今日のエントリーは、携帯リサイクルについてです…
1.「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」
昨年の話になるけれど、経済産業省は2009年11月21日から2010年の2月末にかけて、「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」と銘打って、使用済み携帯電話回収促進事業を実施した。
これは、携帯電話の出荷数量が他の電化製品に比べて極めて多いことと、新機種への移るサイクルが短くて、回収のチャンスが多いことに目をつけて、リサイクルの意識啓発という意味あいを含めて行ったもの。
事前にアンケートを取ると、「特典があれば協力する」という意見がそれなりにあったことから、使用済み携帯電話を持ち込むと、抽選で商品券が当たるという特典をつけて行ったところ、全国で56万7056台も回収した。
これは、前年同時期に使用済み携帯電話を回収して台数を集計していた2社の量販店と比較しても、前年同時期に比べて、およそ10倍から100倍もの台数にあたるというから凄いもの。
携帯電話にどれくらい、金属が含まれているかといえば、端末の重さによって異なるけれど、大体1台あたり、金が40mg、銀は140mg、銅は10gで、パラジウムも4mgあり、値段にしておよそ100円になるという、
この事業で回収された携帯電話に含まれている金属は推計で、金22kg、銀79kg、銅5,670kg、パラジウム2kgだというから、本当に都市鉱山である。
ただ、この事業は、平成21年度の補正予算での事業で今回限りだという。実に残念。
「たんすケータイあつめタイ\(^o^)/」で回収された金属は、5億円の予算に対して、数千万円規模の回収額なのだけれど、全国には1億台から3億台もの携帯電話があるというから、そのうちの1割でも、毎年安定的に回収できたら物凄い額になる。
仮に1台100円の金属が含まれているとしても、それが1000万台ともなれば10億円。馬鹿にならない。
実際、家電リサイクル法が施行された平成13年には携帯電話は1300万台回収されていたのだけれど、年々回収台数が減っていき、ここ数年の携帯電話本体の回収台数は、大体600万台から700万台で推移している。
2.携帯端末を処分できない人々
社団法人電気通信事業協会は、携帯電話利用者の意識・行動に関するアンケート調査を毎年行っているのだけれど、平成21年度の調査によると、過去1年間に買換・解約等により端末を処分したことがある人の割合は全体の15.5%しかおらず、また、今使っている携帯電話以外で、端末を保有している人が全体の57.3%もいる。
要するに、携帯を捨てられない人が半数以上いる、ということ。
そして、なぜ持っているのかという理由については、「保存しておきたいデータがあるため」が42%、「通信以外の機能を利用しているため」が31%、「コレクション、思い出として保存」が29%となっている。
この中で筆者が注目したいのは、「コレクション、思い出として保存」が3割近くもあるということ。
保存しておきたいデータや、通信以外の機能については、買い換えた新しい端末にデータを移すなり、通信以外の機能を備えている別の端末をチョイスすれば、代わりにはなると思うのだけれど、"コレクション、思い出"となってしまったら、おいそれとは交換できなくなる。それが3割もある。
よく、物に情が移るというけれど、myケータイに情が移ってしまったら、手放せなくなってしまうのは分からないでもない。だけど、それでは、リサイクルは一向に進まない。
だけど、日本には、その"情が移る"ことを逆にセールスポイントにしてしまう商品が出回っている。
たとえば、車のナビの音声を声優の音声に切り換えて楽しむことができる機能なんかもそのひとつだろう。ナビ音声など意味が伝われば用途としては十分なはずなのに、わざわざ声優の声で案内させる。
車を運転していて、ガンダムのシャアの声で「他人に惑わされるな、左だ。君には左しかない。」とか、タッチの朝倉みなみの声で「わたしを絶対目的地まで連れてってね、約束だよ」とか案内されたら、ナビという機械であっても、そこに人間的なキャラを被せてしまう。機械を単なる機械で無くしてしまう。
また、ワンセグテレビの中には、使いこむうちに、テレビの反応が変わる、いわゆる"ツンデレテレビ"というものすらある。
タカラトミーが2007年に発売した「SEGNITY」(セグニティ)というワンセグテレビには、音声ガイダンスによる“ツンデレ”ナビゲーションモードというものが搭載されていて、購入当初は、チャンネルボタンなどを操作すると、女性の声で「チャンネル変える気ぃ!?とか、輝度を上げると「まぶしいんだけど」と、ツンツンした対応をするのだけれど、使いこんで仲良くなると、電源を切るときには「ええーっ、帰っちゃうの?」という反応に代わるという。
ここまでくると、疑似人格というか、機械のような気がだんだんしなくなってくる。
唯でさえ、長年使っていると情が移るのに、それに輪をかけて、人間のような反応をするようになると、ますます手放せなくなってしまう。
では、どうやってリサイクルを進めていくべきなのか。
3."情が移る"部分をアタッチメント化する
ひとつには、その人間のような反応をする部分をアタッチメントにして、脱着可能にしておいて、新しく購入しなおした端末に装着すれば、以前の端末そのままの対応を引き継いでくれる機能を持たせるというのもあるかもしれない。
要するに、"情が移る"部分を、端末本体全部ではなくて、その一部に集約させて、それを移動可能にすることで、リサイクルしやすくさせてしまうということ。
なにやら、端末間で"魂"を移すような話に聞こえなくもないけれど、意味としては、そういうこと。
ツンデレテレビがあるくらいなら、ツンデレ携帯もできるはずで、それをもっと進めれば、あたかも友達のような疑似人格だって持たせられるかもしれない。
キムタク主演の宇宙戦艦ヤマト実写版「SPACE BATTLE SHIP ヤマト」には、アニメでのロボット型ではなくて、端末型の"アナライザー"が登場した。
普段は手の平サイズの端末だったアナライザーは、終盤には、古代のコスモゼロの胴体にセットされ、「コチラデモヨロシク」と古代に挨拶するシーンがあったけれど、あんな風に、魂にあたる部分を脱着可能にしてやれば、そこさえ持ち続けていれば、残りの部分はリサイクルに出せそうな気がする。
ただ、注意すべきと思うのは、これはあくまでも、ハードとしてのアタッチメントでなければならず、メモリーカードか何かに以前のデータを移す形では駄目なように思う。
おそらく、目に見えない「データ」には、人は情を移しにくいのだと思う。"情を移す対象"は、あくまでも、目に見え、手に取れる形のものでなくてはならず、そうであって始めて魂が宿る。情が移る。
うまく説明できないけれど、このあたりの人情の機微をうまく汲み取ることができれば、もう少し、リサイクルも進むのではないかと思っている。

この記事へのコメント
ちび・むぎ・みみ・はな
> 情を移しにくいのだと思う。
SFでは人格の継承もしくは, 見える部分の変換が
行なわれているものが多いように思います.
ソフトの「人格」がもっと向上すれば, 書かれて
いる通りにメモリーへの移し換えで良くなるのでは?
結局, 現状ではソフトの「人格」が不十分なの
でしょう.
mohariza
やはり、映画「2001年宇宙の旅」や、テレビ「宇宙家族ロビンソン」のロボットのような機械的な声で無いと、親しみが湧きません。
いくら、人間が機械に情を持っても、最近の映画「アイ,ロボット」で描かれたように、人間は、所詮、機械差別をする筈です。マスコット程度なら、情を持つでしょうが…、人間に近い知性(能力)を持ち出すと、人間を犯す危険性を感じ、移民差別と同じ態度に出る筈です。
将来は、<目に見えない「データ」>で無くても、データ移動、可能になる筈ですが、人間としては、それでは、「情」と云うより、<魂>が移動するように思え、怖くなり、
「データ」は、形上「目に見える方法」でやり取りするコトになると思われます。
almanos
白なまず
CRT(21inch,17inch),LCD(17inch),TV、、、、家電やPCの山です。もったいないなー
しかも全てまだ動きそうなんで、、、さらに捨てずらい。昔はこれにバイクも数台有ったので、、、バイクは何とか処分できましたが、本当に未使用の携帯とかPCを処分できるか、心の掃除の問題ですね。要らない物に執着していては未来は開けないですね。