パロディと合気道

 
尖閣ビデオをYouTubeに投稿したsengoku38氏がネットの一部で異常に人気を呼んでいるという。

画像


sengoku38氏に対して「すっきりした」「日本の英雄だ!」といった声すら上がっている。そんな中、ヤフーオークションに、「SGK38」Tシャツなるものが出品された。

このTシャツは、ユーザーがデザインしたオリジナルTシャツを販売できるサイト「ClubT」にて制作・販売されたもののようで、”SGK38”というのは、そのsengoku38氏を指すそうだ。勿論、人気アイドルユニットであるAKB48をもじった命名。

まぁ、ちょっと悪乗りしている感がしなくもないけれど、日本はちょっとした事でもパロディにしてみたり、おちょくったりして楽しむところがある。

昔だったら、井戸塀やそこらに、落首や川柳を書き込んだりするところなのだろうけれど、今はといえば、井戸塀が2ちゃんねるに代わったくらいで、やっぱり、同じようなことが行われている。何でも、SGK38の為のAKB48の替え歌まで作られているという。

だけど、こうしたパロディや商品化を行うためには、少なくとも、対象の本質をうまく掴んだ上で、それを上手く別の事象や事物に変換しなくちゃいけない。

その時、対象物の毒気が抜かれて、軽い笑いや揶揄レベルのモノに昇華されてしまうことが往々にしてあるのだけど、返って、そうしたものほど世の中に広まったりする。

この毒気が抜かれて、笑いに変わる、というメカニズムが、一体何なのかは良く分からないのだけれど、もしかしたら、故・桂枝雀の「緊張の緩和理論」と関係があるかもしれないと思ったりしている。

つまり、国民に多大な緊張を強いる事件なり、事象なりを、上手くパロディとして昇華することで、その過度の緊張が、笑いレベルの「軽い緊張」にまで、緩和されるからではないか、と。

もし、そうだとすれば、このパロディとか、替え歌とか、商品化というのは、ともすれば危険領域にまで踏み込みかねない緊張をほぐして、感情が爆発するのを未然に防ぐ役目を果たしているのかもしれない。

その意味では、先の、中国からの「日本鬼子」という罵倒語を、日本側で、「日本鬼子(ひのもとおにこ)」という萌えキャラにして返そうという試みも、相手の憎しみの感情を、パロって受け流してしまうことで、相手の感情もろとも、その緊張を緩和する効果があるということになる。



戦争になるときは、当時国同士の国民感情が対立して、最悪の状態になっているのが普通だから、その怒りや憎しみの感情を上手く受け流すという手法は地味に見えて、結構効果があるもの。

実際、「日本鬼子(ひのもとおにこ)」の萌えキャラで返された中国人の困惑した反応を見る限り、なるほど、そうした効果が発揮されているようにも見える。それに、笑いながら怒る芸当ができるのは、モビットな俳優くらいで、普通の人にはちょっと無理。

この相手の攻撃を上手く受け流して返すというのは、ある意味「合気道」にも似た術だと思う。

合気道は、自分から攻めることはない受けの武道であって、その技は、相手の攻撃に対する防御技・返し技の形を取る、というから、「パロディは、何某かの事象や事件を受けて、それに対する返し技なのだ」、と捉えれば、構造的には合気道と非常に似通ったものになる。

合気道は「合理的な」体の運用によって、「相手の力と争わず」に相手の攻撃を無力化するものとされるから、パロディなんかも、「極度の緊張」という何某かの事象からの「攻撃」を無力化するという意味において、合気道に通ずるものがあると言ってもいいのかもしれない。

そもそも、日本語というのは、同音異義語が非常に多くて、言葉や意味を二重三重に掛けることが出来たりするから、言葉のレベルから、パロディし易いものを持っている。

sengoku38氏の「38」という数字を巡って、その意味は何かと憶測し、あれほど多様でユニークな説がどんどん湧いて出てきたところを見ても、その一端が伺える。

それに、日本は、基本的に文化の断絶がなく、千年以上昔の歴史や物語が平気で今に残っていたりするから、過去の事象と掛けたパロディなんかもやろうと思えば可能だし、また、それが通じてしまう。

こうしてみると、存在や概念、そして事件までも、パロディ化して、それを流通させてしまう力に溢れている社会や国というのは、感情レベルの攻撃に対して、実に強靭な耐久力を持っているともいえる。

事物、事件の本質を捉え、パロディ化して、緊張を緩和する。そして、それを広めることで、対象そのものを認知させつつ、危険水域にまでは踏み込ませない。

だから、この何でもかんでもパロディにしてしまえる文化力というのは、実は、感情を抑制して、想いをコントロールする「究極奥義」なのかもしれない。
「合気道で一番強い技? それは、自分を殺しに来た相手と友達になることさ。」
合気道家 塩田剛三





画像 ←人気ブログランキングへ


画像AKB風替え歌で「見せたかった♪」、尖閣ビデオ投稿「SGK38」人気の異常 2010/11/ 7 16:21

尖閣ビデオ流出させた「sengoku38」(ユーチューブのハンドルネーム)が、アイドルグループ「AKB48」をもじった「SGK38」として異常人気を呼んでいる。ヤフオクには「オジナルTシャツ」が出品され、替え歌まで登場する始末だ。

尖閣ビデオは2010年11月4日夜に流出が発覚。ネットは祭り状態となり、「sengoku38」のハンドルネームに世間の注目は集まった。「すっきりした」「日本の英雄だ!」といった声もあれば、「諸外国からの信頼を失いかねない」と憂慮するテレビのコメンテーターもいる。そうした緊迫感漂うなか、他人事のように面白がっている輩も少なくない。

「SGK38」Tシャツ、「着ても逮捕されませんか?」

ヤフーオークションに出品された「SGK38」Tシャツ ユーザーがデザインしたオリジナルTシャツを販売できるサイト「ClubT」では、これまでにも福田康夫元首相の「あなたとは違うんです」Tシャツなどを販売。今回の流出でも、「sengoku38」関連で多数の新作が販売されている。

「内部告発無罪!」などと書かれたものもあるが、その中でも目立つのが「AKB48」をもじって「SGK38」とプリントされたTシャツだ。AKB48の実際のロゴに似せたものや、流出ビデオのワンシーンを一緒にプリントしたものなどがあり、「sengoku38 彼のことをSGK38と呼んで崇めましょう」と説明されている。ClubTではTシャツ以外にも「SGK38」がプリントされたマグカップや、ライターなどを販売中だ。

ヤフーオークションでもオリジナル「SGK38」Tシャツが5日午後に出品された。7日までに16件の入札がある。出品者には「着ても逮捕されませんか?」という質問が寄せられ、「一回くらい逮捕されたほうが、人生に箔がつくというものです」と回答している。

「見せたかった 見せたかった Yes!」
AKB48の06年のヒット曲「会いたかった」の替え歌「見せたかった」の歌詞も2ちゃんねるに登場した。「見せたかった 見せたかった 見せたかった Yes! 国民に…」「(中国が)悪ならば悪だと言おう 誤魔化さず素直になろう」などと書かれている。

ニコニコ動画では、尖閣ビデオ関連動画が7日までに百件以上投稿されている。ビデオを切り張りして再編集したMAD動画や、ビデオのサイレン音を使った音楽、衝突シーンをAA(アスキーアート)で再現したアニメなどで、ネットユーザーにとって尖閣ビデオは格好の素材のようだ。

また、ユーチューブには尖閣ビデオが「Japanese coastguard hit Chinese fishing boat at Diaoyu Island(日本の海上保安庁が尖閣諸島で中国漁船にぶつけた)」というタイトルで4日にアップされていた。「Mychinanet」というハンドルネームのユーザーがアップしたもので、コメント欄には日本のユーザーから「青い船が中国船で、白いのが日本船です。タイトルは嘘」と英語と日本語で書き込まれている。

URL:http://www.j-cast.com/2010/11/07080142.html?p=all



画像SGK38 「見せたかった」

4 :名無しさん@十一周年:2010/11/07(日) 10:49:45 ID:nXPy6zL60
SGK38 「見せたかった」

 見せたかった 見せたかった 見せたかった Yes!
 見せたかった 見せたかった 見せたかった Yes! 君に・・・
 
 中国 全力で 漁船  巡視船に 衝突させる
 船首に空けた 穴も今はもどかしい
 
 やっと手にした 真実の動画
 正直に行くんだ たったひとつこの動画 !  流せ!

 悪ならば 悪だと言おう
 誤魔化(ごまか)さず 素直になろう

 悪ならば 悪だと言おう
 胸の内 さらけ出そうよ
 
 見せたかった 見せたかった 見せたかった Yes!
 見せたかった 見せたかった 見せたかった Yes! 君に・・・


URL:http://matomech.com/article.aspx?aid=862176&bid=200

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > この何でもかんでもパロディにしてしまえる文化力

    日本国三千年の歴史ですね.
    2015年08月10日 16:47
  • 白なまず

    合気道は究極のコミュニケーション術で相手の力、意図、状態(状況)を感じ取り相手の攻撃をサラリと躱すのが極意なんでしょうね。ひふみ神示でも富士の仕組みの説明で出てきます。

    ひふみ神示 第14巻 風の巻 第一帖 (三五二)
    、、、神は親であるから人民守ってゐるのざぞ。大きなれば旅にも出すぞ、旅の苦 楽しめよ、楽しいものざぞ。眠くなったら眠れよ、それが神の道ぞ。神のこときく道ざぞ。無理することは曲ることざぞ。無理と申して我儘無理ではないぞ、逆行くこと無理と申すのざ。無理することは曲ることざ、曲っては神のミコト聞こへんぞ。素直になれ。火降るぞ。相手七と出たら三と受けよ、四と出たら六とつぐなへよ、九と出たら一とうけよ、二と出たら八と足して、それぞれに十となる様に和せよ。まつりの一つの道ざぞ。

    ひふみ神示 第27巻 春の巻 第三十七帖
     相手八と出たら二と受けよ。人民と申すものはモノに囚われるから何事も判らんから、十二と出、二十と出、三十六と出たらポカンとして判らんことになるぞ。十二と出たら一段ケタ上げて八十八と受けよ。又十二と受けるテもあるぞ。二十と出たら八十と和せよ。立体になれば それだけ
    2015年08月10日 16:47
  • 北川景子 画像

    文章はとても良くて、 私はとても好きです。
    2015年08月10日 16:47
  • almanos

    こういう気の利いたパロディは、柔らかい知性とその成果を許容できる民度がないとできませんからね。中国でやろうもんなら、公安が来て連れて行かれてそれっきりになってもおかしくない。笑いは憎しみよりも権力にとって怖いものですから。仙石氏と空き管にも気の利いたTシャツを産経さんから贈ってもらいたいものです。どんな反応するかみたいという理由ですが。どんなデザインのが面白い反応を期待できますかねぇ?
    2015年08月10日 16:47

この記事へのトラックバック