って出る人数による。民主党を出て行く人数が、20人や30人程度では意味がない。
なぜなら、民主党が衆院過半数割れを起こすくらいまで減らない限り、民主党は依然として、政権与党でいるし、それを維持しよう思えば、いくらでもそうできる手段があるから。
今の空き菅殿を見ている限り、その首相の座に対する執着というか、権力欲の強さは信じられないくらいのものがあるように見えて仕方がない。
まぁ、誰でも、最高権力の座に座ると、一日でも離れたくないと思うものなのかもしれないけれど、その首相の座は、国民から預かっているもの、という大原則は忘れちゃいけない。
もしも、空き菅殿が、国を預かる責任を本当に感じているのなら、参院選で惨敗し、国民からNoを突きつけられた時点で、責任を取らなくちゃいけない。それは、空き菅殿自身が、野党時代から直近の民意だなんだと散々言ってきたこと。
ところが、参院選の敗北を受けても、内閣総辞職はおろか、内閣改造すらしない。それどころか、先の参院選で「落選」した千葉法相をそのまま再任している。
だから、たとえ、政権運営が行き詰りを見せたとしても、空き菅殿が自ら政権を簡単に手放すとも思えない。
確かに、空き菅政権が存続しても、今のねじれ国会が続く限り、予算編成迄はできても、予算関連法案が通せずに、解散に追い込まれるという見方があるし、その可能性はある。筆者もそれを期待している。
だけど、解散に追い込まれるというのは、与党と野党の主張が対立して、一歩も進まずに、どうにもならなくなるという前提がある。
にも関わらず、9月2日の公開討論会を聞く限り、空き菅殿はその辺りをあまり考えていない気がある。
剛腕殿に、「リーダーとしては打開策をきちんと考えておく必要がある」と指摘されたのにも関わらず、「政局ではなく、国民のことを考えて話し合おうという、呼びかけをすれば、野党も協力してくれる。」などと言っている。
だから、下手をすれば、いざその事態に直面した時に、始めてどうするかを考えることになってしまうかもしれない。
とすれば、どういう行動が考えられるか。
ひとつは、国家運営をストップさせた責任を感じて解散総選挙にでること。もうひとつは、自身の権力欲を優先させて、野党案を丸飲みしまくること。
筆者は、この後者のケースになることを危惧している。
尤も、この野党案を丸飲みしまくって、政権を維持する方法は、自ら、民主党であることを否定することに繋がるから、これはこれで、一見良いことのようにも見える。
だけど、肝心の空き菅殿が、国家運営に関する、経済や外交その他のセンスに著しく欠けているものだから、対策が悉く、後手後手かつ効果の少ないものになってしまう懸念がある。
Too Little Too Late。
菅政権下がこのまま続くと、日本は「茹でガエル型」のだらだらした衰退に向かう可能性すらある。
その一例になるかどうか分からないけれど、空き菅殿は「財務省のいいなりに成り果てた」とまで、言われているのに、未だに、円高を放置している。
8月26日に、新型「スイフト」を発表したスズキの会長は、円高に対して、「自分で企業を守る限界を超えてきた」といい、部品の海外工場での現地調達を増やすのが基本とコメントしている。
部品調達が国内から海外にシフトすれば、その分、国内部品メーカーの仕事が減ることになるから、結果として雇用が減る方向になってゆく。
そんな、日に日に、国内雇用が失われている状況だと言うのに、空き菅殿は、「1に雇用、2に雇用、3に雇用」と言って代表選を戦っている。全く持って支離滅裂と言う他ない。
こんなときに、たとえば、自民と大連立を組んで、谷垣総裁を、財務・金融大臣に据えて、「円高に対しては、あらゆる対応を非常なる決意を持って行う」なんて言わせたら、口先だけでもかなりの効果があると思われる。
なにせ、谷垣総裁はその昔、日銀砲でヘッジファンドを壊滅に追いやったとされる御仁。世界は谷垣総裁が財務大臣になったというだけで、日本が本気になったと受け止める。
※尤も谷垣総裁本人によれば、自身が財務相に就任する前の塩川財務相から始めた為替介入を引き継いだとのこと。
だけど、その谷垣総裁本人の弁によると、為替介入はやり始めると徹底的にやらないと意味がない性格のものらしい。「どこまで続くぬかるみぞ」とばかり、胃の痛くなるように日々が続くのだ、と。当時は、為替介入を一年半くらい続けて、いつの間にか終息した、とコメントしている。
為替に介入して円高に対応するのは、それくらい大変なこと。
だけど、空き菅殿には、そんな覚悟どころか、その必要性すら感じているのか甚だ怪しい。
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【民主代表選】菅陣営「これは戦争。小沢をつぶす」(2/3ページ) 2010.9.2 00:24
参院選に大敗したばかりの菅が自身の政策を押し出してもインパクトに欠ける。小沢の「政治とカネ」の問題や政治行動への批判を通じ、「脱小沢」路線を掲げた方が、世論や党員・サポーター、そして議員に訴えやすい。
「脱小沢」路線の是非が最大の争点かと記者から問われた小沢は「間違いだ。マスコミの諸君も、政策論争の観点でとらえてほしい」と反論したが、代表選は「親小沢」「反小沢」で推移しそうだ。
菅は1日夜、都内の中華料理店で、自身を支持する野田グループにあいさつし「明治維新に西郷隆盛の力は必要だったが、西南戦争があって本格的な明治政府ができた」と語った。
菅陣営幹部は解説する。
「代表選は西南戦争なんだ。小沢をつぶす」
明治10年の西南戦争では維新の功労者の西郷が敗れた。官軍と「菅軍」をもじり、政権交代の立役者の小沢を重ね合わせたのだ。
だが、野田グループ議員の間では、山口県出身の菅にちなんで「長州征伐になったらいけないよなあ…」とのヒソヒソ話も出た。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100902/plc1009020025000-n2.htm
代表選勝って「明治維新」=首相の「西南戦争」論に反論-民主・小沢氏
民主党の小沢一郎前幹事長は4日のインターネットの番組で、「代表選は西南戦争か」と質問され、「これは維新だ。明治維新から140年。もうそろそろ、ここいらで平成の維新だ」と答えた。菅直人首相は先に、代表選を西南戦争にたとえ、「西郷さん(隆盛)はああいう末路(敗れて自刃)を迎えた」と小沢氏の影響力排除に意欲をにじませている。小沢氏は、首相の政権運営は自民党政権時代と変わらないと皮肉交じりに反論した形だ。 (2010/09/04-21:13)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010090400294
「限界超えている」スズキ会長が円高に悲鳴 政府のシリたたく 2010.8.26 15:34
スズキの鈴木修会長兼社長は26日、東京都内で開いた新型「スイフト」の発表会見で、急激な円高が進行していることに、「極めて深刻に受け止めている。自分で企業を守るにはちょっと限界を超えてきた」と語り、為替介入などによる政府の対応を求めた。
また、企業としての円高への対応策について、「日本から(部品を)持っていっては採算が合わない。(海外工場での)現地調達を増やすのが一番の基本。どこの会社もそうだと思う」と述べ、国内の生産低下による空洞化に警鐘を鳴らした。
自動車などの輸出企業の大半は、今期の為替レートを1ドル=87~90円に設定しており、想定を大きく超える円高で収益が悪化する懸念が強まっている。鈴木会長は、個別の企業努力で対応できる限度を超えているとの危機感を示すことで、対応の鈍い政府や日銀のシリをたたいたといえそうだ。
URL:http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100826/biz1008261535018-n1.htm
この記事へのコメント
sdi
古い話で恐縮ですが、自社さ野合政権の時代に村山社会党委員長が社会党党大会での委員長選挙を戦った時を思い出しました。結局、村山委員長が僅差で再任されて社会党は野合政権路線を維持しました。そのときのどっかの新聞のコラムに「最もつまらない結果になった。村山委員長が僅差で落選すれば間違いなく社会党は二つに割れて政界再編の引き金になったのに」というコメントがありました(夕刊2紙のうちのどちらか。おそらく日刊ヒュンダイ)。社会党党員は自民と野合する現執行部への反感をもちつつ党分裂を避ける選択をしたわけです。今回の民主党党首選もなんだが似たような結末に落ち着きそうに思えます。
ちび・むぎ・みみ・はな
> 解散総選挙にでること。もうひとつは、自身の権力欲を
> 優先させて、野党案を丸飲みしまくること。
> 筆者は、この後者のケースになることを危惧している。
何時も不躾な事ばかり書いて申し訳ありません.
民主党は国賊の集まりですから, 代表選がいかなる
結果に終っても分裂はしないと思います.
むしろ, 上記のケースが衆議院選挙までの繋ぎとしては
認められると思います.
最悪の中のワーストは小沢氏が代表になることです.
今回, 民団とか旧社会党分子に相当に世話になっている
でしょうから, 政治的には菅よりましとは言えません.
前回は小沢氏の口説に感心されていましたが, 小沢氏は
知識としては知っていても, 実際に政治を行なう勘は
菅(氏)並だと思います.
rie
外国為替市場は難しいですね。メディアの切り口はいつも同じですね。輸出は大変で輸入品は安く買えて。。。と安直に輸出入のみにふれて、企業の外国移転までふれられれば、それは良質なメディア? さらに、プラスアルファ的な証券会社のアナリストのコメントを紹介し、最後に、政府と日銀の対応が甘いとまとめて終わる、というものです。
外国為替相場は投資の面からも分析しなければなりません。円高の原因はアメリカとEUの不況です。このため、アメリカは投資しやすい外為環境のドル安を容認していますので日本政府が対応を求めても相手にしないと思います。日銀の金利政策は今では効果が薄いのに、メディアの人たちは金利を言及しています。これもマトはずれの指摘だと思います。政府の、日銀を通じての円売り介入も、介入資金は、結局は、国債でまかなわれますから、今日ではなかなかできません。それと、日銀は政府から独立していることも、メディアの方たちは分かっていないようです。政府の意向で日銀が行動していたのは戦前であり、せいぜい1997年の改正日銀法までです。アメリカ合衆国と中華人民共和国民に輸出して国家経済を成
almanos
ス内パー
偽腕が勝ったあと、即日総理になるわけじゃない(選挙がある)ことからWが総理、偽腕が幹事長という組み合わせを予想する人までいる今日この頃。もうちょい過激に偽腕をおちょくる策があったり。
ま、実行役がビビってるからあんまり可能性はありませんが。