今日は、少し妄想チックなストーリーを…
1.自民党が撒いた餌
昨日のエントリーで、自民党の谷垣総裁と、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長との会談に触れ、大連立の話ではないかと述べたのだけれど、その後の報道で、政府・与党の執行部サイドから、大連立を仲介するよう渡辺氏に要請していたことが明らかになった。
自民党幹部が明かしたところによると、渡辺氏が「国家国民のためだ」と、大連立を打診したのに対して、谷垣総裁は「小沢一郎元代表を切れないような民主党とは組めない」と否定的な考えを示したという。
ただ、この発言も「小沢氏さえ切ることができれば、民主党と大連立しないでもない」という風に聞こえなくもない。それを裏付けるかのように、谷垣総裁は同日の記者会見で、「よくよくの大義名分がなければできない」などと発言している。
また、石破政調会長も都内の講演で「小沢グループを除いた民主党と自民党が組むことはあり得ない話ではない」と発言する一方で、民主党のマニフェストを撤回しかつ、直ぐ選挙をしないと正当性は持てないとして、条件付きの大連立を匂わせている。
こうした大連立の動きに対して、自民党内では、民主党の人気を上げるために手を握るなんてできない、とか、統一地方選挙前に大連立なんて言ったら、戦っている地方の議員は混乱する、とか、反対意見が相次いでいる。
それなのに、谷垣総裁も、石破政調会長も大連立を完全否定しない。
これを、どう捉えるべきなのか。
ここから、妄想込みの推測になるのだけれど、これは、もしかしたら、民主党を分裂させるために自民党が撒いた餌なのかもしれない。
つまり、小沢氏さえ切ることができれば、大連立を考えないでもない、と発言することで、民主党執行部に小沢氏を切らせて、民主党を分裂に追い込もうとしているのではないかということ。
何故、分裂に追い込むかといえば、内閣総辞職は元より、解散総選挙に一歩近づくことになるだろうから。
2.党を出るのは小沢だけではない
今の菅政権のままで大連立を組めば、当面解散は有り得ない。何せ、相手は支持率が1%になっても辞めないと言っている空き菅殿。大連立を組んで安定多数を持つ事ができれば、喜びこそさえすれ、辞める理由なんて微塵もない。満期一杯まで続けるに決まってる。
仮に、渡辺・読売会長が、谷垣総裁との会談で「菅くんは、来年の通常国会終わったら必ず解散すると言っているから、大連立をしてやってくれ」なんて言っていたとしても、これまでの空き菅殿の嘘つき具合をみれば、信用できる筈もない。
だから、自民党が解散総選挙を本当に狙っているのであれば、たとえ、小沢氏抜きの民主党であったとしても、大連立は有り得ないと見る。
では、民主党が分裂すれば、解散総選挙があるのかといえば、いくつかのハードルを超えないといけないけれど、ゼロではないと思われる。
もしも、民主党執行部が、小沢氏を切るようなことになると、今度は小沢氏は何人か引き連れて離党する可能性が高い。
小沢氏は7日の夜に都内で会食した党の中堅議員に対して、「菅直人首相、仙谷由人官房長官のコンビでは政権が成り立たない。今の党執行部は、自民党と主義主張が違うので大連立も出来ない。自分は大連立も分党もやる覚悟があるが、まず、君たちに動いて欲しい」とも語ったというから、これはもう党を割る積りだろうと思う。
だから、離党勧告又は除名処分があったとしても、それは党を割る「切っ掛け」にしか過ぎないだろう。
その時、問題になるのは、やはり小沢氏が何人連れて出るかということ。少なくとも、衆院で与党が過半数を割るくらいの数にまで減らさないと効果は薄い。
なぜなら、小沢氏一派が離党したとしても、政府与党が依然、衆院過半数を持っていれば、仮に、野党が、内閣不信任案を出したとしても否決されてしまうから。
もし、小沢氏が80人以上の規模で離党するようなことになれば、一気にそうした事態を迎えることになる。
ただ、当の小沢氏本人が、強制起訴等で求心力を失っている。首相周辺や党執行部はは小沢氏について出るのは20~30人程度ではないかと高を括っているようなのだけれど、ひとつ不確定要素がある。
それは、昨日のエントリーの最後に、ウルトラCとして、少し触れたけれど、鳩山前首相の存在。
3.野党連合による政権奪取
仮に、「小沢氏に」ついていくのが30人足らずだったとしても、これに、もし鳩山前首相も一緒に出て行くとなったらどうなるか。鳩山グループ全員が一緒についていくとは言わないけれど、相当数一緒に出て行く可能性はある。
8日の夜には、鳩山由紀夫前首相の呼び掛けで、小沢氏と無所属の鳩山邦夫元総務相、新党改革の舛添要一代表の4名の会食が行われ、政権運営について、何とかしないといけないとの認識で一致したという。
しかも、その中で鳩山前首相は、「(菅首相は)私たちを切って政権を浮揚させようとしている。協力したくてもできないのが悩みだ」との不満を示したそうだから、場合によっては、小沢氏と組んでの新党立ちあげもあるかもしれない。飽くまでも妄想レベルではあるけれど…
ただ、小泉元首相は、民主党の小沢元代表や鳩山前総理大臣の動きを「新党が目的だろう」という見方を示しているから、不気味な動きではある。
それに、小沢氏から見ても、鳩山氏が新党結成に乗ってくれるのは非常に有難い話でもある。
というのは、鳩山グループの議員を何人か引きぬいてくれるであろうことは勿論、鳩山氏自身が「財布」でもあるから。これは物凄く大きな要素。
新党を立ち上げるには何かと金が必要なもの。党の幹事長を離れた小沢氏に党の金は動かせない。強いて言えば、1月に分配される政党助成金を当てにするくらい。もしも、解散総選挙まで視野に入れているのなら、そんなのでは全然追いつかない。
だけど、鳩山前首相が加わるとなれば、その問題も一気に解決する。だから願ったり叶ったり。
とはいえ、鳩山前首相が、そんな「タカられる」可能性が極めて高い新党結成に乗るのかという疑問があることはある。
それでも、この会合を自ら呼び掛けているということは、もしかしたら、なんらかのバーター的な取引を提案しているのかもしれない。たとえば、鳩山邦夫元総務相を、党首として新党に迎え入ると約束してくれるのなら、結党資金を提供する準備がある、とか。
これまで無所属で、いわば「新党ひとり」状態だった鳩山邦夫氏にしても、党首として迎えられるのなら満更でもないだろう。
まぁ、新党の人数にも依るけれど、現民主党が衆院過半数を割ることにもなれば、かつての細川政権のように、野党連合で政権を奪う可能性だってある。
もしも、小沢氏あたりが、野党連合で政権を獲れたら、即、解散総選挙しても構わないよ、と言って自民党総裁を首班指名する手土産を持って暫定連立を持ちかけられたら、自民とてグラっとくるかもしれない。
…つらつらと妄想ストーリーを書いてみたけれど、年末年始にかけての政局には目が離せない。


自民党の谷垣禎一総裁は8日、党本部で渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長と約1時間、民主党と自民党との大連立構想を巡って意見交換した。同党幹部によると、渡辺氏が大連立の必要性を主張、谷垣氏は「小沢一郎元代表を切れないような民主党とは組めない」と否定的な考えを示したという。
渡辺氏は福田政権下で浮上した大連立構想に関与したとされる。7日夜には鳩山由紀夫前首相とも会った。
菅直人首相は8日、首相官邸で自民党の森喜朗元首相と会談し、第2次世界大戦の日本兵の遺骨収集のため、14日に硫黄島を訪れる計画を説明した。首相と森氏は超党派で問題解決に取り組む考えで一致した。森氏も福田政権で浮上した大連立構想にかかわった。首相は記者団に「超党派でしっかりやろうと話をした」と述べ「政局の話をしたのか」との質問には首を横に振った。
URL:http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E2EAE2E0948DE2EAE3E0E0E2E3E28297EAE2E2E2;bm=96958A9C93819481E2EAE2E1E58DE2EAE3E0E0E2E3E28297EAE2E2E2

8日、自民党の谷垣総裁と面会した読売新聞グループの渡辺恒雄会長に対して、政府・与党の執行部サイドが、自民党との大連立を仲介するよう要請していたことが、FNNの取材で明らかになった。
渡辺氏は、民主党側からの大連立呼びかけのメッセージを携えて、自民党の谷垣総裁との対談に臨んだものとみられている。
渡辺氏はもともと、大連立に積極的とされていて、今の政治の現状では、財政・税制改革、そしてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などについて、1つの政党だけでは対応できないなどとして、谷垣氏に民主党との連立に踏み切るよう説得したものとみられている。
最終更新:12月8日(水)19時51分
URL:http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00189311.html

民主党と自民党による大連立に向けた動きが表面化したことを受け、自民党内で9日、「自浄能力がない政党とどうやって一緒にやるのか。(民主党の)人気を上げるために手を握るなんてできない」(石原伸晃幹事長)などと、反対意見が相次いだ。
大連立をめぐっては、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長が8日、谷垣禎一総裁に打診。また森喜朗元首相が菅直人首相と会談したことも、大連立絡みとの臆測を呼んだ。
これに関し、古賀誠古賀派会長は9日、同派の在京議員懇談会で「わが党が言うべき筋の話ではない。少なくとも統一地方選挙前に大連立なんて言ったら、戦っている地方の議員は大変な混乱になる」とくぎを刺した。
また、伊吹派幹部は「この時期の大連立は絶対ない。あの小沢(一郎民主党元代表)だってできなかった」と指摘。別の党幹部も「衆院選挙を経ずに連立の組み替えをしたら有権者が怒る」と強調した。
これに対し、谷垣氏は同日の記者会見で、「よくよくの大義名分がなければできない」と述べたものの、渡辺氏との会談内容に関しては「誰と会ったかしゃべっていたら仕事にならない」と語り、記者団をけむに巻いた。党内には「谷垣氏が完全否定してくれないと臆測ばかり飛び交う」(中堅)との不満も出ている。 (2010/12/09-19:40)
URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010120900842

与野党幹部から9日、大連立をめぐる発言が相次いだ。
自民党の谷垣総裁は記者会見で、衆院選小選挙区の大半で民主、自民両党が議席を争う現状を踏まえ、「大連立は、よくよくの大義名分がなければできない」と述べた。
一方、石破政調会長は都内の講演で、「小沢グループを除いた民主党と自民党が組むことはあり得ない話ではない」と語った。ただ、「(民主党の)マニフェストを全部替え、すぐ選挙をやって信任を得ないと政権は正当性を持ち得ない」として、実現は難しいとの見方を示した。
民主党の岡田幹事長は記者会見で、「いろいろな議論が出ていることは承知している。党幹部が軽率に言うべき話ではない」と述べるにとどめた。
(2010年12月9日21時43分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101209-OYT1T00955.htm

小泉元総理大臣は、自民党の二階元国土交通大臣らと都内で会合を開き、民主党や自民党による大連立の動きに反対する考えを示しました。
自民党・山崎拓元副総裁:「大連立に関しては、小泉さんも皆、反対でした」
また、小泉氏は、民主党の小沢元代表や鳩山前総理大臣の動きを「新党が目的だろう」という見方を示したうえで、「その新党とはくみしないほうが良い」と述べたということです。さらに、「民主党の分裂を阻止して、何とか菅総理にやらせることが自民党にとって大事だ」と強調しました。
URL:http://news.tv-asahi.co.jp/news/web/html/201209001.html

菅政権発足からちょうど半年たった8日、民主党の小沢一郎元代表(68)とそのグループが激しい動きを見せた。
小沢氏はこの日夜、都内のすし店で鳩山由紀夫前首相(63)、無所属の鳩山邦夫元総務相(62)、新党改革の舛添要一代表(62)と会食。由紀夫氏の呼び掛けで実現した席では、菅直人首相(64)の政権運営について「今の閉塞状況はひどい。このままだと大変だ。何とかしないといけない」との認識で一致した。終了後、小沢氏は無言だったが、由紀夫氏は「今の政権に対して危機感を共有した」。舛添氏は「日本が危機的なので、いろんな話をした」と話した。
出席者によると、由紀夫氏は、菅首相が小沢氏国会招致に向けた政倫審議決に踏み切る意向を固めたことで「(菅首相は)私たちを切って政権を浮揚させようとしている。協力したくてもできないのが悩みだ」との不満を示したという。来年の通常国会運営や舛添氏の出馬が取りざたされる東京都知事選、さらに新たな政界再編なども話題に上ったとみられる。
また、小沢氏支持の党幹部は「来年の通常国会での野党の抵抗を心配するなら(小沢氏の国会招致よりも)、まず(参院で問責決議を受けた)仙谷由人官房長官を代えざるを得ないのでは」と記者団に語り、事実上の辞任要求。小沢氏支持の議員の間では、年内に党両院議員総会を開き、内閣支持率低迷や大型地方選連敗で仙谷氏や岡田克也幹事長(57)の責任を追及しようという動きが強まった。党内抗争が再燃しかねない情勢だ。
URL:http://news.biglobe.ne.jp/domestic/1209/sph_101209_7397069351.html

民主党の小沢一郎元代表、鳩山由紀夫前首相と実弟で無所属の鳩山邦夫元総務相、新党改革の舛添要一代表が8日夜、東京・麹町のすし店で会談した。今後の連携の可能性のほか、政界再編も視野に入れた突っ込んだ話し合いをしたとみられる。菅直人首相の支持率が低下し、小沢氏の国会招致問題をめぐり民主党内の対立が激化しているだけに、野党も巻き込んだ多数派工作の始まりといえる。
夏の参院選後、由紀夫氏と邦夫氏の兄弟会談は時折行われているが、小沢氏に舛添氏を加えた4人が顔をそろえるのは初めて。参院選での民主党の大敗を受け、他党の協力を取り付けるため由紀夫氏が一カ月前から呼びかけていた。
会談では「このままでは国がダメになる」などと首相の政権運営を懸念する声が噴出。小沢、由紀夫両氏は「今の与党中枢は危機感がない」と批判。また民主党執行部が小沢氏の招致に向けて動き出したことに対し、由紀夫氏が「協力しようにも(首相は)私たちを切って政権浮揚させようとしているからやりようがない。それが一番の悩みだ」と打ち明けたという。舛添氏は党派を超えて協力する意向を示した。
舛添氏をめぐっては、首相サイドも政権基盤の強化策の1つとして、取り込みを図ろうとしている。民主党関係者によれば、首相は改革が平成22年度補正予算に賛成したことに喜び「連絡をとってじっくり話をしたい」と語ったという。
岡田克也幹事長も最近、舛添氏と雑誌で対談するなど、連携に意欲を示している。
舛添氏は参院選で敗北したとはいえ、依然堅い人気を保っている。知名度の高い舛添氏を味方に引き入れることができれば今後の政局で有利になると、首相、小沢氏ともにらんでいるとみられる。
舛添氏は東京都知事選への出馬も取り沙汰されているが、7日のCS番組では「今は日本を救うのが先だ」と明言した。低迷している首相との連携には迷いもあることから、小沢氏や由紀夫氏との会談に踏み切ったようだ。
URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101209/plc1012090151000-n1.htm

民主党の鳩山前首相、小沢一郎元代表、前首相の弟の鳩山邦夫元総務相(無所属)、新党改革の舛添代表の4氏が8日夜、東京都内のすし屋で会談した。
出席者によると、前首相と小沢氏は「菅政権は我々を切って政権を浮揚させようとしている。協力しようがない」との見方で一致した。連立政権の枠組みを増やすことや、政界再編も話題となった。会談は前首相が呼びかけた。
(2010年12月8日22時33分 読売新聞)
URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100806-849918/news/20101208-OYT1T01026.htm

昨日由起夫と会って、今日は自民党本部で谷垣と会談。なんだよまたキングメーカー気取りか。
ていうか、菅直人は「来年の通常国会終わったら必ず解散する。年明けに内閣改造して仙谷はクビにする。一日も長く総理やりたいからそれで飲んでくれ。この話は内緒にしてくれ」って言ったみたいだね。どうしようもないな。総理の椅子に固執するところも、そういう情報がいとも簡単に漏れるところも。あはははは。
URL:http://www.nikaidou.com/archives/8406

臨時国会が閉幕(12月4日)し、政界再編の動きが活発化し始めた。菅直人内閣の支持率が20%台に急落し、民主党政権の前途に赤信号が灯った民主党では、小沢一郎元代表の国会招致という「小沢カード」を切りたい首相サイドと、仙谷由人官房長官の更迭、内閣改造を要求する反菅陣営が真っ向から対立、一部には年末の政変が必至との見方が出てきた。
こうした対立に拍車をかけたのが、12月8日の動きだった。かつて(2007年11月)自民、民主の大連立を仲介したことのある読売新聞主筆兼グループ会長の渡邉恒雄氏が、谷垣禎一自民党総裁と党本部で会談し、「菅首相、谷垣副首相体制で2年間、救国政権をつくり、消費税引き上げなど内外の懸案を解決すべきだ」と呼びかけた。この「救国政権」構想、じつは10月ごろから政界の底流にあり、すでに菅首相は、福田康夫元首相、与謝野馨・たちあがれ日本共同代表と会談、8日には、森喜朗元首相も別の名目で首相官邸を訪れ、その可能性が模索されていた。
しかし、渡邉氏が唱える大連立による「救国政権」は、3年前とくらべて政治環境が激変しており、実現は困難だ。会談では谷垣総裁は「菅首相が信用できない」と、拒否したと伝えられる。じっさい自民党内には派閥幹部らを中心に谷垣執行部への反発が根強く、一枚岩にほど遠いのが実情だ。他方、民主党内では、菅首相、仙谷官房長官、岡田克也幹事長ら主流派と、小沢氏、鳩山由紀夫前首相、輿石東参院議員会長らの非主流派の間に、もはや越え難い溝が生じている。
民主党の深刻な亀裂を決定的にしたのが、衆院政治倫理審査会への小沢氏招致を議決してでも実現しようとする主流派の動きだ。現に8日、菅首相は岡田幹事長に党内調整を指示した。しかし小沢氏は、検察審査会で強制起訴されたことから司法の場に委ねることを主張し招致を拒否した。菅首相らは、こうした小沢氏のかたくなな態度を理由に離党勧告を突きつけ、除名も辞さずという強硬な構えを見せている。この「小沢斬り」に対して非主流派が猛然と反発、8日には小沢シンパの参院議員らが岡田幹事長に抗議したほか、年内の両院議員総会開催を要求する動きを見せた。また執行部に属する参院幹部も「官房長官の辞任が先だ。小沢招致を強行すれば党の分裂だけでなく、内閣そのものが吹っ飛ぶ」と強く牽制した。
この背景には、主流派がいわゆる「小沢カード」を切ることで、人気を回復し、政権の再浮揚を図る狙いがある。これに対して小沢氏は、代表選挙(9月14日)で半数に近い200票を確保した実績をもとに、着々と基盤固めをしている。小沢支持勢力は各種の議員連盟(たとえば「日本の海運を考える議員連盟」など)を次々に立ち上げたのをはじめ、1年生議員の集団「一新倶楽部」の53人を派閥化して「北辰会」を発足(11月25日)させた。小沢氏は7日夜、松原仁衆院議員ら親小沢グループの会に出席、地方の首長、議員選で民主党が連敗していることを踏まえ、「菅政権への不満から地方で反乱が起きる。解散・総選挙が早まるかも知れない。常在戦場だ」と檄を飛ばした。また8日夜には、鳩山前首相、舛添要一新党改革代表、鳩山邦夫元総務相とも会談、席上、鳩山前首相が「協力しようとしているのに菅首相はわれわれを切ろうとしている」と不満を口にしたという。
では今後の政界再編はどのようなシナリオで展開するのか。
水面下の情報を総合すると、(1) 12月末までに小沢氏ら非主流派が分党、自民党の反谷垣派と連携する、(2)菅首相ら主流派が谷垣氏らの自民党主流派との連立を目指す――という2つの動きが軸になりそうだ。もちろん前提は、民主、自民双方の分裂だ。これに公明党をはじめ、みんなの党や国民新党、たちあがれ日本、新党改革を巻き込んで大掛かりな政界再編に突き進むというのが大きな流れである。それも、解散・総選挙の前に政界再編が実現する公算が大きい。となると、通常国会開会冒頭の1月下旬の解散、2月が総選挙となる。
いっぽう、こうした分裂、政界再編を回避しようというシナリオもある。それは、菅首相が病気や党内の混乱を理由に急きょ辞任するか、一転して小沢サイドと和解(この場合、仙谷官房長官の更迭と小沢氏の国会招致をおこなわないことが条件になる)し、内閣改造をおこなってトロイカ体制を再構築するという妥協策の成立だ。
民主党、自民党ともに分裂し、政界再編がおこなわれることになったら、連立政権のトップ、すなわち次の首相は誰なのか――いうまでもなく、それを左右するのは、予想される総選挙の結果だ。菅首相サイドは当然、菅首相の続投を目指すが、ダウン寸前の現状ではもはや無理だ。そうなると、民主党からは前原誠司外相か岡田幹事長、自民党は谷垣氏か石原伸晃幹事長というのが常識的なところだろう。しかし、小沢サイドは思い切った若返り策を考えているといわれる。いま取り沙汰されているのは、野田佳彦財務相、松本剛明外務副大臣、細野豪志前幹事長代理あたりだ。自民党からは小沢氏に比較的近い福田元首相の再登板、または、国民に広く人気のある渡辺喜美・みんなの党代表の起用も口の端にのぼっている。
ではそのときの総選挙の争点は何か。菅サイドは「消費税の引き上げによって社会保障費の財源を賄う」政策と、「平成の開国としてTPP(環太平洋経済連携協定)への参加」を主なテーマに据えてこよう。対する小沢サイドはかねてからの主張である「社会福祉目的税をつくり消費税を財源に充てるが、その前に徹底して行政の無駄を排除する」、「TPP参加は国内の農林漁業者保護対策を徹底させてから」というのが対抗軸の政策だ。そのとき、「政治主導」を掲げながら官僚にとり込まれてしまった菅政権を徹底して批判するのは、容易に予想できる。
内憂外患のいま、どの党にも「救国」という旗印がある。動き出したらあっという間に進むのが政局というものなのである。
(松本泰高=まつもと・たいこう 政治ジャーナリスト、『日本の論点』スタッフライター)
URL:http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/enquete/101209.html
この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
> 年末年始にかけての政局には目が離せない。
役者が役者だから, ただ互いに政治ゴッコをやって
いるようにしか見えない.
視野を国会に限定するところに谷垣自民党の弱さあり.
政治家は国民を動かすべきだ. 特に, 民主党のように
その場しのぎ政党には国民の圧力がこたえる.
国民を忘れた国会議員は裏の山に引退するのがよい.
自民党保守派は孤立を恐れてはいけない.
いまこそ古い自民党を出て国民に話しかける時ではないか.
almanos