昨日のエントリーでのコメント欄で貴重なコメントや情報をいただいたので、それも踏まえた上で、追加のエントリーをさせていただきます。
1.自由意志の発露
「何に抗議しているのかも全く分からないほど狂っていた」四川省綿陽市住民
四川省綿陽市で17日に行なわれた、大規模な反日デモは実際はデモどころではなく、暴動だった。
日本車が破壊されたり、日本料理店が襲撃されたり、兎に角「日本」と名がつけば、手当たり次第暴れまくったようだ。
香港誌では、今回の「反日デモ」は学生会組織の官製デモだったと報道されており、また、15日には当局が人民に対して、勝手なデモは許可しないと通達していたことを考え合わせると、どうやら、当局は学生達を使って、小規模なデモをコントロールできる範囲で行なう、という腹積もりだったと思われる。
ところが、蓋を開けてみると、学生達は元より、野次馬達が集まって、とても収拾のつかない暴動にまで発展してしまった。
一説には、中国政府に対する人民の怒りの捌け口として、暴動になったのではないか、とも囁かれているけれど、その可能性は多分にあるだろう。
だから、当局としては、日本側のデモの情報を得て、政治的な牽制の意味で、ローカルなデモを行なうだけだった積もりが、コントロールしきれずに暴動になってしまった、というのが真相に近いのかもしれない。
だけど、こうなってしまうのも、市井の人達が、デモのような公的・社会的行動にまで訴えるときの、原動力というか、モチベーションの中身が、中国と日本のそれとでは違っているのではないかと思われる。
中国での国内デモは、原則全て、官製デモであって、当局の意向に沿わないデモは絶対できないのに対して、日本は、必要な手続きを踏めば、基本的に誰でもデモをすることができる。
日本と中国では、そういった大きな環境の違いがある。つまり、自由意志の発露が許されるか否か、という違い。
では、自由意志が許される、許されないという環境の違いが、デモ行動において、どういう差となって顕れるのか。
2.指桑罵槐としての反日デモ
自由意志が許される環境における、デモ行動は、自由意志の発露によって、デモに参加して、自由意志によって、「何某かの統一されたスローガン」を叫ぶ。
つまり、自分の意思で参加し、自分の意思で「統制した」行動に従う。あたかも、車か何かのレースに自分の意思で参加しても、レースそのもののルールには厳格に従うという具合に。
それに対して、自由意志が許されない環境におけるデモ行動は、自分の意思と関わりなく、時には強制されて参加させられ、自分の意思に関わりなく「統一されたスローガン」を叫ばされる。
前者には、個人の意思が反映されているけれど、後者にはない。
もしも、後者において、自由意志を発揮するチャンスがあるとすれば、参加・不参加の時点で、自分の意思を示すか、それが許されなければ、デモで「統一されたスローガン」を叫ぶフリをして、暴走することくらいしかない。
もちろん、一人や二人が暴走したところで、あっという間に公安なり武装警察に取り押さえられてしまうから、個人や少人数のデモでは、そんなことは起き難い。
だけど、それが、千人、万人単位の大群衆になったら話は別。
数を頼みに一斉に暴走したら、誰にも止められない。本気で止めようとしたら、放水や催涙弾を大量に使って蹴散らすか、それでも止まらなければ、最悪の場合、六四天安門のように、戦車を出してきて、機銃掃射して、虐殺することになってしまう。
したがって、人民にとって、大規模デモというのは、歪んだ形ではあるけれど、おおっぴらに自分の意志を発露できる場になってしまってる可能性がある。
中国では、個人が政府を批判すると、たちまち捕まってしまうから、劉暁波氏のように、余程性根の座った人でない限り、そんなことはできない。
だけど、大群衆と一緒であれば、それが可能になる。勿論、簡単に鎮圧されることはないと思っているから。しかもそれが、当局お墨付きの官製デモとあらば尚のことそう。
政府に対する不満がストレートにでれば、政府や役人に対する暴動になるけれど、歪んだ形で出れば、「反日デモ」に名を借りた暴動になる。
もしかしたら、これは、一種の「指桑罵槐」にあたるのかもしれない。
それに、今回の官製デモは、中国政府内の政争絡みのものであるという説もある。その場合は、政争を仕掛ける側が、デモの群衆の中や野次馬の中に、暴動を煽り、実際暴れるスパイを何人か紛れ込ませればいいだけのことだから、実に簡単に暴動にまで持っていける。
いずれにしても、今の中国国内のデモは地雷原の中を走り回るようなもので、何時、点火・爆発するか分かったものじゃない。
3.対ショック、対閃光防御
今回の暴動で、中国に進出している日本企業からは、「四川大地震で被害を受けた綿陽には日系企業から多額の寄付が寄せられたはず。震災支援が全く日中友好につながっていなかったのはショックだ」という声が出ているようだけれど、人民の不満の捌け口として、日本が選ばれているのだとしたら、日系企業がいくら、支援しようが何しようが、事態は好転することはない。
根本的に、中国政府が、人民の不満を解消しない限り解にはならないから。
では、なぜその「指桑罵楷」の対象、すなわち、不満の捌け口が日本でなければならないのか。
その答えは、簡単で、単に日本が反発しないから。少なくともこれまではそう。
中国が、幾ら好き勝手にやっても、文句一つ言わないのだから、ガス抜きの穴として、日本はこれ以上ないくらい理想的な相手。
例えば、これが、ロシアだとか、アメリカだとかでやろうものなら、時と所を代えて、キツイ報復がくる可能性がある。ロシア、アメリカをガス抜きの穴に使うのはリスクが高すぎる。
だけど、日本なら平気。文句一つ言ってこない。だから、いつも不満の捌け口にされる。
中国にしてみれば、ガス抜きの穴として使う積もりが、日本がデモを大々的にデモを行なったことで、その穴を塞いでしまった。
ガスが抜けずに内圧が高まると、やがてどこかの時点で爆発する。
それが、内に向かって爆縮することで、即ち、中共政府を倒す方向にいけばまだしも、逆に外に向かって爆発してしまう可能性だってある。つまり、他国を侵略・占領することで、一気に不満のガスを放出させることだって否定できない。
日本の政府レベルではそこまで考慮しておく必要がある。
だとすれば、どういう手が考えられるか。
ひとつは宥和政策によって、不満の捌け口をひたすら引き受けてやる方法。もうひとつは、中国を包囲する頑丈な隔壁を作って、決して外に向かって爆発しないように封じ込めてしまう方法。大きくはこれらのどちらか。
前者は現状維持の延命策で、後者は爆発に対する備え。
日本の内閣はといえば、海江田大臣が「燃え上がらないように日本も努力しなければいけない」と言い、仙谷長官も「あまり過敏に反応するのはいかがかと思う」なんて言っているから、スタンスとしては、まだ不満の捌け口を受けてやる積もりでいるかもしれない。
だけど、今、世界は、どちらかといえば、後者の方向に向かってる。ASEAN諸国はアメリカとの結びつきを強め、軍事力を増強してる。
日本は、どういう方向にいくつもりでいるのか。このまま宥和し続けていると、下手をしたら、世界は中国もろとも日本を隔壁で囲んでしまう可能性だってある。
日本も、中国の爆発に備え、対ショック、対閃光防御を考えるときかもしれない。


「何に抗議しているのかも全く分からないほど狂っていた」。一部が暴徒化した中国四川省綿陽市の大規模な反日デモから一夜明けた18日、住民が興奮気味に語った。市内は早朝から武装警察部隊が厳戒態勢を取るなど緊張感が漂い、事件の余韻を残していた。
17日午後7時ごろ、興奮した若者らが日本車を壊し始めた同市の綿興西路。その様子を見ていたという男性は「彼らはスローガンなんてどうでもいい感じ。興奮していた。(デモ隊に)近づくのも怖かった」と振り返った。
男性によると、実際に車を壊していたのは数十人。大半が興奮した若者で、後ろには面白がってついてきた近くの住民が集まっていた。近所の女性は「家にいたら、知人から面白いから見に来いと電話があった」という。
当初のデモは比較的秩序立っていたが、その後市内の数カ所で暴れ始め、車を壊し始めた。(共同)
URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/452581/

【北京=矢板明夫】18日付の北京紙「新京報」など一般の中国紙は、四川省綿陽市で17日に発生した大規模な反日デモについてまったく報じていない。ある地方新聞の編集者は「共産党宣伝部からデモに関しては(国営の)新華社通信が提供した原稿以外は掲載してはいけないと言われたが、新華社は何も配信しなかった」と話している。一方、インターネット上では、デモを報道した香港紙の記事や写真が出回っており、デモの参加者の投稿とみられる書き込みも多くあった。
大手ポータルサイトの天涯社区には、デモの参加者と自称する書き込みが寄せられ、自ら撮ったとみられる日本製自動車が破壊されている写真が掲載された。そこに「味千ラーメンという日本料理店を壊す行動に参加した。こんなことをしていいのかなと怖かったけど、久々に興奮した」などと書いてあった。
これに対し「日本と対抗するには暴力しかない」「国を愛する中国人はみんな立ち上がれ」といったデモ支持の書き込みが多く寄せられる一方、「こんなことをすれば中国のイメージが悪くなるだけ」「被害者はみな中国人だ」といった批判の声もあった。
また、18日付の中国系香港紙「文匯報」(電子版)は「中日の民間対立の責任はすべて日本にある」と題する社説を掲載した。「漁船衝突事件が一段落したあと、日本は外相をはじめ、右翼勢力が中国に対し友好的でない態度をとり続けた」と非難したうえで、「中国大使館を囲んで抗議するなど日本の右翼勢力が挑発行為を繰り返したことが、中国民間の反日感情を高揚させた」と反日デモを正当化した。
URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/452558/

【北京=矢板明夫】香港の公共ラジオRTHKによると、中国四川省綿陽市で17日午後、反日デモが起きた。デモ隊は一時、警官隊と衝突したという。また、同日付の「リンゴ日報」など複数の香港紙は、16日の四川省成都市などにおける反日デモは「各大学の学生会が組織したものだった」と伝えた。大学の学生会は共産党の下部組織、共産党義青年団の支配下にあり、事実とすれば、デモは当局の意向を受けた「官製デモ」だったことになる。
綿陽市では、日本料理店が投石され、日本車のガラスが割られたという。
一方、16日のデモについて、中国政府に近い香港紙「文匯報」は「四川省の各大学の学生会は約1カ月前から準備していた」と伝えた。これとは対照的に「新京報」など中国国内の一般紙は、デモが発生したことにまったく触れず黙殺している。共産党宣伝部の指示を受けたものとみられる。
中国外務省の馬朝旭報道官は16日深夜(日本時間17日未明)に発表した談話で、「一部の群衆が、(中国漁船衝突事件をめぐる)日本側の一連の誤った言行に義憤を示すことは理解できる」と指摘。同時に「法律に基づいて理性的に愛国の熱情を表現しなければならない。非理性的で法規に違反する行為には賛成しない」とも述べ、暴力行為を自制するよう促した。
URL:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/world/china/452344/

【成都(四川省)=戸田敬久】中国四川省の省都、成都では大規模デモから一夜明けた17日、引き続きネット上で反日デモを呼びかける動きがあり、市内の日系小売店周辺では厳戒が続いた。成都の隣の綿陽にデモが広がったことで中国に進出した日系企業は警戒を強めている。
16日に反日デモの中心地になった成都の商業地区、「春煕路歩行街」では、イトーヨーカ堂春煕店が従来通りの午前9時に開店。伊勢丹やユニクロなども営業し、デモ参加者に壊された他の小売店や飲食店の店舗もほぼ修復されている。
商業街の通りには、プロテクターを装備した特殊警察官らが巡回し、治安維持を任務とする武装警察も隊列を組んで行進していた。近くの小売店で働く40代女性は「分別の無い若者のデモは怖かった。早く事態が収まってほしい」と話した。
もっとも、ネット上では、依然として「日本人を中国から追い出せ」など過激な書き込みが目立つ。デモに参加した学生とみられる書き込みでは「興奮が止まらない。また反日デモに参加したい」などの発言が多い。
ネット上では17日も再び抗議活動を実施する呼びかけがあった。集合場所は前日にガラスが壊された店舗とは別のイトーヨーカ堂万達店。当局は周辺に千人規模の特殊警察官を展開。数十台の警察車両を配置し、厳重な警備を敷いたため、デモは起きなかった。
一方、中国に進出した日系企業は懸念を強めている。「日本の本社から至急、現地の安全状況を報告するよう指示を受けた」(日系食品メーカー)などデモの対応に追われている。ある日系の電機メーカーは「中国ビジネスは成長分野で期待している。事態が早く沈静化してほしい」とこぼす。
別の日本企業からは「四川大地震で被害を受けた綿陽には日系企業から多額の寄付が寄せられたはず。震災支援が全く日中友好につながっていなかったのはショックだ」との声も出ていた。
URL:http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE3E5E2E3E68DE3E5E3E2E0E2E3E29494E7E2E2E2;at=DGXZZO0195570008122009000000

海江田万里経済財政担当相は17日、沖縄・尖閣諸島周辺で起きた中国漁船衝突事件に絡み中国各地で起きた反日抗議行動について「まだ一部の動きだろうと思うが、燃え上がらないように日本も努力しなければいけない」と述べ、日本政府側の対応が必要だとの考えを示した。都内で記者団に語った。
海江田氏は「大学生がずいぶん参加しており、就職問題も背景にあろうかと思う」と分析。「中国経済も曲がり角にきている。そういうときに日本に対する批判も出てくるのではないか。中国経済の今後の動きを注目しないといけない」とも述べた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101017/plc1010171602003-n1.htm

仙谷由人官房長官は18日午前の記者会見で、中国の内陸部で相次ぐ反日デモが、今月末の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で予定されている菅直人首相と中国の温家宝首相の首脳会談に与える影響について、「(両国間で)調整中で、ほとんど影響はない」との見通しを示した。
一方、16日に東京都内で行われた中国への抗議デモについては、「あまり過敏に反応するのはいかがかと思う」と冷静な対応を呼びかけた。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101018/plc1010181155006-n1.htm
この記事へのコメント
almanos
沿岸部では反日音頭で踊る人が減りやりにくくなったけど、内陸部ではまだ有効。ただし、暴発の危険度も高いといった所でしょうか? 日本としては、アメリカとASEAN諸国の準備が整うまで適度にガス抜きさせつつ、穴を徐々にふさいでいくのが望ましいでしょう。民主党政権はサヨク政権という性格上宥和路線で行きたいのでしょうが、それだと明日が無い。反中デモが国会へ向かってきたらどうするのか? 民主党は大混乱でしょうねぇ。そして、ニュースも流さないわけには行かない。今度は無視できなくなる。国会へのデモすら流さないのでは偏向しすぎとなるから。
そうなったら、中国は苦悩するでしょうな。「小日本は国会まデモが出来るのに、なぜ大中華では出来ないのだ?」となるから。でも全人代へのデモなん
白なまず
中共内部にもフリーメイソンと連んでいる連中が居て、中国の国益より自分の地位にしか興味ない連中と、米国のフリーメイソンが米国と中国の戦争を計画し実行させようとしている。と見ると、今後の展開は
1)中国から日本への一方的な宣戦布告
2)弱腰な日本政府を尻目に米国が「同盟国を守れ!」と米軍が中国軍と衝突
3)日本のまわりで米中戦争を展開
4)中国内部は災害で戦争どころではないので無関心
5)米軍が北京を占領して終戦協定。
6)戦勝国の米国は巨額の貿易赤字を踏み倒す
7)中国各地で分裂し暴動、米国が鎮圧する為に進軍するが収拾できず撤退する。
8)米国は代理戦争の巨額な代金を日本へ請求し日本はこれを拒否。値切るが恫喝される。
9)戦争までしたのに米国の経済は元に戻らず、破綻する州が続出しUSA崩壊。
10)日本は結局USAに戦争代金を払わず駐日米軍の撤退命令が出ても日本に残る米兵多くなり、自衛隊預かりの米兵部隊ができる。
11)中国国内での農業生産が壊滅的で難民が日本を目指し押し寄せる。これに乗じて朝鮮人も中国人のフリをするが、チョンバレ。
12)北朝鮮は中共が滅亡した事で内
せみまる
ちび・むぎ・みみ・はな
安保反対闘争の時, 若者達は狂っていたように思う.
それは主要な情報メディアである新聞が情報統制を
していたから.
現在の日本では情報統制は破れてきているから,
殆んどのデモには笑顔があると思う.
それは自分が様々な意見の一つだと自己を相対化する
余裕があるからだろう.
日本或は世界の50年前の野蛮状態に自国の若者を置かないと
維持できない国に何の価値があるのか分からない.
ソ連にはその悲劇を理解できる政治家が存在した.
支那の次期主席の顔を見てため息が出るしかない.