今回は少し趣向を変えて、新春特別企画をお送りします。
新年に筆者の知人(仮にK氏とします)との世相について対話をしたのですけれども、中々面白かったので、その内容の一部をご紹介いたします。
日比野 あけましておめでとうございます。
K氏 こちらこそ。おめでとう。
日比野 民主党政権になって早や1年3ヶ月経ちました。
K氏 早いものだよね。
日比野 Kさんからみて、民主党政権はどうですか。そろそろ国民も目が覚めてきたように私は思うのですけれども。
K氏 大分、政権交代の熱が冷めて我に返った、というところかな。やらせてみたはいいけど、こんなに酷いとは思わなかった、というところだろうね。
日比野 でも、マスコミとかは相変わらず民主党アゲの報道をしていると思います。保守系のブロガーなんかは、マスコミの姿勢にまだまだ不満を持っていますし。ただ、左系のブロガーもマスコミは批難ばかりだ、とこちらも不満を述べているのが面白いところではありますね。
K氏 そうでもないんじゃないか。政権交代直後から比べれば大分、批判すべきは批判するようになったと思うよ。ただ自分達が政権交代を煽ってミスリードしたことまでは、反省できていないようだけども、個人としては失敗したと思っている人はいるだろう。
日比野 でも、謝罪はしませんね。
K氏 そんなことしたら、自分達の存在意義がなくなっちゃうからな。でも、国民のほうも…特にだね、前の衆院選挙で民主党に投票したような連中の中には、失敗したと認めたくないようなのが、大勢いるんじゃないかな。
日比野 あぁ、認知的不協和ですね。
K氏 心理学用語かなんかではそういうんだっけ。まぁ、自分の過ちを公けに認めるのは辛いことだ。内心そう思っていても口にだして「私は間違ってました。ごめんなさい。反省してます。」なんて中々言えないもんだよ。あんたの家族にもそうした人はいないのかい?個人でも認めたくないものを、ましてや企業体で認めることなんて出来るわけないよ。そんなことしたら、スポンサーがみんな逃げていっちゃうからな。間違った報道をするところに金だしてなんかいたら、今度はスポンサーの信用が傷つくわな。その意味では、みんな連動しているのさ。だから、今は、マスコミもそうだとはなるべく気付かれないようにちょっとづつ、意見を修正したりなんかしてるわけだね(笑)。それも、空気というのかな、世論が「これはちょっとおかしいんじゃないか」なんて雰囲気になってるとこを代弁する風を装って言うところはあるわな。責任を取らないと言えば取らない体制ではあるんだけどね。
日比野 国民から声を上げるというのは大切なことですね。
K氏 そうだな。あれ、尖閣デモだっけ。まだあれからずっと続いているんだろう。まぁマスコミは表立ってはそう取り上げないけども、あれだって、マスコミからしてみれば、政権批判するときの後押しにはなっていると思うよ。デモなんかを国民がやっているから「世間様ではこう怒っています。どうするんですか?」って、マスコミも政府批判ができるわけだ。デモは事実としてあるんだからね。まぁ、一方の主張だけを取り上げてばかりいると、今度はマスコミ自身が批判されちゃうから、表向きは、いろんな意見を紹介して中立を装ってだね、「こんなのもあります、あんなのもあります」って報道するんだけども、マスコミが世論をリードするってだけじゃなくて、国民がマスコミの尻を叩くってのもあるってことだね。
日比野 尖閣事件での政府の対応はやっぱり失敗だったんじゃないでしょうか?結果として、国民の危機感を醸成して目覚めさせたという効果はあると思います。ただ、私は、あれはやはり中国の威力偵察ではなかったかと思うんですね。日本の反応を見るための。もちろん、付近のガス田を確保する狙いもあるんでしょうけれども…
K氏 それに加えて、日米同盟の程度を計る意味もあるだろうね。どこまでアメリカが介入してくるのか、こないのか、結果としてアメリカは介入するという言質を取ったけども、これは日本にとっては良かったね。
日比野 今の中国は遅れてきた帝國主義を発揮し始めていると思うのですけれども、ちょっと露骨ですね。
K氏 尖閣はほんの小手調べでね。彼らはもっと大きなものを狙ってるはずだ。人口問題もあるけども、大中華帝国をつくりたいという野望があるんだと思うなぁ。中国にしてみれば、ある意味、ここ100年ほど、列強の食いものにされてきたという意識があるだろうからね。ただ、ちょっとそれ以上に慢心というか、世界からみた自分が良く分かってないところはあるな。
日比野 劉暁波氏のノーベル平和賞受賞のことですか?
K氏 世界で認められている賞をだね、単に否定するだけじゃなくて、受賞の事実さえ国民に一切知らせないんだろう。14億人も居てだよ。あれは、要するに、何億人いようが、政府は市場にいくらでも介入できるということだ。市場だけじゃなくて国民の思想も含めてね。今日は良くても、明日には駄目になるかも分かんない。そんな国を長期で相手するのは難しいよ。
日比野 やはり、中国に投資している企業が撤退をしてゆくということですか。
K氏 そうはいっても、市場があるというのは魅力でね。GDPで日本を超えた。年収500万円を超える層が7000万人やそこらいるということは、アジアに日本並みの市場がもう一つあるということだ。何だかんだ言っても現に買ってくれる人がいるというのは大きいよ。特に今は世界経済がこんなになっちゃってるから、売りたい国は沢山いるわな。
日比野 オバマ大統領も輸出を振興すると言ってますね。
K氏 まぁ、アメリカもそうかも知れないけども、もっと切羽詰まってるのは多分EUだよ。売れるものなら何でも売ってくるぞ。
日比野 そういえば、EUは中国に対して武器輸出を解禁するとか言ってますね。
K氏 武器でも何でも輸出できるものがある国はまだいいんだけども、それすらない国はもっと辛いわな。それこそ身売りしてでも生き残りを考えなくちゃいけない国もあるかもしれない。中国の圧力でノーベル平和賞の授賞式への参加を見送った国がいくつかあったよね。確かノーベル委員会だか、意外と辞退する国が多かったと言ってたように思うけども、あれも中国の影響力を示しているんだと思うよ。
日比野 う~ん。市場の魅力には勝てないということですか。
K氏 生きてくためには食っていかなくちゃならないからね。
明日に続きます。

この記事へのコメント