『挑発』が仕事の菅首相

 
「あの人は『挑発』を職業としている人だ」
自民党・谷垣禎一総裁 1/24

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1月24日、衆参両院本会議が行なわれ、菅首相が施政方針演説を行った。

まぁ、中身はこれまで言ってきたことばかりで新鮮味はなかったのだけれど、大きく3つ「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」を掲げている。

これらを象徴する政策は何かというと、ごく単純化すれば、「平成の開国」が"TPP参加"、「最小不幸社会の実現」が"増税とばら撒き"、「不条理をただす政治」が"小沢問題"、に集約されると思う。

菅首相は、今度の内閣を「最強内閣」と名付けた。奇兵隊、有言実行ときて、今度は最強。言葉は何やら格好良いけれど、名前を変えたということは、変えた数だけ内閣を改造したことを意味してる。

その過去の内閣が何をやったかと問われても、これというものが浮かばない辺り「何もしていない」と言われても仕方ない。

今回の3つの方針を象徴する政策、すなわち"TPP参加"、"増税とばら撒き"、"小沢問題"が本当に出来るのかを見てみると、どれもこれも難しい課題ばかり。

TPP参加については、今は農業が壊滅する、とそれがクローズアップされがちなのだけれど、TPPが対象とするものは、農産物だけではなくて、サービス、知的財産、労働など多岐に渡っているから、十二分な対策と方針を固めてからでないと、おいそれと乗れる話ではないはず。

実際、JAグループはTPP参加断固反対を掲げ、全国で1000万人の署名を集めるキャンペーンを開始しているし、全国の地方議会でも、参加に反対や慎重姿勢を求める意見書の可決が相次いでいる。

農林水産省の調査によると、1月21日時点で、40都道府県議会(参加反対:11、慎重に検討:23、農業の国内対策が必要:4、その他:2)、1075市町村議会が、TPP参加に反対、または慎重に対応を表明している。

日本全国の市町村数は合計で1727(市:786,町:757,村:184)あるから、その過半数が反対を表明していることになる。

これらを考えると、生半可なことではTPP参加なんて覚束ないと思われるのだけれど、菅首相根回しせずに、思いつきでいきなりぶち上げるものだから、その反発も並大抵ではないと思われる。

だから、菅首相は6月までに意見を取り纏めるなんて言っているけれど、本当にできるのか非常に怪しいと見る。



また、消費税増税や子供手当てを始めとする各種手当てもそう。行政の無駄を省くといって、事業仕分けでは、必要な予算を削ってさえも、大言壮語した9兆円には遠く及ばず、公務員削減も進んでいない。

子供手当てにしても、先日、NHKの「日曜討論」で、民主党の安住国対委員長が、平成23年度予算案について、子ども手当も修正する用意があるなんて発言しているから、どこまでややれるか疑問が残る。

そして小沢問題でも、あれほど、国会招致の議決を国会開催前にすると言っておきながら、結局できなかった。尤も、今後、小沢氏を国会招致又は証人喚問する可能性は当然あるけれど、党内の小沢グループの反発もある。実際のところどうなるかは分からない。

これでは、世論調査で政策を実現できると思わない人が7割もいるのも当然だろう。只でさえ、実行力が無いと思われているのに、
取り組む課題のハードルは無茶苦茶高い。一体どうする積もりなのか。

口先ではやるやると言っているけれど、その展望が全然見えない。政策を行なうにあたって、必要な根回しや段取りを一切せずに物事が進むと思っているのか。ただ担当大臣を地元に派遣して、お願いだけさせれば上手くいく問題じゃない。

突然決めた諫早開門の問題にしても、鹿野農林相が長崎を訪れて、長崎県知事と対策の話し合いを求めたけれど、知事に「相談しながら検討を進めると言ってきたのに一方的に判断した」と拒否されてしまっている。

だけど、菅首相は相変わらず、野党を挑発しては法案通過を"お願い"して回ってる。

やれ「大きな課題に対策を講じる責任は与野党の国会議員全員が負っている」とか、やれ「野党が協議に応じないなら「歴史に対する反逆行為」だ」とか、やれ、「ややもすれば野党の方が議論から逃げようという姿勢が見えている」とか。人のせいにするのもいい加減にしたらどうなのか。

今回の所信表明演説でも、菅首相は、自公連立の麻生政権が設置した「安心社会実現会議」が社会保障とその負担について、与野党が党派を超えて合意形成するべき、といったことなんかを取り上げて、与党に野党が協力するのは当然だという態度でいるけれど、このロジックは、菅@けものへん殿の言い訳パタンのひとつ「あいつが悪い、あいつもやっている」に相当する。つまり、相手に抱きついて責任をおっかぶせるやり方。

与謝野氏招聘に隠された狙い」のエントリーでも、菅首相は、政府与党が経済政策において野党案に抱きつくことで、法案を通させない責任を野党に負わせるのではないかと言ったけれど、まんまそのとおりのことをやっている。

かつて、佐藤栄作元総理は「内閣改造をするほど総理の権力は下がり、解散をするほど上がる」 「参議院を制する者は政界を制する」という言葉を残しているけれど、今の国会を見ているとなるほど、そのとおりだと思う。

首相という職業は政治をすることであって、「挑発」することではない。


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画像TPP:15万人の反対署名集めへ JAグループ佐賀、対策本部設置 /佐賀

 JAグループ佐賀は環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への反対運動を展開するため、TPP交渉参加断固阻止対策県本部を設置した。4月までに15万人分を目標に署名を集め、TPP交渉に参加しないよう菅直人首相に訴える。

 同本部は17日付で設置された。20日、佐賀市の県JA会館玄関に看板を掲げた中野吉實本部長(JA佐賀中央会長)は「深く掘り下げた議論と、徹底した情報公開を国に求めたい」と語った。

 署名は1000万人を目標とした全国的な取り組み。「関税を撤廃するTPPが締結されれば、地域経済・社会が崩壊することは必至」と県民に理解を呼び掛ける。

 中野本部長は取材に「国のシステムを大きく変えるなら国民に信を問う必要がある。統一地方選でも農業団体の主張を代弁してくれる人を応援したい」と述べ、選挙支援と連動させる考えも示した。【姜弘修】

URL:http://mainichi.jp/area/saga/news/20110121ddlk41040474000c.html



画像地方議会 TPP「反対」・「慎重」意見書1100超える 農水省調べ

 菅政権が検討する環太平洋連携協定(TPP)参加問題をめぐり全国の地方議会で「参加に反対」「慎重対応」を求める意見書の可決が広がっており、都道府県・市町村を合わせて1100を超える議会にのぼることが、24日までに農林水産省の調べでわかりました。

 農水省によると、21日時点の集約で、都道府県議会は40、市町村議会1075(うち政令指定都市8)。このうち都道府県関係では、「参加すべきでない」11、「慎重に検討すべき」23、「農業の国内対策が必要」4、「その他」2となっています。この調べは、日本共産党の紙智子参院議員の求めに応じたものです。

URL:http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2011-01-25/2011012502_03_1.html



画像野党に責任共有迫る=社会保障と税、首相施政方針演説

 菅直人首相は24日の衆参両院本会議で、就任後初となる施政方針演説を行い、社会保障と税の一体改革などで野党に協議への参加を呼び掛けた。自民、公明両党が過去に与野党協議を提起したことを持ち出し、責任を共有するよう迫ったことが演説の特徴。参院で与党が過半数割れする「ねじれ国会」の下、予算関連法案の成否を握る野党をけん制し、対応を問う形にもなった。
 首相は演説で、自公連立の麻生内閣が設置した「安心社会実現会議」が「社会保障給付と負担の在り方について、『与野党が党派を超えて討議と合意形成を進めるべき』と提言した」と指摘した。
 さらに、自民党が昨年12月にまとめた「税制改正の基本的考え方」で「超党派による円卓会議設置」と明記したことや、公明党が「新しい福祉社会ビジョン」中間報告の中で、「与野党の社会保障協議会」を提案したことにも言及。その上で「与野党で議論を始めよう」「大きな課題に対策を講じる責任は与野党の国会議員全員が負っている」などと訴えた。
 首相は自公両党のこれまでの見解を引き合いに出し、社会保障と税の超党派協議に野党も参加し、責任を共有するのは当然とばかりの主張を展開した。先の民主党大会では、野党が協議に応じないなら「歴史に対する反逆行為」とまで発言した首相だが、この日も両院議員総会で「ややもすれば野党の方が議論から逃げようという姿勢が見えている」と野党を挑発した。
 民主党マニフェスト(政権公約)の撤回を求める野党の主張を聞き入れず、強気の発言を繰り返す首相の姿勢に対し、自民党の谷垣禎一総裁は記者団に「あの人は『挑発』を職業としている人だ」と反発。公明党の山口那津男代表も「挑発的な発言は首相独特の資質の表れだ」と不快感をあらわにした。
 首相が演説の締めくくりに「国民の皆さまは国会に何を期待しているのでしょうか」と問い掛ける場面があったが、参院本会議場の野党席からは「衆院解散だ」とのやじが飛んでいた。(2011/01/24-20:30)

URL:http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2011012400811



画像民主 予算案修正応じる用意も 1月23日 12時0分

NHKの「日曜討論」で、民主党の安住国会対策委員長が、平成23年度予算案について、子ども手当を含め修正に応じる用意があるという考えを示して速やかな成立に協力を求めたのに対し、自民党の逢沢国会対策委員長は、予算案や関連法案には賛成できず、通常国会で菅政権を衆議院の解散・総選挙に追い込みたいという考えを示しました。

この中で民主党の安住国会対策委員長は「野党に賛同してもらわなければ、法案は1本も通らず、折り合いをつけていくことが新しい国会のあり方だ。どの程度修正するかは、予算委員会などでしっかり話し合えばいい。子ども手当法案は、6月に一括支給するとすれば、4月までにある程度形をつけなければならず、審議を急がなければならない。修正するのであれば、平成23年度予算案と並行する形で話し合う土俵を作ってもらえれば、大変ありがたい」と述べました。国民新党の下地国会対策委員長は「自公政権のときと違う個性ある予算を作ったので、しっかり通したいが、そのためには民主党がまとまらねばならない。修正を言い出すのは早すぎで、今は自分を信じてボールをまっすぐ野党に投げなくてはならない」と述べました。一方、自民党の逢沢国会対策委員長は「財政が厳しいときにばらまきを強化しようとしている。予算関連法案は、予算案と一体だから論理的には賛成できない。予算案の修正の話し合いを拒絶するつもりはないが、政権与党が国会が始まる前に修正に言及することは、絶対の自信作でないことを明らかにしている。通常国会で政権与党を必ず解散・総選挙に追い込みたい」と述べました。公明党の漆原国会対策委員長は「2年続けて国債の発行が税収より多い予算案で、子ども手当や農家への戸別所得補償などは金額を増やしている。財政規律をどう思っているのか、景気回復ができるのか、厳しく追及したい。予算案に反対である以上、予算を執行する関連法案にも慎重にならざるをえない」と述べました。みんなの党の山内国会対策委員長は「民主党は、マニフェストで示した政策のうち、歳出を増やす方は頑張っているが、減らす方はやっていない。予算案は、思い切った修正をするなら検討の余地はあるが、微修正なら賛成できない」と述べました。共産党の穀田国会対策委員長は「学生の就職内定率も過去最低で、中小企業には仕事がない。政府は、大企業を法人税減税で助ける一方で、消費税増税を庶民に押しつけようとしている。国会の中で対じしていきたい」と述べました。社民党の照屋国会対策委員長は「法人税は5%減税、個人所得への課税は増える、さらに計上するなといったアメリカ軍普天間基地の移設関連予算は計上した。徹底的な審議と修正協議を経たうえで対応を決めていく」と述べました。たちあがれ日本の片山参議院幹事長は「財源の多くを赤字国債と埋蔵金で賄っており、財政規律の観点からいうと今年度より後退した予算案だ。審議が始まっていない段階から修正協議に応じろと言うのもおかしい」と述べました。このほか、民主党の小沢元代表について、社民党を除く野党各党が証人喚問を求めたのに対し、安住氏は「証人喚問は重いので、軽々しく扱うべきではないが、予算委員会の審議で仮にこの問題を扱うことがあれば、理事会を中心に議論していただければいい。また、今の状況と強制起訴された場合の状況は明らかに異なってくる。政治倫理審査会への出席要請に応えてもらえなかったという2つの問題が出てくるので、役員会で議論があると思う」と述べました。

URL:http://www.nhk.or.jp/news/html/20110123/t10013571751000.html



画像諫早開門、怒りの地元・おわびの国 農水相が長崎訪問 2011年1月24日5時3分

 国営諫早湾干拓事業の開門問題をめぐり、鹿野道彦農林水産相は23日、長崎県諫早市を訪れ、中村法道知事らと面会した。鹿野農水相は、5年間の開門調査を命じた福岡高裁判決を政府が受け入れたことに理解を求めたが、中村知事は強く反発し、開門へ向けた対策の話し合いも拒んだ。

 鹿野農水相は中村知事や諫早市の宮本明雄市長、農業者や漁業者の代表ら約150人と面会した。農水相は「長年のいさかいに終止符を打ち、影響がでないよう対策するのを前提に総合的に判断した」と高裁判決受け入れの理由を説明した。

 これに対し、中村知事が「相談しながら検討を進めると言ってきたのに一方的に判断した」と述べるなど、地元からは菅直人首相の決断を非難する発言が相次いだ。鹿野農水相は「皆様方に申し訳ない」と何度もわびた。また、長崎県から出された公開質問状への回答は、菅首相が今月中に文書で示すことも明らかにした。

 開門にあたっては、干拓地で使っている農業用水の代替水源の確保や低地の水害防止策などが必要となる。鹿野農水相は、5月にまとまる予定の開門調査の環境影響評価(アセスメント)の中間報告を待って話し合いたいと地元に理解を求めたが、中村知事は「アセスを待たず、具体策を示さないで、なぜ判断したのか」と批判した。

 一方、国に開門を求めてきた原告らの弁護団はこの日、開門へ向けた国との協議に備えて、ため池など代替水源の候補を現地で調査した。

 高裁判決は国に対し、3年の猶予期間の後、5年間の「常時開放」を命じたが、勝訴した原告側が同意すればこの開門方法を変更することは可能。国は原告側と協議することも求められている。

 弁護団の堀良一事務局長は「農業用水の確保や防災対策など、開門した場合の課題はすでに明らか。アセスを待たずに、私たちとの協議を速やかに始めてほしい」と話している。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/0123/SEB201101230037.html?ref=goo

この記事へのコメント

  • クマのプータロー

    農業団体の方々も、報道で「自分たちだけが既得権を守ろうとしている」守旧派だと見せられていることに注意した方が良いと思います。
    2015年08月10日 16:47

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