「うちなーんちゅ」と「やまとんちゅ」(沖縄知事選について 補追1)

  
今月28日に投開票が行われる、沖縄知事選についての追記。

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米軍普天間飛行場移設問題が最大の争点となる沖縄県知事選が11日告示され、現職の仲井真弘多氏、前宜野湾市長・伊波洋一氏と、幸福実現党員・金城竜郎氏(46)の3人が立候補を届け出た。

沖縄タイムス社が今月の4~7日にかけて、県内の有権者693人に無作為に電話をかけて情勢調査をしたところ、当初の予想通り、現職の仲井真弘多氏と前宜野湾市長の伊波洋一氏が横一線で並び、事実上の一騎打ちの様相を呈しているようだ。

仲井真氏は、自民支持層の約9割と、公明支持層の大部分を固めたのに対し、伊波氏は、社民や共産支持層の約9割、社大支持層の約6割を固め、自主投票を決めた民主支持層の5割以上と「無党派層」の約3割の支持を集めていると見られる。

投票には「必ず行く」(84%)と「たぶん行く」(9.7%)を合わせて9割以上が投票に「行く」と答えたものの、まだ2割が投票態度を決めていない。

ただ、告示の時点で、両候補とも、自身の支持層の大半を固めているということは、そこから更に票を集めようとしても、相手の支持層を切り崩すか、無党派層の支持を集めるしか手がないから、両候補とも、ここから大きく票を伸ばすのは難しいのではないかと思う。

その状態で、両候補の支持が横一線ということは、どちらが勝つにせよ、僅かな差になるのではないかと思われる。

知事選の争点と言われる普天間移設問題については、両候補とも県内移設に反対しているのだけれど、仲井真氏は県外移設を要求しながらも「県内反対」の明言を避けていて、政府との対話継続に意欲を示しているのに対して、伊波氏は県内移設反対と、はっきり国外移設を主張していて、日米合意を前提とした協議には一切応じない考えを示している。

この両氏の微妙なスタンスの違いから、政府は仲井真氏となら、辺野古移設への協議の可能性があると見ているようだ。



さて、ここで、知事選に立候補した仲井真氏、伊波氏、金城氏の3氏の普天間移設問題と、今回の尖閣衝突事件によってクローズアップされた、尖閣周辺海域の警備に対するスタンスを整理してみると次のとおり。
・普天間移設問題
  仲井真氏   「対話続け県外移設」 
  伊波氏    「協議には応じず県内反対」
  金城氏    「県内移設推進」

・尖閣周辺海域の警備態勢
  仲井真氏   「取り締まりの強化」 
  伊波氏    「中国との対話を進めて解決」
  金城氏    「自衛隊を派遣」

ここで、注目したいのは、普天間移設と尖閣周辺の警備に対する態度でそれぞれ違いがあること。

仲井真氏は、普天間移設問題は「対話路線」で、尖閣周辺警備は「取り締まり強化」としているけれど、これに対して、伊波氏は、普天間移設問題は「対話拒否」で、尖閣周辺警備は「中国と対話」としていて、見事な対称を為している。

仲井真氏は、日本政府とは話し合うが、尖閣は取り締まるスタンスを取っているから、どちらかといえば、日本政府寄りであるといえるけれど、伊波氏は、普天間では、日本政府とは話し合いを拒否するのに、尖閣では中国と話し合うスタンスだから、中国寄りの態度だと言っていいだろう。

尤も、伊波氏は、読売新聞のインタビューに「中国とはとても身近に感じる」と答えているから、そうした態度も当たり前なのかもしれないけれど、まぁ対話して解決する国なら、こんな苦労はしていない。

仮に伊波氏が勝つことになったら、普天間問題は、日本政府の方針と真っ向から対立することになる。しかも、伊波氏は、日本政府との協議に応じないとしているから、県外移設どころではなくて、ひたすら現状維持。すなわち、普天間はそのまま固定化されることになる可能性が高い。



アメリカもその辺りは冷めたもので、オバマ政権はこれまで「戦略的忍耐」と称して、日本側の調整を見守る姿勢だったのだけれど、先の中間選挙の大敗もあって、普天間の継続使用しかないとの声も出てきているようだ。

だから、アメリカとの同盟関係を考えた場合、仲井真氏が再選しても、日米関係は良くて現状維持なのだけれど、伊波氏が当選した場合は、日米関係はもっと悪化して、下手をすれば、抜き差しならぬものになってしまう可能性すらある。

そこへ来ると、金城氏の態度は明確。普天間移設問題は「県内移設」で、尖閣周辺警備は「自衛隊派遣」。ここまでくると、日本政府寄りどころか、日本政府及びアメリカの側に立つというはっきりとしたスタンスになる。

この金城氏のスタンスは、アメリカから見ると、自分達が受け入れられるという安心感を醸成するものになるから、この日米関係が微妙な時期、金城氏という候補が知事選に出馬する意味は大きい。

そして更に、金城氏が知事選である程度以上の得票を集めれば集めるほど、「沖縄は決して在日米軍に出ていけと思っているわけではない」という、アメリカに対する好意的なメッセージを送ることになるだろう。

だから、ある意味、金城氏の知事選への出馬は、もしかしたら、日米同盟をどうにかこうにか繋ぎとめる役割を果たすのかもしれないと思っている。



ただ、テレビ等で報道される沖縄の様子や、仲井真氏、伊波氏の発言を聞いていて、強く感じたことがある。

それは、沖縄の人達は、本土が沖縄を見捨てたとまでは言わないまでも、「ほったらかしにしている」と感じているのではないかということ。

勿論、去年、友愛殿が普天間で引っかき回したというのもあるけれど、どうも、沖縄の人達の心の中に「大和人(やまとんちゅ)は我らのことを真剣に考えていない」という強い不満があるように思う。

それが、「象徴的」に、普天間の県外移設の声となって現れているのではないか、と。

沖縄、ひいては日本の安全保障の為に、沖縄の在日米軍が必要であるということは、おそらく沖縄の人の殆どは、頭では理解している。

だけど、その奥には、「そうであるならば、尚のこと、本土は沖縄(ウチナー)に気を配るべきだ。」とでもいうべき感情があるように思える。

ゆえに、政府は、その「うちなーんちゅ」の気持ちを、もっともっと理解するよう努める必要がある。

もし、仮に今、田中角栄が沖縄知事選に出馬したとしたら、沖縄にリニアを走らせますとか、一大観光都市を造りますとかいって、当選するのではないかと思う。そして、それを実現してのけるとも。

たぶん、沖縄の人は、東京の政府にしっかりモノ申して、こちらの言い分を理解させて、地元の利便をしっかり計ってくれる人、すなわち、政治力のある候補を欲しているのだと思う。

だけど、現実はその真反対。今の空き菅殿は、おそらく沖縄のことなんて頭の中にない。実際なんのアプローチもしていない。だから反発を受けている。

そこに、もし、中国の工作が入ってきたらどうなるか。

日本政府への不満や反発心が渦巻く、その心の隙間に甘い顔をして寄ってくるものがあったとしたら、間違ってコロッといってもおかしくない。

実際、中国は「沖縄は元々中国の領土だ」なんて言いだしている。甘い囁きをしている。

であるならば、だからこそ、本土から多くの議員が沖縄に入る必要があるし、沖縄に行って、唯、選挙応援して帰っていくのではなくて、地元に深く入って「うちなーんちゅ」の気持ちを、その声を丁寧に聞いて回ることが大事。

「うちなーんちゅ」と「やまとんちゅ」の絆を、如何に強固なものにできるか。それが沖縄知事選の奥にあるポイントではないかと思っている。




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画像普天間移設で仲井真氏VS伊波氏が激戦 沖縄知事選告示 2010.11.11 11:12

 任期満了に伴う沖縄県知事選は11日告示され、3人が立候補を届け出た。自民党県連の支援を受けて再選を目指す無所属現職の仲井真弘多氏(71)=公明推薦=と、無所属新人の前宜野湾市長、伊波洋一氏(58)=共産、社民、沖縄社大推薦=による事実上の一騎打ちで、激戦が見込まれる。

 投開票は28日で、日米合意に基づく米軍普天間飛行場(宜野湾市)の同県名護市辺野古崎地区への移設に大きな影響を与えるのは必至。辺野古移設の破綻(はたん)によって菅政権が行き詰まり、日米関係が再びきしむ可能性もある。

 ほかに届け出たのは、諸派新人の幸福実現党員、金城竜郎氏(46)。民主党は自主投票を決定しているが、県連所属議員の半数以上は伊波氏支援に回る見通しだ。

 日米合意に県民の反発が根強い中で、仲井真、伊波両氏とも辺野古移設の可能性を否定。ただ、伊波氏が県内移設反対と国外移設を主張しているのに対し、仲井真氏は県外移設を要求しながらも、「県内反対」の明言を避け続けている。

 伊波氏は、日米合意を前提とした協議には一切応じない考えで、当選となれば政府は局面打開の糸口を完全に失う。逆の結果でも厳しい状況は続くが、仲井真氏は政府との対話継続に意欲を示しており、政府には少なくとも沖縄側とのパイプが残ることになる。

 両氏は那覇市中心部で第一声を上げ、仲井真氏は移設問題で「日米合意を見直してもらい、県外移設へ。(基地負担軽減に向けて)首相官邸と話を始めている」と強調。伊波氏は「相手候補(の仲井真氏)に、県内移設反対の県民の思いを託すことはできない。先頭に立ち、普天間返還を求めて行動する」とアピールした。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/election/101111/elc1011111014001-n1.htm



画像沖縄県知事選告示、3人が立候補

 米軍普天間飛行場移設問題が最大の争点となる沖縄県知事選(28日投開票)は11日告示され、自民党県連の支援を受けて再選を目指す現職・仲井真弘多氏(71)(無=公明推薦)、いずれも新人の前宜野湾市長・伊波洋一氏(58)(無=共産・社民推薦)、幸福実現党員・金城竜郎氏(46)(諸)の3人が立候補を届け出た。

 保守系の仲井真氏と、12年ぶりの革新県政復活を狙う伊波氏による事実上の一騎打ちになる見通し。選挙結果は、日米両政府が合意した名護市辺野古への移設計画に影響を与えるのは必至だ。

 普天間飛行場の移設先について、仲井真氏は県外、伊波氏は米領グアムを訴えている。ただ仲井真氏は普天間の固定化を懸念し、再選されれば、政府と協議を行う考えを示している。伊波氏は「県内移設反対」を主張し、政府との協議は拒否する姿勢だ。

 仲井真氏は那覇市内で出陣式に臨み、「日米合意の見直しと県外移設を(政府に)求め、日本全体で安全保障問題を考えてもらう」と第一声をあげた。

 伊波氏は同市の県庁前で出発式を行い、「辺野古への新基地建設に反対し、先頭に立って日米両政府に普天間の危険性除去と返還を求めていく」と述べた。

 金城氏は同市内で、辺野古移設の推進を訴えた。

 有権者数は10日現在、107万9001人(男52万4532人、女55万4469人)。

 選挙戦では、尖閣周辺海域の警備態勢のあり方も争点に浮上している。仲井真氏は取り締まりの強化を主張。伊波氏は中国との対話を進めて解決すべきだとしている。

(2010年11月11日11時51分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20101111-OYT1T00223.htm



画像同盟深化の頓挫を懸念=沖縄知事選の成り行き注視-米

 【ワシントン時事】米政府は沖縄県知事選について、難航する米軍普天間飛行場移設を完全に行き詰まらせる恐れがあるとみて、成り行きを注視している。移設問題が決着しなければ、同盟関係の深化も頓挫すると懸念を強めているところだ。
 「日米両国の安全保障をめぐる結び付きに傷を残し、同盟の将来像の策定を途切れさせる」。米議会調査局が最近まとめた対日関係に関する報告書は、普天間問題解決の遅れを受け、こう警告した。
 日米両政府は今年、安保条約改定50周年を踏まえて同盟を深化・発展させるための協議を始めた。しかし普天間問題の処理に忙殺され、「実質的な話し合いに入れる空気ではなかった」(日米関係筋)のが実情だ。
 知事選について米側関係者の中には「革新系の伊波洋一前宜野湾市長が当選すればゲーム・オーバー。現実的な仲井真弘多知事なら前進の可能性が残る」(元高官)と期待をつなぐ向きもある。
 ただ、普天間飛行場の県外移設を求める点で両氏の主張は違わない。再選されても仲井真氏が政府間合意を受け入れるとの確たる見通しはなく、8月末に報告書がまとめられて以降、たなざらしの建設計画確定は選挙後も不透明だ。
 オバマ政権はこれまで「戦略的忍耐」を合言葉に、基本的には日本側の調整を見守る姿勢だった。ただ、先の中間選挙の大敗で余裕を失いつつあり、米政府関係者から「現飛行場の継続使用しかない」とあきらめの声も漏れている。(2010/11/11-18:30)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010111100794



画像伊波・仲井真氏が横一線 県知事選 本紙告示前情勢調査 投票「行く」9割超 2割近く 態度示さず 政治 2010年11月9日 09時32分

 11日告示、28日投開票の県知事選を前に、沖縄タイムス社は4~7日の4日間、県内の有権者を対象に電話による情勢調査を実施した。新人で前宜野湾市長の伊波洋一氏(58)=無所属、社民、共産、社大推薦=と、現職の仲井真弘多氏(71)=無所属、自民県連、公明推薦=が横一線の激しい戦いを展開している。幸福実現党県本代表代行の金城竜郎氏(46)=幸福実現公認、前琉球大工学部教授の永井獏氏(66)=無所属=は厳しい。

 告示前の調査で、候補者が確定していないことに加え、調査時点で約2割が投票態度を明らかにしていないため、情勢は変化する可能性がある。

 投票に「必ず行く」(84%)と「たぶん行く」(9・7%)を合わせて9割以上が投票に「行く」と答え、関心の高さを示した。一般に情勢調査で「投票に行く」と回答した割合は、実際の投票行動を下回る傾向があり、実際の投票率を示すものではない。

 伊波氏は、社民や共産支持層の約9割、社大支持層の約6割を固め、自主投票を決めた民主支持層の5割以上、特定の支持政党を持たない「無党派層」の約3割に食い込んでいる。

 仲井真氏は政党支持率でトップに返り咲いた自民支持層の約9割と、公明支持層の大部分を固めている。

 候補者を選択する際、重視する点では「候補者の掲げている政策」が最も多く31・3%、「過去の実績」(20・1%)、「候補者を推薦する政党や団体」(19・6%)、「実行力や交渉力」(17・9%)と続いた。

 両氏は男女別、年代別でも60代を除き支持が拮抗(きっこう)。無党派層の約5割が投票する候補者をまだ決めていない。

調査方法

 4、5、6、7の4日間、オートコンタクトシステムで行った。県内の電話帳データに基づき、無作為に電話をかけて回答を得た。回答者は693人。男性273人、女性420人。

URL:http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-11-09_11843/



画像選挙:沖縄県知事選 告示 普天間争点 沖縄の思い、誰に

 11日に告示された沖縄県知事選は、米軍普天間飛行場の移設問題が争点で、国内外の注目を集める。民主党政権は「最低でも県外移設」の約束をあっさり破り、5月に米政府と同県名護市辺野古への移設で合意。県民の反発は今も強い。膨張していく反基地感情が選挙戦のすう勢に、どう影響するか。米軍基地の過重な負担を背負わされ続ける「沖縄の思い」が知事選に託される。候補者たちは脱基地の沖縄振興や基地の負担軽減などに声をからした。【佐藤敬一、斎藤良太】

 ◇対話続け県外移設か--仲井真氏
 ◇妥協廃し県内反対か--伊波氏
 現職の仲井真弘多氏(71)、新人で前宜野湾市長の伊波洋一氏(58)ともに「辺野古移設は不可能」の認識では一致する。しかし、グアム移転が持論で強硬に県内移設反対を訴える伊波氏に対し、県内反対を明言せず、政府との対話路線を残す仲井真氏という違いがあり、政府は仲井真氏の再選に日米合意実現の望みをつなぐ。選挙戦の行方は、沖縄だけでなく、民主党政権、さらに日米関係にも影響するだけに、かつてなく内外の注目を集める。

 自民県連と公明の推薦を受ける仲井真氏は公約で普天間の県外移設を掲げたほか、米軍基地の整理・縮小への取り組みや再開発をスムーズにするための基地跡地利用推進法の制定などを盛り込んだ。

 仲井真氏は出陣式で約1200人(陣営発表)の支持者を前に「一括交付金と新しい振興法、基地の跡地利用推進法を必ず責任を持って実現したい。県民が熱望してきた鉄軌道導入に取り組みたい」と訴えた。

 選対本部長を務める翁長(おなが)雄志(たけし)那覇市長は「仲井真氏は4年間の実績と将来を見越した政策を持つ。共産党が支持する候補が知事になったら将来の展望が開けない」と述べた。

 普天間の県内移設反対を明確に主張し、共産と社民、地域政党・沖縄社会大衆の推薦を受ける伊波氏は、公約に、爆音解消のために米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)からの戦闘機部隊の撤退要求や、日米地位協定の抜本的な改定要求などを盛り込んだ。

 出陣式で伊波氏は「日米両政府に県内移設に反対する県民の意志を示し、普天間飛行場の危険性の除去と返還を求める行動を行っていく。平和な沖縄を作ることを約束する。県民の命や暮らしを守ることができる県政を県民と一緒につくっていく」と語り、集まった支持者約500人(陣営発表)から拍手や歓声を浴びた。

 新里米吉・社民党県連委員長は「相手陣営は基地問題は争点ではないと言っているが、彼らが騒げば騒ぐほど基地問題が争点であることは明らかだ」と語った。

 辺野古移設への県民の反発を考慮し、民主は候補擁立を断念し自主投票を選択。党中央とねじれて「県外、国外移設」を求める民主県連の動向が注目されているが、県連の山内末子県議は伊波氏の出陣式に参加し、「政府に対して下克上を突きつける沖縄の命をかけた闘いをしていこう」と支持を訴えた。

 幸福実現党公認で新人の金城竜郎氏(46)は、普天間の危険性除去のため辺野古移設を主張している。出陣式では「公共事業を増やして雇用確保。製造業を誘致して安定雇用を生み出す」と訴えた。

 ◇全面返還合意14年、政府と対立のまま
 96年4月、日米両政府の全面返還合意で動き出した米軍普天間飛行場の移設には革新系の大田昌秀氏、保守系の稲嶺恵一氏、そして稲嶺氏の後継者として当選した仲井真弘多氏と3人の沖縄県知事が政府交渉にかかわってきた。しかし、合意で定められた「5~7年以内の返還」は14年たっても実現していない。しかも、保守、革新を問わず最終的に移設を巡って政府と対立する状態で任期満了を迎える構図も共通している。

 返還合意当時の知事は大田氏だった。政府は名護市沖海上に代替施設を建設する方針だったが大田氏は98年2月に反対を表明。その大田氏は同年11月の知事選で「15年使用期限」「軍民共用施設」の条件付きで県内移設を容認した稲嶺氏に敗れる。

 政府との協調による沖縄振興を目指した稲嶺氏は99年11月、辺野古への移設容認を表明。国、県、名護市は協議を重ねて02年7月、代替施設協議会で辺野古沖移設の基本計画を定める。

 進展するかにみえた移設はしかし、反対派の抗議活動などで計画は進まず、04年には沖縄国際大で米軍ヘリコプター墜落事故が発生。政府は移設見直しに動く。

 稲嶺氏が協調路線から転換したのは05年10月の米軍再編中間報告。政府が沖縄県の了解を得ないまま、辺野古沖移設を変更し、より集落に近いキャンプ・シュワブ沿岸への移設で米政府と合意したからだ。大田氏のように政府との決裂を避けたい稲嶺氏は、対政府協議こそ続けたものの、政府が認めないシュワブ内での暫定ヘリ発着帯建設を提案し、引退する。

 後継候補として06年知事選に当選した仲井真氏は沿岸案の沖合への修正を主張。修正の可能性について「(政府に)暗黙の了解がある」と発言するなど、政府との交渉に自信をにじませていた。

 移設を振り出しに戻したのは、09年夏の民主党政権誕生だ。県外移設を志向した鳩山政権だったが、政権発足後8カ月にして「米軍の抑止力」を理由に辺野古移設に回帰。沖縄県民の激しい反発を呼んだ。そのうねりが、県内移設を容認してきた仲井真氏を「県外」へと転換させ、三度(みたび)、沖縄と政府の対立に至った。【三森輝久】

毎日新聞 2010年11月11日 西部夕刊

URL:http://mainichi.jp/seibu/seikei/news/20101111ddg041010010000c.html

この記事へのコメント

  • 日比野

    保守@沖縄さん。コメントありがとう御座います。
    >単純に「選挙」という観点で見るなら、伊波氏が有利になるだけで、何の意味もないんですけどね。
    これは、そのとおりですよ。だから、前の「沖縄知事選挙に
    ついて」のエントリーで、金城氏は、玉砕覚悟で、伊波氏の地盤に乗りこんで、伊波氏への支持を削り取るべきだ、とのべました。
    あと、アメリカですが、cnnが、金城氏を取りあげてますね。
    http://ireport.cnn.com/docs/DOC-518267
    2015年08月10日 16:47
  • 保守@沖縄

    金城タツロー氏の出馬を評価されているようですが・・・

    単純に「選挙」という観点で見るなら、伊波氏が有利になるだけで、何の意味もないんですけどね。

    なぜなら、金城氏に投票する層は、伊波氏を推す革新層からではなく、仲井眞氏を推す保守層から流れる可能性が高いからです。

    「政治」と「選挙」は別物である、ということは、視点として持っておいた方がいいと思いますよ。

     アメリカ側が、落選議員のことをいちいち見るとは考えにくいですから。
    2015年08月10日 16:47
  • 白なまず

    伊波氏の辺野古への基地移設に16年かかると言う話がポイントだと思いました。普天間基地が移設が開始されてから16年かかるとモメている内に2004年から6年間すぎている。無駄な時間ですね。本当に暫定的にでも危険を回避するのであれば、まずは普天間周辺の危険領域の住民まるごと移ってもらい。辺野古工事を行っておればそんなに問題ではないはず。むしろ、普天間基地が無くなった後の再開発を沖縄県民主導で計画しやすくなる。しかし、米軍がグアムへ移るのは中国崩壊を見据えた計画であると仮定すると、基地移設を引き伸ばすのが都合よいと思われるので、米軍が文句を言わないのは彼らの思惑どうりなんだろうと勘ぐってしまう。また、行政としてはお金の事しか無いのであろうが、これが、幻想の中国13億人の市場と日本1億の市場と言う表現に現れていて、まったく中国の事を知らない人たちが沖縄知事選に出ているのが不思議でした。中国がどんな国なのか、米国に比べてどうなのか、日本と比べてどうなのか、、、身を持って体験しないと分からないようであれば、台湾の二の舞ですね。まあ、2013年ごろからは世界の状況が大きく変わっているので、今の議論が無
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    沖縄は本土から離れているので, どうしても不安感が
    あって, 本土が沖縄を考えていないと思うのだろうが,
    実際には莫大な予算が投じられて来た.
    今までの自民党政権が左に遠慮するあまり, しっかり
    と説明してこなかったのが大元か.

    確かに沖縄本島に新幹線は必要かも知れない.
    お年よりでも簡単に本島の南北を行き来できれば
    沖縄ももっと活性化するだろう.
    2015年08月10日 16:47
  • almanos

    沖縄の基地問題の根本は最良のロケーションである事。これにつきるんですよね。例えば台湾に基地を造れるなら半分位は減らせるかもしれない。しかし、それは間違いなく米中の熱い対立の引き金を引く。かつて、中継貿易で栄える事が出来た沖縄のロケーションこそが在日米軍の基地を置く最大の根拠となっている。そして、基地を疎ましく思っていても不景気な今は基地が落とす金無しで生活が出来ない。だけど基地があるが故の問題もある。尖閣諸島の問題もあって「ヤマトはアテにならん」という心理も醸成されているかもしれません。予想としては伊波氏と大差で現職の仲井真知事が続投という線で収まりそうに思えます。なぜなら、あのビデオ公開があった。伊波氏が自衛隊派遣に舵を切れば解りませんが、あのビデオを見る限り、話し合いなんて下でに出たと取られる真似したらどうなる事かと思うでしょう。それに、沖縄の人達は中国を民度で格下と見ているでしょう。格下で横暴な相手に呑み込まれる事だけは是としない。ま、どちらが勝とうとも民主党の利にはならないのですが。大穴で金城氏が勝てばそれはそれで興味深い結果ですが。何せ、県内移設で「メガフロートに全て移す!
    2015年08月10日 16:47

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