菅首相の見識(菅首相の政策 前編)

 
久々に前後編の2回シリーズでエントリーします。

「新しい年をともに祝うことをうれしく思います。今年が、みなさん一人一人にとり、少しでも良い年となるよう願っています」
今上陛下 於:1/2 皇居・宮殿の東庭「一般参賀」にて

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1月12日、菅首相夫人の伸子さんが、日本外国特派員協会で行った講演で、昨年8月半ばに、首相と天皇陛下と皇后さまとの4人で会食したときのやり取りの一部を明らかにした。その内容は陛下から「『消えた高齢者』とは一体、どういうことでしょう」と、全国各地で行方不明となる高齢者が相次いでいることについて首相に尋ねられた部分。

昨年の11月、前原外相が、「明らかにしないことが慣行になっている陛下への御進講」を行ったことを、自身を支持するグループの会合で喋ってしまったことがあったけれど、民主党政権になってからというもの、どうしてこう簡単に、陛下とのやりとりが公にされてしまうのか。

菅夫人がどういう積もりで話したのかは分からないけれど、首相夫人という立場を考えれば、ためらうくらいなら、最初から発言すべきじゃない。

ただ、この発言で改めて感じたことがある。

それは、やはり菅首相は、政策については、自身のビジョンを持っているわけではなくて、官僚なりなんなりの言われるがままにやっているのではないかということ。

1月10日、菅首相は八重洲ブックセンターに立ち寄って、単行本と月刊誌、計7冊を買ったのだけれど、その書籍の題名は次のとおり。
「国家債務危機」(ジャック・アタリ著、林昌宏訳)
「デフレの正体――経済は『人口の波』で動く」(藻谷浩介著)
「これから、中国とどう付き合うか」(宮本雄二著)
「自我作古 国家を考える。」(筑紫哲也著)
「がん 生と死の謎に挑む」(立花隆、NHKスペシャル取材班著)
「無縁社会の正体 血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか」(橘木俊詔著)。
「文芸春秋」2月号

なぜ、これらの本を選んだのかは分からないけれど、筆者は、これらの書籍に着目すれば、これから菅首相のやろうとしていることが見えてくるのではないかと思っている。

なぜなら、今年になってからの菅首相の動きは、まるで、これらの本の内容に反応したかのような対応だから。



例えば、「文芸春秋」2月号には、西岡参院議長の手記が掲載されていたのだけれど、その後、菅首相は、西岡氏を呼んで会談している。おそらくは、その手記を読んで、西岡氏の意見を聞くために呼んでみたはいいけれど、それまであまり深刻に考えていなかった国会運営の深刻さに気づかされたと思われる。12日になって、菅首相は、周辺に仙谷氏の交代もやむを得ないとの考えを伝えている。

また、「無縁社会の正体 血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか」の本では、32000人の孤独死、1500万の単独世帯などを取り上げ、孤独や貧困を救うにはどうすればよいのかを問いかけているけれど、12日に、菅首相は「無縁社会」の実態を明らかにし、対策を検討する特命チームを設置することを決めている。

或いは、裏で、取り巻きのブレインなり官僚達なりに、「これだけは読んでおいて下さい」と言われるままに買ったのかもしれないし、もしかしたら、昨年夏の陛下との会食で頂いた陛下のお言葉が頭にあったのかもしれない。

菅首相が本当に、本の内容に即座に反応したのかどうかは分からないけれど、仮にそうだとすれば、如何にも"軽い"し、今更感が漂う。本来、首相とあろうものは、そうしたことは常々勉強して、それなりの見識を備えていないといけない。

かつて、田中角栄は、総理総裁の条件として、党三役、即ち、幹事長、総務会長、政調会長のうち二役を、内閣では、外務・大蔵・通産のうち二閣僚の経験者であることを挙げていた。

尤も、鈴木善幸元首相以降からはこれらの条件を満たす総理は殆どいないのだけれど、少なくとも当時は、総理たる者、それだけの見識が必要と考えられていた。

勿論、菅首相はこの条件は満たしていない。それどころか、僅かに、財務大臣の職にあったときでさえ、国会答弁で経済は勉強してこなかったと平気でのたまったくらいだから、その見識は推して知るべし。

そういう視点で見てみると、残りの本についても、その内容に対応した方針を打ち出してくる可能性があると思う。

実際、残りの本の題名を見ても「国家債務危機」だとか、「デフレの正体――経済は『人口の波』で動く」だとか、「これから、中国とどう付き合うか」とか、いかにも今の日本が抱えている問題が書いてありそうなもの。

だけど、その本で述べられているであろう問題をどう解決してゆくかについては、いろいろな方法が考えられる。それこそ、政府の方針なり政策が問われるところ。

処方箋があっても、それが正解なのかどうか、または、それをどう具体的に実現していくかについては、いろいろある。




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画像一般参賀で天皇陛下「少しでも良い年となるよう」

 新年恒例の一般参賀が2日、皇居・宮殿の東庭で行われ、7万7110人が訪れた。

 天皇陛下はこの日、計5回、皇后さまはじめ皇族方と宮殿のベランダに立ち、「新しい年をともに祝うことをうれしく思います。今年が、みなさん一人一人にとり、少しでも良い年となるよう願っています」とあいさつし、笑顔で手を振られた。

 1日には、宮殿で「新年祝賀の儀」が行われ、天皇、皇后両陛下は、皇太子ご夫妻はじめ皇族方や菅首相ら三権の長から新年のあいさつを受けられた。

(2011年1月2日17時42分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110102-OYT1T00123.htm



画像菅首相夫人の伸子さん、講演で陛下との会話明かす「消えた高齢者とは?」2011.1.12 19:37

 菅直人首相夫人の伸子さんが12日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で行った講演で、首相と昨年8月半ばに、天皇陛下と皇后さまとの4人で会食したときのやり取りの一部を明らかにした。

 夫人は講演で「これは言っていいのかしら」とためらいがちな表情で前置きしながら、全国各地で行方不明となる高齢者が相次いでいることについて、陛下が「『消えた高齢者』とは一体、どういうことでしょうとお尋ねになった」と首相に尋ねられたことを明かした。陛下とのこうしたやり取りが断りなく表に出るのは異例で今後、波紋を呼びそうだ。

URL:http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110112/plc1101121939007-n1.htm



画像菅首相、ぶらっと書店へ 政権批判の文芸春秋など購入 2011年1月11日8時0分

 菅直人首相は10日、JR東京駅付近の東京・八重洲にある八重洲ブックセンターに立ち寄り、単行本と月刊誌、計7冊を買った。

 「国家債務危機」(ジャック・アタリ著、林昌宏訳)や「デフレの正体――経済は『人口の波』で動く」(藻谷浩介著)など経済問題を扱ったもののほか、日中関係を意識してか「これから、中国とどう付き合うか」(宮本雄二著)も購入。

 単行本ではこのほか「自我作古 国家を考える。」(筑紫哲也著)、「がん 生と死の謎に挑む」(立花隆、NHKスペシャル取材班著)、「無縁社会の正体 血縁・地縁・社縁はいかに崩壊したか」(橘木俊詔著)。

 西岡武夫参院議長による政権批判が掲載された月刊誌「文芸春秋」の最新号も買った。首相はこの直後、参院議長公邸を訪ね、西岡氏と面会した。

 首相は約20分かけて書店内を立ち読みしながら散策。来店していた親子連れと記念撮影に応じるなど気分転換を図っていた。

URL:http://www.asahi.com/politics/update/0110/TKY201101100318.html


画像菅首相、迷って迷って迷って「枝野氏」官房長官

 内閣改造・民主党役員人事で最大の焦点だった仙谷官房長官の後任には、枝野幸男民主党幹事長代理が就任する見通しとなった。

 政権の柱である仙谷氏の後継選びは難航し、菅首相は逡巡(しゅんじゅん)を続けたが、民主党出身の西岡参院議長までが辞任要求を突きつける中、「苦渋の決断」を迫られた格好だ。

 「西岡議長の考えに不満はあるが、重く受け止めないといけない」

 首相は12日、周辺に仙谷氏の交代もやむを得ないとの考えを伝えた。

 昨年暮れ、内閣改造人事の検討に入った首相は、早い段階で仙谷氏を交代させ、党の要職で処遇することを検討し始めた。

 しかし、仙谷氏に代わる官房長官探しは難航した。

 首相はまず、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」対策として、参院議員からの起用を検討し、盟友である江田五月前参院議長や、首相が信頼を置く北沢防衛相が浮上した。

 ただ、自民党政権下で民主党が参院で多数を占めた時期に議長を務めた江田氏の議会運営について、自民、公明両党には反発が根強い。北沢氏は防衛省が政治的な発言をする部外者を関連行事に呼ばないよう求める次官通達を出した問題で批判を浴びた。自民党の脇雅史参院国会対策委員長は最近、民主党の羽田雄一郎参院国対委員長にこうした空気を伝えて、江田、北沢両氏の起用は消えたという。

 野田財務相や玄葉国家戦略相らを推す声もあったが、「内閣支持率が低迷する中で成り手も見つからない」(民主党幹部)状態が続き、首相は仙谷氏の続投も「選択肢」とし、最終決定は先送りし続けた。

(2011年1月13日07時59分 読売新聞)

URL:http://www.yomiuri.co.jp/feature/20100806-849918/news/20110113-OYT1T00163.htm



画像“無縁社会”特命チーム設置へ 1月12日 18時9分

菅総理大臣は、家族や地域とのつながりが薄れている「無縁社会」の実態を明らかにし、国を挙げて対策を検討するため、政府内に特命チームを設置することを決めました。ことし夏までに緊急の政策提言を行うことにしています。

NHKでは家族や地域とのつながりが薄れ、独り孤独に亡くなる高齢者や社会的に孤立する若者が増えている現状を「無縁社会」と呼び、取材を通じて問題提起を続けてきました。こうした動きを踏まえ、菅総理大臣は、現在や将来の生活に不安を抱いている多くの人に「居場所と出番のある社会」を作り出すことが重要だとして、国を挙げて対策を検討するため、近く総理大臣官邸に省庁横断の特命チームを設置することを決めました。特命チームには、内閣府参与で貧困問題に詳しい湯浅誠氏らも参加し、社会的に孤立している人のさまざまなケースについて実態調査を行ったうえで、孤立に追いやっている原因を取り除く対策や、こうした人たちを支える対策をまとめ、ことし夏までに緊急の政策提言を行うことにしています。菅総理大臣は、ことしの年頭所感で「最小不幸社会」の実現を目指すとしており、特命チームでの議論を、今後の社会保障改革にもつなげていきたい考えです。

URL:http://www.nhk.or.jp/news/html/20110112/t10013355191000.html

この記事へのコメント

  • 白なまず

    運命の日は3月3日だと予感しています。

    ひふみ神示 第05巻  地つ巻  第五帖
     片輪車でトンテントンテン、骨折損の草臥(くたびれ)儲けばかり、いつまでしてゐるのぞ、神にまつろへと申してあろうがな、臣民の智恵で何出来たか、早う改心せよ。三月三日、五月五日は結構な日ぞ。九月十六日、ひつ九のか三。
    2015年08月10日 16:47
  • 美月

    お久しぶりです。14日本日、TVバラエティ専門(?)の、ミヤネ屋さんのところで、「菅内閣=仏滅ご臨終内閣」というようなコメントが出ていて、ちょうど知人とTV視聴していて、「エーッ」とビックリしていたところです(汗)

    ※不思議に思ってカレンダーを見てみたら、本当に今日は「仏滅(!)」でした…^^;;

    首相の見識に関する様々な問題とも相まって、「日本の仏滅&ご臨終」などという事になったら、冗談では無いですね…(菅首相が「本当の意味で目覚めるかどうか」もよく分からないですし、目覚めたら目覚めたで、仮免よろしく変な方向に行くんじゃ無いかと、超・不安であります…)
    2015年08月10日 16:47
  • 「ど」の字

    こんばんは。

    「自分たちが目論む消費税増税の議論に参加しない野党は反逆者」とか「この七ヶ月間大筋で間違ったことはしていない」などと放言し、一切の反省も改善もしようとしない今の民主党では、それこそ一切期待は出来ないでしょうね。
     ここまで国民の声に対して鈍い政党に対しては、選挙で決定的な打撃を与える他無いでしょう。普通ならとっくに恥を知って退陣しているはずなんですが。
    2015年08月10日 16:47
  • ちび・むぎ・みみ・はな

    > それは、やはり菅首相は、政策については、自身
    > のビジョンを持っているわけではなくて、官僚
    > なりなんなりの言われるがままにやっているので
    > はないかということ。

    正に政権をとることだけを考えてきたのだろう.
    そして, 良い政策を訴えて政権をとることより,
    マルキストらしくプロパガンダで政権をとった.
    ただし, 彼らにとっては残念なことに, 日本は
    民主主義国家だった. 民主主義は短期の独裁だと
    言ったから, 何を手本にしていたのかが分かる.
    彼らを政権についておく意味は既に失われているので
    国会運営で協力する必要は全くない. 参議院では
    全法案をストップさせて政権を崩壊させるべし.

    それにしてもの与謝野氏.
    2015年08月10日 16:47
  • almanos

    与謝野氏にとっては、この先閣僚になれる目はもうない。乗った理由としてはこれが一番大きい様に見えます。ただ、組閣が仏滅というとんでもないのには流石に公開しているかもしれませんがせめて明日1/15なら大安です。週末であろうとも大安にすれば良かったのに。こういう験担ぎは意外とメンタルな面で影響しますからね。ま、実務を担える人が圧倒的にいない民主党らしい結果でしょう。ただ、党大会のグダグダぶりを見る限りかなりの短命内閣となるでしょう。はっきり言って民主党の地方議員と、平の国会議員にとっては民主党の看板は疫病神に成り下がっています。こうなると民主隠しよりも、民主を捨てて各個生き残りを図る方がこのまま民主党にしがみつくよりもマシとなるでしょうし。衆院で野党から内閣不信任案が提出されたら、道連れはイヤだと造反した民主党議員のおかげで可決。首相が逆ギレして解散となりそう。民主党に引導を渡した事の方が、民主党公認や、民主党所属よりも選挙で役に立つ状況になってますからねぇ。下手すると一月中に解散になるかもしれませんね。
    2015年08月10日 16:47

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