民主党が地方から崩壊を始めている。
19日に行われた、千葉県の八千代市長選で、民主推薦の岩井覚氏が、大差で敗れた。
しかも、今回の八千代市長選は、当選した自公推薦の豊田氏と、自民党を離党して無所属で立候補した西田氏との自民系候補の分裂選挙であったにも関わらず、豊田氏が24,969票、西田氏が23,049票を集めたのに対して、岩井氏は15,214票。
しかも、岩井氏は、民主への逆風を踏まえて選挙公報に党名を載せず、応援を受けた河村たかし・名古屋市長と一緒のポスターをも選挙戦途中で張り替えることまでして、民主党隠しをしたのだけれど、それでこの結果。もう完敗もいいところ。
推薦を受けた政党を隠さなければいけない、隠しても負ける、となったら、誰も民主党の推薦を受けようとは思わない。
民主党宮城県連などでは、統一地方選の候補者が集まらないという。逆風に加え、ここまで連戦連敗であればさもありなん。
民主党議員たちは、「怖くて地元へ帰れない」と怯えているという。
それでも、民主党の議員は地元に帰って、たとえ吊るしあげられてでも、地元の声を聞く義務がある。それでなければ、わざわざ各選挙区から選ばれた意味がない。
だけど、今の党執行部、政府には、そんな地方の声は届かない。
民主党青森県連は18日、筒井農林水産副大臣を招き、意見交換会を行ったのだけれど、参加者からは環太平洋経済連携協定(TPP)への反対意見が相次いだという。
筒井副大臣も反対を表明したそうなのだけれど、政府方針を見直す動きがあるわけでもない。出席者からは「政権内でしっかり調整してほしい」とのぼやきすら出る始末。地方の声は無視されているに近い状態にある。
TPP(Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)とは、2006年5月に発効した、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポールの4カ国が参加する自由貿易協定のこと。
これは、物品の貿易、サービス貿易、政府調達、知的財産権、協力など投資を除く幅広い分野を対象として、例外品目を設けずに、関税の100%撤廃を実現するもの。また、労働と環境も補完協定として協力が規定されている。
関税撤廃については、これまでのEPAとかFTAとかでも謳われているのだけれど、明確な基準はなく、「貿易の9割について10年以内の関税撤廃が必要」と解釈されている程度なのだけれど、TPPは「10年以内の関税の撤廃が原則」とはっきり定められている違いがある。
現在、当初加盟国に加え、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8カ国が交渉に参加していて、8月にはマレーシアが参加を決定。更には、コロンビアとカナダが参加の意向を明らかにしていて、今後参加国が増加すると見られている。
日本は、菅首相が10月1日の所信表明演説で「参加を検討」と表明したのだけれど、国内の調整は難航しているというよりは、むしろ反対の声が渦巻いている。
農水省の試算によれば、TPPの参加に伴う関税撤廃で、農業にどのような影響を与えるかというと、何も対策しなかった場合には、農産物の生産額は4兆1000億円、実質国内総生産(GDP)は7兆9000億円減少。
食料自給率は40%から14%に低下して、農地減少に伴う農業の多面的機能(治水効果など)の喪失額は3兆7000億円に上り、関連産業を含めて340万人の雇用が失われるという。
これでは、流石に農家は反対一色に染まる。何の相談も手だてもなしに、こんなことをぶち上げられてしまったら、大反発するに決まってる。
もし、政府がこれを本気でやろうとするのなら、それこそ、自民党政権が普天間の辺野古移設を14年かけて決めたように、10年かけて参加できるようにしっかりとしたビジョンと地元の声を吸い上げる努力をしなくちゃいけない。
民意を汲まないくせに、上辺だけ取り繕うとする態度は、もう見透かされている。
自分の足元を疎かにする政治は長くは続かない。


八千代市長選は19日投開票され、現職で無所属の豊田俊郎氏(58)=自民、公明推薦=が、いずれも新顔で無所属の前県議西田譲氏(35)と、前県議岩井覚氏(60)=民主推薦=、元市議松原信吉氏(64)の3氏を破り、3選を果たした。当日有権者数は14万9755人。投票率は47・91%(前回45・46%)だった。
市議選(定数32)も同日、投開票された。投票率は47・92%(前回45・47%)。
市長選は、長年の市の懸案を盛り込み、国の交付金を得て今年度から始まった「新川周辺地区都市再生整備計画」を巡って、激しい論戦が繰り広げられた。
同計画を推進する豊田氏は、推薦を受けた自民、公明の支持者を軸として手堅く支持を集め、財政危機や「箱モノ」批判を展開したほかの3人をかわした。
市役所近くの豊田氏の事務所には、開票が始まると支持者が集まった。接戦を制した豊田氏は、午前0時ごろに姿をみせ、「厳しい戦いだったが、皆さんのお陰で当選させていただいた。何をすべきかをしっかり心に刻み、まい進していく。この勝利が八千代市民の民意だと確信して参ります」などとあいさつした。
自民党を離れ、1期目途中で県議も辞職して立候補した西田氏は、35歳の若さを前面に出した。政策小冊子を4種類作って約4万部を配ったほか、花火大会を取り上げたチラシなどで若い子育て世代にもアピールし、世代交代を訴えたが、及ばなかった。
民主党の県議を辞め、民主の推薦を受けた岩井氏は、民主への逆風を踏まえて選挙公報に党名を載せず、応援を受けた河村たかし・名古屋市長と一緒のポスターに選挙戦途中で張り替えた。「市長給与3割カット」などを訴えたが、支持は広がらなかった。
松原氏は、一騎打ちとなった前回市長選で現職に1554票差に迫ったことを支えに「市民自治の推進」を訴えたが、浸透しなかった。
URL:http://mytown.asahi.com/chiba/news.php?k_id=12000001012200003

民主党宮城県連が来年4月の統一地方選の候補者擁立に苦慮している。
政治スクールなどを通じて候補者擁立を模索するが、19日発表の新人を加えても、公認・推薦候補は計28人で、当初の目標に遠く及ばない。
「足腰の強い組織にする」(今野東代表)と候補者探しを続けるが、菅政権への逆風が吹く中で作業は難航している。
政治スクール最終日の19日。仙台市議選に同党公認で立候補予定の沼沢真也さん(29)は市中心部で街頭演説の実践練習に臨んだ。誰も耳を傾けない様子に「足を止めてもらうような演説はまだまだ」と苦笑いした。
統一地方選の公認・推薦候補者は19日現在、計28人。内訳は、県議選の公認13人、推薦2人、仙台市議選の公認12人、白石市議選の公認1人となった。
25人を発表した先月、今野代表は「候補者を倍増させる」と意気込みを見せたが苦戦が続く。党本部は、各県連に対し、全選挙区への候補擁立を求めているが、県議選では支持候補の1人を含めても、全23選挙区中9選挙区が空白区だ。
難航するのが新人の擁立だ。28人中、新人は8人。政治スクール受講生の中でも家族の反対などで、立候補を断念する例が続出。8人中7人は秘書か現職町村議で、スクールで発掘できたのは1人だけだ。
(2010年12月20日12時35分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/election/local/news/20101220-OYT1T00260.htm

民主意見交換会農水副大臣に訴え
民主党県連は18日、筒井信隆農林水産副大臣を招いた意見交換会を弘前市内で開き、支持者のほか、地元首長などが出席した。参加者からは関税を原則撤廃する環太平洋経済連携協定(TPP)への協議開始を決めた政府の方針に対し反対する意見が相次いだ。筒井副大臣も反対の意向を表明したが、民主党政権内での意見が対立している格好で、出席者からは「政権内でしっかり調整してほしい」とのぼやきも聞かれた。
意見交換会は県連が来年4月の統一選向けの政策集について広く考えを聞くもので、支持者300人のほか、弘前市、平川市などの地元首長や農協といった業界団体も出席した。
支持者との会合では、「弘前はコメやリンゴの町。関税撤廃になると壊滅状態になる」「雇用や経済にもプラスにならない。反対の立場で議論してほしい」などと訴える声が噴出した。
首長や業界団体らとの非公開の意見交換では、「国内総生産の1・5%しかない第1次産業を守るため、かなりの部分が犠牲になっている」とした前原外相の発言が議題となり、「関連産業や雇用を含めると重要な産業だ」などと抗議する声が相次いだという。
筒井副大臣は終了後、「第1次産業は地域や国ごとに事情が異なるので慎重に考えないといけない」と改めて農水省として反対の立場を表明。県連が交渉開始に反対することを決めたことについては、「慎重に考えるための一つの後押しになる」と語った。
(2010年12月19日 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20101219-OYT8T00249.htm

TPP参加反対出雲で県集会 関税の原則撤廃を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)について、県内の農林水産業者約500人が13日、「TPP交渉への参加に反対し日本の食を守る島根県集会」を出雲市今市町で開いた。
JAグループ島根、JFしまね、県森林組合連合会、県生協連合会が主催。JA島根中央会の萬代宣雄会長が「行き先の分からないバスには乗れない」とあいさつ。「TPPを締結すれば農林水産業は大打撃を受ける。TPP交渉への参加は断じて認められない」などとする県などへの要請書が読み上げられた。
参加者からは「誇りにしている農業が国から必要ないと言われた気持ち」などの意見も。「さらなる県民の理解と支持を得るための県民運動を展開する」などとする集会宣言を採択した。
集会後、参加者たちは会場周辺をトラクター約20台などでデモ行進。「日本の農業を守ろう」などとシュプレヒコールを上げながら約2キロを練り歩いた。
(2010年12月14日 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shimane/news/20101213-OYT8T00906.htm?from=nwlb

TPPへの参加反対を訴えて宮崎市中心部を行進する集会の参加者 県内の農協などで作るJAグループ宮崎は5日、宮崎市の栄町街区公園で、米国などが貿易自由化を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)への日本の参加に反対する集会を開き、約3200人の農家や建設業者らが締結交渉への参加阻止などを訴えた。
「TPP交渉への参加阻止とみやざきの“食と暮らし”を守る緊急県民集会」と題し、JA宮崎中央会の羽田正治会長が「農家をないがしろにしてこの国の将来はあるだろうか。断固反対」と呼びかけた。
東国原知事は「政府は交渉より前に、食料戦略をしっかり立てるべきだ」とあいさつ。県選出の国会議員も出席し、党を超えて反対する姿勢を示した。
交渉の参加阻止を求める共同宣言も採択され、来場者は「日本人には日本の食糧」「TPP締結は地域経済の崩壊につながる」などと書かれた看板やのぼりなどを掲げ、同市の高千穂通りや県庁周辺を行進した。
県はTTPに日本が参加すると、県内の農業で1529億、水産業68億、林業2億5000万円の損失が出ると試算している。都城市志和池の酪農業、水流常義さん(64)は「TPPは口蹄疫(こうていえき)とのダブルパンチ。後継者不足もさらに深刻になるだろう」と懸念していた。
口蹄疫被害者協議会の吉松孝一会長は「これ以上農家をつぶしたら、日本の食は守れない。看護師などの仕事も開放されるので、農業以外の打撃も大きい」と反発していた。
(2010年12月6日 読売新聞)
URL:http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/miyazaki/20101206-OYS1T00309.htm?from=nwlb

TPP参加への反対を訴えて街頭を行進する農業者ら 関税の原則撤廃を目指す環太平洋経済連携協定(TPP)について、政府が関係国との協議を始めるという基本方針を閣議決定した9日、県内の農業関係者らは、TPP参加への反対を訴える行動を起こした。
20~40歳代の農業者らでつくる県農協青年部協議会は「TPP交渉参加断固阻止」を訴え、福岡市・天神などで約3キロを行進。「TPP反対!」のハチマキを巻いた約300人がトラクターやトラックなど約10台の先導で、「農業を壊滅させるTPPには断固反対」「日本の農業環境を守る」と気勢を上げた。西鉄福岡(天神)駅では反対を訴えるチラシも配った。
協議会の久保田誠二委員長(38)は「外国産が入ってくることで、安全な食料を供給できなくなるという不安がある。農業だけでなく、いろんな分野にも影響するということを国民全体で考えないといけない」と語った。
一方、JAグループに加盟する組合なども「TPP交渉参加に反対する県代表者緊急集会」を同市で開いた。各組合の代表や県森林組合連合会など友好団体、県議ら約200人が出席。「国家の基礎である食と農を守り、地域社会を活性化させ、将来に向けて安全・安心な食料を安定供給していくため、TPP参加には絶対に反対。断じて認めることはできない」とする緊急決議を採択した。
(2010年11月10日 読売新聞)
URL:http://kyushu.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/20101110-OYS1T00196.htm?from=nwlb
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
主張は常に事実ではなく思想から出るから
自説を引っ込めること, 即, 自己の敗北.
だから, 上下の決まった関係でないと落ち着けない.
彼らの言っている政治主導とは, 日本を
猿山化することに他ならない.
皆が言っているように, これほどあからさまに
マルキスとの生態を観察できる機会は貴重かも知れない.
全ての行動を記録しておくとためになる.
もう間違って獣道に入り込まないために.
sdi
輸出を拡大したいアメリカとしては「丁度いい道具が転がってるぞ」と急遽参加して主導権を握って乗っ取りにかかった、と言いたいところです。しかし、前準備もなしに加盟なぞ上院が許すわけらい。当初からそのつもりで居たところへ経済危機でスケジュールを繰り上げたのではないでしょうか?それに比べると日本は全くの準備不足のところに事態が急進展、それでなくとも国家の三大基本機能たる国防・外交・徴税(国家財政)に弱いプロ市民政権です。
「バスの乗り遅れるな」的な不用意な行動は却下ですが、何もせずにシカトするのも愚策です。交渉に参加して時間稼ぎしつつ国内の体制を固める、という対応は期待できそうないですね。
白なまず
almanos