中国の鰹節削り戦略

 
「返したから、良かった良かったとはならないもんね。こうやって、おまえらが悪いんだって、また嵩にかかって、また来るでしょ。今後、大変なことになるよ。」
   
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1.尖閣に常駐する中国漁業監視船

中国の漁業監視船が、尖閣沖に常駐しようとしている。

中国は、「釣魚島のパトロールは国家の主権保護のためであり、また漁民の合法的権益を守るためだ」と称して、漁業監視船を尖閣諸島に派遣している。

既に中国は、パトロールを常態化させる方針を表明しているから、殆ど常駐といっていい。

そして、16日には、艦載ヘリコプターを装備した中国の漁業監視船「中国漁政310」が就役し、沖縄・尖閣諸島海域に向けて出航したと伝えられている。

この監視船は2580トンで、全長108メートル、全幅14メートル。航続距離は6000海里(約1万1112キロメートル)最高速度は22ノット。フランスのユーロコプターのライセンスコピーである、最新鋭のZ-9型ヘリ2機の搭載が可能。更に、衛星を使用した広帯域通信機能を持ち、60日間の無寄港航海が可能だという。

当然武器も搭載されていると見られているのだけれど、明らかにはなっていない。

この中国の監視船は、9月末の時点では、南沙諸島(スプラトリー諸島)、西沙諸島(パラセル諸島)周辺海域などに派遣されると発表していたのだけれど、16日になって突然、尖閣諸島っへの派遣を決めた。

この間衝突された、海保の巡視船「よなくに」は、1300トンで全長89メートル、全幅11メートルと、この監視船より一回り小さいから、兵装や速力などの性能にもよるのだけれど、まともにぶつかれば、こちらが不利。この間の漁船とはわけが違う。

いよいよ海保だけでは、対応が厳しい相手が出張ってきた。

中国は、いよいよ本格的に尖閣を狙ってきた。全く諦めてない。

なぜ、そこまで強硬に出られるのか。

それは、もちろん、日本の態度が軟弱だから。




2.日本を朝貢国扱いしている中国

確かに、この間の尖閣沖衝突事件によって、日中間の関係は険悪になった。だけど、険悪になったのは互いの国民感情だけで、政府間、特に日本政府の態度はへたれたものだった。

日中首脳会談をしたい一心で、尖閣ビデオは公開しません。尖閣問題には触れません、と土下座外交をして形だけの会談をしてお茶を濁した。

だけど、中国側は、ブリュッセルでのアジア欧州会議で廊下で話したことを、正式な会見ではなくて、単なる話し合いを意味する「交談(チアオタン)」という表現を使い、東アジアサミット会場での10分程度の接触は、更にその「交談」に入るための、時候の挨拶を意味する「寒暄(ハンシュワン)」という表現を使っていて、まるっきり格下扱いしている。

日本を完全に下に見てる。おそらくもう、朝貢国くらいにしか考えていないだろう。

だから、これからは、もう何やっても大丈夫とばかり、嵩にかかってくる。

本格的に尖閣、そして沖縄を取りに来ると見た方がいい。

ただ、その為には、やっぱり日米同盟が邪魔になる。

今回の衝突事件で、前原大臣がアメリカと通じて、尖閣諸島は日米安保の対象だと言わしめた。中国から見たら、「マエハラ」とかいう輩が鬱陶しくて仕方がない。

だから、前原大臣をターゲットにして、工作をかけてくる。名指しで批判する。

先日のAPECでの日中首脳会談では、胡主席と会談する条件として、前原外相が一連の問題発言に対する反省を伝えることと、領土問題や映像流出問題、東シナ海のガス田問題には触れないことという密約は交わされたという。

日中の懸案事項に一言も触れない上に、前原外しを仕掛けられて、唯々諾々と飲んでいる。これでは、会う意味が全くない。

よくメディアの報道なんかでは、外交交渉でもどちらが勝った、負けたとかいう具合に1か0かで報道しがちなのだけれど、中国のやり方はそれとは少し違うように感じている。

それは、1か0かなんかじゃなくて、小数点以下のコンマいくつであっても、仮に1億分の1でも自分に有利になるのなら、何だってする。1ミリでも、削れるものは削っておくというやり方。

だから、たとえ、民主党政権下で、中国に文句をいう政治家が、前原大臣一人であっても、削れる限りは削る。ほんの僅かでも抵抗要素は排除する。




3.中国の鰹節削り戦略

自分に少しでも抵抗するものは、どんな僅かなものでの削っておくという中国のやり方。同じことは、日米安保にも言える。

確かに、尖閣諸島を獲ろうと思ったら、日米安保は邪魔以外の何物でもない。ならば、日米安保を削ってしまえばいい。

つまり、日米安保を壊すのではなくて、薄く削る。

いきなり壊しに掛かると、相手は吃驚して身構える。だから壊さずに削る。まるで、鰹節を削るかのように、薄く薄く削り取ってゆく。薄皮を剥いでゆく。

そうして、気付いた時には丸裸になっている。それくらい長期的に戦略を立てて行動してる。

APECで日中首脳会談をするための条件として、前原大臣の反省を持ちだしたのもそうだし、会談で、尖閣を持ち出さないと釘を刺したのも削り取りのうち。

そうすれば、後で尖閣問題について協議しようと日本が持ちかけたって、APECの時に何にも言わなかったじゃないか、もうこの問題は片付いた、なんてしらばっくれることだって出来る。中国は、それくらい平気でする相手だと思ったほうがいい。

だから、まだ尖閣諸島は日本が実効支配しているから大丈夫なんてのは大甘。

中国は、これから、ありとあらゆる手を使って、日米関係を削ってくる。日米が握手したその手の薄皮を剥いでくる。

それどころか、民主党政権のうちに、何枚薄皮を剥げるか計算しているのではないかとさえ。

その意味では、今度の沖縄知事選だってそうだろうと思われる。

たとえ、直ぐに在日米軍を沖縄から追い出せなくても、県外移設を公約にする知事が当選するだけでも、薄皮一枚削ったことになる。

だから、本当に、中国が沖縄知事選に工作しているかどうかは分からないけれど、工作する動機と意味は充分にあることくらいは念頭に置いておくべきだと思う。

それに、もっと穿った見方をすれば、沖縄は元々中国領だったなんて、中国が言いだしていることだって、沖縄の薄皮を一枚削り取りにきていると見えなくもない。

だから、日本もそれを承知の上で、外交戦略を考えておくべき。今の民主党政権が、経験豊富な日本外務官僚を袖にして、外交を切り盛りできるとは思えない。

そんな力があれば、これほどの外交的失態を重ねてなんかいない筈。

もうそろそろ、民主党政権も、自分達の実力の無さを素直に認めたらどうか。それが嫌なら、政権についているのは害悪以外の何者でもない。


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画像中国、ヘリ搭載監視船が就役 「有力武器」尖閣海域へ 2010.11.17 21:16

 【上海=河崎真澄】17日付の中国紙、東方早報などによると、艦載ヘリコプターを初めて装備した中国の漁業監視船「中国漁政310」が16日に就役し、東シナ海の沖縄・尖閣諸島海域に向け広東省広州を出航した。

 中国は尖閣諸島沖での漁船衝突事件を受け、漁船保護を理由に監視活動を常態化する方針を表明済み。ヘリ搭載の監視船導入で偵察活動などの機動性を高め、海洋権益や主権の保護を強硬に主張する狙いがある。

 同紙によると同監視船は2580トン、最高速度は22ノット。最新鋭ヘリ2機が搭載できるほか、衛星を使用した広帯域通信などハイテク機能も装備しており、最長で60日間の無寄港航海が可能だという。

 同監視船は尖閣諸島近海など東シナ海での任務を経て、南沙(英語名・スプラトリー)諸島近海など南シナ海に投入され、漁船保護活動の指揮を理由に事実上の軍事行動を取るものとみられている。中国国営新華社通信は、「(最新の監視船就航は)海洋や漁業の権益を防衛する新たな有力武器だ」などと評している。

 中国農業省の李建華漁業局長は同監視船の16日の就航にあたって、「海洋権益と主権を守る任務は今後さらに重くなる。多くの先進的な監視船建造をすでに計画している」と話した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/world/china/101117/chn1011172119004-n1.htm



画像中国の漁業監視船、尖閣へ 「国家主権保護のため」2010.10.20 14:04

 20日付の中国紙、北京青年報によると、中国農業省漁政局所属の漁業監視船が14日、漁船保護のため、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域へ向け、山東省煙台から出港した。日本領海に接近すれば、日本側と再び摩擦が起きる恐れもあるが、同周辺海域に到着したかどうかは不明。

 出港したのは監視船「中国漁政118号」。出港に当たり、農業省漁政指揮センター幹部は「釣魚島のパトロールは国家の主権保護のためであり、また漁民の合法的権益を守るためだ」と語った。

 中国の漁業監視船は9月の漁船衝突事件発生後、尖閣諸島周辺海域を航行、10月6日に同海域を離れた。しかし、中国当局は、同海域の保護とパトロールを常態化させる方針を表明している。(共同)

URL:http://sankei.jp.msn.com/world/china/101020/chn1010201404007-n1.htm



画像ハノイでの日中首相の接触、中国側は「時候のあいさつ」2010年11月2日22時18分

 【北京=林望】10月末の東アジアサミット会場での日中首脳による10分間の接触について、中国外務省報道局の洪磊副局長は2日の会見で、「寒暄(ハンシュワン)(時候のあいさつ)だ」と述べた。同月初めのブリュッセルでの両首脳の接触より、さらに格下の扱いにとどめている。

 中国政府がハノイでの菅直人首相と温家宝(ウェン・チアパオ)首相の接触に言及するのは初めて。ブリュッセルでのアジア欧州会議会場の廊下で両首相が接触した際、中国外務省は、正式な会見と異なる「交談(チアオタン)(話し合い)」との表現を使った。中国では「寒暄」は「交談」に入るためのあいさつとされ、さらに軽い意味を持つ。

URL:http://www.asahi.com/international/update/1102/TKY201011020494.html



画像“日中国辱密約”発覚 尖閣触れずを条件に胡錦濤APEC出席 2010.11.09

 中国漁船衝突事件のビデオ映像がインターネット上に流出した問題で、海上保安庁は、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで、容疑者不詳のまま刑事告発に踏み切った。こうした中、横浜でのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に、中国の胡錦濤国家主席が出席することが明らかになった。大宅賞ジャーナリスト、加藤昭氏が、背後に潜む国辱的な日中密約情報に迫った。

 北京から驚くべき情報が飛び込んできた。「胡主席のAPEC出席の背後に、知られざる日中密約がある」というものだ。私(加藤昭)は直ちに中国の情報機関関係者に接触した。

 --胡主席のAPEC出席がギリギリで決まった。背景は

 「出席には、2つの難関があった。まず1つは、釣魚島(日本の尖閣諸島)事件だ。先週末、ビデオ映像が流出したが、胡主席をはじめ、中国指導部は『日本政府が意図的に流したのではないか』との疑念を持っていた。そのまま、APECに出席すれば『弱腰外交』と非難を浴びるのは目に見えていた」

 --どう決着した

 「中日両国間で密約が交わされた。まず、中日外相会談で、前原誠司外相が一連の問題発言に対する反省を伝えること。そして、菅直人首相と胡主席が首脳会談を行う場合にも、領土問題には一切触れないこと。映像流出問題も東シナ海のガス田問題もナシだ。議題に上げるのは、戦略的互恵関係の確認と、文化・経済交流の活性化など5項目に限られる」

 中国側が問題視した前原氏の発言とは、「東シナ海に領土問題は存在しない。1ミリとも(尖閣諸島の領有権を)譲る気はない」「中国が求める(漁船衝突事件の)賠償や謝罪は受け入れられない」「トウ小平氏の『尖閣棚上げ論』について)日本政府が同意した事実はない」など、日本の外相としては至極真っ当なもの。

 これに対し、中国外務省の高官は「(前原氏は)毎日、中国を攻撃する発言をしている」「雰囲気を壊した」などと名指しで攻撃。「前原外し」ともいえる風潮が生まれた。

 《一連の『前原外し』『前原攻撃』について、前原氏は2日の記者会見で、『常に政治家とは、評価もされるし、批判もされるものだと思っている。信念を持ってしっかりと自らの職責を全うしたい』と答えている》

 もし、胡主席のAPEC出席や日中首脳会談の条件として、「前原氏が反省を伝える」「首脳会談で尖閣問題は触れない」と密約したのが事実ならば、日本としては国辱的内容であり、にわかには信じ難い。

 ただ、8日の衆院予算委員会で、極めて不可解なやり取りがあった。自民党の棚橋泰文議員が「胡主席と会談した場合、『尖閣諸島は日本の領土だ』と明確に伝えるのか?」と何度も問い質したが、菅首相は「必要な場面では…」「適切な場面では…」などと、条件付きでしか「伝える」と答えなかったのだ。

【怒りの人民軍も密約で納得】

 現在、日中間のパイプは、「影の宰相」こと仙谷由人官房長官が握っているとされる。当然、これらの背景もよく知っていると思われる。

 《仙谷氏は8日夕の記者会見で『私は相当程度(日中首脳会談が行われる可能性が)高いと思います』といい、『これ以上、緊張が激化しないようなことを、お互いに未来志向で考えていく』と語った。一方、中国外務省の高官は同日、首脳会談開催について『情報は把握していない』と語り、対応を明確にしていない》

 --もう1つの難関は何か

 「軍の反発だ。事件以降、人民解放軍内では対日強硬派が台頭し、日本でのAPEC出席に猛反対していた。9月中旬、東シナ海のガス田『春暁(日本名・白樺)』の洋上施設に、掘削用ドリルが運び込まれ、試掘が行われた。あれは、対日強硬派の筆頭である馬天暁将軍が独断で命令したもの。彼は軍参謀本部・対外戦略担当を務める副参謀長の要職にある。影響力は絶大で胡主席も黙認せざるを得なかった」

 --軍はAPEC出席を納得したのか

 「不満はあるが、了承した」

 日中密約と軍部の台頭…。衝撃的な話である。菅政権は、衝突事件のビデオ映像を国民から隠し続けてきたが、菅首相がホストを務める横浜APECを体裁よく開催するため、国家の威信すら犠牲にしたのか。

 政権交代から1年余り。民主党政権は対米、対中、対露外交のすべてで大失態を演じた。内外から「市民派政治の限界」「外交能力なし」という厳しい声が噴出している。このままでは、日本は「亡国の道」をたどる以外にない。 

 【かとう・あきら】1944年、静岡県生まれ。大宅マスコミ塾で学び、「瀬島龍三・シベリアの真実」「『中川一郎怪死事件』18年目の真実」などのスクープを連発。「闇の男 野坂参三の百年」で94年、第25回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。

URL:http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101109/plt1011091654009-n1.htm

この記事へのコメント

  • 白なまず

    中国のバブルが弾けたら、中国元はGDP比で米国より多い通貨量みたいなので、どう見ても、元大暴落でしょうね。そして、それを知っているお金持ちの中国人はバブル崩壊前に円とかユーロとかにしたいと思うでしょうが、EUもどうなるか分からない。つまり、円しか頼る先は無いと見ていると思います。また、米ドルと元の関係から米国が貿易赤字を踏み倒す以外米ドルは元と共に沈むし、米のサブプライムを解決しようとすると米ドルは暴落するだろうし、それに伴いユーロも沈む。結局、日本が一番被害が少ないはずなので、これから先、外国の富裕層が日本に資金を持ち込んで、日本で優雅に暮らそうと目論み来日するのではないでしょうか。つまり、政治がどんな惨めは負け方しても、日本経済のおかげで何もせずに勝ってしまうのでしょう。
    2015年08月10日 16:47
  • とおる

    > 16日には、艦載ヘリコプターを装備した中国の漁業監視船「中国漁政310」が就役し、沖縄・尖閣諸島海域に向けて出航したと伝えられている。

    尖閣諸島の一部の島は、米軍の射撃場(爆撃場)だったような気がします。
    尖閣諸島周辺を、爆撃練習のために、立入り禁止区域にしちゃえ。
    昔、東欧の中国大使館が米軍機に誤爆されたことがありましたが、下手に近づくと、誤爆されちゃうよ。
    って。
    2015年08月10日 16:47
  • almanos

    既に民主党政権は末期ですからねぇ。取れるものはたとえ削り節一枚でも取るという所でしょう。こうなると自民党に、まだ毛沢東が主席時代の尖閣諸島の領有権に触れた人民日報の記載などを取り上げていただき、「現政権が毛沢東と違う事を言っている事についてきちんと問い質したのか? 」とか突っ込んでもらいたいものです。沖縄知事選に関しては、恐らく仲井間知事の続投に収まるでしょう。何だかんだ言っても中国よりもアメリカのほうがマシだから。違法操業で被害蒙ってますからね。基地はイヤだが、シナはもっとイヤという判断になるのではないでしょうか?
     気になるのはどうも人民解放軍への党の統制が効かなくなっている事。バブルがヤバイはじけ方をしかねない状況に陥ってますしね。経済がハードランディングをしたら軍も大打撃を受ける。不満を外に向けて解消する為に、削り節より大きなものを求めて無茶な行動を起こしそうに思えてなりません。以前から言っていますが内憂を外征で誤魔化す為、第二次中越戦争勃発とか。やりやすい所から仕掛けるのが基本ですからねぇ。日本がへたれたおかげで東南アジアでは戦争のリスクが上がっているのではないか? そう思
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    本来なら政府を力付けるのは国民の後押しの筈.
    民主党隠蔽政府は, その点で, 後押しどころか
    罵倒の対象.

    翻って, 後期自民党時代はどうだったか.
    やはり自民党隠蔽協力政府だった.
    戦後直後世代の自虐的発想に基づく隠蔽体質の
    うっとおしさに戦前のしがらみから自由になってきた
    世代は気が付き始めている.

    これから最大のピンチが来るだろうが, それは同時に
    最大のチャンスでもある.

    沖縄知事選に合わせたように支那の悪魔が来る.
    海上保安庁・自衛隊の末端の隊員が国土防衛の
    職分を守ることができたなら, 沖縄覚睡のチャンスでも
    ある. 今こそ沖縄に「本当の」メデイアを!
    2015年08月10日 16:47

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