民主党はネオコン化するか
尖閣問題で、世論が徐々に沸騰してきていますけれども、雑感を。
1.マスコミが報じない大規模渋谷デモ
テレビや大手マスコミでは、殆ど報道されなかったのだけれど、2日、東京・代々木公園で、尖閣諸島沖での漁船衝突事件に対する政府の対応を批判するデモが行われた。
参加者は、主催者発表によると、約1500人。ただ現地参加の人などの報告では2500人くらいいたのでは、という話もある。
中国で、反日デモをやっているニュースばかり流れているものだから、日本は何もしていないかと思いきや、一般国民レベルでの抗議の声はしっかり上がってる。
特に、良いと思うのは、以前「中国の「尖閣諸島係争地化」戦略 」で、「政府は毅然とした対応をするべきだ」とか「国防にしっかり取り組むべきだ」とか、いう具合に、世論の声を日本政府自身に向けていくことが大事だと述べたけれど、そういう主旨の主張がきちんと盛り込まれていたこと。
CNNでは、今回のデモをしっかり報道しているけれど、記事中では、日本側の声を"invade our territory"と「領海侵犯問題」として取り上げている。
まぁ、今回の中国側の威力偵察によって、尖閣諸島は、中国の思惑通りに「係争地化」していることが、世界的に知られつつあるから、尖閣諸島の領有権の正当性については、しつこく且つ粘り強く主張する必要がある。
さて、その肝心の政府なのだけれど、こうした国民の声にどこまで反応しているかというと甚だ心もとない。
例の衝突ビデオの公開に至っては、「中国に配慮して一部の国会議員限定にしよう」だとか、「責任は政府じゃなく国会に負わせよう」とか言う始末。
「尖閣衝突事件での日本の対応について」のエントリーで、公然の密使として中国に派遣された細野氏と中国との交渉の中で、衝突ビデオ含めた詳細の一般公開を止めるよう要求されたのではないか、と単なる推測を述べていたのだけれど、あながち冗談でもなくなりそうで、多少の幻滅を覚えている。
一部には、衝突ビデオにおける中国漁船は、かなり悪質で、海保が臨検の為に漁船に乗り移ると、屈強な船員が海保保安官をロープでぐるぐる巻きにして、海に投げ込んだ、なんて噂まであるという。
民主党内には、ビデオの内容を一般公開すれば、中国人船長釈放の不当性が明らかになって、国民が激昂してしまう、という声もあるそうだけれど、噂が本当であれば、衝撃的な内容であることは間違いなく、世論が激昂しても当然だといえる。
さて、こうした状況を、民主党はどう受け止めているのか。
2.具体的な力を行使する覚悟
確かに、今回の釈放について、一部の民主党内議員からは異議の声があがり、釈放撤回を求める署名を行ったところ、73名も集まったという。
ただ、どうやら署名した議員の半分以上が小沢グループに所属していて、残りの半分もその殆どが一年生議員のようだとの説がある。
一年生議員は、その多くが幹事長時代の小沢氏の差配で当選したわけだから、大枠でみれば、小沢氏の息の掛かった議員達による声明であるともいえる。
代表選で民主党議員は、菅首相支持と小沢氏支持で真っ二つに割れたのだけれど、ある意味では、それが再現しただけとも解釈できなくもない。
ただ、そのあたりは小沢グループ自身も気にしていて、小沢グループの若手議員は署名に際し、同グループの幹部に相談し、「一議員としてならいいが、グループとして動くのは避けてほしい」と指示されたといわれている。
とはいえ、今や対中国問題、安全保障問題に関しては、世論と野党及び民主党内の一部と政府の間で、対立構造が出来つつあり、政府はその中での政権運営を迫られている。
一部には、この件を境として、民主党が保守化、或いはネオコン化するのではないか、という意見も出てきているのだけれど、「口だけ保守」は有り得ても、本当の意味での保守化にはいくつものハードルがあることは留意しないといけない。
なぜかというと、例えば、「国を守る」という一点においても、本当にやるのであれば、その為の力と、それを行使する覚悟が要求されるから。ネオコン化するためには、それを可能にする具体的な力が必要になる。
アメリカがネオコン化できるのも、それを可能とする軍事力があるからであって、日本にいくら自衛隊があるにしても、先制攻撃ができない等の法律上の縛りや防衛に特化した装備、その他あらゆる手枷足枷を外していかなきゃいけない。
ぶっちゃけていうと、憲法改正までちゃんと考えなければいけないということ。
ところが、現状は、衝突ビデオの公開ですら、誰も責任を持ちたくなくて、やれ政府だ、やれ国会だなどとババを押し付け合う程度の覚悟しかないという体たらく。
だから、今の政府に、そこまで腹が括れるとは思えない。
3.世論の圧力はどこまで有効か
もっとも、菅首相のように、全く責任を持つ気のない御仁に対して、世論から圧力を掛けることで、「国民が決めたことだから」と無責任に保守化させてしまうという手も考えられなくもない。
だけど、一般国民は、国防・安保に関して専門知識や現場の状況など知らないのが普通だから、ともすれば、感情的に兎に角やれ、という声だけになってしまって、具体的な対策として、世論が「政策」を掲げてくれるわけじゃない。
だから、政府は、そういった国民感情を上手く汲み取った上で、限られた予算の中で、適切な防衛体制を敷いていく必要がある。
その為には、政府は、制服組とよく議論しながら、きちんとした防衛政策にまで仕上げる必要があるし、相当の政治力が求められる。
なぜなら、素人目でみても、自衛隊装備の見直しや、在日アメリカ軍との連携、そして自衛隊法や、憲法の改正まで、やらなければならないことは山のようにあると思われるから。
一番怖いのは、菅首相が政権を維持する為だけに、「国民感情を宥めさえすればよいのだ」とばかり、単なる形だけで、実効性の乏しい国防政策を打ち出して、お茶を濁して逃げること。
政権交代から1年あまり、外交・安全保障において、国益にマイナスなことしかしないのみならず、ちょっと責任を問われると、途端に言い訳して逃げてしまう今の政府に、そんな政治手腕があるとは思えない。
6月の通常国会では、政府提出法案の成立率は、ここ10年間の通常国会で最低の6割程だった。
そんな程度の国会運営力しか持てないでいる民主党にそんなことができるのか。しかも今回から衆参捻じれ国会。
まぁ、それでも、国会が捻じれてくれている分、実効性に乏しい案は参院でストップがかかるのが救いといえば救いではある。
ただ、唯一、もう完全に官僚に任せてしまって、政府はただ、判子を押すだけにしてしまえば、なんとかなるかもしれない。
だけど、それでも、判子を押す以上、押した責任は問われるわけで、その責任が負えないというのであれば、政治家の椅子に座っている資格はない。
その時は、潔く身を退いて、国を護れる政治家に政権を譲るべきだろう。
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元空幕長らの団体が代々木で集会、中国対応で民主党政権を批判 2010年10月02日 20:06 発信地:東京
【10月2日 AFP】東京・代々木公園で2日、尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島)沖での中国漁船衝突事件に端を発した一連の政府の動きを「外交の敗北」などと批判する右派系団体が集会を開いた。主催者発表によると、約1500人が参加した。
主催したのは08年10月、懸賞論文で政府見解と異なる歴史認識を展開して更迭された田母神俊雄(Toshio Tamogami)前航空幕僚長が会長を務める右派系の全国ネットワーク。田母神氏は声明で、中国は尖閣諸島の領有権を主張しているだけではなく、沖縄本島を支配することまで視点に入れていると述べ、防衛を強化すべきときが来たと語った。
参加者の多くは「中国の圧力恫喝に屈した弱腰の菅政権を許すな」などと書かれたプラカードや日の丸を手にしていた。集会終了後、参加者たちは渋谷の繁華街をデモ行進した。(c)AFP
URL:http://www.afpbb.com/article/politics/2762997/6277374
China accused of invading disputed islands By the CNN Wire Staff October 2, 2010 -- Updated 1006 GMT (1806 HKT)
(CNN) -- Anti-China protesters gathered Saturday in Tokyo and six other major cities in Japan to rally against what it calls an invasion of disputed islands that both claim are part of their territories.
Protesters held up Japanese flags and chanted, "We will not allow Communist China to invade our territory."
Beijing says the Diaoyu Islands and most of the South China Sea belong to China, disputing neighboring countries' claims. In Japan, the islands are known as the Senkaku.
The rally was organized by Toshio Tamogami, a former Japanese chief of staff for the Self Defense Force.
Japan rejects China's demand for an apology
Senkaku Islands is Japan's traditional territory, Tamogami said. "If we don't protect it, China will make action to take it."
Tamogami called China a "thief" and vowed to protect the islands.
Beijing and Tokyo have been clashing over the arrest of a Chinese fishing captain by Japan off the disputed islands.
The captain was accused of hitting two Japanese coast guard ships and obstructing public officers while they performed their duties.
I am very angry with China, said student Shohei Fukumoto.
China should apologize and pay for the repair of the vessel because the captain was in Japan's territory when the accident happened, according to Fukumoto.
Japan has since freed the fishing captain, who returned to a hero's welcome in China.
Yoko Sakamoto, 55, said Japan has been too easy on China.
I 'd like to criticize Japanese government's weak attitude toward China and Senkaku Islands issue, rather than China itself, Sakamoto said. "We should get our national pride back."
The captain's arrest prompted the suspension of diplomatic talks and canceled trips between the nations.
Beijing has sought an apology and compensation over the arrest, which Tokyo has rejected.
Japan has also demanded compensation for damage done to coast guard ships.
Journalist Chie Kobayashi contributed to this report.
URL:http://edition.cnn.com/2010/WORLD/asiapcf/10/02/japan.anti.china.protest/index.html
海上保安官が中国漁船乗組員にぐるぐる巻きにされ海に放り込まれた 2010/10/1(金) 午後 10:50
元衆議院議員の西村眞悟氏が、講演会で先般の尖閣諸島中国漁船体当たり事件について、このような話をしたらしい。
「海保が臨検の為にチャイナ漁船に乗り移ると、
あろうことか、屈強な船員が海保保安官をロープでぐるぐる巻きにして、海に投げ込んだ。それに対して、船長・船員を逮捕・拘束した」と言うのだ。
↓↓↓↓↓
チャイナの漁船は、かなり以前から200隻以上来ていて、領海侵犯・違法操業と続けていた。しかし、海上保安庁は黙認していた。今回、海保が『領海だから出て行きなさい』とマイクで言うと、チャイナの漁船は日本語で『ここはチャイナの領海だ』と言い返してきた。出て行かないので、海保が臨検の為にチャイナ漁船に乗り移ると、あろうことか、
屈強な船員が海保保安官をロープでぐるぐる巻きにして、海に投げ込んだ。
それに対して、船長・船員を逮捕・拘束したということです。
これは、領海侵犯や違法操業という問題ではありません。れっきとした殺人未遂事件です。
昨夜聞いた尖閣領海侵犯事件の真相
これが本当なら、巡視船に体当たり→臨検の海上保安官に暴行→すまきにして海へで、殺人未遂。もしも、対応した保安官が死亡したら、殺人罪である。公務執行妨害どころの騒ぎではない。
西村眞悟氏は、事件当時石垣にいた。
もどってきた巡視船周りでの情報で、そのような話を聞いたとしてもおかしくはない。
信ぴょう性は高いのではないか?
ただ、巡視船に体当たりした行為だけでも、
罪は重い。
たまたまけが人が出なかっただけで、体当たりの衝撃で、海保の乗組員に事故がある場合もあるのだから、衝突のみでも潜在的な殺人未遂であることにかわりはないだろう。
中国の顔を立てる我が政府が、ビデオをなかなか公開できないのもそのためかもしれない。
あまりにも手に余る案件だ。
このままビデオが公開されなければ、真相はわからないまま過ぎ去ってしまう。
ビデオの早急な公開と、尖閣諸島に自衛隊を駐屯するべきだろう。
URL:http://blogs.yahoo.co.jp/tarismanaspect/34955031.html
【中国人船長釈放】ビデオの国会提出「相談したい」 民主・岡田幹事長 2010.9.26 14:47
民主党の岡田克也幹事長は26日午前のNHK番組で、沖縄県尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり海上保安庁が撮影したビデオの国会提出について「よく相談していきたい」と述べ、前向きに検討する考えを示した。ただ、ビデオ公表に伴い中国人船長釈放の不当性が明らかになることから、党内では「国民が激昂(げっこう)してしまう」(党幹部)と慎重論もある。
岡田氏は、自民党の石原伸晃幹事長や国民新党の下地幹郎幹事長から、最高検幹部らを臨時国会で証人喚問するよう求められたが、「国会関係者、国対でよく議論していけばよい」と述べるにとどめた。
一方、岡田氏は「中国は大きく自らの利益を損なった。世界に中国がどういう国かを発信した」と述べ、船長逮捕を違法とする中国側の対応を批判した。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100926/stt1009261448005-n1.htm
民主も漁船長釈放は「三国干渉に匹敵する国難」
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で中国人船長を釈放したことに対し、民主党内から27日、政府の対応に対する厳しい批判が噴出した。
27日夕、国会内で開かれた民主党の法務・国土交通・外務合同部門会議は、約80人の同党議員が約1時間にわたって松本剛明外務副大臣、小川敏夫法務副大臣ら政府側の説明を求め、「つるし上げ」(出席者)の様相を呈した。
焦点は、那覇地検が船長釈放の理由の一つとして、「日中関係への配慮」を挙げたことだ。政府側は「検察に任された範囲内の判断だ」と繰り返した。
しかし、出席者からは検察当局と外務省のやりとりの詳細を明らかにするなど、さらなる説明が必要だとの声が続出した。
政府への申し入れなども相次いだ。
吉良州司前外務政務官と長島昭久前防衛政務官らは27日午後、首相官邸に仙谷官房長官を訪ね、「総合的安全保障体制の確立」「日中関係の根本的見直し」など8項目を盛り込んだ「建白書」を同党議員43人の署名を添えて提出した。
建白書は今回の事態を、「日清戦争後の三国干渉に匹敵する国難で、日本国民として痛恨の極み」としたうえで、「検察が独断で判断したと信じている国民はほとんどおらず、『検察の判断』と繰り返すことは責任転嫁との批判は免れない」と指摘した。
長島氏らによると、仙谷氏は「中国は隣人であり、将来にわたって友好関係を伝えていかなければならない」と強調した。長島氏も記者団に「倒閣運動ではなく、政権をサポートしたい」と述べたが、「三国干渉後の臥薪嘗胆(がしんしょうたん)のような思いだ」と歯がゆさをにじませた。
一方、松原仁衆院議員ら12人も、尖閣諸島への自衛隊常駐の検討などを求める声明を連名で発表。レアアース(希土類)輸出停止などの事実関係について丹羽宇一郎駐中国大使から聞くことや、中国漁船の巡視船衝突を映した海上保安庁のビデオ公開も求めた。
松原氏ら同党議員73人の連名による緊急声明では、那覇地検の対応を「検察の権限を大きく逸脱した極めて遺憾な判断だ」とした。
建白書や声明に署名した民主党議員は多くが保守系と目され、先の党代表選で小沢一郎元代表を支持した若手議員が過半数を占める。ただ、小沢氏はこの問題について沈黙し、松木謙公農林水産政務官ら小沢氏側近も署名に加わっていない。小沢グループの若手議員は署名に際し、同グループ幹部に相談し、「一議員としてならいいが、グループとして動くのは避けてほしい」と指示されたという。
政府の対応には、首相に近い議員からも「小沢氏系だけが批判しているわけではない」との声が出ている。
小沢グループとしては「このままでは菅政権はもたない。足を引っ張っているように見られるので、こちらから動く時期ではない」と、静観する構えだ。
◆民主部門会議主な発言◆
27日の民主党法務・国土交通・外務合同部門会議での主な発言は以下の通り。
・長島昭久前防衛政務官
「那覇地検が釈放の理由について、法と証拠以外に外交関係にまで言及したのは違和感がある」
・松原仁衆院議員
「政治判断はなかったのかどうか。ないならば、検察が日中関係というようなまさに国が判断すべき部分まで判断していいのか。それ自体、民主党の政治主導と矛盾するのではないか」
・藤末健三参院議員
「事実関係を明確にし、国際世論を味方につけるべきだ。そのためには映像を公開すべきだ」
・小川敏夫法務副大臣
「政治介入はなかった。検察庁が捜査して決めたことだ」
(2010年9月28日10時33分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100924-728653/news/20100928-OYT1T00318.htm
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
> 軍事力があるからであって、
正確には, 「国を守る思想と軍事力」があるからですね.
軍事力だけあっても, ネオコンなんて出てきません.
従って, 国を守る思想のない民主党はネオコンから最も
遠いところにいる.
> 一番怖いのは、菅首相が政権を維持する為だけに、
> 「国民感情を宥めさえすればよいのだ」とばかり、
> 単なる形だけで、実効性の乏しい国防政策を打ち出して、
> お茶を濁して逃げること。
日本国民はアラブ, ギリシャ, 支那, 朝鮮の民衆と違い
公共の概念が確立している. だから, 日本における良政の
基準は国民がいやがる事をしないこと.
almanos
日本の場合は「自虐史観」というマイナスのナショナリズムが蔓延していましたからね。昨今の動きを「右傾化」と評する方もおられますがマイナスをプラスか、ゼロにする為の自然な流れでしょう。憲法改正となるど断固として反対する方々もおられますしねぇ。ああいう人達はまだ気がついていないのでしょうが戦前とは状況が違います。戦前の日本は状況の変更を求める側でしたが、現在は状況の維持、もしくは優位を失わない緩やかな変更しか受容できない側です。アメリカも然り。これに対し、中国は状況の自己に優位な変更を求める行動を露骨に行っている。ロシアも東側崩壊で落ちぶれたとはいえ、かつての東側の大国としての遺産のおかげで何とか威勢を保っている。が、中
白なまず
せみまる