説得力の時代

 
「政府の内部の人でしょうから、内部的にはルール違反。しかし、世の中的には正しいことをやっているんじゃないの」
上田清司埼玉県知事

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Youtubeに流出した尖閣ビデオについて、海上保安庁と検察当局が内部調査したところ、石垣海上保安部が那覇地検に提出した複数の証拠用映像のうちの一つと断定した。

石垣海保から那覇地検に提出された証拠映像は十数本あり、そのうち一つが約44分で、流出映像と内容が一致していたようだ。

検察当局の内部調査は5日夜までにほぼ終了していて、検察内部から流出した形跡は確認されていないという。

検察に提出されたビデオデータは、最高検、福岡高検、那覇地検のコンピューターのサーバーに保管され、衝突事件の担当者だけが見られるようパスワードなどでアクセス制限がかけられていたのに対して、海上保安庁側では、船長を逮捕した9月8日から釈放までの17日もの間、捜査担当者は、職場の自分のパソコンでビデオデータを自由に見られる状態で、記録媒体へのコピーも可能だったらしい。

船長釈放後は、金庫で一括管理となったようなのだけれど、それまで17日も閲覧フリーでは、まぁ、保存などし放題だろう。

したがって、リーク元は石垣海保である可能性はかなり高くなったと言える。ただ、海保の誰かが何らかの記憶媒体に保存していたとしても、一人であるとは限らないし、保存した人を特定できたとしても、Youtubeに投稿した本人かどうかの証明も、おそらく自白でもしない限り難しい。

ただ、リークしたのが海保の人であるのであれば、守秘義務違反なることも十分覚悟の上でやったと思われるから、自白その他によって、投稿者が速やかに特定される可能性はある。

それでも、リークした本人を特定できたとして、本人を処罰する場合は当然、所轄官庁のトップである、馬渕国交相の監督責任を問われることは間違いないと思われる。事実、自民党の石原幹事長は、「政府内部からの流出なら担当大臣の罷免に値する」と発言している。



ただ、失った国益を考えると、もしかしたら、馬渕国交相の引責辞任でも足りないかもしれない。

というのは、今回の尖閣ビデオのリークに対して、「国民のほとんどが見たいと思っていた」と歓迎の声が寄せられているから。

海上保安庁に、メールや電話で寄せられた声の8割方は、流出に賛意を示していて、中には「よくやってくれた。犯人捜しはしないでくれ」というのもあるそうだから、政府のビデオ非公開の姿勢に余程鬱憤が溜っていたものと思われる。

だから、仮に投稿者が特定できたとしても、この件に対して、馬渕国交相や官邸が責任を取ることがなければ、批判は一気に内閣に向かうことになる。部下だけ処罰して、その上司である政治家が責任を取らない態度は国民が許さない。

特に、現内閣を牛耳っていると、多くの国民から思われている、仙谷官房長官への風当たりは相当強まるだろう。

それに、色んな方が既に指摘しているけれど、そもそも、衝突直後にビデオをさっさと公開していれば、こんな問題なんか起こっていないと思われるから、まず、真っ先にその責任を問われるべきは、政府与党であることは忘れちゃいけない。

仙谷官房長官は、本件に関して、11月5日午前の記者会見で、「流出だとすれば、相当大きなメスを入れる改革が、あらゆるところで必要だ」と述べているけれど、その「あらゆるところ」の中に、そして「真っ先に」メスを入れるべきは、自分達であることを自覚すべきだと思う。

真っ当な政治家であれば、こんな不祥事を起こしたとなれば、「私の不徳の致すところ」という一言を残して、即座に引責辞任している。

昨年亡くなられた、故中川昭一氏は、自身のもうろう会見を理由に辞任したけれど、別に国益を損なっていた訳ではなかった。それどころか、世界各国から感謝すらされていた。

だけど、失態は失態ということで、潔く辞任した。

それと比較して、今の首相や官房長官は果たしてどうなのか。



今、政府は、リークした犯人探しに躍起になっているようだけれど、当の政治家が責任を取らなければ、これからも同じようなリークは起こり得ると思う。

今のように、民主党政権が責任を取らない態度を続けるのなら、責任を取らされるまで不祥事が起き続けるような気さえしている。

「人の口に戸は立てられない」とは言うけれど、これまで、それでも問題にならなかったのは、その人達の殆どが水面下にいて、別に戸を立てなくても、その声が水面上に上がってくることがなかったからだけのこと。

だけど、現代のように、ネットが発達して、誰でも情報発信者になり得る社会では、国民の多くが、水面上に顔を出している。

だから、その口から発せられる声は、容易に広がり、認知されてゆく。

だけど、そうした個人の意思が簡単に拡散する現在であるからこそ、政治家にはこれまで以上に、政治家としての「徳」と、その発言に「説明力・説得力」が求められる。

出せない情報であれば、出せない理由をきちんと説明できないといけないし、それで国民の多くを説得できなくちゃいけない。

もしも、それだけの説得力が持てないのであれば、ドラッガーの言うように、最低限、真摯な態度で政事(まつりごと)をしなくちゃいけない。

真摯さは「徳」に繋がる。私欲から遠く離れているから。「徳」あらばこそ「説明力・説得力」に溢れた協力者に恵まれることもある。

今の政権に「徳」を求めるなど、天地がひっくり返ったって無理なことは重々承知している。

だけど、だからこそ、国民には、そうした政治家を選ぶことを求められているのだと思う。





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画像【週刊知事】「世の中的には正しい」 埼玉・上田清司知事 2010.11.6 22:22

 「心ある人が、全部ちゃんと見せるべきだと思って流した可能性がある」。尖閣諸島で中国の漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件で、海保が撮影したとみられる映像の一部がインターネット上に流出したことについて、上田清司知事は5日、産経新聞の取材にこう答えた。

 その上で「(流出者は)政府の内部の人でしょうから、内部的にはルール違反。しかし、世の中的には正しいことをやっているんじゃないの」と一定の理解を示した。

 中国のネットユーザーの間では「日本側が映像を改竄(かいざん)している」との声も出ているが、旧日本軍の残虐さを誇張したいわゆる「千人斬り(の写真)とは違う」と一蹴。「どちらかといえば、(今回の衝突事件は)中国の無理難題みたいな話だということだけははっきりした」と述べ、留飲を下げた様子だった。

URL:http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/101106/stm1011062222008-n1.htm



画像流出、海保の証拠映像と断定…十数本の一つ

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件の状況を撮影したビデオ映像がインターネット上に流出した問題で、海上保安庁と検察当局は内部調査の結果、石垣海上保安部(沖縄県)が那覇地検に提出した複数の証拠用映像のうちの一つが、流出した映像と同一のものと断定した。


 証拠用映像と流出映像では、映像に挿入されたテロップにわずかな違いがあることも判明。投稿者が映像を六つに分割する過程で、違いが生じた可能性もあるとみて、映像の解析を急いでいる。

 海保や検察関係者によると、石垣海保から那覇地検に提出された証拠映像は十数本あり、そのうち一つが約44分で、流出映像と内容が一致していた。ただ、映像に挿入されたテロップには、那覇地検に提出された証拠映像とわずかな相違点が見つかったという。

 一方、検察当局は5日深夜までに、那覇地検と福岡高検、最高検の各専用サーバーに登録されたビデオ映像ファイルへのアクセス記録の解析を終えた。問題のビデオ映像をダウンロードした検事や事務官を特定し、聞き取り調査を行った結果、職務以外の目的でのダウンロードや、他人になりすました不正なアクセスは確認されなかったという。

 那覇地検は、問題の映像ファイルを同地検の専用サーバーに登録したほか、福岡高検と最高検のサーバーにも「捜査資料」としてアップした。映像ファイルを閲覧するためにはIDとパスワードが必要で、閲覧が可能だったのは、最高検と福岡高検でそれぞれ3、4人ずつ、那覇地検でも10人程度だったという。

 検察当局は引き続き調査を行い、週明けに正式な調査結果を公表する方針。

 海上保安庁はビデオの管理状況などの調査を強化するため、6日午前、海保本庁と第3管区海上保安本部(横浜市)から新たに計2人の担当官を、石垣海保に追加派遣した。海上保安庁は5日、海保本庁の担当官4人を石垣海保などに派遣している。

 担当官は、映像を編集するなどしたパソコンについて、アクセス履歴などの解析を進めるとともに、約130人いる石垣海保の職員のうち、捜査にかかわっている職員約10人を重点に、配備パソコンなどの解析を進めている。

(2010年11月6日14時31分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101106-OYT1T00417.htm?from=y10



画像尖閣ビデオ:保安官PCにも保存か 閲覧・コピー可能

 沖縄・尖閣諸島沖で海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突した際のビデオ映像が流出した問題で、映像を編集した石垣海上保安部(沖縄県石垣市)では、少なくとも船長を逮捕した9月8日から釈放までの17日間、捜査を担当する複数の海上保安官のパソコン(PC)にも映像が保存されていた可能性が高いことが海保関係者の話で分かった。釈放後は全映像資料を金庫で一括管理としたが、それ以前は常に閲覧でき、記録媒体へのコピーも可能だった。海保は捜査担当者のパソコンの使用状況の調査を進めている。

 同保安部は、逮捕した船長の公務執行妨害容疑の証拠の補強と、領海内での違法操業を外国人漁業規制法違反容疑で立件するための捜査を並行して実施。主に警備救難課(課員10人)が作業にあたっていた。関係者によると、ビデオは公務執行妨害容疑の証拠だったが、捜査担当者は各自職場の自分のパソコンで見られる状態で、金庫に保管された記録媒体から毎回取り出す必要はなかったという。

 また、USBなどの記録媒体を巡る海保の使用基準は、業務用を示す印字をしたものは使用可能とするが、捜査資料などをコピーした記録媒体を外部に持ち出さないことを求めている。パソコンは1人1台があてがわれている。

 9月24日に船長釈放が決まった後は、すべての映像資料を金庫に保管。金庫を開けるための暗証番号を知りうる人間を限定していた。ただ、捜査担当者は許可を受ければ証拠の閲覧は可能だった。

 このため、海保は6日午前、職員2人を追加派遣。計6人態勢で捜査担当者のパソコンの使用状況と金庫の開閉状況などを中心に調査している。

 鈴木久泰長官は5日の記者会見で「(同保安部の)金庫の保管に異常があったとの報告は受けていない」と話した。ただし、海保が第11管区(本部・那覇市)や同保安部に管理責任者を設けたのは、政府が国会へのビデオ提出を決めた直後の10月18日。派遣された職員は、船長釈放後から管理者を決めるまでの管理状況も慎重に調べる。

 海保関係者は「他人のパソコンを使用したり、捜査中にUSBを使用したりすれば目立つ。金庫に保管されてからでは、許可が必要となる。考えたくはないが、内部から持ち出しがあったとすれば、船長の身柄を拘束していた期間とみるのが自然だ」と話している。【石原聖】

URL:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101106k0000e040049000c.html



画像尖閣ビデオ:海保に歓迎する声 電話やメール相次ぐ

 映像流出問題に絡み、海上保安庁には5日夜までに、「国民のほとんどが見たいと思っていた」と歓迎する声が多く寄せられた。

 同庁政策評価広報室によると、電話は114件。「よくやってくれた。犯人捜しはしないで」などと流出に賛意を表す内容が83件。「中国船への対応が甘かった」などと批判する内容が14件あった。

 メールの件数は計71件で、大半が流出を喜ぶ内容だった。

 海保によると、いずれも約8割は男性からで、担当者は「声の感じからは、若い世代が多かったと思う」と話している。

URL:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101106k0000m040139000c.html



画像尖閣ビデオ:検察は「内部流出の形跡なし」2010年11月6日 15時1分 更新:11月6日 15時55分

 漁船衝突事件のビデオ流出問題で、検察当局の内部調査が5日夜までにほぼ終了したことが検察関係者の話で分かった。内部から流出した形跡は確認されていないという。関係者の私有パソコンに不審な点がないか確認したうえで、早ければ8日にも中間報告を公表するとみられる。

 流出したビデオのデータは、最高検、福岡高検、那覇地検のコンピューターのサーバーに保管され、衝突事件の担当者だけが見られるようパスワードなどでアクセス制限がかけられていた。

 関係者によると、最高検と福岡高検ではアクセス記録の分析と関係者への聞き取りが終了、那覇地検でもほぼ終了したが、不審な点は見つかっていないという。検察当局はビデオが投稿された「ユーチューブ」を運営するグーグルの日本法人に、投稿記録の情報提供を求めることも検討している。

URL:http://mainichi.jp/select/today/news/20101106k0000e040050000c.html



画像「情報クーデターなら大変厳しい」と鳩山前首相

 尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ映像が流出した問題について、6日も与野党から発言が相次いだ。

 民主党の鳩山前首相は佐賀市内の会合で講演し、今回の問題を「情報によるクーデターを政府の人間が行うのは大変厳しい話だ。海上保安庁など正義を守らなければならない方々の誰かが、『俺たちの正義はこうだ』という思いで情報を流している」との見方を示した。

 原口一博前総務相も同じ会合で「役所がやったとすると、国家への反逆だ」と述べた。

 枝野幸男幹事長代理はBS朝日の番組で、「(流出は)内閣に責任がある。この10年、20年の間にネットが普及した。情報管理のあり方を変えないといけない」と強調した。

 自民党の谷垣総裁は福岡市内での街頭演説で、「わが国の危機管理は一体どうなっているのか」と批判。たちあがれ日本の平沼代表は岡山県津山市での会合で、「最初にすべてを公開していれば、こうした犯罪者を出すこともなかった」と述べた。

(2010年11月6日20時50分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101106-OYT1T00581.htm



画像尖閣ビデオで世界中に無能さらした菅政権とそれにつけ込む怪しいヤツら 2010年11月6日 掲載

●誰が何の目的で流したのか
 たった1本のネット動画が、一国の政府を揺るがしている。突然、中国漁船衝突事件の映像がネット流出したことに、仙谷官房長官は「公務員が故意に流出させたという行為があったとすれば、明らかに国家公務員法違反だ」と怒り心頭。8日の衆院予算委で調査の進展状況を説明するため、犯人捜しに躍起だが、恐らく特定するのはムリだ。それが、ネット社会の怖さである。
 犯人が流出先に選んだのは、動画サイト「ユーチューブ」の日本版だ。登録情報などから投稿者を割り出すには、ユーチューブを傘下に持つ米グーグルの協力が不可欠。政府もグーグルへの協力要請を検討しているが、これが一筋縄ではいかないのだ。ネット社会に詳しいジャーナリストの江建氏が言う。
「グーグルは、徹底的にユーザーのプライバシーを保護することで有名な企業で、諸外国の捜査協力には基本的に応じていません。特にユーチューブは、ほとんど個人情報の登録なしに誰でも簡単に動画を投稿できるのがウリです。権力側の要請とはいえ、うかつに個人情報を手渡せば、ユーザー離れを引き起こし、自らの首を絞めることにもなります」
 しかも、ユーチューブのサーバーは米国にあるため、日本の捜査当局が単独で強制捜査に踏みきり、資料を押収することは不可能だ。米国に捜査協力を要請しても、グーグルが首をタテに振らない限り、登録情報は永久に得られない。
 前出の江氏は「自首しない限り、犯人特定は難しい」と断言した。

●ビデオ放置期間が1カ月もあった
 大体、問題の映像のコピーは衝突事件直後に首相官邸をはじめ、国交省や法務省、外務省、防衛省など関係省庁に視聴させる目的で広く霞が関全体に出回った。
 菅政権が映像公開の方針をひっくり返し、海上保安庁が慌てて回収し裁断したのは、事件から1カ月以上も経過した10月下旬のことだ。
「その間は『いずれ公開されるなら』という気の緩みから、それほど管理も厳しくなかった。関係省庁でも、誰がコピーを持ち出したのかを把握しきれていないのではないか」(霞が関関係者)
 犯人特定はハナから雲をつかむような話なのだ。それでも政府は混乱を収めるため、大阪地検特捜部の前田元検事逮捕のように“イケニエ”を差し出す形で、無理やり犯人を仕立て上げることも考えられる。
 だが、そうやって、映像流出の背後を洗ったところで、もはや何の意味もない。単なる愉快犯の“お遊び”に過ぎないかもしれないし、本気で政府転覆を狙う組織が幾重にもカムフラージュしたダミーかもしれない。
 流出犯がネット社会の闇に紛れ込んでいる以上、真相は藪の中なのだ。

●得したのは大ハシャギ自民党か
 ただひとつ言えるのは、今回の流出事件で得した連中と、これにつけ込もうと考えている連中がいることだ。補正予算の審議を妨害したい連中、菅政権を追い詰めたい連中である。
「自民党は今回の政府の大失態に大喜びです。公明党が民主党政権に接近していることで、自民党は渋々、補正に協力せざるを得なくなり、存在感を示せずにいたのが、これで菅政権を攻撃する口実ができた。石原伸晃幹事長などは、“国益がかかった問題だ。補正予算の審議がどうなるか分からない”とエラく鼻息が荒く、馬淵国交相や柳田法相の罷免を求めています。活躍の場ができたことで、大ハシャギですよ」(国会関係者)
 そこまで見通して、それじゃあ、自民党関係者や、その支持勢力が今回のビデオ流出を仕掛けたのかというと、そんな度胸はない。自民党中枢に詳しい関係者はこう言った。
「谷垣執行部にそんな陰謀や芸当ができるグループがあったら、こんなテイタラクな政党になっていませんよ。中国を刺激し、日中関係をさらにギクシャクさせ、菅民主党を追い詰めたい願望はある。でも、万が一、犯人捜しの結末が自分の方に向かってきたときに、自民党が受けるダメージを考えれば、それなりの覚悟が必要ですが、そんな腹の据わった政治家は党内にいない。それだけは断言できます」
 情報管理の面で世界の笑いものになっている菅政権。批判されるのは当然だが、自民党など野党が居丈高に騒ぐのは、単なる便乗犯にすぎないということだ。自民党議員がハシャげばハシャぐだけ、“目クソ鼻クソ”のレベルになるだけなのだ。

●ネット社会に負けて崩壊する国家統制
 それにしても、今回の映像流出でまざまざと見せつけられたのは、ネット社会の威力と脅威である。
 これまで国家権力は、すべての情報を独占し、恣意(しい)的に情報を操作することで成り立ってきた。江戸時代の昔から、権力側は常に「よらしむべし、知らしむべからず」の精神で、民衆を為政者に従わせてきた。真の情報には一切触れさせないことが国家統制の肝で、それをできる人物だけが権力を握ってきたのだ。
 今回の衝突映像だって、視聴できたのはホンの一握りの官僚と国会議員だけ。国民の目には触れることのない映像を見ることで、彼らは特権意識を満喫していたことだろう。そんな国会議員や官僚の持つ威厳や優越感が、衝突映像がユーチューブに流れたことで、音を立てて崩れ落ちた。それが、今回の事件の本質でもある。
 警視庁が長年かけて集めた国際テロの捜査情報が一瞬にしてネットに流出・拡散した事件も同じことだ。極秘情報の蓄積という警察組織の威厳は見事に崩れた。ネット社会の異様な発達で国家権力そのものが意味を成さなくなっているのだ。
「いまのネット社会は、動画投稿サイトやファイル交換ソフトがめまぐるしく発展し、誰もが匿名で国家機密すら漏洩できてしまう。一度漏れた情報はすさまじい勢いで拡散し、国家権力側も手の施しようがありません。米国では『ウィキリークス』という内部告発サイトが大流行し、40万点にも及ぶ米軍のイラク戦争にまつわる機密文書が流出するなど、国家統制の根幹を揺るがしつつあります。今回の衝突映像流出を引き金に、日本でもネット情報に一国の政府が揺さぶられるという別次元の社会が始まったのです」(江建氏=前出)
 もはや、ネット社会の前では、情報の独占も権力も形無しだ。この国は為政者が存在しているようで存在しないシッチャカメッチャカの無政府状態に突入したのである。

URL:http://gendai.net/articles/view/syakai/127316



画像中国漁船・尖閣領海内接触:ビデオ流出 石原都知事「結構なこと」

 東京都の石原慎太郎知事は5日の定例会見で、沖縄・尖閣諸島沖で撮影された中国漁船衝突のビデオ流出について「『冗談じゃない。実態を見てもらいたい』という内部告発だろうが、結構なことじゃないか」と述べた。

 石原知事は「尖閣の領有権を中国が主張する法的、歴史的根拠は何なのかを、公式に政府から中国に質問したらいい。すべきだし、国民もそれを望んでいる」と政府に注文をつけた。【石川隆宣】

URL:http://mainichi.jp/select/world/news/20101106ddm041040018000c.html



画像【尖閣ビデオ流出問題】仙谷氏、「故意流出なら国家公務員法違反」2010.11.5 16:46

 仙谷由人官房長官は5日午後の記者会見で、中国漁船衝突事件とみられるビデオ映像流出に関し「公務員が故意に流出させたとすれば、明らかに国家公務員法違反になる」と述べた。

 一方、ビデオ映像については全面公開しない方針を重ねて示した。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101105/plc1011051647011-n1.htm

この記事へのコメント

  • almanos

    ちび・むぎ・みみ・はな殿
    >正規職員でないものがアクセスして流出させた場合, 果たして罪に問えるだろうか.

    難しいでしょうね。しかも流出時期によっては「公開されるはずだから問題ないと思った」でしょうし。それに、映像ファイルのコピーは簡単ですからね。オリジナルを消したといっておいてじつはコピーは残してあってというところでしょう。

     空き管以下、説得力と信頼を自ら貶めていった結果としては、まあ妥当でしょう。さて、週明けに残りが何処から流れるか? で決まるでしょうね。ま、ありそうなのはどうせ公開されるからと欲しがっている友人にまるっとコピーを渡した。でも、仙石氏らがあれこれやって非公開。渡した相手は消去したと言ったので一安心して忘れている。が実は消していなくて「あいつが命を賭けてやったのに! 何だあの民主党の腐れ親父共は! 」と義憤に駆られて公開というところではないかと。それに、重要なのはここまで出たら全部出した方がまだ被害が少ないと言う事。でも、仙石氏らは犯人捜しに躍起でしょうからねぇ。で、トドメを刺す為に全編公開で面目丸つぶれと。現代は「知らしむべからず」はあっさりと覆されてしまう。
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    正規職員でないものがアクセスして流出させた場合, 果たして罪に問えるだろうか.

    仙谷氏はカリカリしているが日比野庵殿の書かれた通り.

    いやもう, 民主党政府は, もう, 鬱陶しいだけ.
    また悪いことをやるのではないかとハラハラして見ている.
    2015年08月10日 16:47
  • 白なまず

    世が変わる時は中心以外から動きが出て変革へと繋がるもの。発明の世界では良く有る事。例えばライト兄弟とか、専門家をさしおいて空を飛びたい自転車屋さんが実現していく。本当に自ら行動したい者が世界を変えていく。今回の事件も政治家には任せておけないと行動を起こしてくれた者の行動と信じたい。弥勒の世の建て直し、建て替えはこれから本格的に始まる。行動を起こした者のみ自らを救う事ができる。
    因みに、光のネットワーク@海援隊プロジェクトが隊員募集しているようです。
    志ある者、御一考を。
    http://blog.livedoor.jp/kaientaip/archives/51534884.html
    光のネットワーク@海援隊プロジェクト 隊員募集のお知らせ
    2015年08月10日 16:47

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