29日夜、ベトナムのハノイで予定されていた日中首脳会談について、中国は、日本側の対応が不満だとして会談を渋っている。
何でも、日中外相会談の内容について「日本側が事実と異なる発表をした」のが不満だという。実際何を発表したかというと、外務省のHPにその概略があるので、次に引用する。
日中外相会談(概要) 平成22年10月29日
ハノイ訪問中の前原外務大臣は、29日午前8時半(現地時間)から1時間20分にわたり、楊潔チ・外交部長との間で日中外相会談を行ったところ、概要は以下のとおり。
1.日中関係全般
* (1)日中関係について、現下の情勢、日中関係の全面的回復について意見交換を行い、互いに戦略的互恵関係をしっかり進めていくべく努力することに合意した。
* (2)尖閣諸島については、前原大臣から、日本の確固たる立場を発言した。楊部長からは、中国側の立場についての説明があった。
* (3)今回の外相会談の結果については、菅総理及び温家宝総理にそれぞれ報告することになった。
2.各論
(1)人的交流
前原大臣から、日本青少年訪中団(総団長:江田五月前参議院議長)や日本青年上海万博訪問団(団長:菊田真紀子外務大臣政務官)等に言及があり、引き続き、日中双方が、民間交流及び人的交流をしっかりと進めていくことで合意した。
(2)東シナ海資源開発
前原大臣から、東シナ海資源開発に関する国際約束締結交渉を早期に再開すべきであると発言した。また、白樺油ガス田における中国側の現状の動きについて詳しい説明を求めた。これに対し、楊部長から、国際約束締結交渉については、必要な条件と環境を整えることが必要である、また、白樺油ガス田については、これまで説明してきたとおりである旨述べた。
(3)防衛交流
前原大臣から、防衛当局間の信頼醸成は日中関係の発展において極めて重要な要素の1つであり、早期に通常通り交流を再開したい旨述べた。
(4)レアアース
前原大臣から、レアアース輸出に関する中国側の対応について懸念を表明した。また、レアアースの問題は日本を含む世界の経済のみならず、中国の経済にも影響を与え得る問題である旨述べた。楊部長から、レアアースについては、環境保護、資源管理の面から対処しており、取引の材料にしたことはないし、今後もしない旨述べた。
(5)日中航空当局間協議
前原大臣から、日中航空当局間協議を早期に再開し、日中関係改善のシンボルにしたい旨述べた。これに対し、楊部長は、関係部門に連絡したい旨述べた。
(6)反日抗議活動
前原大臣から、今月中旬以降の反日抗議活動においては、一部に破壊活動を伴う反日デモが行われたことは遺憾である旨述べた上、引き続き在留邦人及び日系企業の安全確保を要請した。
3.北朝鮮
双方は、六者会合の再開等について議論。この中で、前原大臣から、2005年の六者会合共同声明について、北朝鮮が何らかの前進を示さなければならない旨発言。
一見したところ、最近問題になっているホットイシューばかりで、まぁ、妥当な内容ではないかと思われるのだけれど、一体この何処か事実と異なるのかと言えば、中国外務省の胡正躍次官補の発表によると、次の3点。
(1)日本の外交当局の責任者が別の国と一緒になって釣魚島問題を再び大げさにした
(2)メディアを通じて中国の主権と領土を侵犯する言論を流した
(3)東シナ海問題での原則的な合意を履行する中国側の立場を歪曲した
向こうに言わせれば、これが会談すべき雰囲気を破壊したのだそうだ。
東シナガス田、レアアース、反日デモ、北朝鮮問題、その他、様々な問題について協議したにも関わらず、持ちだしてきた理由は3点とも尖閣諸島関連。
他の色んな話題を差し置いて、尖閣諸島が日本固有の領土であるという、日本からしてみれば当たり前の主張をすることそのものを問題視している。
昨日のエントリーで、尖閣ビデオの国会提出に対して、何らかの報復を仕掛けてくるかもしれないといったけれど、何とも分かり易い。
首脳会談の拒否は尖閣ビデオに対する報復の意図もあるだろう、と見る。
彼の国は、平気でこういうことをやってくる国だということを、民主党政府もいい加減に学習したらどうか。
拒否しているのは、向こうなのだから、それなら何も、無理して首脳会談を持つ必要はない。会談を持とうが何しようが、今後とも挑発してくるのは、分かり切っていることなのだから、いっそのこと、政府間レベルで日中関係が冷えるに任せて何もしないで、その裏で、粛々と官民レベルで国防体制を整えておくべきではないかと思う。
向こうが時間を呉れたのだから、それを利用しない手はない。
それにしても、中国は相当に、前原大臣を煙たがっているものと思われる。なぜなら、前原大臣がアメリカと会談する度に、日米安保の確認や、安保強化のための言質を取ってくるから。
先日、27日に、ハワイで日米外相会談を行ったあと、クリントン国務長官が、尖閣諸島は、日米安保条約の適用対象になるとの発言をしているけれど、それに対して中国は「絶対に受け入れない」と反発している。
たとえ、アメリカの「日米安保は尖閣諸島にも適用される」という発言が、唯のリップサービスであって、本当はそんな気がさらさらなかったとしても、口で言うだけで、大きな抑止力になる。今もって世界最強の軍事力を持つアメリカの発言は、そこらへんの国のそれとは比較にならない。
だから、あの手この手で前原大臣の失脚を狙っている。今回の件だって、日中外相会談の後に、日中首脳会談の実現を渋り出したいうことは、暗に前原大臣を批難して、失脚を狙う手だと見えなくもない。
つい先日も、中国は、前原大臣に対して、「毎日のように中国を攻撃する発言をしている」と名指しで批判していた。
ともあれ、中国は、「前原氏を失脚させれば、日本政府とアメリカとの繋がりは一気に弱くなる。アメリカさえ居なくなれば、尖閣なんて俺のもの。そして次は沖縄だ。」そういう思惑があるのではないかと見る。
前原大臣は、最初、勇ましいことを言っていても、途中でヘタレるに決まってる、なんて揶揄される事もあるけれど、今の政権で、前原氏以外に、その最初の勇ましいことすら言える議員がいない現状を考えれば、最初の一言しか言えない人であっても貴重な存在。
その辺り、空き菅殿は何処まで認識しているだろうか。


中国政府の高官は、29日夜、ベトナムのハノイで予定されていた日中首脳会談について、日本側の対応が不満だとして、現状では首脳会談を行うのは難しいという考えを示しました。
中国国営の新華社通信は、29日夜、温家宝首相に同行してハノイを訪れている中国外務省の胡正躍次官補が「きょう行われた日中外相会談について、日本側が発表した内容に事実と異なる部分がある」と述べたと伝えました。そのうえで、胡次官補は「ハノイで両国の首脳が会談する雰囲気は壊された。それによって生じる結果については日本がすべての責任を負わなければならない」と述べ、日中首脳会談を行うことは、現状では難しくなったという考えを示しました。また、胡次官補は「東南アジアの首脳による一連の会議の前に、日本の外交当局の責任者は、別の国と尖閣諸島の問題を蒸し返した」と述べ、直前にハワイで行われた日米外相会談で尖閣諸島が議題に取り上げられたことについて強い不満を示しました。さらに、胡次官補は、29日に行われた日中外相会談について、楊外相が会談の中で「尖閣諸島は中国固有の領土だ」などと中国側の原則を述べたにもかかわらず、会談の内容について日本側は「正確でない内容を発表し、中国側の立場をわい曲した」と強く非難しています。
URL:http://www.nhk.or.jp/news/html/20101029/t10014922711000.html

【ハノイ=坂井広志】ベトナムを訪問中の菅直人首相は29日夕(日本時間同日夜)、ハノイ市内のホテルで、日中韓首脳会談を行った。その後、中国の温家宝首相と会談する方向で最終調整していたが、中国側は会談拒否の考えを示した。中国外務省の胡正躍次官補は日本側が首脳会談を実施するためのムードを壊したと、会談拒否の理由を説明した。
胡次官補は29日午前(日本時間同)に行われた日中外相会談の内容について、「日本側が事実と異なる発表をした」と批判した。
29日午前の前原誠司外相と中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に)外相の会談では、日中関係の改善と戦略的互恵関係を進めていくことで一致した。
ただ、尖閣諸島問題について、前原氏が「日本固有の領土だ」と主張したのに対し、楊氏は中国側の立場を強調し、議論は平行線に終わった。
前原氏は中国のレアアース(希土類)輸出停止問題に懸念を表明。楊氏は「駆け引きの材料にすることはない」と述べた。
前原氏は中国が延期を発表した東シナ海ガス田開発をめぐる条約締結交渉の再開も要請した。ガス田「白(しら)樺(かば)」(中国名・春(しゅん)暁(ぎょう))で中国が単独で掘削している疑いも事実関係をただした。楊氏は「交渉については必要な環境を整えたい」と述べるにとどめた。
菅直人首相は温首相と会談することで、9月に沖縄・尖閣諸島沖でおきた中国漁船衝突事件後に悪化した日中関係の改善につなげたい考えだった。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101029/plc1010292226025-n1.htm

【ハノイ=吉田渉】中国外務省の胡正躍次官補は29日夜、「日本側が中日外相会談の内容で事実でないことを発表し、両国の指導者がハノイで会談すべき雰囲気を破壊した。この結果は日本側がすべての責任を負うべきだ」と述べ、日中首相会談の見送りも辞さない考えを示した。国営新華社が伝えた。
胡次官補は、問題視する点として(1)日本の外交当局の責任者が別の国と一緒になって釣魚島(尖閣諸島の中国呼称)問題を再び大げさにした(2)メディアを通じて中国の主権と領土を侵犯する言論を流した(3)東シナ海問題での原則的な合意を履行する中国側の立場を歪曲(わいきょく)した――と指摘。「釣魚島は古来、中国の固有の領土だ」と強調した。
URL:http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C9381959FE0EBE2E6938DE0EBE3E2E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

【北京時事】中国外務省の馬朝旭報道局長は29日、尖閣諸島(中国名・釣魚島)が米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約の適用対象になるとしたクリントン米国務長官の発言について「絶対に受け入れない」として、重大な懸念と強い不満を表明する談話を発表した。
馬局長は「釣魚島は中国固有の領土で、中国は争いのない主権を有する」とした上で「日米安保条約は冷戦期の産物で、日米間の合意であり、中国を含む第三国の利益を損なってはならない」と指摘。「日米双方が地域の平和と安定に役立つことをより多く行うよう望む」と述べた。
同長官は27日、米ハワイで前原誠司外相と会談した後の記者会見でこの発言を行った。(2010/10/29-21:50)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010102901149

【北京共同】外務省の胡正躍次官補は21日の記者会見で、中国に厳しい姿勢を取る前原誠司外相について「毎日のように中国を攻撃する発言をし、口にすべきでない極端なことも言っている」と厳しく批判した。その上で今月末の開催に向け、日中両国が調整しているハノイでの首脳会談について「実現に必要な条件と雰囲気」が欠けているとの認識を示し、外相発言と絡めて日本側を強くけん制した。
次官補クラスの中国高官が名指しで前原外相を批判したのは初めてで、首脳会談を前に「前原氏外し」を仕掛けてきた可能性がある。首脳会談については、ぎりぎりまで日本側の出方を慎重に見極める構えだ。
次官補の言う「中国を攻撃する発言」とは、外相が18日の国会答弁で、漁船衝突事件を受けた中国側の対抗措置を「極めてヒステリック」と発言したことなどを指している。前原外相は21日にも、沖縄県・尖閣諸島をめぐり中国の故トウ小平氏が提唱した領有権問題の棚上げ論について「日本が合意した事実はない」と述べている。
次官補は一方で「中日は重要な隣国で、われわれは中日関係を非常に重視している」と強調した。
URL:http://www.47news.jp/CN/201010/CN2010102101000844.html
この記事へのコメント
almanos
とおる
柳腰外交の真髄?
中国の「正しい歴史認識」と「正しい外交認識」を認めなければ、日本とは会談に応じない。
「正しい歴史認識」・「正しい外交認識」とは、中国の妄想。
クマのプータロー
ちび・むぎ・みみ・はな
> 決まってる、なんて揶揄される事もあるけれど、
構図的には入口の戸を押し開けようとしているならず者に
対してヤサ男が一人で頑張っていて, その後ろでマルキスト
達が自分達の奸計をめぐらしていると言う状況.
ただ, 照明は当たっていないが, 安倍元首相が米国の有力者
の間を回って日本支持を集めていたのは忘れてはいけない.
前原氏が限界になった時に助けるのは安倍氏であり麻生氏で
あるのだろう.
その間に○○トミ子達はあくどいことをするのだろうが,
泥棒を家に入れたのは主人(国民)だから仕方がない.
小沢氏?--棺桶(裁判)で大人しくして下さい.
谷垣氏?--世代交代!