9月2日、空き菅殿と剛腕殿との間で公開討論が行われた。
全文を並べるのは、紙幅を使ってしまうので、両氏のやりとりに絞って、簡単に整理してみる。
雇用問題
菅 氏「現在大変厳しい雇用問題はどうするのか。」
小沢氏「外需に頼らないで、内需で経済成長をやっていけるようにする必要がある。1つ目は成長産業を育てる。2つ目は企業収益の再配分を手厚くする。3つ目は補助金政策費の大部分を地方に移す。」
菅 氏「私も小沢さんと同じことをやっている」
社会保障
菅 氏「社会保障とその財源の問題はどう考えているのか」
小沢氏「負担と福祉は相対的な問題。日本で北欧のような高負担は無理。負担とその効果を考えないといけない。医療介護、生活保護も現実は殆ど地方自治体が行なっていて、国は補助金を出しているだけ。ならば、その補助金と権限も地方に任せて、有効に使えばよい。」
予算編成
小沢氏「来年度の予算編成で、各省庁予算を一律10%カットと決定された。これは、自民党と同じやり方で、国民に約束した政治主導ではない。どう考えているか。」
菅 氏「政治主導かどうかは、予算編成が全部終わってから分かることだ。その質問は、木をみて森を見ないやり方だ。」
小沢氏「今の予算編成のやり方は、昔と同じ官僚主導だと感じたから質問した。」
普天間
小沢氏「沖縄の反対の中では、日米合意の実行は難しい。話し合いが必要だと考えるがどうか。」
菅 氏「普天間の迷走を放置すれば、日米関係や日本の政策決定に影響を及ぼす。鳩山政権を引き継いだからには、鳩山前総理の合意からスタートするべき。沖縄の負担軽減も考える。」
菅 氏「小沢さんの腹案を聞かせて下さい。」
小沢氏「腹案はないが、このままでは進まない。だから、話し合って、両方が納得する知恵を出すべきだと申し上げている」
政権運営
小沢氏「ねじれ国会となったからには、野党の賛同を得なければ政権運営はできない。どう打開する御積りか。」
菅 氏「金融国会の時も徹底的な議論をして合意に至った。真摯な姿勢で臨めば野党も応えてくれるはずだ。」
小沢氏「金融国会は野党案を丸飲みしたのが現実。本当に主張、政治的な考え方の違う問題についてはまったく動かない。リーダーとしては打開策をきちんと考えておく必要がある。だから質問した。」
菅 氏「政局ではなく、国民のことを考えて話し合おうという、呼びかけをすれば、野党も参加してくれる。」
小沢氏「参院で過半数を持っていなければ、何もできない。野党時代に政権を獲る為に、ねじれ国会を使った事もあると菅さんは言うけれど、それは、今の自民党も同じだ。」
政策調査会
菅 氏「昨年の政権発足時に、私が残すべきだと言った政策調査会が小沢さんの主張もあって廃止された。私はこれを6月に復活させたのだが、良かったと思っている。小沢さんは政策調査会を存続させるのか、廃止させるのかどちらなのか。」
小沢氏「当時は、政策調査会を廃止する代わりに、政府与党一体の政策会議というのを設けた。政策調査会は、政府、大臣とそのバックにいる官僚に対して、党がいろいろと意見をいえるようにすると為のものという発想が残っている。本当の政府与党一体化のためには、政策会議を運用して議論すればよい。」
菅 氏「私が復活させた政策調査会は、内閣の事務次官会議をなくして、党も族議員的なやり方はとらないで、政策提言という形でやっている。現在、出されている政治主導法案は、もう少し党から内閣に人を参加をさせるという内容だが、去年の事業仕分けで、小沢さんは1年生議員の参加をやめさせたお陰で苦労した。内閣にもっと国会議員が参加できるようにすべきとは思わないか。」
小沢氏「10年、20年前からそう言っている。今の副大臣、政務官という仕組みだって、自自連立の時に作ったものだ。事業仕分けの時は、国会や党のポストが全部決まってから、事業仕分けに人を引き抜かれるのでは混乱するから最小限にしてくれと言ったまで。本来は、政府の人事と党や国会の人事は同時並行的に統一して進めていくべきと思っている。政治主導のために内閣の人数を増やすのは賛成だ。」
締めくくり発言
菅 氏「日本の首相がころころと交代するのは恥ずかしい。まだ3ヶ月なので続けさせて貰いたい。」
小沢氏「国民の期待は政治主導だった筈。今の状態は昔と変わらない。個別の話では、経済の問題が深刻だから、経済の再生、景気対策に当面全力をあげるべき。また、国民生活の歪みへの対処。地域経済の振興が大事、また、天下りの全面廃止と独法や特殊法人等々の原則廃止あるいは民営化。外交では、日米同盟を主軸としながら近隣諸国との関係を深めていく。そして、新しい公共という鳩山総理が打ち出したこの考え方も継承して行きたい。」
まず「どちらが首相か分からない」というのが、筆者の第一感。
剛腕殿と並んでしまうと、空き菅殿は、やはり「空き缶」なのかと思わざるを得ない。
中身がないだけに、やっぱり軽い。討論会の冒頭発言で、「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と言い、その雇用問題についてどう思うかと剛腕殿に質問したまでは良かったけれど、剛腕殿の答えを聞いて「自分も同じ事をやっている」なんて、みっともない事この上ない。
あれだけ冒頭で力説しておいて、その中身が剛腕と同じの「おんぶお化け」。そんなのじゃ駄目だ、こうでないと効果がないなどと滔々と述べるかと思いきや、「同じ事をやっている」ではカクンとなる。
これでは、聞いている方も、剛腕殿の政策はなかなかのものだな、と思いこそすれ、空き菅殿が素晴らしいとはならないだろう。
公開討論を整理してみて感じたのは、剛腕殿はやはり、リアリストだということ。討論会でも、普天間や政権運営について、具体的にどうするつもりなのかを空き菅殿に問い質している。
それに対して、空き菅殿は、「もう決まっていたことだから進める」とか「真摯に話し合えば出来る。」とか、ちょっと現実を直視していないとしか思えない発言をしている。
普天間だって、沖縄県知事がうんと言わなければ、一歩も進まないはずなのに「迷走を放置すれば悪影響を及ぼす」だなんて、あたかも鳩山政権の時は自分は無関係だったかのような発言をしてる。あの時、空き菅殿は副総理だった筈。迷走の一端が自分にもあることには、頬かむりしている。
※この発言は、「鳴くのなら ここから出て行け ほととぎす」のエントリーで述べた、言い訳パタンAの「自分は関係ない」にあたる。
そして、ねじれ国会の政権運営にいたっては、真摯に話し合えば上手くいく、という。何を寝言を。
剛腕殿の「主張、政治的な考え方の違う問題についてはまったく動かない。リーダーとしては打開策をきちんと考えておく必要がある」という指摘のほうがよっぽど、現実を冷静に見ている。リアリストの度合いでは、遥かに剛腕殿が上。
これでは、空き菅@けものへん殿が、官僚の言いなりになるのもむべなるかな。現実を正確に認識できない限り、正しい対策なんて立てられない。
尤も、逆に考えてみれば、100%官僚の言いなりになることで、逆に本当の意味での「リアリスト」になるとも言える。それはもう政治主導ではないけれど、そういう選択もあることはある。
それにしても、この空き菅@けものへん殿。話せば話すほど襤褸がでる。まともに報道されると、どうしようもなくなると思うのは筆者だけか。

この記事へのコメント
774
nikaidouのこの記事のことですか。
http://www.nikaidou.com/archives/5306
>今回の選挙は、菅を通した方がいいだろう。小沢だとあとが大変。
>マスコミに懲りているから、おそらく表現の自由も制限してくる。
まあ、民主党になった時点で「人権侵害救済法案」が政治日程に上がってくるのは不可避でしょう。たとえ小沢が代表・総理の座を逸したとしても、結局菅政権でやるだけでしょうし。
で、そんな小沢に児童ポルノ規制反対派は期待しているようで。
818 :Trader@Live!:2010/09/03(金) 20:15:38 ID:CXgvVgEG
http://otakurevolution.blog17.fc2.com/blog-entry-1117.html
規制反対過激派ってどんだけ逝っちゃてるんだ?
「小沢ならオレたちのエロゲを守ってくれる!」
ちび・むぎ・みみ・はな
小沢氏は経験が長いから, どんな状況ではどんな
政策が有効かは, 少なくとも菅氏よりは, 良く
分かっています. 問題は, 自分の(野望?)権力維持
のためにいとも簡単に主張を曲げてしまうこと.
彼はこれまでの政治遍歴のどこかの段階で政治家
として守らなければならない物を失ってしまった.
従って, 民主党は嘘つきばかりですが, 小沢氏は
「極めて危険な嘘つき」です.
almanos
とおる
かめを愛する者
クマのプータロー
日本が無くなるよりは、表現の自由を犠牲にしても…と思わないではないです。
むぎ・ちび・みみ・はな
自民党保守派が自民党リベラル・利権派と決別して
保守合同を成し遂げるのは
政治が停滞している今だと思いませんか.