前原大臣のジミンガー

  
28日、前原外相は、記者会見で、自民党が社会保障と税の一体改革に関する与野党協議を行う条件として衆院解散を求めていることに対して、「自分の考え方を示した上で議論に乗ってくるのが筋だ」として、ここまで借金を膨らませた大きな責任は自民党にあると批判した。

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またもやジミンガーかとウンザリなのだけれど、一応、過去の一般会計予算の歳出・歳入を次に示す。

赤線が一般会計の歳出、青線が一般会計の税収なのだけれど、平成元年あたりまでは、歳出・税収とも右肩上がりで、日本が成長を続けてきたことが分かる。

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その後、平成に入ってから、税収が40兆円から50兆円で横ばいを続けているのだけれど、平成元年、つまり1989年はちょうどバブル景気のピークを迎えていて、株価は1989年12月に日経平均は3万8915円をつけてピークに達し、全国市街地価格指数では、1991年に140.8でピークを迎えた。

その後、バブルは崩壊したのだけれど、当然、それに連動するように税収は減っている。ただ、減っているといっても、横ばいに近いというレベルの減りであって、たとえば、税収が半分になるような激減というわけじゃない。

そして、歳出のほうはと言えば、平成12年あたりまでは、バブル期と同じようなペースで増えているのだけれど、その後は安定して80兆円前半で推移している。

だから、これは、見方によっては、政府の歳出構造をバブル崩壊後の「税収が増えない」状況に対応する迄に10年かかったと言えなくもない。

その意味では、所謂"失われた10年"というのはバブル後の世界に順応するための10年だといえるのかも知れない。

それにしても、あれ程、マスコミがバブル崩壊だ、失われた10年だと騒いでいた割に、税収が横ばいに近い形で推移しているのは、それだけ日本経済に底力を示しているのではないのかとも思える。

そして、平成12年以降になると、今度は歳出も増えなくなっているのだけれど、この時期は、ちょうど小泉政権にあたり、構造改革を旗印に、少なくとも、予算からみれば、歳出をきちんと抑える改革を行っていたことが伺える。

その後の安倍、福田、麻生政権でも歳出は殆ど増えていないから、前原外相の言うように、自民党政権は、確かに借金を膨らませたかもしれないけれど、また、拡大させない努力も行っていたことは認めないといけない。

それになにより、戦後の焼け野原から、ここまで日本を経済成長させた功績は間違いなく自民党にある。

そして、民主党への政権交代後の平成21年の歳入と歳出を見ると、税収は44.3兆円から36.9兆円に激減し、歳出はなんと102.6兆円。翌年は多少減ったとはいえ、まだ92.3兆円と自民党政権時代より増えている。

まぁ、百歩譲って、税収が激減したのは、昨今の世界的不況のせいだから仕方ない、といえるのかもしれないけれど、平成12年から安定的に推移していた歳出額が激増しているのは事実だから、それまでと違って、歳出を増やす"何か"があったということ。

何に歳出を増やしたのかというと、もちろん、それは、子ども手当を始めとするバラマキ。

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だから、前原氏が、自民党が借金を膨らませたというのであれば、民主党はそれに輪を掛けて借金を増やしたいうことにも触れないと片手落ちになる。

それでも、歳出が増えてしまったのは、始めての政権交代で、予算というものがよくわかっていなかったからだ、という意見もあるのかもしれないけれど、その民主党の中に、上手くいくとは思っていなかった議員が少なからずいる。

その内の一人が、当の前原外相その人。

2008年に「自民と民主は本当に違うのか」という座談会が行われたのだけど、その司会を務めた、田原総一朗氏は、前原氏に対して、昨年の参院選で民主党は、農家の所得補償に1兆円、子育て支援に4兆8000億円、最低補償年金に6兆3000億円など、計15兆3000億円を投入すると公約したことを取り上げ、「これはバラマキじゃないのか。行革で間に合うのか」と質問した。

それに対して前原氏は「行革で15兆3000億円すべてを賄えるとは思っていません」「行革だけで捻出するのは絶対無理」と答え、続いて「昨年の参院選のマニフェストをまとめる時、当時の政策責任者たちの間では、最後まで、15兆3000億円の財源の根拠が希薄であると難色を示したと聞いています。これも最後は小沢さんの『エイヤ!』だったわけです」と発言したそうだ。

そして更に、「仮にこのまま民主党が政権を取っても大変です。私は『君子豹変』しないかぎり、まともな政権運営はできないと思いますよ。今、民主党が最もしてはならないのは、国民に対して耳触りのいいことばかり言っておいて、仮に政権を取った時に『やっぱりできません』という事態を招くこと。そして『やはり民主党の言っていたことは夢物語だった』と思われて、すぐに自民党に政権が返ること。これが最悪です」と語っている。

田原総一朗氏は、民主党の中堅以上の議員20人近くに同じ質問をし、その答えは悉く前原氏と同じだったという。

自分で、”国民に対して耳触りのいいことを言っておいて、政権を取った時に『やっぱりできません』という事態を招くことを最もしてはいけない”と発言しておきながら、その、一番してはいけないことを現在進行形で民主党はやっている。

だから、前原氏は、まず、"やってはいけないことをやっている民主党"を恥じるべきであって、ジミンガーを叫んで自民党の責任を問うのはその後の話だと思う。




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画像自民の解散要求を批判=前原外相 (時事通信)

 前原誠司外相は28日午後の記者会見で、自民党の谷垣禎一総裁が社会保障と税の一体改革に関する与野党協議に応じる条件として衆院解散を求めたことについて「日本の政治のことをあまり考えていない。自民党が本当に日本のことを考えるのであれば、堂々と自分の考え方を示した上で議論に乗ってくるのが筋だ」と批判した。

 さらに「ここまで借金を膨らませた大きな責任は自民党にある。今後も最大野党である自民党の建設的な関与を求めたい」と語った。

 藤井裕久官房副長官も同日、TBSの番組収録で「対立軸がはっきりしたときに選挙があるはず。これから(審議を)やろうというときに解散するのはどういう意味があるのか」と谷垣氏を批判した。解散の可能性に関しては「首相だけが持っている権限だ。慎重であると思う」と語った。 

[時事通信社]

[ 2011年1月28日20時43分 ]

URL:http://news.www.infoseek.co.jp/sponichi/politics/story/110128jijiX082/



画像田原総一朗の政財界「ここだけの話」

“事件”の当事者として語る! 民主党の公約批判は正論だ

2008年6月19日 6月13日付の朝日新聞朝刊で「民主・前原氏に身内が『退場勧告』」という記事が掲載された。同日付の日経新聞にも「前原氏に退場勧告」という記事が出ている。

記事の内容は、雑誌『中央公論』で、自民党の与謝野馨・前官房長官と対談した前原誠司民主党副代表が、民主党の昨年の参議院選挙のマニフェストについて政策批判を展開し、これに対して、同党「次の内閣 ネクスト農林水産大臣」である筒井信隆さんらが「前原副代表の妄言を糾弾し、その『退場』を勧告する」とした文書を党所属議員に送った、というものだ。

当事者として“この事件”のウラを語る

僕は、この対談で司会を務めた。今回問題となった前原さんの発言は、僕が引き出したものだ。僕は、いわばこの“前原事件”の当事者なので、この問題について語る責任があると考えている。

問題となったのは、現在発売中の『中央公論』7月号の「自民と民主は本当に違うのか」という座談会。

昨年の参院選で民主党は、農家の所得補償に1兆円、子育て支援に4兆8000億円、最低補償年金に6兆3000億円など、計15兆3000億円を投入すると公約した。僕は前原さんに、「これはバラマキじゃないのか。行革で間に合うのか」と質問した。

それに対して前原さんは「行革で15兆3000億円すべてを賄えるとは思っていません」「行革だけで捻出するのは絶対無理」と答えた。

さらに僕が「民主党は無理だとは言ってない」と問うと、前原さんは「昨年の参院選のマニフェストをまとめる時、当時の政策責任者たちの間では、最後まで、15兆3000億円の財源の根拠が希薄であると難色を示したと聞いています。これも最後は小沢さんの『エイヤ!』だったわけです」と答えたのだ。

ここからが今回一番問題となった発言だが、彼は「仮にこのまま民主党が政権を取っても大変です。私は『君子豹変』しないかぎり、まともな政権運営はできないと思いますよ。今、民主党が最もしてはならないのは、国民に対して耳触りのいいことばかり言っておいて、仮に政権を取った時に『やっぱりできません』という事態を招くこと。そして『やはり民主党の言っていたことは夢物語だった』と思われて、すぐに自民党に政権が返ること。これが最悪です」と語った。

去年の参議院選挙の民主党のマニフェストに書かれている3つの公約の15兆3000億は一体どこから捻出するのか。

僕はこの質問を、民主党の中堅以上の議員、何人にも聞いた。「何人にも」というのは、20人近くだ。そして、その20人近くの民主党の議員が前原さんと同じ答えをしている。

今回改めて『中央公論』で前原さんに15兆3000億の出所について聞いて、民主党の20人近くの議員と同じ、前述の答えが返ってきたとうわけだ。

この前原さんの答えに対して、同じ民主党の、筒井信隆さん、篠原孝さん、山田正彦さんらが、「妄言だ、退場を勧告する」と批判した。

「『退場』を勧告する」というのは、つまり、「議員辞職を迫った」というのと同じである。

筒井さんのことは僕もよく知っているが、彼がなぜこんなことを言うのか、僕には全くわからない。

「妄言だ」と批判された前原さんの発言は、「妄言」ではなく、「正論」だと僕は思う。

URL:http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/080619_64th/index.html

この記事へのコメント

  • almanos

    まあ、民主党内閣の閣僚としては当たり前の対応でしょう。批判すると今度は自分が危なくなる。まず我が身をと考えれば「ジミンガー」出動しかない。批判したら、以前反対していたことも触れなければならなくなるし、触れたら最後、なぜ批判していた連中に迎合しているかも言わないといけない。しかし、それをやると今度は前原氏自身の次の選挙も危うくなるでしょうけど。というか、閣僚だった人達は地元で既に「あいつをまた先生にするなんぞ冗談じゃねぇ!」という状態でしょうし。しがみつけば次の選挙で議席を失い、批判すれば党内で居場所を失う。ま、小沢氏強制起訴でも離党しないといってますし、後は名古屋の選挙結果次第で管下ろしをしないと全滅という状況となる。その時どう動くか? メール事件で代表辞めた御仁ですから迂闊なことやって終わりそうですね。こうしてみると民主党は本当に人材がいない。自民党も今幅きかせている人達はちょっとというのが多い。人がいないのは困ったものです。
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    図にすると今更ながら面白い.
    自民党時代の歳出拡大はGDPを上げる.
    民主党が歳出拡大をしてもGDPは下がる.
    鳩頭日本ガン首相は日本経済の癌だったわけだ.
    自民党広報がこれを新聞広告に使えば一発だ.
    2015年08月10日 16:47

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