中国を牽制する日本のソフトパワー

 
「日本から帰ってきた上海人の感想といえば、まず、街がきれいですね。ビルの窓もピカピカ、駅がまぶしいくらい明るい。道を尋ねても日本人は親切で、すぐ教えてくれる。レストランに行くと水やおしぼりが出てくる。日本はすごいですね。みんな必ずそう言います。気持ちはある意味わかりますよ。なにしろこっちにいる我々は、逆の体験を散々してますからねえ」
日本の大手旅行会社・上海支店の太田千秋さん

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上海万博もいよいよ今月一杯で閉会になるのだけれど、日本館が大人気だという。

入館まで3~4時間待ちは当たり前。9月23日の中秋節の休日には60万人以上の人が上海万博を訪れたそうなのだけれど、その時日本館の待ち時間はなんと6時間で堂々一位。

その頃は、フジタの社員4人が拘束された時期で、日中関係が険悪になっていた頃、すなわち中国による対日制裁がたけなわであった時期にこの人気。

なんでも、日本館に対して、「4時間待ちでも、見る価値がある」「ハイテク技術が、どうしても見たい!」「日本のアニメが好き。オタクはたまりません」という来場者が殺到しているという。

2005年の反日暴動はえらく酷かった覚えがあるのだけれど、最近はどうもそうではなくなってきているのかもしれない。政府の反日の笛に人民が簡単に踊らなくなったという声もある。

それに、日本に旅行した中国人のかなりの数は、親日になって帰ってくるらしい。これまで中国国内で聞かされてきた日本のイメージが、がらりと変わるからだそうだ。

以前「レンタル移民」のエントリーで、移民も期間限定にしてやれば、母国に帰った後、日本の体験がソフトパワーとして生きてくるのではないかと言ったけれど、よくよく考えてみれば、日本への旅行者や留学生なんかは、比較的期間が短いとはいえ、有る程度似たような効果が期待できるのかもしれない。

いまや、秋葉原なんかは、世界有数の電気とサブカルの街「アキバ」として、世界中に知られているし、それ目当てに来日する外国人も多いと聞く。

上海万博の日本館に並ぶ人達のように、日本の技術やコンテンツ産業が一種の「憧れ」になるのであれば、日本のソフトパワーが一種の抑止力効果を発揮するのも、満更ではないような気がしてくる。

先日何やら、仙谷官房長官が、「中国から伝来した文化が基本となり日本の文化・文明を形成している」とか言っていたみたいだけれど、昔は兎も角、今は、日本の文化が逆に中国のポップカルチャーを形成しつつある、と言ってもいいのではないか。

でなければ、あれほど、日本の製品の「海賊版」が流行るわけがない。

文化は高きから低きに流れる。

だから、日本のコンテンツをどんどん輸出してやることで、中国人が「擬似日本人」化してくるようなことがあれば、益々、中国政府の反日煽動が効かなくなってくることが予想される。

こういった、ソフトパワーを使った中国への牽制も、有りだとは思う。






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画像【尖閣衝突事件】仙谷氏「日本が中国に迷惑」対中観で不一致 2010.10.4 23:13

 仙谷由人官房長官は4日の記者会見で、民主党の枝野幸男幹事長代理が沖縄・尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件をめぐり、中国を「悪(あ)しき隣人だ」などと批判したことに反論。戦前の日本が「侵略によって中国に迷惑をかけた」ことを理由に中国を擁護した。「対中観」で不一致が露呈した形だ。

 仙谷氏はこの中で「古くから中国から伝来した文化が基本となり日本の文化・文明を形成している」と歴史を説きおこし、「桃太郎などの寓話(ぐうわ)も中国から取ってきたようなものが多い」と中国の文化的優位性を強調した。

 さらに「歴史の俎上(そじょう)に載せれば、そんなに中国のことを(悪く)言うべきではない」と枝野発言を否定。「(中国は)清朝の末期から先進国というか英米の帝国主義に領土をむしりとられてというと言い過ぎかもしれないが、割譲されて民族としても国家としても大変、つらい思いをしてきた歴史がある」と中国の近代史に同情してみせた。

 そして「返す刀」で日本の戦争責任論に触れ、「日本も後発帝国主義として参加して、戦略および侵略的行為によって迷惑をかけていることも、被害をもたらしていることも間違いない」と日本の侵略を強調して中国を擁護した。

 枝野氏は2日のさいたま市内での講演で、「中国とは、法治主義が通らないとの前提で付き合わないといけない」などと中国を批判していた。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101004/plc1010042317014-n1.htm

この記事へのコメント

  • almanos

    戦前から中国に対するソフトパワーは凄まじいものでしたしね。何しろ、共産党という党名すら日本製です。近代中国は日本の西洋文明の翻訳と吸収成果から出来ているのですから。朝鮮も然り。反日を極める気ならそういった近代国家を成り立たせているものを全て一旦捨てないと駄目なくらいね。
     魯迅は日本に留学して「祖国に何千年もの伝統がある事を始めて知った」のです。戦乱と政争でそこら辺の伝統なんてあったの状態でした。中国の太極拳や気功推進政策も、元を正すと日本の静座呼吸法が流行った事に毛沢東が「静座して革命ができるか! 」といきりたって配った文書が始まりです。戦争中でも軍の上の方では日本語で意思疎通が必要な状態でした。日本留学組が各軍閥の上に多かったし、共通語が他に無かった。すぐ隣でしたから欧州留学より容易かったので日本留学組は多かったと。仙石氏にそこら辺の無知を指摘したら、かなり面白い反応が見られるかもしれません。歴史を云々する割に知りませんからねぇ。
    2015年08月10日 16:48

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