萌えの文化 普通の生活

 
遂に日本鬼子(ひのもとおにこ)が台湾の新聞に紹介された。

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台湾の新聞『自由時報』社が、11月1日の記事にて、『日本鬼子』を大きく取り上げている。御丁寧にイラスト付きで、見出しは「萌萌日本鬼子 反攻中國」。

記事は、事の経緯から、「日本鬼子って萌えキャラ作って中国人を萌え豚にしようぜ」と2ちゃんねるで呼び掛けられると、1ヶ月も経たないうちに、約150件の作品が投稿されたことや、それを見た中国人の困惑などを伝えている。

この運動は、尖閣沖衝突事件を契機に、湧きあがってきた中国国内の反日運動や反日感情を、「日本鬼子(ひのもと おにこ)」という萌えキャラを作って世間に広めることで、打倒日本鬼子!」などの文字にまったく別の意味を与えてしまおうという試み。それによって、中国人の反日感情を抑えようというもの。

このように、同じ言葉に違う意味を持たせることで、罵倒語を罵倒語で無くしてしまうという反撃手法は、非常に面白い。あたかも、「暴走族」を「珍走団」と呼び変えるようなもので、イメージをガラリと変えてしまう。

特に、「日本鬼子(ひのもとおにこ)」のように、具体的イメージである「萌え絵」とキャラを与えるということは、言葉に命を吹き込むことに極めて近く、いわば、言霊を定着させ、発動させる効果を発揮する。

たとえば、「ドラえもん」とか「ピカチュウ」という言葉には、「人間を助けてくれる存在」や「身近な友達」というイメージが付随している。今や、「ドラえもん」や「ポケモン」を知らない子供がいないくらい多くの作品が普及しているし、彼らのキャラクターイメージもすっかり浸透している。

だから、同じように、「日本鬼子(ひのもとおにこ)」というキャラが、日本や中国に広がれば広がる程、感情やイメージのレベルでその主導権を握ることになる。

したがって、今後、「日本鬼子(ひのもとおにこ)」がどのようなキャラクターを帯び、どのようなイメージを持って受け取られるかというのが、この反撃?の方向性を決定づけるように思う。

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ただ、まぁ、そんなに肩肘張らなくても、萌えキャラ化して反撃しようと思い付いて、そうした、という時点で、大枠ではこちらの勝ち。どう見ても、日本の方が「Cool」に映るから。

これも、ひとつのイメージ戦略レベルでの思想戦といってもいいように思われる。

何もプロパガンダとまでは言わないけれど、政府も、こういった次元のイメージ戦略も大事にして、少しは広報に努めたらどうなのかと思わないでもない。

それにしても、投稿された「日本鬼子(ひのもとおにこ)」のレベルの高さと、その量たるや、何時の間にやら、すっかり「萌え」が文化として日本に定着しているのだと思わされる。もしかしたら、外国人は、日本人は皆、マンガが描けるのではないかと勘違いしているのではないかとさえ…。

まぁ、それは冗談だとしても、これも、漫画・アニメの文化の厚みが底流にあってのこと。

最近のテレビバラエティでも、昔の漫画・アニメを題材にした番組があるし、声優なんかも、表に出るようになってきている。

それだけ、漫画・アニメがクイズのネタになったり、視聴者の共感を呼ぶくらいにまで、一定の知識というか共通理解のベースとして日本に広がっていることを示してる。

そこまで、漫画やアニメが文化として堆積してくると、実に様々なジャンルの作品が作られるようになってゆく。

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たとえば、「けいおん!」なんかもその一つだと思う。

先頃、朝日新聞の「みんなのマンガ学」という記事で、「けいおん!」にはストーリーがなく、登場キャラクターも成長しないという指摘が、多くの「けいおん!」ファンたちを怒らせたらしいのだけれど、色んな作品が発表され、また、それが受け入れられる土壌があるなんて実に幸せなこと。

どこかの国のように、政府を批判したり、パロったりするだけで、直ぐしょっぴかれるような社会なんて真っ平御免。

普通の生活を普通に捉え、細かな心理描写や日常を丁寧に描き込むスタンスの作品。筆者は「けいおん!」にそういう印象を持っている。

件の記事では、「けいおん!」には、ストーリーも成長もない、というけれど、普段の生活で、そんな手に汗握るストーリーなんてあるほうが珍しい。

毎日、何かの大事件に巻き込まれ、不幸だ、と嘆いている、学園都市に住むツンツン頭の少年なんて、現実にはまずいない。

現実の社会は、普通の人が普通に生活している。それが普通。だけど、その中でも、毎日の流れの中で、人は、思い、考え、行動している。そして成長も。

その心の変化を捉え、描写する。ともすれば、退屈に流れそうな題材を、アニメにまでして、それが受け入れられ、ヒットする。

そこに日本文化の懐の深さがあり、成熟があるのではないかと思っている。






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画像中国の反日運動に萌えキャラ「日本鬼子」で対抗 2010.10.28

尖閣諸島で発生した漁船衝突事故をきっかけに、中国国内で反日運動が活発化するなか、日本のネット上では「日本鬼子(和名:ひのもと おにこ)」という萌えキャラを使って中国人の反日感情を抑えようとする動きがある。

「日本鬼子」とは中国語で日本人を指す侮蔑的な表現で、反日デモのプラカードにも書かれていた。これに対し18日、2ちゃんねるのスレッドをきっかけに、本来の意味とはまったく異なる「日本鬼子」という萌えキャラを作りだし、それを世間に広めることで、反日デモでの「打倒日本鬼子!」などの文字にまったく別の意味を与えてしまおう、という試みが始まったのだ。

また、この萌えキャラ「日本鬼子」には、「日本鬼子」の本来の意味を知らない人がネットで検索した時に、萌え画像が出てくるようにする狙いもあるとのこと。萌えキャラ化の流れをまとめた「hinomotooniko@ウィキ」によると「中国人を鬼子ちゃんで萌え萌えにする」ことが目標らしい。

この動きは1週間もたたないうちに中国に伝わったらしく、中国での日本のオタクネタを扱うブログ「『日中文化交流』と書いてオタ活動と読む」では、日本鬼子萌えキャラ化に対する中国のネット掲示板での反応をまとめている。それによると「こう来るとは全く思いもしなかった。あの国はやはりよく分からん……」「何かこういうの見てると、こっちの罵倒が通じているのかとても不安になる」などと、かなり困惑しているようだ。

現在、2ちゃんねると「hinomotooniko@ウィキ」では日本鬼子のキャラ作りが進行中で、多数のイラストが投稿されている。また、イラストの投稿・閲覧ができるコミュニティサイト「pixiv」でも、10月27日現在、100件以上の「日本鬼子」のイラストが公開されている。ちなみに、日本鬼子には「黒髪ロングストレート」「見た目年齢は16~18歳くらい」「すぐ泣いちゃう」「好きなもの:わんこそば」「嫌いなもの:炒った豆」などの設定がある。

URL:http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20101028-00004088-r25



画像人気漫画「けいおん!」 「ストーリーも成長もない」のか 2010/10/22 19:54

人気漫画「けいおん!」のファンたちが怒っている。朝日新聞の記事で、「けいおん!」にはストーリーがなく、登場キャラクターも成長しないと指摘されたからだ。

記事が掲載されたのは2010年10月21日付けの朝日新聞大阪本社版の夕刊。「みんなのマンガ学」というマンガをテーマにしたコーナーで、「文化系部活シリーズ2 けいおん! 『萌えキャラ』ゆるーい日常」という見出しが付いている。

四コマ漫画の基本「起承転結」や「オチ」が重視されていない
筆者は、京都国際マンガミュージアム所属の研究員。「けいおん!」は主人公の女子高生・唯が、同級生3人と一緒にバンド活動をする様子を描いた4コマ漫画と紹介。描かれているのは「フツウの女子高生のゆるーい日常」が中心で、ライブの高揚感などを描いた他の「音楽マンガ」とは違うとしている。

また、四コマ漫画の基本「起承転結」や「オチ」が重視されていないうえ、ストーリーもないため「登場人物たちが成長しない」と指摘する。

記事は「オチも成長もない日常をユートピア的に描いた本作は、ブログやツイッターといったメディアを介し、他人の何でもない日々とゆるやかにつながりたい、と思う現代人の志向にぴったりなのかもしれない」と結んでいる。

人気漫画を社会的背景と絡めて批評した記事だが、21日夕方、その内容が2ちゃんねるに貼り出され、注目を集めた。

「これはひどい 成長も変化もあるだろうが」
2ちゃんねるの「けいおん!」ファンには「ストーリーも成長もない」という表現が気にいらないようだ。

「ストーリーがないってのは1万歩譲ってまぁわかるけど 成長が無いってのは無いわ」
「これはひどい 成長も変化もあるだろうが」「これは見事な酷評…」
といった反論が殺到した。

「こんな浅薄な理解力でマンガ研究員を名乗れるの?」という、記事を書いた研究員批判も出た。ちょっとした批評記事から騒動となってしまった訳だが、ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「2ちゃんねるでは目の敵にされている朝日新聞に書かれたということも大きい」と見る。

「自分たちが愛してやまない美少女キャラが登場する『けいおん!』を批判する記事が朝日新聞に載ったということで怒りも倍増しているのでしょう。ネットユーザーは、自分は他人を批判するけど、自分たちや自分の好きなものが批判されるとすぐカチンと来て個人攻撃に走りがち。昔からですけど、そろそろ冷静になってもいいのでは」

URL:http://www.j-cast.com/2010/10/22078952.html?p=all

この記事へのコメント

  • ちび・むぎ・みみ・はな

    これは面白い. 今の日本の若ものは健全です.
    萌えは日本の伝統. 室町時代の「お国」歌舞伎
    から江戸時代の美人絵まで.

    眉間にしわを寄せた自虐世代におさらばして
    から健全な日本世代に戻りつつあります.
    2015年08月10日 16:47
  • almanos

    真面目にやっている事を笑いものにされるのに耐えられる人間はいませんからね。逆に萌えは笑いものにするのとは微妙にベクトルが異なる。故に笑われる事に対する時の怒りと憎悪を向けることも難しい。困惑し、やがて今までとは異なるベクトルを見つけないと自分らのアイデンティティが危うくなる。いっそ中華文化圏における「漢肝」も萌えキャラをつくって、かの国の「あらゆる事に政治が優先する」風土そのものをネタにしてしまえばいいとすら思えます。萌えに拠って今までの方向に向けられなくなったエネルギーが何処に向かうか? 想像すると面白いですね。私個人では「漢肝」の萌えイメージは高橋葉介先生の「夢幻紳士冒険編」の老博士の沢山いて待遇改善訴えたりする部下達かなとも思うのですが。もちろん可愛い女の子版ですが。
     「けいおん」に対する批判は的外れも良い所ですな。むしろ、ああいう等身大の当たり前と感じられる世界で、四コマにできるマンガの幅の広がりこそを指摘するべきでしょうに。等身大の日常を4コマであそこまで面白く描ける事こそを。ま、批評家は過去に基づいた言葉しかできないのが大半だからしょうがないのですが。自分が知らないタイ
    2015年08月10日 16:47
  • 白なまず

    祝!鬼復活。
    そもそも、鬼って悪役扱いではないと思います。節分に煎り豆を鬼へぶつけて、煎り豆が目を出すまで来るなと言っている訳ですが、弥勒の世では煎り豆から花が咲くのです。つまり、鬼とは艮の金神の事で世の建て替え、世の建て直しの時には泣こうが、叫ぼうが、容赦なくビシバシ実行する神なのです。まさに鬼神のごとくでしょう。温い仏の時代は終わりを告げます。

    ひふみ神示 第11巻 松の巻 第一帖 (二九二)
     富士は晴れたり世界晴れ。三千世界一度に晴れるのざぞ。世の元の一粒種の世となったぞ。松の御代となったぞ。世界ぢうに揺すりて眼覚ますぞ。三千年の昔に返すぞ。煎り豆 花咲くぞ。上下ひっくり返るぞ。水も洩らさん仕組ぞ。六月十七日、あめのひつ九のか三。

    3DCGの日本鬼子もありますね。
    http://web.mac.com/hinemaru/Site/home.html
    2015年08月10日 16:47

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