世界の平和 中国の平和

 
1949年に建国された"新中国"は、名前こそ"人民共和国"だがその実は"党の天下"である。政権政党は政治・経済・社会の全ての資源を壟断し、反右派闘争、大躍進、文化大革命、六四天安門事件や、宗教活動及び維権運動の弾圧など一連の人権災害を引き起こし、数千数万の命が奪われ、国民も国家も無残なつけを払わさせられた。
「08憲章 前文」より

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今年のノーベル平和賞授賞式がノルウェーのオスロで、受賞者である劉暁波氏の席が空席のまま開かれることになった。

中国は、ノルウェーから平和賞式典の招待状を送られた65ヶ国に対して、式典を欠席するよう圧力をかけていたのだけれど、最終的にパキスタン、キューバ、ベネズエラなど中国の友好国および、中国に同調したロシア、イラン、ベトナムなど、19ヶ国が欠席を決めた。

ノルウェーは、予想以上に中国の圧力に屈して欠席を決めた国が多いことに懸念を示して、EUを通じて、さらに欠席する国が増えないよう協力を求めたという。

EU加盟を目指しているセルビアは、コソボのセルビアからの独立宣言を認めていないことに対して、中国の同調を得ていたことに配慮して、欠席する予定だったのだけれど、フューレEU拡大・欧州近隣国政策担当欧州委員から、「人権尊重はEUの基本原則」と批難さえ、ギリギリの9日夜になって、出席を表明。ツベトコビッチ首相の特別代表を派遣することを決めている。

以前、「ノーベル平和賞と経済的相互依存」のエントリーの中で、平和賞授与式に出席することは、ノーベルの理念を尊重し平和に貢献した人を支持する、という価値観の表明を世界に向けて出来る一方、価値観で飯を食えるわけじゃないという現実もある、と言ったけれど、セルビアの場合は、コソボという国内問題と、EU加盟という対外問題、国家方針と天秤にかけて、後者が勝ると判断したということなのだろう。

その他の国も、それぞれの国益を考えた上での結論だとは思うけれど、抑えておくべきポイントは、今の世にノーベル平和賞を否定する国家が存在している、ということ。

勿論、ノーベル平和賞の授与に当たって、それが政治的な要素を含んでいる面がないとは言わない。



2009年のノーベル平和賞は、オバマ大統領が受賞したけれど、実績が少ない段階での極めてまれな授賞決定の裏には、核兵器が国の安全保障をもたらすとの発想の転換を促す狙いがあると言われていた。

オバマ大統領は、自身の平和賞の受賞を「21世紀の課題に向けた行動への要請」と捉えると表明した上で、それを受けている。

同様に、劉暁波氏へのノーベル平和賞の授与も、「21世紀の課題に向けた行動への要請」なのだろうと思う。

だけど、アメリカはそれを受け、中国は拒絶した。

それは、「世界の」平和と「中国の」平和とでは、その「平和の定義」が異なるということを意味してる。

では、本当に平和の定義が違うのかについて、劉暁波氏が起草した「〇八憲章」を見てみると、その骨子は次のとおり。
全文訳はこちらを参照されたい

08憲章骨子

1. 憲法改正      :主権在民の原則と合致しない条文を削除。
2. 分権とチェック&バランス  :立法・司法・行政の三権分立を保障する。
3. 民主的な立法    :各立法機構は直接選挙によって選出。
4. 司法の独立     :司法は党派に依存せず、いかなる干渉も受けない。
5. 公共機関の公用   :軍隊の国家化を実現。軍人は国家と憲法に忠誠を尽くす。
6. 人権の保障     :人権を切実に保障し、人としての尊厳を維持・保護する。
7. 公職選挙      :一人一票の平等な選挙権を確立。
8. 都市部と農村部の平等:公民の自由な移動の権利を保障する。
9. 結社の自由     :公民の結社の自由権を保障し、結党の禁止を解除。
10. 集会の自由     :平和的な集会、デモ及び自由の表現は、政府の干渉を受けない。
11. 言論の自由     :報道の禁制を解除。"国家政権転覆扇動罪"の条文を削除。
12. 宗教の自由     :宗教の自由と信仰の自由を保障し、政教分離を実行。
13. 公民教育      :一党統治に奉仕させる政治教育を解消。
14. 財産の保護     :私有財産の権利を確立・保護し、行政による壟断を解消。
15. 財政・税制改革   :民主的な財政を確立し、納税者の権利を保障。
16. 社会保障      :国民全体をカバーする社会保障体制の実現。
17. 環境保護      :生態環境を保護し、持続可能な発展を提唱。その責任を負う。
18. 連邦共和      :平等・公正の態度を以て中華連邦共和国を建立する。   
19. 正義の転換     :歴代の政治運動で迫害された人士の名誉回復と国家賠償を行う。

細かくは述べないけれど、08憲章の部分部分に今の中国の抱える問題が透けて見える部分があるのは面白い。たとえば「8.都市部と農村部の平等」の国内であっても自由な往来が出来ないことや、「14. 財産の保護」では、行政による壟断が行われていること。そして「19. 正義の転換」に至っては、相当な数の運動家が弾圧されたのだろう、と窺わさせる。

こんなことを、わざわざ憲章で言わなければならないことに中国の闇がある。

08憲章全体に対する印象としては、恐らく、民主主義を知っている人にとっては何を今更な内容だとは思うけれど、これを起草した劉暁波氏は政治犯として投獄されている。

中国は、よく、自身の拡張政策に対して周辺各国が懸念を示すたびに、「中国は平和的発展を望んでいる」なんて言うけれど、その平和の概念そのものが、根本から世界とは違うのだ、という認識は持っておくべきだと思う。

これからも、中国が「平和的発展」なるものを主張するのなら、「貴方のいう平和は、我々の平和とは意味が違う。弾圧の平和では、世界における中国の地位に見合った責任は果たせない」くらいは反論してもいいように思う。




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この記事へのコメント

  • 白なまず

    「日本の平和」=「世界の平和」≠「中国の平和」

    ひふみ神示 第19巻 マツリの巻 第十六帖
     日本の人民よくならねば、世界の人民よくならんぞ、、、

    第23巻 海の巻 第五帖
     今日(こんにち)までの御教は、悪を殺せば善ばかり、輝く御代が来ると云ふ、これが悪魔の御教(みおしへ)ぞ、この御教に人民は、すっかりだまされ悪殺す、ことが正しきことなりと、信ぜしことのおろかさよ、三千年の昔から、幾千万の人々が、悪を殺して人類の、平和を求め願ひしも、それははかなき水の泡、悪殺しても殺しても、焼いても煮てもしゃぶっても、悪は益々ふへるのみ、悪殺すてふ其のことが、悪そのものと知らざるや、神の心は弥栄ぞ、本来 悪も善もなし、只み光の栄ゆのみ、八股おろちも金毛も、ジャキも皆それ生ける神、神の光の生みしもの、悪抱きませ善も抱き、あななふ所に御力の、輝く時ぞ来たるなり、善いさかへば悪なるぞ、善悪不二と云ひながら、悪と善とを区別して、導く教ぞ悪なるぞ、只御光の其の中に、喜び迎へ善もなく、悪もあらざる天国ぞ、皆一筋の大神の、働きなるぞ悪はなし、世界一家の大業は、地の上ばかりでなどかなる、三千世界大和して、只御光
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > 中国に同調したロシア、イラン、ベトナムなど、
    > 19ヶ国が欠席を決めた。

    ベトナムも結局は一党独裁の国でしたね.
    2015年08月10日 16:47

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