朝鮮統一の火

 
朝鮮半島情勢が緊迫しています。

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1.韓国の覚悟

連日、軍事訓練を続ける韓国は、アメリカとの合同軍事演習を朝鮮半島東側の日本海で、22日から25日まで実施すると発表しています。

また、韓国陸軍はソウル北方の京畿道抱川で23日に軍事演習を実施すると発表した。多連装ロケットやF15K戦闘機など105種類の兵器と兵力800人が参加するもので、通常訓練といいながらも規模は拡大しています。

どちらも定期的な訓練と称してはいますけれども、演習を行う地域は、北方限界線(NLL)に近い韓国最北端の江原道高城郡の沖合とソウル北方の京畿道抱川ですから、これは、韓国による北朝鮮への警告、悪く言いえば、挑発ではないかと思われます。

つまり、もう韓国は北朝鮮を武力を使ってでも潰そうと決めたのではないかということですね。それほど強硬姿勢を取っているように見える。

韓国の金寛鎮国防相は12月6日に北朝鮮の武力挑発があった場合、自衛権のレベルで対応し、相手の軍基地などを空爆すると表明していますし、12月9日マレーシアを訪問した韓国の李大統領は、韓国系住民との懇談会で、「統一が近いと感じるし、統一に備える必要がある」と述べています。

その中でも注目したいのは、李大統領が、韓国人が豊かな暮らしをしていることを、北朝鮮住民も知り始めた」と指摘していることなのです。

どういった諜報活動でそれを知ったのかは分かりませんけれども、少なくとも、あの独裁国家にあって、北朝鮮住民が世界の動きを知っていて、重大な変化が起きている、と韓国が見ていることは注意すべきかと思われます。

つまり、北朝鮮の住民に対して情報公開することにより、独裁政権の内部崩壊を促す可能性があると韓国は認識しているということなのですね。

実は韓国は、哨戒艦「天安」沈没を受けて、今年の5月から北朝鮮及び北朝鮮の兵士に対して、FMラジオを使った「宣伝放送」というものを行っています。

このFM放送は「自由の声」とのタイトルで、約4時間の編成で一日3回わたって流されるもので、李大統領の北朝鮮制裁に関する談話が盛り込まれる一方で、自由を称賛するポピュラー音楽が流れるものとなっています。

音楽によって、兵士の動揺を誘うというのは、アニメだけの話かと思ってしまいそうなものなのですけれども、李大統領の言うように、北朝鮮住人が韓国が豊かであることを知り、重大な変化が起きているのであれば、この宣伝放送がそれなりに効果を上げていることを示しています。

去年の7月に「しおかぜ抑止力」というエントリーで、天気予報みたいに、金正日の居場所を、何処其処にいる確率何パーセントなどと毎日放送してやってプレッシャーを掛けるのはどうか、と述べたことがありますけれども、この韓国の宣伝放送も似たような効果を上げている、というわけです。

更には、南北軍事境界線に近い韓国北西部の金浦市にある「愛妓峰(エギボン)灯塔」で、12月21日にクリスマス用イルミネーションの点灯式が7年ぶりに行われていますけれども、これは、元々クリスマスに飾り付けを行うことで北朝鮮側に「自由と平和」のメッセージを送っていたものなのですけれども、2004年6月の南北将官級会談で「軍事境界線付近の中傷宣伝をやめ、心理戦手段を除去する」と合意したのを受けて中止されていました。

今回、それを再開したというわけですね。これに対して、北朝鮮は「反共和国の心理謀略だ」と猛反発していますから、やはりこうした自由と平和を標榜する心理戦は効果があると見ていいと思われます。




2.半島の緊張に備えるアメリカ

また、アメリカ側も朝鮮半島の武力統一も視野に入れた動きをしているように思われます。

11月27日の「北朝鮮を締め上げる2つの戦略」のエントリーで、アメリカはジョージワシントンを黄海上もしくは、黄海近辺に固定して、北朝鮮との外交交渉には一切乗らないでおくことで、一種の小田原水攻めを行うのではないか、と述べたことがありますけれども、先月末に行われた米韓軍事演習と、続けて行われた日米合同軍事演習。そして、22日から再び行われる米韓合同軍事演習、と黄海から日本海から、アメリカ空母がずっと東アジアをうろついています。

また、「中国の提案と北朝鮮の交渉術」 のエントリーでは、北朝鮮の要求はシカトして、あまりガタガタいうようなら、アメリカ空母「ジョージワシントン」を黄海に張り付けるか、もう一隻くらい空母を派遣してもいいのではないか、と述べましたけれども、アメリカは、12月7日に、本当にもう一隻空母「カール・ビンソン」を派遣してきたのですね。

「カール・ビンソン」が、西太平洋に配備されるのは約5年ぶりで、公式発表では、西太平洋とペルシャ湾での任務に就くとなっていますけれども、アジア太平洋地域に空母を2隻派遣するということは、ペルシャ湾付近と東アジアの2正面作戦が可能になるということです。

「カール・ビンソン」のペレス司令官は12月2日、士官と家族の別れの会の席で「今回の配備には、ずいぶんと時間がかかった。でも、すでに完了。シグナルを彼らに発するつもりだ」と強調したそうですから、明らかに朝鮮半島有事に対する備えと、圧力の一環だとみていいかと思われます。

そして、6ヶ国協議についてですけれども、12月21日にホワイトハウスのギブス報道官が「今は行動を言葉だけでなく、実行するべきときだ」とし、「6カ国協議に向けた雰囲気が良くなったという理由だけで、われわれは交渉のテーブルにはつかない」と述べていますから、まぁ、北朝鮮の要求をシカトしているわけです。

要するに、「北朝鮮を締め上げる2つの戦略」のエントリーで述べたように、空母派遣による圧力外交と北朝鮮の要求を無視するという「小田原水攻め」をやり始めたということです。

そして更に、アメリカは中国に対しても圧力を掛けています。

オバマ大統領は胡錦涛・中国国家主席との電話会談で「中国が北朝鮮をこのままかばい続ければ、中国も危険にさらされる」と話し、圧力をかけました。外交筋のよれば、「儀礼的な外交的用語を使わず決心したように強い表現を使った」そうですから、本気で北朝鮮を潰す覚悟を固めたのかもしれません。

こうしてみると、朝鮮半島は既に戦時下にあり、もしも北朝鮮が痺れを切らして、韓国を攻撃しようものなら、アメリカ軍をバックに韓国軍の空爆が行われ、朝鮮半島の武力統一が為される可能性が非常に高くなっているとみていいかと思われます。

北朝鮮もそれを分かっているのか、度重なる韓国の軍事演習にも反応を示さず、自制を続けていますけれども、一発の砲弾が全てをぶち壊す瀬戸際にあるのではないかと思っています。

ですから、日本もそれに応じた体制を整えておく必要があり、あまり猶予はないと思われます。




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この記事へのコメント

  • almanos

    韓国の本音としては破綻国家である北を抱えるのは勘弁してくれという所だろう。だけどずっと民族の悲願と言ってきた手前、本音は言えない。統一したら仲良く共倒れになる事は避けられない。どちらが主導であっても。中国としては緩衝地帯としての北朝鮮はお荷物ではあるが手放せない。ひどい言い方だが緩衝地帯として存在するならどういう政治形態であろうと中国がコントロールできるなら容認するだろう。韓国も経済危機ですぐに統一できるかは大いに怪しい。が、戦争で復興需要が出来るなら話は別だ。後を引かない戦争を米韓が欲していないか? その結果としての挑発ではないか? そう思えてくる。何しろ、北は中国にとってもお荷物だ。中国が手を汚さないで潰れるなら、手打ちをして仕掛ける余地は充分にある。建前が満たせれば何とでも出来る。そういう事態が信仰しているのかもしれない。知らぬは金一族ばかりなりかもしれない。
    2015年08月10日 16:47
  • sdi

    事態が緊迫化しているというのは確かですが、統一を覚悟しての緊迫化というより「統一したくない」ゆえに韓国側が逆に、中国に対して瀬戸際戦略にでている可能性を私は疑っています。何しろ、統一にかかるコストが半端じゃない。韓国経済がどん底に落ちてなお足りないでしょう。
    「このままだと、北進統一してあんたは鴨緑江を境に米韓連合軍と対峙することになるんだけどいいのかい?」
    「ええ、是非とも不幸な同胞を救ってあげてください」
    中国は平静を装いつつ、それこそ白骨を立ち木に縛り付けてでも生きているように見せる努力を密かにしている。私は現在の状況をそう見ています。平壌が核爆破装置を持っていると仮定するならその矛先は北でしょう。
    ちなみに統一に必要なもの一覧です。有名なのでご存知かもしれませんが念のため。http://soutokufu.s145.xrea.com/index.php?cmd=read&page=hitkot%2F%C5%FD%B0%EC%A4%B7%A4%BF%BB%FE%A1%A2%C9%AC%CD%D7%A4%CA%CA%AA
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    オバマ大統領は本当に決心したのだろうか,
    それとも支那バブルの予感にウォール街が見切りを
    つけたのか. 米国, 特にオバマ政権は金融勢力
    の意志を無視して単独行動はできないだろう.

    それに対して韓国, 支那との話し合いは十分に
    できているのだろうか. 共産党政府は北朝鮮が
    韓国に吸収されるのは好まないだろう. 支那に
    ある資産が凍結されると韓国はまずいのでは
    なかろうか.

    それとも, これを良い機会に韓国国内向けの
    アピールなのだろうか. 本当に戦争を覚悟
    しているなら準備のために演習どころでは
    ないだろう. 経済的な脆弱性もあるが, 軍事的に
    もソウルはミサイル数十発ほどで大変な状況に
    なる. そうなれば, 韓国経済は破綻するだろう.

    朝鮮人民主党には覚悟があるのか. (ないだろうな.)
    2015年08月10日 16:47

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